妖精のいる飲食店   作:ふくちゃん

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見た目なんか関係ない

「え?なにこれ、泥水?」

 

「わ、私、何かしちゃった⁇そ、その謝るからそ、その、これはちょっと…。」

 

はぁ……。

 

やっぱりこうなるのかぁ…。

 

今日は休日。雨模様。

 

いつものお客さんだけじゃなくて、学園の生徒も昼間からくる。雨だから、普段より多い。

 

その中に混じって、マリアとリースもいた。あの演奏会の後は、平日休日問わず、入り浸るようになった。練習するときもあればうちの料理を食べてくれるときもある。常連さんってやつだね。

 

ただ一応、妻帯者の家に入り浸って、料理を食べたり仲良く話したりするもんだから、2人は学校で、やれ愛人さんになっただの、不倫してるだの、略奪愛してるだのと噂になっちゃって…。2人が顔を真っ赤にしたり、その上リース嬢は社交界でも話の種になり、それを聞きつけた姫騎士さんもきちゃったりと、それはもう大変だったよ。

 

……今もたまに間違わられるけどね…。

 

んで、朝一できた今日はお店を開けながら交代で僕やベラ、ローズが食べてた朝ごはんを食べたいって言うから、出したんだけどね…。

 

今日は日本食な訳ですよ。

 

ご飯と焼き魚、卵焼きは良かったんだけど

 

自家製味噌と豆腐と、僕が手に入れたものでとった出汁、あとは大根。そして刻みネギを入れたオードソックスなやつ。

 

 

そう味噌汁がダメだったんだ。

 

 

よりにもよって最近は赤味噌だった。

 

決して、赤味噌が悪いとかそう言うことを言うつもりはない。

 

けど初見の人にはね…うん、仕方ないのかな。

 

 

って、ベラとローズがクスクス笑ってる。

 

 

笑ってる2人に目線で助けを求める。

 

 

そうすると、ローズがよく笑ったとでも言いたげな表情で、助けに来てくれた。

 

 

「いいから〜、一口飲んでみて〜。私も飲むから〜。」

 

そう言って、自分の分をよそってきて2人の横で飲む。

 

 

それをみてから、2人はおそるおそる器に口を近づける。

 

そして、

 

 

「「おいしい」」

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

「ねぇ、リョウ。これってなんて言うの?」

 

「ん?味噌汁っていうの。」

 

「これはスープの一種かしら?」

 

「そうよ〜。」

 

なんだかんだ、味噌汁を気にいってもらえてよかった。

 

「ローズもありがとね。」

 

そうローズに言いながらローズの方を見ると嫌な予感がした。

 

「別にいいわよ〜、愛人の相手してるとはいえ、夫を助けるのは妻の務めだし〜。」

 

 

え、えと、えっとちょっとまって…。

 

 

「ろ、ローズさん?愛人騒ぎのこと、まだ怒って…る?」

 

ローズの顔がだんだん強張る。

 

離れたところでベラが笑いをこらえてる。

 

一部の男性客からの目線が厳しくなり、残りは少し怯えたような表情になる。

 

対照的にほとんどの女性客の目線が輝き出す。残りは現状に気がついてない。

 

そしてローズが大きく息を吸い…

 

 

「んなわけないでしょ〜。やっぱり打てば響くからリョウいじりは面白いわね〜。」

 

 

周りから、ツッコミや罵声、こける音にホッとする息、いろんなものが聞こえた気がしたけど、きっと気のせいだけじゃない。

 

 

ーーー

 

いろいろ話してたら、2人に加え、リリもお昼にも味噌を使ったものを食べてみたいということなので、作ることにした。

 

 

今日は雨で少し肌寒いから、あったかいものにする。

 

 

昼までまだ4時間あるけど、作り始めないとね。

 

 

ーーー

 

 

「はい。お待たせ。味噌煮込みうどんだよ。」

 

あれから、うどんを打ってなんとか間に合った。

 

 

うどん打ちって疲れるんだよね。

 

「さぁ、召し上がれ。」

 

 

そういってそれぞれの土鍋の蓋を取る。

 

 

わぁ。

 

誰かが思わず声を出したようだ。

 

 

三人とも美味しそうに食べてる。

 

僕も食べたくなってきちゃった。

 

「ねぇ、ベラ、ローズ。今日の晩御飯は味噌煮込みうどんでいいかな?」

 

2人から「もちろん」って帰ってきたのはいうまでもないかな?


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