バハルス帝国の帝都アーウィンタールに聳え立つ皇城。
光り輝くその城の廊下で、ワーカー“サバト・レガロ”の“レオナール・グラン・ネーグル”の姿に化けたウルベルトは、ユリを背後に従えて案内する一人のメイドの後を追って歩を進めていた。
皇城内はいつ来てみても美しく整えられており、所々にあしらわれた装飾が光り輝いて視界を彩り楽しませてくる。勿論その美しさも煌びやかさもナザリックには到底敵わないのだが、それでもウルベルトは皇城に来る度に内心で感心にも似た感情を抱いていた。
この世界の生活水準や技術・発展水準は
これまで見てきた帝国の街並みや交流してきた人々のことを思い返し、ウルベルトは帝国の在り方と今後について緩やかに思考を巡らせていた。
「――……陛下、“サバト・レガロ”のレオナール・グラン・ネーグル様及びリーリエ様がお見えになりました」
『通せ』
思考の渦に沈む中、不意に聞こえてきた他者の声に、そこで漸くウルベルトはハッと我に返った。
いつの間にか小さく俯いていた顔を上げて目を向ければ、そこは天井に届くほど大きな扉の前だった。
恐らくこれが玉座の間に続く扉なのだろう。扉の左右にはそれぞれ
どこか窺うような視線に、ウルベルトは咄嗟に営業用の柔らかな微笑を浮かべてみせた。
「案内して頂き、ありがとうございました。おかげで助かりました」
「……あっ、……は、はい! ……あ、あの、陛下がこちらでお待ちですので……、その……」
メイドが頬を赤く染め、次には何かを躊躇うように言いよどむ。何故かチラチラとこちらに視線を向けてくるメイドに内心首を傾げながら、まぁ構わなくても別に問題ないだろうと判断すると、ウルベルトは変わらぬ微笑を浮かべたまま一つ頷いて返した。
「ええ、ありがとうございます。早速ご挨拶をさせて頂こうと思います。帰りは迷うことはないかと思いますので、あなたはご自分のお仕事に戻って頂いても大丈夫ですよ」
「……あ、わ、分かりました……。失礼いたします」
メイドは一瞬残念そうな表情を浮かべたもののすぐさまいつも通りの表情に戻ると、次には頭を下げてこちらを向いたまま後ろに下がる。ウルベルトは少しの間メイドを見送った後に扉へと目を移し、その瞬間、扉の両端に立っている兵が動いて丁寧な手つきで扉を押し開けた。
両扉は音もなくゆっくりと開かれ、中の様相を露わにしていく。
そこは正に玉座の間という言葉に相応しく、真っ白な壁と金色の装飾、真っ赤な絨毯が敷かれた豪奢な室内だった。
左側の壁には大きな窓が幾つも連なっており、太陽の光が差し込んで室内のあらゆるものを眩く輝かせている。
部屋の奥では豪奢な玉座に一人の青年が座っており、ウルベルトは一礼と共に室内へと足を踏み入れた。毛の短い絨毯を踏み締め、ユリを従えて真っ直ぐに玉座へと歩み寄る。
やがて玉座から7歩ほど離れた場所で足を止めると、ウルベルトは片手を胸に添えた状態で片膝をついて頭を垂れた。
「“サバト・レガロ”のレオナール・グラン・ネーグル及びリーリエ。皇帝陛下のご命令に従い、拝謁に参りました」
「ああ、何度も呼び出してしまってすまないな。顔を上げてくれ」
頭を上げる許可をもらい、そこで漸く下げていた頭を上げる。続いて手振りで立つように促され、ウルベルトはゆっくりとした動作でその場に立ち上がった。
ユリも自分と同じく傅いていたのだろう、背後で彼女が立ち上がる気配を感じ取る。加えてユリから不穏な気配が漂ってこないことに気が付いて、ウルベルトは内心で安堵の息をついた。
これがもしウルベルトと共にいたのがユリ以外の別のナザリックのシモベだったなら、至高の御方というポジションの自分に頭を下げさせる皇帝に対して殺気を発するモノがいたかもしれない。
ユリが本心ではどう思っているのかは分からないが、それでも少なくとも『そういった感情を面に出してはいけない』とユリが判断できたことに、ウルベルトは心の中でユリに称賛を贈った。
とはいえ、折角ユリが何でもない事のように振る舞っているのに、自分が意味深な態度をとるわけにはいかない。
ウルベルトは誰にも気づかれないように密かに気を引き締めると、改めて目の前にいる者たちを見やった。
玉座にはジルクニフが姿勢正しく腰掛け、その斜め前の左右にはフールーダとバジウッドがまるで護衛のように立っている。フールーダの隣には更に白のローブを身に纏った男が数名並んで立っており、バジウッドの隣にも見覚えのある文官のような男たちが数名横に連なっていた。
しかしウルベルトが彼らに視線を送ったのは一瞬のこと。
ウルベルトはすぐさま視線を転じると、玉座に座るジルクニフを真っ直ぐに見上げた。
「……それでは早速、わたくしどもを呼んだ理由をお聞かせいただいてもよろしいでしょうか?」
「ああ、勿論だ。君たちを呼んだのは他でもない。一つ“サバト・レガロ”に依頼したいことがあったためだ」
バジウッドの隣に立つ一人の男が口を開きかけ、しかしすぐさまジルクニフが片手を挙げてそれを制する。それでいて自分の口から端的に説明してくる皇帝に、ウルベルトは思わず小さく目を細めた。
「依頼……。依頼書からではなく直接皇城に呼んだのは、それだけ特殊な任務ということでしょうか?」
「まぁ……、そうだな……」
ウルベルトの確認するような言葉に、ジルクニフが小さな苦笑を浮かべてくる。
しかしジルクニフはすぐさまその苦笑を引っ込めると、顔を引き締めて真っ直ぐにこちらを見つめてきた。
「我ら帝国は予てより、年に一度王国と刃を交えている。そしてそれは今年も例外ではない。しかし、今の王国は強力な悪魔の至宝を所持している。このまま無策で王国と刃を交わしては、我が兵に無用な犠牲が出るかもしれない」
「……………………」
「ワーカー“サバト・レガロ”、今回の戦に君たちも参加してもらえないだろうか?」
表情を動かさず無言を貫くウルベルトに、しかしジルクニフは臆することなく依頼を口にする。力強さが宿るその声音には一切の迷いはなく、どうやらフールーダは上手く皇帝を説得できたようだな……とウルベルトは内心で笑みを浮かべた。
しかし、そんな素振りはおくびにも出さず、ウルベルトは顔に真剣な表情を張り付けて考え込むような素振りをとった。
「……帝国と王国との戦争の参加、ですか……。具体的には我々に何をお望みなのでしょうか?」
「基本的には何も……。ただ、君たちの実力は王国でも高い評価を受けていると聞いている。君たちが参加しているというだけで相手への威圧になるだろう」
「……それでは、王国の兵たちと戦う必要はないと?」
「勿論だ。君たちもそれは望まないだろう? ただ、王国側が悪魔の至宝を戦場に持ち込み、それを使ってきた場合には君たちの力を貸してもらいたい」
『むしろそちらの方が本命だ』と言外に口にするジルクニフに、ウルベルトは考え込むように顔を伏せて口を閉ざした。それでいて内心ではジルクニフに対して感心の声を小さく零す。
どうやらジルクニフは予想以上に洞察力や人心掌握能力に優れているようだ……と皇帝に対する評価レベルを脳内で上昇修正した。
ジルクニフの言動から、“レオナール・グラン・ネーグル”が人間の生死に配慮しているだろうことを予想し、その上でこちらを気遣い、
『勉強になるな……』と内心で呟きながら、しかしウルベルトはそんな素振りは見せずにワザと時間をかけてゆっくりと顔を上げた。
「……なるほど。ですが、たとえば悪魔の至宝を使用していない状態で帝国軍が王国の兵に苦戦を強いられた場合、それでも我々は力を貸さなくても良いということでしょうか?」
「そうだな。これは我ら帝国と王国との争いだ。それに君たちを巻き込むつもりはない。……まぁ、君たちが助けに入ってくれるのであれば、それはそれで非常にありがたいし、その場合は追加報酬を支払うのも吝かではないがな」
最後は小さな苦笑を浮かべながら付け加える皇帝に、恐らくそちらも紛れもない本心からの言葉なのだろう。
とはいえ、ウルベルトはそこまで帝国に肩入れするつもりは微塵もない。
当初の予定通り、皇帝と同じような苦笑を顔に浮かべて小さく首を傾げてみせた。
「そう、ですね……。できるなら、それはしたくありませんね。……ですが、そうですね……もし目の前で帝国の方が死にそうになったなら、それを助けるくらいは致しましょう。それで如何でしょうか?」
「ああ、勿論それで構わない。その場合も追加報酬はきちんと支払おう」
鷹揚に頷いて見せる皇帝に、ウルベルトは応えるように深々と頭を垂れる。皇帝が自分たちに向ける信頼と期待が目に見えるようで、少しだけ複雑な感情が胸の奥で騒めくのを感じた。
帝国に来て皇帝の評判や噂を耳にし、ユリやニグンに調べさせ、実際に対峙して言葉を交わし、闘技場で帝国国民の態度を目の当たりにし、フールーダからも皇帝について情報を聞いて……。数多の情報や実際に自分の目や耳や肌で感じたありとあらゆるものによって、ウルベルトの中ではジルクニフに対する複雑な思考や感情が絶えず渦巻いていた。
果たしてこの目の前の皇帝は自分の嫌う欲望まみれの愚者なのか、それとも稀に見るまともな為政者なのか。
どうなっても邪魔にしかならない石ころなのか、或いは生かせば得になる宝石なのか。
死すら生温い地獄の炎がお似合いな醜い薪か、はたまた手を取り合うに値する金の卵か……。
『上流階級の富裕層の連中など皆同じだ』と毒づくウルベルト自身の声と、これまでのジルクニフに関するありとあらゆるデータが激しくぶつかり合って鬩ぎあい火花を散らす。
グラグラと揺れる自身の思考や感情に、ウルベルトは自分自身のことでありながら少なからず驚いていた。
自分の中にある固定観念は根が深く、ひどく頑固であることをウルベルトは自覚している。それでもなお今こんなにも揺れているということは、自分も日々成長しているということなのか、はたまた軟弱になったということなのか……。できるなら前者の成長であると信じたい。
ユグドラシルが終わったあの日、全てに縛られていた人間から自由な悪魔になって、心許せる大切な友人たちとこの世界に来て、少しくらいは事実や真実を素直に受け止められるだけの成長と余裕は持てるようになったはずだ。ならばもしかしたら、自分たちが本来の姿で世界に進出した後もこの皇帝とは友好的に付き合っていく未来もあるのかもしれない。
ウルベルトは下げていた頭をゆっくりと上げると、まるで全てを見つめ見極めるように強い瞳を目の前の皇帝へと向けた。
「そうであるなら、我々としても何も思うことはありません。皇帝陛下より頂いた依頼、謹んでお受けいたします」
「それは良かった。君たちがいるというだけで、騎士や兵たちも心強いことだろう。詳細はまだ決まってはいないが、恐らく四騎士の誰かが君たちと行動を共にすることとなるだろう」
「四騎士の方々も参加されるのですね……。因みに、四騎士の方々は全員が戦場に出られるのでしょうか?」
「いや、その時その時によるが、どちらにせよ全員は出ない。いつも四騎士の一人或いは二人が出て、残りは皇城で待機することになっている。今回どうするかは未だ検討中だが、恐らく人数は例年通りとなるだろう」
「なるほど……」
「また詳細が分かり次第、連絡を入れよう。その際はまたここまで来てもらうことになるが、よろしく頼む」
「畏まりました」
何事も詳細な打ち合わせは必要不可欠だ。ウルベルトとてそれは承知しているし必要なことであると理解もしているため、当然のように頷いて返す。
『できるならまだ情報が少ない“不動”のナザミ・エネックか“激風”のニンブル・アーク・デイル・アノックのどっちかが良いな~』『フールーダとかレイナースを使ったらいけるかな~』と内心で思考を巡らせながら、ウルベルトはにっこりとした笑みを皇帝に向けて浮かべるのだった。
◇◆◇◆◇◆
「――……よう、漸く来たな。さぁ、遠慮なく入れ」
全体的に目に鮮やかな赤色に統一された室内に男の野太い声が響き渡る。
予想以上の大声と目の前に広がる光景に、扉の前に立っていたラキュースは思わず大きなため息を長々と吐き出した。
ここはリ・エスティーゼ王国王都のとある宿屋。
どちらかというと裏路地に位置し、お世辞にも治安が良いとは言えない区画に存在するこの宿は、一部の権力者や商人、闇に潜む者たちが密かに会談するために利用する場所でもあった。
その証拠に受付の亭主は寡黙で不愛想で口が堅く、この部屋も壁や貼り付けられている壁紙が分厚く防音設備がしっかりしているのが見てとれる。
ある意味物騒この上ない場所に呼び出されたことにもう一度大きなため息をつくと、ラキュースは腰に手を当てて部屋の主を睨むように見つめた。
「ちょっと叔父さん、こんなところに呼び出すなんて一体どういうつもりですか!? それにこの数のお酒は何です!!」
「別にいいだろう。お前たちがさっさと来ないのが悪い。これでもお前たちに遠慮して女どもは呼ばないでおいてやったんだぞ」
「当り前ですっ!!」
未だ部屋に入らず扉を開け放っていることもあり、男とラキュースの怒鳴り声が廊下に響き渡る。
いつになく怒りを露わにする自分たちのリーダーに、廊下で待っていた“蒼の薔薇”のメンバーはお互いに顔を見合わせ、次にはラキュースに歩み寄って彼女と扉の隙間から室内の様子を覗き込んだ。そして視界に映った光景に、メンバー全員がリーダーの怒りに納得した。
室内にいたのはラキュースの実の叔父であり、自分たちと同じアダマンタイト級冒険者“朱の雫”のリーダーであるアズス・アインドラ。
しかしその姿は何故か半裸で、金色の髪も何故かボサボサ。
男は豪奢で真っ赤な長椅子に悠々と両腕と両足を広げて座っており、その周りには数えきれないほどの酒の瓶が空の状態で転がっていた。
その量はたった一人で飲んだとは思えないほどの多さ。しかし男の顔や言動には一切酔っている気配はなく、彼女たちは呆れるべきか感心するべきか思わず悩んでしまった。
無言のまま変なところで悩むメンバーたちに、しかしラキュースにとっては身内の醜態でしかないのだろう。顔を恥ずかしそうに赤らめて大きなため息を吐き出すと、次には怒りを全身から立ち上らせながらズカズカと荒い足取りで室内に足を踏み入れていった。部屋の隅へ歩み寄り、そこに乱雑にまき散らかされていた幾つもの大きな紙袋を拾い上げる。恐らく酒を入れていたのだろうそれに、再びラキュースの手によって空になった瓶が乱暴に放り込まれていく。
悠然と長椅子に座り続ける男を尻目にものすごい勢いで掃除を始めたラキュースに、“蒼の薔薇”の面々は再び顔を見合わせると、次にはゆっくりとした足取りで室内へと足を踏み入れていった。
扉も漸く再び閉められ、宿の廊下に静寂が戻る。
しかし扉を隔てた室内では紙袋のガサガサ音や瓶と瓶が当たる甲高い音、それらに混ざるようにラキュースの愚痴のような小言が絶え間なく響いていた。
「……まったく、これが客を迎える態度と状態ですか。姪である私だけならまだしも、他の皆も来るのですから、もう少しシャキッとしてもらわないと困ります。それに後からガゼフ・ストロノーフ様も来る予定なのですから猶更です!」
「ああ、そういえばあの堅物も来るんだったな! すっかり忘れてた、いつ頃になりそうなんだ? あいつも来るならやっぱり女どもを呼んでおけば良かったな!」
「必要ありませんっ!!」
アズスの高らかな笑い声とラキュースの鋭い怒声が響く。
しかし叱られている方は何のその、変わらぬニヤニヤ笑いを浮かべながら面白そうにラキュースを眺めていた。
「……おい、ラキュース、その辺りにしておけ。全てやろうとしていてはいくら時間があっても足りないぞ」
「でも、そうは言うけれどね、イビルアイ……」
「ストロノーフも大体のことは察してくれるだろう。先ほどの口振りからして、あいつはこいつと初めましてという訳ではないのだろう?」
「そうだぜ、ラキュース。俺たちがここに来たのも、もとはと言えば大切な話があるって呼び出されたからだしな」
瓶の回収の次は違うゴミを細々と拾い始めたラキュースに、見かねたイビルアイとガガーランが止めに入る。
ラキュースからすれば身内の恥を少しでも他人の目に触れさせたくないという感情からの行動なのだろう。しかしそれは十分理解はできるものの、全て気が済むまでやらせていれば時間がいくらあっても足りないというものだ。自分たちも決して暇ではないのだ、できるならさっさと本題に入ってしまいたい。
説得する二人にラキュースも最初こそ渋い表情を浮かべていたが、最後には諦めのため息と共にゆっくりと身を起こした。取り敢えず今まで集めたゴミを全て部屋の隅に集めて置き、そこで漸くアズスと向かい合うような形で設置されているもう一つの長椅子に腰かける。イビルアイとティナがその両脇に座って場を占め、ガガーランとティアがそれぞれ別の一人掛けのソファーに腰を下ろした。
誰もが真剣な表情を浮かべるラキュースたちに、そこで漸くアズスもニヤニヤ笑いから毒のない軽い笑みをその顔に浮かべる。
アズスは右手に持っている瓶を一度煽って一口酒を飲み込むと、大きな息を吐き出してから真剣な表情を浮かべた。
「お前たちがカルネ村に行ったことについて改めて聞きたい。確かある人物について情報を集めにカルネ村に行ったとか言ってたか?」
気さくな口調に反して浮かぶ表情も発せられる声音も真剣そのもので、ラキュースは思わず気圧されたようにグッと言葉を詰まらせる。それでいて何故叔父がこんなにも気にしているのか、どこまで説明すべきか、と無言のまま頭を悩ませた。
冒険者“漆黒”のメンバーと共にカルネ村に向かい、帰る途中でアズスと出くわしたあの時。ラキュースはアズスに『ある人からの依頼で、ある人物の情報収集でカルネ村にいた』としか説明していなかった。
冒険者には守秘義務が存在し、依頼主や依頼内容を第三者に話すことはできない。信頼に関する問題にも繋がるし、今後の沽券にも関わる。たとえ叔父と姪という立場で同じ冒険者であろうと、そう簡単に話せるものではない。
アズスもその辺りの事情は理解してくれており、当時は食い下がって更に聞いてこようとはしなかった。
しかし今再び改めて聞いてくるということは、もしかすればあの時は“漆黒”のメンバーもいたため場を弁えていただけだったのかもしれない。
一度大人しく引き、密かに情報を集め、改めて当事者たちを呼び寄せる。
自分たちだけでなくガゼフも呼んでいるということは、カルネ村に行った目的も既にある程度情報を得ているのかもしれない。
どこで情報を得たのかは非常に気になるところだが、それよりも今はアズスの図太さと用意周到さに思わず舌打ちしたくなった。
同時に、何故もっと早くにアズスが自分たちを呼んだ目的に思い至らなかったのかと、自分自身に腹が立ってくる。
事前に『ガゼフ・ストロノーフも呼んでいる』と聞かされた時から、これがアズスが自分たちを呼ぶ理由だと気が付くべきだったのだ。そうであれば、事前にどういった受け答えをすべきか考える余裕があったものを……。
咄嗟に誤魔化すような言葉を口に出しかけ、しかしすぐさま口を閉ざしてラキュースは諦めのため息を吐き出した。
たとえここで自分が誤魔化すために言葉を尽くしたとしても、この場にガゼフが来るのであればそれらは全て意味をなさなくなってしまう。ガゼフは実直で礼儀正しい好漢ではあるが、どうにも腹芸は苦手なタイプだ。こちらの心情を察して口裏を合わせてはくれるかもしれないが、それでもぎこちなさは出てしまうだろうし、洞察力に優れたアズスにかかれば嘘をついていることなどすぐにバレてしまうだろう。
最初から敗北しているような状況に、ラキュースはもはや白旗を上げるしかなかった。
しかしそう判断はできても、やはり悔しさは抑えられない。
ラキュースは恨みがましい眼差しで目の前の叔父を睨むと、整った口を苦々しく歪めた。
「……叔父さん、これは高くつきますよ」
「おいおい、そんなに心配するなって! 俺は何事も弁えている男だぜ」
片手に酒の瓶を持った半裸の男が何か偉そうなことを言っている……。
信頼できる要素ゼロな男に言われた言葉にラキュースはなおも大きなため息を吐き出すと、次には苦虫を噛み潰したような表情と共に今回のガゼフからの依頼について説明を始めた。
尤も、肝心の調査対象については一切名を口には出さなかった。
これは依頼人であるガゼフから許可を貰わない限り決して口に出せるものではない。これだけはラキュースとしても譲れない一線だ。
同じ冒険者であるアズスもそこは理解してくれているのだろう、非常に渋々といった表情を浮かべてではあったが、仕方がなさそうに頷いてくれた。
「……つまり一人の人物の情報を得るために、その人物と深い関わりのあるカルネ村に行ったんだな? で、ほしい情報は得られたのか?」
「いいえ、正直収穫はほぼゼロです。でも、あの村は今もその人物と深い関わりを持っています。彼らと定期的に接触することで、彼に私たちの存在を意識させることはできると思います……」
「なるほど、“彼”ってことは対象者は男か。相手に自分たちの動きを知られても良いってことは、後ろ暗い目的で探ってるわけではなさそうだな」
「それは……、どうかしら……」
「……? どういうことだ?」
不思議そうな表情を浮かべるアズスに、しかしラキュースは眉尻を下げて口を閉ざした。
勿論探っていたラキュースたちにも依頼してきたガゼフにも、レオナールを害するつもりは毛頭ない。しかしラキュースやガゼフの行動がレオナールにとって良いことであるかどうかは、正直に言うとラキュースは自信が持てなかった。
初めて会った時から、レオナールは何かに縛られることを極端に避けていた。そのためならどんなに自分の立場が不利になっても構わないとすら考えている。そんな彼からしてみれば、ラキュースやガゼフの行動はむしろ鬱陶しいものなのかもしれない。
ラキュースは胸がズキッと痛むのを感じながらも口を開きかけ、しかしそこで外側から聞こえてきた扉のノックの音に遮られた。
『……遅れて申し訳ない。入っても構わないだろうか?』
聞こえてきたのは聞き慣れた男の低い声。
相手が誰なのかすぐに分かり、すぐさまティアが動いて扉へと歩み寄った。
躊躇いなく開かれた扉から姿を現したのは、深くフードを被った大柄な人物。
しかしティアは当然のように男を室内へと招き入れ、男は室内に足を踏み入れて扉がしっかりと閉められたのを確認してから被っていたフードをとった。
「よう、漸く来やがったな!」
「……突然叔父が呼び出してしまって申し訳ありません、ストロノーフ様」
軽く片手を挙げて声をかけるアズスと、苦笑を浮かべて小さく頭を下げるラキュース。
全く違う反応を返すアインドラ両名に、ガゼフは小さな苦笑を浮かべて彼女たちの元へ歩み寄っていった。
「いや、どうやら私の依頼のせいで面倒なことになった様子。こちらこそ申し訳ない」
「いえ、ストロノーフ様は何も悪くありません。そもそも依頼主を守るのも私たちの義務ですし、むしろこちらが謝る方です」
ラキュースは空いている一人用のソファーをガゼフに勧め、改めて頭を下げて謝罪する。
それにガゼフが慌てて止めようとする中、そもそもの元凶である男だけがあっけらかんとした態度で長椅子にふんぞり返っていた。
「おい、それくらいで良いんじゃないか? ガゼフもラキューに謝られても困るだろう? さっさと話を進めてすっきりしようぜ」
「………叔父さん、本当にあなたという人は……」
叔父のあまりの言い様に、ラキュースがガクッと両肩を落とす。
ガゼフはそんな彼女に同情の視線を向けたものの、すぐさま表情を引き締めてアズスに視線を移した。
「それで、貴殿が我々を呼んだ理由を教えてもらっても構わないだろうか? 一体何が知りたい?」
「全部だよ、全部。悪魔の大群が王都を襲撃したって話からどうにもいろんなところからきな臭さが漂って来やがる。どこぞの顔も知らねぇ貴族共がどうなろうと知ったこっちゃないが、ウチのラキューがそれに関わってるなら話は別だ」
全ては可愛い姪っ子の身を案じてのことだと言外に言ってくるアズスに、ラキュースは思わず黙り込む。ガゼフも暫くの間じっとアズスを観察するように見つめると、納得したように一つ頷いてラキュースに顔を向けてきた。
無言のまま一つ頷いてくるのに、ラキュースも応えるように小さく頷いて返す。
ガゼフから無言のまま話す許可をもらい、ラキュースは一度深呼吸した後に今度こそ全てをアズスに説明することにした。
まずは悪魔の軍勢が王都を襲撃してきたところから始まり、悪魔を追い返すために行った作戦、その作戦で大きな活躍をしたモモンとレオナールの存在について話す。続いて、その強さと立場から王族たちに警戒を持たれたレオナールのことや、ガゼフの依頼内容まで。
長々と話すラキュースに、アズスも普段のふざけた態度を一切見せずに真剣な表情で聞いている。
そして一通り説明が終わった後、アズスはまるで圧倒されたかのように大きな息を吐き出しながら深く長椅子に背中を凭れ掛からせた。
「……なるほどな、それでわざわざカルネ村まで情報を集めに行ったってわけか。“漆黒”もお前らと同じ依頼を受けているのか?」
「いいえ。モモンさんとナーベさんは私たちよりも早い段階でネーグルさんのことを噂で知っていたみたいで、そもそもは二人から何か情報を得られないかと会いに行ったんです。カルネ村に一緒に来てくれたのはたまたまで、あくまでも私たちに協力してくれただけです」
「ふ~ん……。……それで? お前たち自身はその男についてどう思ってるんだ?」
アズスからの問いに、ラキュースは思わず“蒼の薔薇”のメンバーやガゼフと顔を見合わせた。この場にいるアズス以外の誰もが口を閉ざし、それぞれ頭を悩ませる。
う~む……と誰かが低く唸る中、最初に口を開いたのはガガーランだった。
「……まぁ、相当つえぇのは間違いねぇな。冒険者だったら間違いなくアダマンタイト級だっただろうぜ」
「ああ、そうだろうな。モモン様ほどではないが、あいつも相当な実力者だ。魔法の威力は……もしかしたら私以上かもしれない」
「えっ、初耳。イビルアイより強いとか、化け物?」
「彼こそ悪魔かも。暗殺依頼が来ても速攻で断るレベル」
「ちょ、ちょっと、二人とも……」
双子の忍者のあまりの言い様に、ラキュースは思わず静止の声をかける。
しかし二人がその声に従うはずもなく、他のメンバーも巻き込んで思い思いに“レオナール・グラン・ネーグル”について言葉を交わしていた。
「後はそうだな……器はでかそうだよな。何だかんだ力は貸してくれるし、悪い奴ではないと思うぜ」
「そうか? 私は曲者という印象の方が強いが……。器の面で言うなら断然モモン様だろう」
「イビルアイはそればっか。逆に鬼ボスはネーグルにホの字」
「ネーグルがイケメンなのは確か。鬼ボスもメロメロ」
「ちょっ……!!」
「なにっ!!?」
双子の言葉に次はラキュースだけでなくアズスも大きな声を上げる。勢いよくこちらに目を向けられ、ラキュースは思わず顔を真っ赤に染め上げた。アズスだけでなくガゼフにも驚愕の表情で凝視され、恥ずかしさのあまり死にたくなる。まさかこんな形で自身の恋心を暴露され、身内に知られることになるとは夢にも思っていなかった。いっそ穴があったら潜り込んでしまいたい……。
羞恥のあまり現実逃避をし始めるラキュースに、しかし繊細な乙女心を微塵も理解していない男が無遠慮に声をかけてきた。
「おいおい、マジかよラキュー!! お前が男に恋っ!? 冗談だろ!!」
大声で捲し立てられ、一層羞恥が湧き上がってくる。顔だけでなく全身が熱く感じて仕方がない。どうしてこんな状況に陥っているのかと頭が混乱して涙が滲み出てきた。
全身を真っ赤に染めて深く俯き、全身を小刻みに震わせるラキュースに、アズスは口を力なく開けたまま呆然と彼女を見つめていた。
その顔にはありありと『信じられない』と書かれている。
シーン……と静まり返る室内に、気まずい咳払いの音が不意に響いた。
「……ゴホンッ、……ま、まぁ、アインドラ殿がネーグル殿に心を寄せるのも不思議ではない。彼はそれほど魅力的な御仁だ」
「………おいおい、本気か、ガゼフ」
「私はこういったことで嘘は言わん。ネーグル殿は礼儀正しく、非常に心優しい御仁だ。私に至っては命を助けられたこともある。彼の御仁の人柄や強さは私が保証しよう」
胸を張って言い切るガゼフに、アズスは疑わしそうな視線を向ける。
暫くジロジロと見つめた後、アズスは次には疑念を宿していたものからどこか不貞腐れたようなものへと表情を変えた。
「……はぁ~、イケメンで度量があって礼儀正しく優しい、ねぇ~。それにアダマンタイト級冒険者と同等で、ガゼフを助けることができるほどの強さも持っているときた……。……まるで俺みたいだな」
「ちょっとふざけないでくれます叔父さん?」
最後の言葉にラキュースが驚きの速さで反応する。
本気の声音でジト目で睨むラキュースに、アズスは少々ショックを受けたような表情を浮かべた。
少し離れた場所ではガゼフが小さく噴き出して勢いよく顔を背けている。
顔をこちらに向けないようにしたまま両肩を小刻みに震わせている様は誰がどう見ても笑いを堪えているようで、アズスは再び不貞腐れたような表情を浮かべてガゼフを睨み付けた。
「………おい、ガゼフ……」
「…う゛ぅん゛……、ゴホンッ、……あー、まぁ、それはさておき……、そもそも貴殿が感じ取ったきな臭さというのは一体どういうものなのだろうか? それと我々とに何か関係が?」
あからさまに話題を変えたガゼフに、アズスはやれやれとばかりにひょいっと肩を竦める。
しかし次には真剣な表情をその顔に浮かべた。
「……ああ、大ありだ。少なくともきな臭さの一部分に関してはな」
「叔父さん、それはどういうことですか?」
アズスの言っている意味が分からず、ラキュースは無意識に眉間に皺を寄せる。
アズスはため息に似た息を大きく吐き出すと、酒瓶を傾けて一口酒を飲み込んだ。
「……お前たちも噂ぐらい耳にするだろう。今までもピンからキリまで多くの噂が飛び交ってはいたが……、最近は特に意味深な噂が多く広がってやがる」
小さく眉を顰めるアズスに、ラキュースは思わず“蒼の薔薇”のメンバーたちと顔を見合わせる。ラキュースたちも決して情報収集を怠ってはいないつもりだが、それでもアズスの言葉には今一ピンと来なかった。チラッとガゼフに目を向ければ、彼も思い当たることがないのか困惑した表情を浮かべている。
誰もが訝し気な表情を浮かべる中、ただ一人アズスだけが信じられないとばかりに大袈裟に両腕を上げた。
「おいおい、嘘だろ! 誰も心当たりすらないのか!? 情報収集は基本だろう! それとも、ただ単にお前らが得ている情報を重要なものと思ってないだけか?」
アズスの指摘にラキュースは肯定することも否定することもできなかった。
確かに、同じ情報を入手していたとしても、その情報を重要だと判断するのは人それぞれだ。アズスが重要だと思ったとしても、ラキュースたちも同じく重要だと判断するとは限らない。しかし一方で、そんなに判断に差が出るものだろうか……と少し疑問もあった。
どちらにしろ、アズスの言う情報がどういったものであるのか知らなければ判断しようがない。
ラキュースは小さく眉尻を下げながらも真っ直ぐにアズスを見つめた。
「叔父さん、まずはその噂とやらの内容を教えてもらえませんか?」
「教えろって言われても、そうだな……。娼館の“蜂蜜の宵”に入った新人がえらい美人だとか、見たことのない新しいポーションが最近出回ってるとか、冒険者に憧れてギルドの門をたたく新人が急増しているとか、最近虫がよく出て多くの飲食店に苦情が来てるとか………」
「あ、あの、叔父さん? それが叔父さんの言う“きな臭い噂”なんですか……?」
「何だよ、焦るなって、きな臭い噂はこれからだ。……たとえば、王国の王子の一人がまた変なところに出入りしているらしいとか、今度の王国と帝国の争いで帝国側に強力な助っ人が参加するらしいとか、最近王国の至る所で深夜黒い影のような人影が現れてはいつの間にか消えているとか、怪しい人物が王国に残された悪魔の至宝とやらを探っているらしいとか……。ああ、そうそう、お前がカルネ村でそのネーグルとかいう男に助けられたっていう話も噂で流れていたぞ。ざっと思い返しただけでもこれだけある」
「……確かに噂の数は普段よりも多い気がするな。しかし“所詮は噂”という言葉もある。それが全て信憑性の高い情報であるとは限らないぞ」
アズスがあげていった噂の数々にイビルアイが思案するような素振りを見せるものの、まるで警告するような言葉をかける。
しかしアズスは無言のままひょいっと肩を竦めるだけ。
ラキュースはイビルアイの意見に一部賛同するものの、今はそれよりもアズスが口にした一つの噂の方が気になった。
「……叔父さん、先ほど仰られていた“帝国との争いで帝国側に助っ人が参加する”という噂なのですが、その助っ人は誰のことなんですか?」
「お前らもよくよく知っている奴だと思うぞ。……さっき話してたレオナール・グラン・ネーグルって男が率いてるワーカーチームの“サバト・レガロ”だよ」
「「「っ!!?」」」
返ってきた答えに、ラキュースだけでなくこの場にいるアズス以外の全員が驚愕の表情と共に息を呑んだ。
それは誰もが望んでいない答えだった。
『何故?』『どうして?』という言葉が頭の中でグルグルと渦を巻き、ラキュースは目の前が真っ暗になる。
他の“蒼の薔薇”のメンバーも考え込むように顔を顰めさせ、ガゼフも苦悩するような苦々しい表情を浮かべている。
王族たちの懸念が現実のものとなったのだ、ガゼフが頭を抱えるのも当然のことだろう。
「………“サバト・レガロ”が帝国軍に加わるというのは……、本当に事実なのだろうか……」
「さあな、それは俺にも分からない。だが、噂になっている時点で既に信憑性はそれなりに高いと思うがな」
「……………………」
分かってはいても、実際に言葉に出されると衝撃が強い。何よりラキュースは未だに信じることができずにいた。
悪魔襲撃の時のレオナールを思い出す。
燃え盛る炎の壁の光に照らされながら現れた姿。
“漆黒”のナーベと楽しそうに話していた笑顔。
自分たちを庇いながら“御方”なる悪魔と対峙して勇ましく戦っていた心強い背中。
別れの時、『また会いましょう』と言いながら浮かべてくれた柔らかな微笑。
全てが鮮明に蘇り、そしてその全てがアズスの言う噂話を否定してくる。
あの笑顔は嘘偽りのない本物だった。自分たちのために悪魔に立ち向かう姿は紛れもなく真実だった。
王国のために命を懸けて力を貸してくれた彼が、何故今王国にその力を向けようとするのか……。
(……会いたい。……会って確かめたい。本当に、その噂が事実なのか……。ネーグルさんが何を考えているのか……。)
激しい焦燥にかられ、強くそう願う。
しかしいくら強くそう望んだとしても、ラキュースたちは王国のアダマンタイト級冒険者である。身軽な身分では決してなく、アダマンタイト級冒険者としての多忙さや責任、何より王国と帝国という縮めようのない距離の壁がラキュースの前に立ちはだかっていた。
しかし噂が本当であった場合、ただ手をこまねいている場合ではないことも確かである。
一瞬、ラキュースの脳裏に王都で別れた時のレオナールの顔が蘇る。
レエブン侯と別れの挨拶を交わしていた時、レオナールの金色の瞳に一瞬浮かんだように見えた冷たい光。
あの時は唯の見間違いだと思ったけれど、今になってその瞳を思い出して胸が騒めくのを感じた。
「………確かめましょう」
まるで無理矢理絞り出したような声が唇から零れ出る。
ラキュースの突然の言葉に誰もがこちらを振り返る中、ラキュースは決意を胸に両手を強く握りしめた。
「その噂が真実なのか、確かめる必要があります。噂の元を探って、信憑性を確かめて、そして……、そして仮にその噂が真実であった場合、ネーグルさんを止めなければなりません」
「いや、止めるっつったって……。どうするつもりなんだ? 相手は帝国のワーカーだぞ」
困惑の表情を浮かべるガガーランや他のメンバーに、しかしラキュースの決意は変わらない。ラキュースは緑色の双眸に強い光を宿したまま、焦燥に震える心を隠して堂々と胸を張った。
「相手が王国のワーカーだろうが帝国のワーカーだろうが、そんなことは関係ないわ。何が何でも真実を確かめてネーグルさんを止めるのよ! ……場合によっては帝国に行く必要も出てくるかもしれない。どうか力を貸してちょうだい、みんな」
力強く言い切るラキュースに“蒼の薔薇”のメンバー全員が顔を見合わせる。暫く視線のみで意見を交わし、続いて再びこちらに目を向けてくる。
彼女たちの顔や瞳に宿るのは、ラキュースと同じ決意に満ちたもの。
“蒼の薔薇”のメンバーは自分たちのリーダーを真っ直ぐに見つめると、同じタイミングで一つ力強く頷いた。
若干、アズスとガゼフの口調が迷子に……(汗)
もし違和感などありましたら申し訳ありません……(土下座)
そして! これまで宣伝させて頂いていた小説についてのアンケートについて、締め切り期限がもうすぐになっております!
締め切りは4月1日23時59分まで……。
『そういえばアンケートにまだ答えてあげてなかったな~』『仕方ない、答えてあげよう』という方は、是非ご協力を宜しくお願い致します(深々)
【アンケートURL】
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