世界という名の三つの宝石箱   作:ひよこ饅頭

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第71話 侵攻の一羽

 白を基調とした厳かな室内。壁には幾つもの大きな長方形の窓が列を成し、はめ込まれたステンドグラスが差し込む光に色を加えて鮮やかな彩りを室内に与えていた。

 神聖さすら漂う色鮮やかな空間にいるのは十二人もの人間の男女。

 彼ら彼女らは一つの巨大な円卓を囲むように椅子に腰かけており、真剣な表情を浮かべて手元の羊皮紙の束を睨んだり互いの顔を見やったりしていた。

 

「――……森妖精(エルフ)たちとの戦争の状況について、各々報告書には目を通したと思う……」

 

 重苦しい静寂の中、唐突に一人の男が声を発する。

 この場に集っている者の中でも最も格式高い服を身に纏ったその男は、スレイン法国の最高位者である最高神官長。

 男の声は天井の高い室内で大きく響き渡り、その力強さにこの場にいる全ての者たちは知らず真っ直ぐな背筋を更に真っ直ぐに伸ばして男を見つめていた。

 

「エルフたちの勢いが突然増し、制圧したはずの地も次々と奪い返されている。……このままでは奴らは今の勢いのまま我らの地へも侵攻してくるだろう。……レイモン、風花や水明からエルフたちの突然の奮起に関して原因などの報告はきているかね?」

 

 最高神官長の視線と声かけに、この場にいる全員が四十代半ばくらいの細身の男に目を向ける。

 全員の視線を一身に浴びることになった男は、しかし顔色一つ変えずに厳めしい顔を更に小さく顰めさせた。

 

「……いえ、最終的な原因は今のところ何も。直接的な原因としては魔獣の大量投入や異形の存在が確認されております。しかし、何故突然このようなことができるようになったのか、その原因は未だ不明です。……どうやらその辺りは上手く隠しているようです」

「……くっ、何と小賢しいことか……」

「ふむ……、それで上手く隠せていること自体が不気味でもあるが……」

 

 彼らの認識や今までの経験から、エルフたちが自分たちの目を出し抜くのは不可能であると考えていた。いくら隠したいと望み、隠そうと実行したとしても、決して自分たちから隠すことはできない。迷いなく断言できるほど自分たちの“目”は優秀であり、エルフたちとは確固とした力の差があると自負していた。

 しかし、そんな中での見通せず覆い隠されているという現状。

 恐らくそのことに関しても、急にエルフたちが勢いづいた原因が関係しているのだろう。

 一体エルフたちに何が起こったのか、言いようのない不気味さがこの場にいる全員の胸に湧き上がっていた。

 

「………陽光聖典が行方をくらませ、漆黒聖典も姿を消している。両聖典の安否も生死も不明……。……二つの聖典の消息不明とこの度のエルフたちの原因不明な奮起は関係しているのだろうか……」

「それは関係ないのでは? 陽光聖典と漆黒聖典が行方知れずとなった時期はある程度近いため関係しているとも考えられるが、あれからそれなりに時間が経っている。今回の件とは無関係である可能性の方が高いだろう」

「もしそうなら、二つの原因不明の問題に対処していかなければならないのか……。破滅の竜王(カタストロフ・ドラゴンロード)の問題も未だあるというのに……」

 

 『頭が痛い』とばかりに額に手を当てて眉間に大きな皺を寄せるのは水の神官長であるジネディーヌ・デラン・グェルフィ。

 大きなため息を吐く彼に、隣の椅子に腰かけていた火の神官長であるベレニス・ナグア・サンティニが哀れみと労りが混ざったような視線を向け、次には土の神官長へと目を戻した。

 

「そういえば、この報告書の中に“エルフたちの軍勢の中にドラゴンの存在が確認できた”とありましたが、これは本当なのですか?」

「ええ、間違いありません。確認できたのは“火炎の竜(フレイム・ドラゴン)”だけでしたが、他にもいる可能性は否定できかねます」

「……まったく……、本当に頭の痛いことだな……」

 

 レイモンからの淀みない返答に、この場にいる誰もが更に顔を顰めさせる。

 どんよりとした重苦しい空気が立ち込める中、突然激しいノックの音と共に扉が勢いよく外側から開かれた。

 

「会議中に失礼しますっ!!」

 

 息せき切って室内に飛び込んできたのは法国の兵士。

 伝令兵用の武装を身に纏った若い男は、大量の汗が顔を濡らしているのも構わずに大きく口を開いた。

 

「報告します!! エルフの軍勢が法国領内に侵攻!! 既に辺境都市マイリエは陥落し、現在も各周辺都市に向けて進軍中とのことっ!!」

「なっ、なんだと……っ!!?」

 

 伝令兵の口から齎された報告内容に、この場にいる全ての者が衝撃を受ける。

 あまりにも急な事態に、彼らは慌ただしく今後の対策について行動を開始するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 エイヴァーシャー大森林を出て北方――法国の南方の辺境都市マイリエを陥落させたエルフ軍は、そこを本拠点として軍を三つに別けて法国の侵略に乗り出していた。

 マイリエを陥落して既に二週間近くの時が経つが、それでもなおエルフ軍の勢いは未だ衰えず、士気もかつてないほどに高い。

 それは度重なる勝利からくるものだけでなく、苦汁を嘗めさせられた法国に対して報復ができるという現状が彼らの心をかつてないほどに高揚させているためだった。加えて三つに別れた軍にはナザリックからの同行者もそれぞれ付けられており、彼らの支援がエルフたちの勢いに更なる拍車をかけていた。

 マイリエから北に進軍する第一軍に凍河の支配者コキュートス。北東に進軍する第二軍に名調教師アウラ・ベラ・フィオーラ。そして北西に進軍する第三軍に千変万化のパンドラズ・アクターと白の悪魔ニグン・グリッド・ルーイン。

 彼ら彼女らは己のシモベたちをも従えて、先を争うように各エルフ軍と共に法国の攻略を目指していた。

 

 

 

「――……ここまでは概ね順調か……。尤も、問題なのはここからなんだけど……。まぁ、アウラたちもついてるし、最終段階までは大丈夫かなぁ」

 

 室内に呑気な声音が響いて消える。

 ここはマイリエの都市長が暮らしていた大きな屋敷。

 数ある部屋の中でも一際大きな会議室にて、ペロロンチーノは豪奢な椅子に腰かけて呑気に紅茶を啜っていた。すぐ傍らにはシャルティアが立ち、いつでも給仕ができるように美しいティーポットを両手で大切そうに抱え持っている。室内には彼ら以外にもエルフの国王代理であるクローディア・トワ=オリエネンスや彼女の側近となる三人のエルフたちがいるのだが、彼女たちは部屋の隅に立ち、神妙な……或いは恐れが混ざった表情を浮かべて無言のまま二体の異形を見つめていた。

 緊張感のある切羽詰まった空気と、どこまでも和やかな緩い空気がそれぞれ室内に漂っている。

 そんな中、不意にシャルティアが空中を見つめるような素振りを見せた後、次には再び傍らのペロロンチーノに身体ごと向き直った。

 

「ペロロンチーノ様、今しがたコキュートスから〈伝言(メッセージ)〉が届きんした。どうやらセイロットという都市を無事に陥落できたようでありんす」

「おっ、了解! コキュートスは随分と張り切ってるみたいだな~。今のところコキュートスが二歩リードで、アウラとパンドラたちが同列か」

 

 シャルティアの言葉に応じ、ペロロンチーノが自身の目の前に鎮座しているテーブルへと手を伸ばす。テーブルの上にはこの屋敷にあった法国の地図と四色のチェスの駒が複数個置かれており、その内の青色のナイトの駒を摘まみ上げると“セイロット”と書かれている箇所の上に置いた。続いて青色のポーンを取り出し、先ほどまでナイトが置かれていた場所に代わりに置く。

 ペロロンチーノはふむ……と目の前の地図を暫く見つめると、次には傍らのシャルティアに顔を向けた。

 

「シャルティア、コキュートスから被害報告や支援要請はあった?」

「いいえ、どちらもありんせんでありんした」

「ふ~ん、なら今のところ順調ってことかな。アウラやパンドラたちも上手くやっていると良いんだけど……」

 

 シャルティアの返答に一つ頷き、ペロロンチーノはテーブルの上の地図に改めて目を向ける。

 地図上に置かれているチェスの駒はそれぞれこちら側の軍のことを示し、先ほど動かした青色のナイトはコキュートスが同行している第一軍のことを示していた。他にも緑色のクイーンはアウラが同行している第二軍を示し、赤色のルークはパンドラズ・アクターとニグンが同行している第三軍を示している。それぞれの色のポーンも複数個地図上に置かれており、これは第一・第二・第三それぞれの軍がどこを攻略したかを示していた。

 現在、青色のポーンの数は四つ、そして緑色と赤色のポーンは二つ、地図上に置かれていた。

 

「恐らくアウラもパンドラズ・アクターも、効率的かつ素早く多くの都市を攻略できるよう考えているのではありんしょうかえ。至高の御方々のお役に立てることも勿論でありんすが、それに加えて今回は一番多く都市を陥落できたモノには褒賞が用意されていんす。となれば、皆のやる気も一層上がるというものでありんすえ」

 

 楽しそうな笑みを浮かべるシャルティアに、ペロロンチーノは思わず仮面の奥で少し困った表情を浮かべる。それでいて地図の方に目を戻すと、内心で大きなため息を吐き出した。

 マイリエを陥落させた二週間ほど前、更なる侵攻を行うべく軍を三つに別けたエルフ軍を前に、ペロロンチーノはある軽い思いつきから、それを軽いノリで各軍に付き従うナザリックのシモベたちに話していた。

 曰く、『より多くの都市を陥落させ、その数が一番多かったモノには褒美を与えようと思う』と……。

 ペロロンチーノからすれば『少しはやる気になってくれると良いな~』という程度の発言だった。

 しかしその軽い思いつきと言葉は、ナザリックのシモベたちに絶大な効果を発揮したのだった。

 

「ほんに、羨ましいことでありんす。勿論、愛しの御方のお傍に侍ることこそが一番の褒美であることは理解していんすが、わたくしもペロロンチーノ様のお役に立ちたいでありんす」

「シャルティアがそう思ってくれるのは嬉しいよ。コキュートスたちが頑張ってくれて神都まで辿り着いたら、その時はシャルティアにも頑張ってもらうつもりだ。それまでは俺とこうして一緒にいてくれると嬉しいな」

「はぁぁんっ、ペロロンチーノ様ぁっ! ずぅぅっっっとお傍にいるでありんすぅぅ!!」

 

 ペロロンチーノの言葉に、シャルティアは感極まったように頬を紅潮させて歓喜の声を上げる。思わず手に力がこもったのか、抱え持っているティーポットからビシッという嫌な音が響き、シャルティアは慌てたように手の力を抜いていた。

 ペロロンチーノはそんなおっちょこちょいな様子に『可愛いなぁ~』と和やかに見つめ、部屋の端に佇むエルフたちは全員が顔を蒼くさせていた。

 

「……さてと。法国のお偉いさんもそろそろ報告を受けてこっちの動きに気が付く頃かな。状況把握とかどの都市にどのくらいの軍を送るか……、軍の編成もある程度時間がかかるだろうから、もう数日は余裕があると思うけど……。その間に少しでも多くの都市を落とさないとね」

「……ペロロンチーノ様、一つ質問しても宜しいでありんすか?」

「うん? どうした?」

「確かにエルフたちは、できるだけ伝令兵を出させないように動いておりんした。ですが実行するのがエルフたちである以上、どうしても討ち漏らしはある筈。それに、そもそも状況を伝える方法は伝令兵を出す以外にも他にも幾らでもありんす。それを考えれば、相手側がこちらの動きに気が付くのが随分と遅いように思いんすが……」

 

 エルフ軍は法国領内に侵攻を始めた当初から、伝令兵をなるべく逃さないように注意を払っていた。しかしシャルティアが言う通り、この世界には魔法もあるため、情報伝達する方法は伝令兵を出す以外にも幾らでもあるだろう。にも拘らず、法国の国家機関は未だ何も知らないようで一切動きを見せないでいる。彼女からしてみれば、何故こんなにも時間がかかるのか不思議でならないのだろう。

 

「まぁ、〈伝言(メッセージ)〉への信憑性がこの世界では低いみたいだからね。一つの報告をするにしても原始的な方法を取らざるを得ないから、それを妨害してしまえばそれ相応の時間がかかっちゃうんだよ。まぁ、こちらとしては願ったり叶ったりだから別に良いんだけどね」

 

 この世界では昔ガテンバーグという人間種の国家があったそうだが、〈伝言(メッセージ)〉に頼り過ぎた結果、三つの虚偽の情報によって滅んでしまったらしい。

 そのためこの世界では〈伝言(メッセージ)〉を信用し過ぎる者は愚か者であるという認識が常識化しているらしく、それは法国も同じであるようだった。

 情報伝達は正確さも勿論だが、それと同じくらい早さも重要である。

 〈伝言(メッセージ)〉に代わる素早い情報伝達方法があるならばいざ知らず、何もない状態で現状を放置しているこの世界の有り様はペロロンチーノたちからすれば信じられないような事態だった。

 自分たちの最終目的がこの世界の完全征服である以上、いつかはこの問題について対策を講じていく必要が出てくるだろう。ナザリックだけであれば問題にならない事でも、この世界の住人たちを支配下に置いていけば、いずれは問題が発生してくるのは目に見えていた。

 

「……法国を完全に落としたら、その辺りを早急に改善していかなくちゃならないなぁ……」

 

 はてさてどうしたものか……と内心頭を抱えながら、しかし今は目の前のことに集中しようとテーブルの上の地図に再び視線を向けた。

 

「さてと、とにかく今はここからが正念場だ。こっちもそろそろ本腰を入れるとしますか!」

 

 一つパンッと両手を打ち、自分自身に活を入れる。

 ペロロンチーノは法国の地図を睨むように見つめながら、法国が今後どう動き、こちらはどう動くべきかと思考を巡らせ始めた。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

「――……赤刃(せきじん)第五・第六は後退! 閃牙(せんが)第三、矢を放って敵を牽制しろ!!」

導手(どうしゅ)第四、魔獣を放てっ!!」

 

 法国南西部にある都市の一つハイリント。

 清々しいほどの青空が広がる中、空の穏やかさとは打って変わり地上ではハイリントの市壁周辺で多くの怒声や悲鳴が鳴り響く激しい戦闘が繰り広げられていた。

 武器を手に争っているのはハイリントを守る法国軍と、侵攻を続けるエルフの第三軍。連戦に連戦を重ねているエルフ軍は、しかしその誰もが顔に覇気を宿し、疲れなどは一切浮かべず奮起していた。未だ士気も勢いも高く、我先にと法国軍に襲いかかり、自身の刃を振るっている。

 しかしどんなに勢いがあろうと、元々の法国軍との戦力差や力量差を覆すことはどうしても難しい。

 徐々にではあるが劣勢に追い込まれ始めるエルフ軍に、先ほどまで敵軍をかく乱させるために一撃離脱戦法を繰り返していたメリサ・ルノ=プールは、自軍の隊長に名を呼ばれてそちらに駆け寄った。

 

「プール、あの異形たちの元へ支援をしてくれるよう願い出に行ってくれるか?」

「……えっ! ま、また私が…ですか……!!?」

 

 隊長の言葉に、思わず大きな声が出る。その顔には誰が見ても分かるほどの緊張と恐怖と、少しの非難の色が浮かんでいた。

 メリサはこれまでにも何度か隊長命令でこの軍について来ている異形たちの元へ赴き、支援要請を願い出ていた。最初はたまたま自分が近くにいたからだろう……と思っていた。しかしそれが二度三度と続くと、どうにもそうではないという考えが浮かんでくる。ワザと自分だけに命じているのではないかと思えてならず、何故自分なのかと隊長に対する不満が胸の内に湧き上がった。

 これまで異形たちの元へ支援要請をしに行って、邪険に扱われたこともなければ怖い思いをしたこともない。しかし正直に言ってまだまだ彼らに対しての恐怖心はあるし、何よりひどく緊張してしまうのだ。何故自分ばかり……と不満が湧き上がるのも仕方がないことだろう。

 しかし黒風(こくふう)第二部隊の隊長は、そんなメリサの心情など一切構う様子もなく、戦場を鋭く睨みながら容赦なく言葉を畳みかけてきた。

 

「もう何度も行っているから顔見知りのようなものだろう。それにお前はあの異形たちの存在が公表されるより以前からあの悪魔について気にしているようだったしな……。ほら、さっさと行ってこい」

「………分かりました……」

 

 こともなげに言い放ってくる隊長に、思わずムッとしてしまう。『ある意味顔見知りにしたのはどこの誰だ』と言ってやりたい。

 しかしそんなことを実際に言えるはずもなく、メリサは力なく項垂れながらも一つ頷いた。

 素早く踵を返し、軍の最後尾にいるであろう異形たちの元へ行くべく強く地面を蹴る。仲間の戦闘の邪魔にならないように木の上に登って枝から枝へと飛んで移動しながら、メリサはこれから対峙することになる異形たちへと思考を巡らせた。

 この軍に同行してくれているのは黄色の見慣れぬ服を身に纏ったのっぺり顔の異形と、以前メリサを助けてくれた白の悪魔。

 確かに先ほどの隊長の言葉通り、メリサは法国の兵士から助けられた時から白の悪魔のことを気にしていた。一体彼は何者なのかと気にかけ、彼がどういった存在であるのか分かった今でも彼への関心は続いている。いや、彼へ向ける感情の強さは前よりも今の方が更に強くなっているかもしれない。それを思えば隊長からの命令はむしろ悪魔と言葉を交わせる良い口実になっているとも言えた。

 しかし怖がりで緊張しやすいメリサとしては、やはり有り難くない……と思わざるを得なかった。

 今も強い緊張のせいで顔を青白くさせ、鳩尾辺りから喉元へと吐き気のような気持ち悪さが込み上げてくる。

 メリサはそれらを何とか抑え込みながら、目の前の枝を次々と飛び移っていった。

 やがて戦場の最後尾に辿り着き、勢いよく木の枝の上から飛び降りる。軽い身のこなしで地面に着地すると、ポツンと一つだけ建てられている天幕へと恐る恐る歩み寄っていった。垂れ下がっている布の前で立ち止まり、暫くの間口を開いたり閉じたりを繰り返す。

 ドクドクと忙しなく鳴る鼓動に咄嗟に胸を押さえながら、メリサは意を決して天幕の中へと声を張り上げた。

 

「こっ、黒風第二部隊の、メ、メリサ…ルノ=プール、ですっ! しょっ、少々お時間、よ、よぉろしいでぇ、…しょうか……っ!!」

 

 緊張のあまり声は震え、ところどころ裏返って情けないものになってしまう。

 湧き上がってくる羞恥に思わず顔が真っ赤になり涙目になる中、唐突に目の前の天幕の中から入室許可の声が聞こえてきた。

 それは黄色の服を身に纏った異形のもので、途端に羞恥よりも緊張が上回って全身が強張る。しかしグズグズして彼らの機嫌を損なわせるわけにはいかず、メリサは『失礼します!』と震える声を上げながら目の前の布へと手をかけた。自身の頭の辺りまで捲り上げ、現れた隙間に身体を滑り込ませる。

 視界に広がる既に何度も見た天幕内の様相に、メリサは毎度のことながら内心で感嘆の声を小さく零していた。

 メリサが足を踏み入れた天幕内は王族が使う物と同じくらいの広さがあり、また内装はそれ以上に豪華なものだった。揃えられた家具や調度品はどれもが一目で一級品だと分かるもので、地面には木の板を組み立てて作った床に加えて肌触りが良いだろう絨毯までもが敷かれている。天幕内中央には大きなテーブルが置かれており、その横に置かれた椅子に黄色の服を身に纏った異形が座り、その斜め後ろに白の悪魔が控えるように立っていた。

 

「おや。これはこれは、先日もいらした方ですね。如何しましたか?」

 

 声をかけてきたのは椅子に腰かけた黄色の服を身に纏った異形の方。

 丁寧でありながら少々抑揚の強い声が穏やかに問いかけてくるのに、思わず今が戦闘の真っ最中であることを忘れてしまいそうになってメリサは咄嗟に一度ギュッと瞼を閉じた。心の中で『しっかりしろ!』と強く自身に言い聞かせ、再び目を開けて目の前の異形たちを見やる。

 瞬間、二体の異形とバッチリと目が合って更に全身が強張るのを感じながら、メリサは勇気を振り絞って口を開いた。

 

「げ、現在、我がエルフの第三軍は法国軍と戦闘を開始しておりますっ! しかし、予想以上の抵抗にあい、徐々にではありますが劣勢に陥ってきております! つ、つきましては、被害が拡大する前に、皆様のお力添えを、お願いできないでしょうか……!!」

 

 意を決してここに来た理由を一息で言い放つ。

 二体の異形が一度無言のまま顔を見合わせ、次には再びこちらに顔を向けて黄色の服の異形の方が小さく首を傾げてきた。

 

「支援要請ですか……。具体的にはどのような支援をお望みですか?」

「ど、どのようなものでも構いません……! あなた様方のご支援があれば、それが何であれ戦況を動かすことができるでしょう!」

「ふむ……」

 

 メリサの言葉に、黄色の服の異形は少し思案するような素振りを見せる。

 数分後、辛抱強く待っていたメリサに再び顔を向けると、黄色の服の異形は一つ頷いた後に次には背後の白の悪魔を振り返った。

 

「ルーイン殿、彼女に同行を。状況をその目で確認し、あなたが適切だと思う支援を行ってあげてください。もし自分の手には負えないと判断した場合は改めて私に報告を」

「畏まりました、パンドラズ・アクター様」

 

 黄色の服の異形の指示に、白の悪魔は大人しく片手を胸に当てて頭を下げる。

 続いてこちらに顔を向けてくる悪魔に、メリサは慌てて大きく頭を下げた。

 

「あ、ありがとうございます……!!」

「いいえっ! それが至高の御方っ! Kostbarer Got(尊き神)がそちらの王女と交わした契約ですのでっ!! それでは頼みましたよ、ルーイン殿」

「はっ」

 

 黄色の服の異形は何故か『至高の御方』という文言とその前後だけハイテンションで言い放つと、すぐにいつもの穏やかなトーンに戻って白の悪魔に再度指示を出す。

 白の悪魔は黄色の服の異形に再び頭を下げると、次には踵を返して天幕の外へとさっさと出て行ってしまった。

 メリサはそれに大いに慌てながら、改めて黄色の服の異形に頭を下げた後に急いで白の悪魔を追いかける。失礼にならない程度に素早く天幕の布を捲り上げると、その下を潜って外へと飛び出した。素早く視線を周囲に走らせ、思ったよりも近くにあった悪魔の背中に、メリサは足早にそちらへと駆け寄った。

 

「お、遅くなりまして、も、申し訳ありませんっ!」

「……構わん。あの方は領域守護者の御一人。私などよりも余程失礼があってはならないお方だ」

 

 こちらに顔を向けないまま言われた言葉の内容に、メリサは思わず肩を大きく跳ねさせる。

 “領域守護者”というのが何を意味しているのかメリサには分からなかったが、それでも地位が高い存在であり、決して失礼があってはならない存在であることは何となく感じ取ることができた。

 『これからは今以上に失礼がないように気を付けよう……』と心に決めると、メリサは気を取り直して悪魔が見つめている先に目を向けた。

 そこには法国軍とエルフ軍がおり、今もなお激しい戦闘を繰り広げている。メリサたちが現在立っている場所は少し坂になっており、法国軍とエルフ軍が戦っている戦場の様子が良く見てとれた。

 ここから見る限り、やはりエルフ軍の方が少々劣勢に追い込まれているようだ。

 一体どうすれば……と焦りを募らせる中、暫く無言のまま戦況を観察していた悪魔がフゥッと小さく息を吐き出した。

 

「……前回の戦いの時に比べ、動きが少々鈍くなっているか。これは能力の向上よりも直接的な支援の方が良いかもしれないな」

 

 ポツリと独り言のように呟かれた言葉に、メリサは思わず悪魔の顔を見上げる。

 しかし悪魔はメリサの方には一切目もくれず暫く戦場を睨むように見つめた後、次には徐に詠唱を始めた。

 悪魔の足元とすぐ目の前の地面に青白い魔法陣が現れ、光り輝きながらゆっくりと展開していく。

 メリサが慌てて後退って邪魔にならないように距離を取る中、魔法が発動して魔法陣から複数の影が姿を現した。

 

「……っ……!!」

 

 魔法陣より召喚されたのは四体の天使だった。

 長細いひし形の深紅のフルフェイスガードに、ヒラヒラとした純白のローブ。しかし袖は肘部分までしかなく、細長く生白い腕がむき出しの状態で伸びていた。指の長い手には巨大な弓が握り締められており、淡い純白の光を発している。背には大きな二枚の翼が生えており、ゆっくりと羽ばたく度に白銀の粒子がまるで鱗粉のように周りに散っては空気中を舞っていた。

 メリサにはこの天使がどういった存在であるのか全く分からなかったが、それでも法国軍がよく召喚する天使たちよりもよほど強そうに感じた。

 

「“神罰の能天使(エクスシア・ゴッドパニッシュメント)”たち、二メートルほどの間隔を空けて横一列に並べ」

 

 メリサが呆然と天使たちを見つめる中、隣の悪魔がハキハキとした声音で天使たちに命令を発していく。

 その声はどこまでも力強く淀みなく、どこか命令することに慣れているような印象を受けた。

 思わず悪魔に再び目を向ける中、天使たちは悪魔の命令通り、二メートルほどの間隔を空けて横一列に並ぶ。

 悪魔はメリサの視線に気が付いているのかいないのか、こちらには一切目もくれずに天使たちに次々と命令を発していった。

 

「標的は奥にいる法国軍。私の合図に従い、同時に〈閃光の翼(フラッシュ・ウィング)〉を放て」

 

 悪魔の言葉に、天使たちはこちらに背を向けて戦場に向き直る。片手に持っている巨大な弓を両手で持つと、無造作に大きく構えて弦を引き絞った。

 瞬間、どこからともなく光の矢が現れ、その矢尻が戦場の法国軍に向けられる。

 同時に天使たちの翼が大きく羽ばたき、周辺に大量の白銀の粒子が放たれて空中を舞い踊った。

 キラキラと眩くなった視界に、メリサは思わず目を細める。

 しかし次に目にした光景に、メリサは眩しさも忘れて驚愕に目を大きく見開いた。

 

「………あれは……、……羽根……?」

 

 メリサの視線の先にあったのは、彼女の言葉通り確かに羽根だった。しかし唯の羽根では勿論なく、宙を舞っていた白銀の光の粒子が寄り集まって形作られたそれは三十センチほどの長さがあり、羽柄の先が矢尻のような形になっていた。

 それが天使一体につき十本。

 弓矢を構えている天使の上空に浮かび、その羽柄の先を法国軍に向けていた。

 

「今だ! 〈閃光の翼(フラッシュ・ウィング)〉を放て!」

 

 法国軍の全軍が一気にエルフ軍に押し寄せて喰らいついたその時、悪魔が鋭く天使たちに命を下す。

 瞬間、勢いよく放たれた四本の光の矢。

 続いて上空に浮かんでいた羽根型の矢も次々と放たれ、合計四十四本もの刃が法国軍へと飛んでいった。

 数百数千もいる法国軍に対し、四十四本という本数は数で考えれば非常に心許ないと言えるのかもしれない。

 しかしメリサは何故か少しも心許ないとも不安に感じることもなかった。

 そしてその感覚は決して間違いではなかった。

 いち早く自分たちの方へ飛んでくる何かに気が付いた何人かの法国兵が動きを止めてそれを凝視する。

 ある者は隣の仲間に声をかけ、ある者は剣や盾を構え、ある者は無意識に小さく後退る。

 しかしそれらは何一つ意味をなさなかった。

 光の矢と羽根の矢が法国軍に突っ込んだ瞬間、凄まじい衝撃と共に大きな破壊音と多くの悲鳴が響き渡った。朦々とした巨大な土煙が発生し、視界が遮られたことによってエルフ軍も一時動きを止める。

 一体何が起こったのかと誰もが思わず固唾を呑む。

 ゆっくりと土煙が流れて薄くなっていくにつれて視界が晴れていき、現れた光景にエルフ軍の者たちは勿論のこと、悪魔の隣に立つメリサも驚愕に目を大きく見開いた。

 エルフ軍の真正面……今まで法国軍がいた場所に、四十四もの巨大な“道”が出来ていた。

 いや、それは“道”という言葉に例えるのは間違っているかもしれない。

 そこにあったのは巨大な惨劇の跡。まるで四十四本もの巨大な爪で引き裂かれたかのように、多くの法国の兵が折り重なるように地面に倒れ、それによって被害がなく未だ地面に立つ兵を分断して“道”のようなものを形成していた。

 地面に倒れている兵は誰もが血を流し、ある者は無残な肉片に成り果て、ある者は身体のどこかしらを欠損させながら小さな呻き声を上げている。

 天使たちが放った矢と羽根は容赦なく彼らを攻撃し、その肉を貫き、吹き飛ばし、多くの命を刈り取っていた。

 

「第二射、用意」

 

 あまりの惨状に誰もが呆然となる中、不意にメリサの横からどこまでも冷静な声が発せられる。

 メリサがハッと我に返るのと目の前の天使たちが再び弓を構えたのはほぼ同時。再び大きく羽ばたいた翼によって羽根の矢が出現し、それらは再び法国軍に向けられていた。

 法国軍は自分たちの身に何が起こったのか訳が分からず、ある者は悲鳴を上げ、ある者は仲間に駆け寄り、ある者は恐怖にかられて逃げ始めている。

 もはやすっかり戦意を喪失させている様子の彼らに、しかし隣の悪魔は更なる攻撃を畳みかけようとしていた。

 

「ま、待って下さい! も、もう充分です!!」

 

 あまりの惨状に耐え切れず、メリサは思わず隣の悪魔に縋りつく。緊張していたことなど忘れて悪魔の腕に手をかけると、悪魔の顔を見上げながら必死に声を上げた。

 

「彼らは逃げています! もう戦う気力もないでしょう! もう充分です!!」

 

 何とか止めさせようと縋りつき、必死に悪魔の顔を見上げる。

 しかし漸くこちらに向けられた悪魔の深紅の瞳は、どこまでも冷たい光を宿していた。

 

「甘いな。今は混乱もあり逃げているが、事態が落ち着けば奴らはすぐに体制を立て直して再びこちらに向かってくるだろう。そうなれば、こちらの被害も大きくなるかもしれない。できる時にできるだけ相手に損害を与え弱らせておくのが肝要だ」

 

 悪魔の口から発せられる言葉はどこまでも冷静で冷淡なもの。しかしその言葉は確かに正しく、メリサはグッと言葉を詰まらせた。

 確かに自分たちがやっていることは戦争であり、戦争とは互いの戦力の潰し合いだ。自分たちの被害をできるだけ抑え、そして勝つためには、如何に相手を消耗させ損害を与えるかが重要になってくる。今のこの状況でも、相手が隙を見せているのであればそれに乗じて少しでも損害を与えるのが正解なのかもしれない。

 しかしそれは分かっていても、やはりメリサはこれ以上攻撃すべきではないと思った。

 それは何も法国の者たちへの同情心からだけではない。

 メリサは一度自身を落ち着かせるために深呼吸すると、次には再び強い瞳で悪魔を真っ直ぐに見上げた。

 

「……確かに、あなた様の仰る通りです。でも、これ以上攻撃する必要はありません。……いえ、攻撃しない方が良いと思います」

「……………………」

「先ほどの攻撃で我が軍にも少なくない動揺が広がっているようです。このまま攻撃を続ければ士気にも関わってきます。……それに何より、我が軍の中で皆様に対する不信感が生まれるかもしれません」

 

 過ぎた攻撃は味方にも影響を与え、強すぎる力は疑念を生む。異形たちに対するマイナスなイメージや感情を持つことは、今後も彼らと関係を続けていくことになるだろうエルフたちにとっては非常に良くないものだとしか思えなかった。何より、メリサは自分の仲間たちが彼らに対して不審な目を向けるところを見たくなかった。

 

「勿論、お力添えいただけることは皆が心から感謝しています。しかし大きすぎる力は不安をも生んでしまう。……今回の支援はこれで十分です。どうか、攻撃を止めては頂けないでしょうか」

 

 悪魔の腕に縋りついていた手を放し、一歩下がって深く頭を下げる。

 腰を90度近くまで曲げて頭を下げ続けるメリサに、ふと悪魔から小さな独り言のような声が聞こえてきた。

 

「………そうか。ここはナザリックでも、法国でも……聖典でもなかったな……」

「……え……?」

 

 悪魔の発した言葉の意味が分からず、思わず下げていた頭を上げて再び悪魔を見上げる。

 視線の先に立つ悪魔は変わらず冷静沈着な表情のままこちらを見つめており、しかしすぐに視線を外して未だ弓を構えている天使の方に顔を向けた。

 

「……この戦いはあくまでもお前たちエルフの戦い。であれば、確かにお前たちの士気が低下するような行動はするべきではないだろう。……天使たち、攻撃は解除。念のため、上空を飛行して撤退中の法国軍を見張れ」

 

 悪魔の命令に、天使たちは大人しくすぐさま構えていた弓を下ろす。

 頭上に浮かんでいた羽根の矢も光の粒子となって霧散し、それにメリサは少しの間呆然とした後、すぐに我に返って再び悪魔に頭を下げた。

 

「……あ、ありがとうございます!!」

 

 自分の言葉が悪魔に届いたことが嬉しい。

 悪魔が自分の言葉に耳を傾けてくれたことが嬉しい。

 どうしようもない大きな喜びが胸に湧き上がり、メリサは頭を下げていることで隠れている顔に抑えきれない笑みを浮かべた。

 しかしいつまでもこうしている訳にはいかない。

 メリサは何とか笑みの形に崩れている表情を引き締めると、ゆっくりと下げていた頭を上げて改めて悪魔を見つめた。悪魔も再びこちらを見つめていたようで、深紅の瞳と真正面から視線がかち合う。

 思わずドキッと心臓が高鳴る中、しかし悪魔はどこまでもいつも通りだった。

 

「天使たちには上空で法国軍を見張らせる。とはいえ、油断はしないことだ。撤退中の法国軍を追い立てて都市を確保しろ。完全に都市を確保したら改めて報告しろ」

「分かりました。この度はありがとうございました」

 

 どこまでも静かな口調で事務的な言葉を発する悪魔に、メリサも冷静な声音を心掛けながら一つ頷く。再び感謝の言葉と共に頭を下げると、メリサはすぐに頭を上げて仲間たちの元へと踵を返した。

 エルフ軍も漸く気を取り直したのか、未だ混乱しながらも撤退を始めている法国軍を追うために動き始めている。この様子であれば早くて二時間後……遅くとも四時間後には完全に都市を制圧し、状況を落ち着かせることができるだろう。異形たちへの最終的な都市制圧の報告は自分のような下っ端ではなく隊長たちが行うだろうが、もし可能であれば自分も同行させてもらえないか願い出てみよう……とメリサは密かに心の中で決意した。

 戦場に戻るために地面を駆ける中、不意に頭上で複数の影が通り過ぎたことに気が付いて咄嗟に足を止めて上空を見上げる。視線の先では四体の天使が我先にと空を駆けており、メリサは思わず小さく頬を緩めた。

 最初にあの天使を見た時は法国軍の天使が頭を過って複雑な感情が湧き上がった。

 あの凄まじい攻撃を見た時は、正直大きな恐怖を感じた。

 しかし今は何故か頼もしいような嬉しいような……何とも言葉にするのが難しい感情が湧き上がっている。

 メリサは思わずフフッと小さく笑うと、気を取り直して再び強く地を蹴って走り始めた。見えてきた仲間たちの中に加わり、都市を完全に落とすために侵攻する。

 折角彼らの力を借りてここまできたのだ、ここで自分たちが下手を打つわけにはいかない。

 メリサはいつになく張り切りながら、逃げていく法国軍に向けて仲間たちと共に気炎を上げた。

 

 

 

 

 

 勢いを取り戻したエルフ軍が法国軍を追いやり、最終的には南西部都市ハイリントをその支配下に置く。

 都市で一番高い塔……法国の民たちが信じる六大神の一柱・光神を信仰する教会の上にはエルフ軍の旗が掲げられ、それはまるで法国を侵略するエルフの構造を表しているかのようだった。

 エルフの誰もがそれを誇らしげに見る中、都市制圧の報告により黄色の服の異形と共に都市内へと足を踏み入れた悪魔は、ただ静かな瞳で法国の光神の教会とたなびくエルフの旗を見上げていた。

 

 




今回はニグンさん大活躍! & メリサ・ルノ=プールちゃん再登場!
二人の距離は少しは縮まったかな……?

*今回の捏造ポイント
・神罰の能天使;
〈第五位階天使召喚〉で召喚できる天使の一つ。弓や魔法といった後衛での攻撃などが得意。
・〈閃光の翼〉;
後衛系の天使が使える特殊技術。羽根型の矢を作り、己の主武器の攻撃と共に発射して攻撃する。
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