機動戦士ガンダム 英雄黙示録   作:京勇樹

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NとYの一日 その2

写真店から出た二人は、更に歩いた

その二人の行き先は、特に決まっていない

すると、唯依が

 

「次は、L4か……」

 

と空を見上げた

それを聞いた直哉は

 

「そうだな……今まで、行ったことない宙域だな……」

 

と同意した

二人共に、行ったことがあるのは中立都市国家

ガリアがある月まで

L4は、更に奥に進むことになる

L4宙域は、資源小惑星や資源採掘に向いた隕石群があるために、重工業が盛んな宙域である

ユーラシア連合はそこにダルクス人を強制移民させて、劣悪な環境で働かせていた

その理由は、ダルクス人が有していた金属加工技術だ

ダルクス人は昔から特殊な金属加工技術を有しており、特殊砲弾や艦の装甲等に使われてきた

なお、その権益の殆どは基地関係者や上級士官達に独占されていた

そして、働いていた者達に払われるのは微々たる金銭だけ

しかし彼等(ダルクス人)は、機会を待ち続けた

MS製造技術

軍事技術を、少しずつ盗んでいった

そうして組織されたのが、カラミティ・レーヴェンだった

ユーラシア連合への災厄となるべく、その名が付けられた

だが、今やその本拠地たるコロニー・ダルクスの手前までユーラシア連合の切っ先は迫っていた

 

「この戦争……早く終わらせないとな……」

 

「ああ……そうだな……」

 

二人はそう言って、また歩き出した

そして、到着したのは初音島本島の名物公園

さくら公園だった

さくら公園はその名前の通り、桜が多く生えている

目玉と言っても言いだろう

正しく、初音島を象徴する公園だ

そこに到着すると、何やら騒がしい

すると直哉が

 

「ああ……桜祭りか」

 

と言った

それを聞いた唯依は

 

「桜祭り?」

 

と直哉に顔を向けた

すると直哉は

 

「初音島が独立した日を記念して行われるようになった祭りだ……そうか、今日だったか……」

 

と言って、ある方向に向かった

その先

噴水のある広場にて、出店が多く並んでいた

しかも、太鼓櫓も組まれている

 

「懐かしいな……何年振りだ……?」

 

直哉はそう言って、近くのベンチに腰かけた

その隣に、唯依も座った

その前を、数人の子供達が元気に走っていく

それを見た直哉は

 

「……昔、一夏達と来たな……」

 

と呟いた

どうやら、自分達と重ねたようだ

 

「直哉……」

 

「いかんな……懐かしんでる場合じゃないのなにな……」

 

唯依の言葉を聞いて、直哉はそう言いながら首を振った

そして、本格的に祭りが始まったようで、太鼓が叩かれ始めた

それを見た唯依が、立ち上がり

 

「直哉」

 

と直哉の方に、手を差し出した

それを見た直哉は、唯依を見上げた

すると唯依は

 

「一緒に、店を回ろう」

 

と言った

それを聞いて、直哉は

 

「そうだな」

 

と同意し、唯依の手を掴んで立ち上がった

そうして二人して、様々な出店を回った

その後、少し離れた静かな場所に来た

すると唯依が

 

「なあ、直哉……この戦争が終わったら……私と一緒に、日本に来てくれないか?」

 

と問い掛けたのだった


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