地球を離れて、数日後
L4宙域
そこには、二つの軍隊が展開していた
片方は、独立のために立ち上がった虐げられてきた民族の軍隊
ダルクス軍
もう片方は、圧倒的武力を有する大国
最早、悪逆の国と名高き軍
ユーラシア連合軍
その両軍が、今展開出来るほぼ全軍を展開
正面から睨み合っていた
そして、両軍の総指揮官は同時に
『戦闘、開始!』
と号令を下した
示し合わせた訳ではない
偶然であり、必然だった
だが双方共に、降伏と和平交渉という二つの選択肢は無い
ダルクス軍側は、自由を手にするために
ユーラシア連合軍側は、貴重な
そして、両軍は激突した
『俺に続け! あの蛮族共を攻撃する!』
『了解!!』
ダルクス軍の先頭に立っているのは、黒い装甲に特徴的なダルクスの模様と赤いラインが入った新型機
ドム・トルーパー
そのパイロットは、ダルクス軍総指揮官たるダハウを支える三人の一人
ジグ少佐だった
ジグ少佐はまだ若いながらも、パイロットとしての腕
そして、前線指揮が卓越していた
そのため、最新鋭機たるドム・トルーパーが与えられた
そのドム・トルーパーは、多少癖が強いが攻防優れた機体だ
まず、近距離用にビームサーベルが一本
更に、バズーカとビームライフルの機能が合わさった複合砲
防御用にビームシールド
そして何より、攻防一体の特殊装備
スクリーミニング・ニンバス
このスクリーミニング・ニンバスは、攻防一体の特殊装備だ
特殊なエネルギーフィールドを前面に展開することにより、相手からの攻撃は防御
しかし、相手に触れると相手を攻撃、撃破出来るのだ
しかしそのフィールドを形成するのに、エネルギーを多量に使うために乱発は出来ないのが難点だろう
しかし、その性能は破格である
今も、すれ違い様に一機をビームサーベルで両断
更に、素早く構えた複合砲で一機撃破した
そのジグ率いる一個中隊は、グフ・イグナイテッドとザク・ウォーリアーの混成部隊だ
そしてジグを含めた三人の部隊は、他の部隊とは異なり機体が黒系に塗装されている
その全員が、ダルクス軍の中でも精鋭部隊だ
それは、動きによって証明されている
一機のグフ・イグナイテッドは、ビームマシンガンを撃ちながら接近し、すれ違い様にビームソードで両断
そのグフ・イグナイテッドを狙ったウィンダムを、一機のザク・ウォーリアーが巨砲
オルトロスで砲撃、撃破した
その連携は、かなりの物だった
事実、その一個中隊だけで三隻の艦が沈んだ
それを確認したジグは、更に進もうとした
その時
『ジグ、作戦は覚えているな?』
と問い掛けられた
気付けば、ジグ率いる中隊の後方に、別のドム・トルーパー率いる一個中隊が居た
そのドム・トルーパーのIFFを見て、ジグは
『グスルグさん……』
とそのドム・トルーパーのパイロットの男の名前を呼んだ
グスルグ
彼もまた、ダハウを支える三人の内一人だ
そんな彼だが、元々はJEU軍422部隊の古参パイロットの一人だった
422部隊では、古参兵の一人として7
クルト・アーヴィングが来るまで、部隊を取りまとめていた
クルトが来てからは部隊の指揮権を移譲し、クルトにアドバイスしたりする立場に落ち着いた
しかしユーラシア連合が、EU領に侵攻を開始
撤退してくる友軍の支援を度々していた
そんな中、EUの技研から無反動砲用の弾が送られてきた
グスルグはその弾が、どうしても怪しかった
だからグスルグは、整備兵が居ないタイミングで弾頭を開けてみた
そして見たのは、化学兵器
ガス弾だった
もちろん、それは国際法で使用が禁止されている代物だ
それを、まだ民間人の避難が終えてない区画の近くで使えという指示
その民間人は、避難が後回しにされていたダルクス人達だった
つまり、ダルクス人ならば見殺しにしていいと判断している上級将官が居るということに他ならない
それを知ったグスルグは、その弾を二度と使えないように破壊し、422部隊の下から姿を眩ました
そして、ダルクス軍に合流
功績を挙げ続け、ダハウを支える立場になっていた
『分かっています……しかし、あんな物を使わないといけないのは……』
『ユーラシア連合の連中は、遠慮なく核を使う……核を、コロニーに撃ち込まれる訳にはいかん……ならば、使う方がいい……俺は、ダハウを信じる』
グスルグはそう言って、一隻のアガメムノン級の艦橋にバズーカを撃ち込んだ
そこに
『なるべく、突出しないで頂戴ねぇ』
と女の声が聞こえた
『リディアか』
『リディアさん』
グスルグとジグは、女性
リディア機を見た
本名、リディア・アグーテ
彼女はダルクス人ではないが、ユーラシア連合内では奴隷同然の扱いを受ける民族出の女性だった
一応は軍属になっていたが、心からユーラシア連合を憎んでいた
だからダハウ達を支援し、武装蜂起した際には指令部の指揮所に仕掛けた爆弾で指揮官を爆殺
カラミティ・レーヴェンの所属となる
階級は中佐で、ダハウの補佐やMS部隊の指揮を執っている
『アレがお披露目になるまで、後少し……突出して、巻き込まれないようにねぇ』
『分かっている』
『はい!』
リディアの言葉に頷き、二人は部隊と共に動き出した
それを見送ると、リディアは
『さてと、私も仕事をしましょうか』
と言って、付近の部隊の指揮を始めたのだった