機動戦士ガンダム 英雄黙示録   作:京勇樹

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災厄の閃光

「ふん、ダルクス人め……この戦力差に、諦めればいいものを……」

 

と吐き捨てるように言ったのは、ドミニオン艦橋で戦況を見ていたマクシミリアンだった

すると、グレゴールが

 

「戦力差を理解しきれていないのでしょう。下浅な輩ですからな」

 

と言った

その時

 

「オレンジベータ・インディゴ85チャーリーに、所属不明部隊確認!」

 

とオペレーターから報告が上がった

それを聞いたグレゴールは

 

「どこの所属か分からんのか!」

 

と問い掛けた

それを聞いたオペレーターは、コンソールを叩きながら

 

「お待ちください……今……初音島、JEU、自由ユーラシア軍です!」

 

と報告した

それを聞いたマクシミリアンは

 

「ふ……やはり来たか……予定通り、セルベリア達を向かわせろ」

 

と指示を下した

それを聞いたオペレーターは、先に出撃していたセルベリア隊にマクシミリアンの指示を伝えた

そしてマクシミリアンは、グレゴールに

 

「グローリィ隊はどうなっている」

 

と問い掛けた

するとグレゴールは、手元のモニターを見て

 

「現在、約八割出撃。残りも発艦中です」

 

と伝えた

それを聞いたマクシミリアンは

 

「急がせろ。あの岩を破壊すれば、奴等には何も出来ない」

 

と言った

それを聞いたグレゴールが指示を出すのを見ながら、マクシミリアンは自身の勝利を疑っていなかった

 

(研究所を失ったのは痛いが、再建すれば済む話……我らユーラシア連合の勝利は磐石だ)

 

と思っていた

その時、艦橋内に警告音が鳴り響いた

 

「何事か!?」

 

グレゴールが素早く問い掛けると、オペレーターが

 

「アガルー、バッカス、ザルコーの三隻が、初音島のガンダム三機の奇襲を受けています!」

 

「なんだと!?」

 

オペレーターの報告にマクシミリアンは思わず、腰を上げた

その三隻は、グローリィ隊

核投射部隊の母艦艦隊だった

少し時は遡り、その三隻が停泊している宙域

そこ目掛けて、三機のガンダム

フリーダム、ジャスティス、テスタメントの三隻が高速で突撃していた

しかし、最高速度ではテスタメントが頭一つ抜けている

そのテスタメントと同速を出すために、フリーダムとジャスティスにはある兵器が装備されていた

それは、三隻と共に秘匿されて開発されていた増加兵器

名を、ミーティア

隕石の名を与えられた増加兵器を装着することにより、二機の最高速度はテスタメントに互するところまで迫っていた

しかも上がったのは、速度だけではない

全体的攻撃力も、大幅に上がっている

十数門にも及ぶ対艦ミサイル発射菅

そして、対艦ビームソードを兼ねた大口径ビーム砲

それらにより、一機で艦隊や大軍と互角に渡り合えるのだ

フリーダムとジャスティスはそれを装着し、核投射部隊の母艦艦隊を強襲した

 

『少尉の読み通りだったな!』

 

「奴等ならば、一番安全な所に大事な艦隊を配置する……つまり、核配備艦と旗艦!」

 

『しかも、主力部隊を囮にして三隻のみで奇襲……見事な策だ』

 

「ありがとうございます!」

 

義之、みちる、直哉の眼下では三機のアガメムノン改級から続々とマルチストライカー装備機が出撃していく

その位置を予測し、三機による強襲を発案したのは直哉だった

三機の性能と、直前に発表されたミーティア

それを鑑みて、可能だと判断したのである

 

「大佐、トリガータイミング同調しました!」

 

『了解した! 伊隅!』

 

『こちらも大丈夫です!』

 

三人がそう言った直後、護衛部隊や艦隊から迎撃が始まった

しかし、既に遅い

 

『発射!!』

 

義之の言葉の直後、三機から次々と砲撃が放たれた

テスタメントは今回の攻撃のために、両肩に使い捨て式のミサイルポッドを増設してある

三機から放たれたミサイルとビームは、三隻に次々と直撃

三隻は、耐えきれなくなり巨大な炎の華を咲かせた

 

『後何機居たのか分からんが、これで後続と補給線は絶った!』

 

「後は、各個撃破すれば!!」

 

義之に続いて、直哉はそう言ってライフルのEパックを交換した

その直後だった

 

『大佐! イエローベータの方角を!!』

 

とみちるが言ってきた

その方角を見て、義之は言葉を失った

何故ならば、ヤキン・ドゥーエの間近に、巨大な建造物があったからだ

 

『なんだ、あれは!? なぜ気づかなかった!?』

 

流石に予想外だった義之は、そう言いながらも予定を変更

離脱軌道に入った

その巨大建造物の直径は、十数kmにも達するだろう

今まで気づかなかったのが、不思議でならない

 

『もしや……ミラージュ・コロイド?』

 

『ユーラシア連合が知っていたんだ。元支配コロニーだったL4にデータが有っても、おかしくはないか……!』

 

みちると義之がそう言っている間にも、その巨大建造物は動いていた

三角垂状の物体が台座状の物体の前で、停止

そして、PS装甲を起動させた

 

『まずいか!? 全軍、退避!!』

 

それを見た義之は、味方周波数でそう叫んだ

それを受けて、主力部隊も緊急離脱を開始

その数秒後、破壊の閃光が放たれたのだった……


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