機動戦士ガンダム 英雄黙示録   作:京勇樹

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間に合った……
今年はこれにて終了です
皆さん、よいお年を!!


JEU艦隊保護戦闘 邂逅

初音島から数十キロ離れた海上では、蒼いシグー・タイフーンが右手にキャットゥス無反動砲を持って戦っていた

 

「このっ!!」

 

蒼いシグー・タイフーンのパイロット、ウェルキン・ギュンター少佐は気合いと共に機体を上下逆向きにして、後方に無反動砲を放った

 

放たれた砲弾は直線上に居た機体、ウィンダムに向けて疾走する

 

その砲弾を回避しようとしたのか、ウィンダムは機体を右に滑らせたが、その砲弾が花弁のように開き、中から無数の小さい弾を吐き出した

 

流石にその弾幕は予想外だったらしく、ウィンダムは避けきれずに、無数の弾に貫かれて爆散した

 

ウェルキンは撃破確認もせずに、機体を立て直すと同時に持っていた無反動砲を投棄

 

空いた右手に折りたたみ式ハルバードを保持させると、左手を肩越しに後ろへと向けて盾に取り付けられているガトリング砲を斉射

 

連続して発射された砲弾は、ダガーLを蜂の巣にした

 

が、ガトリング砲はそれで弾切れになり、ウェルキンは舌打ち混じりにガトリング砲をパージした

 

そして、レーダーを確認すると同時に

 

『ウェルキン! 無事!?』

 

一機のディン・ラファールが接近してきた

 

「ああ、大丈夫だよ。アリシア」

 

ウェルキンはディン・ラファールのパイロットであり、恋人のアリシア・メルキオットに返答した

 

そして改めて、レーダーを確認した

 

すると、自分の周囲に味方の機体が集まりつつあったことに気付いた

 

『しっかし、ユーラシアの連中はしつこいな』

 

そう言ったのは、両手にキャットゥスを持ったジン・トーナードADVに乗った男

 

ラルゴ・ポッテル少尉だった

 

彼はウェルキンが率いる部隊の中では最古参で、タイタン戦争以前から対戦車兵として戦っていた

 

するともう一機、両手に重突撃機銃を構えたジン・トーナードADVが来た

 

『初音島までもうすぐだってのに……』

 

苦虫を噛み潰したように言ったのは、ロージーこと、ブリジット・シュターク少尉である

 

そして、彼女達が集まった瞬間だった

 

四機のコクピット内に、警告音が鳴り響いた

 

「全機、散開(ブレイク)!」

 

ウェルキンの言葉に従って、全機はバラバラに離れた

 

その直後、先ほどまで彼らが居た場所を極太の閃光が貫いた

 

「戦艦か!?」

 

ウェルキンの視線の先には、まさに第二射を放とうとしているユーラシアの戦艦があった

 

「間に合え!!」

 

ウェルキンが必死の思いで避けようとした瞬間、その戦艦の艦橋(ブリッジ)をビームが貫いた

 

「なに!?」

 

ウェルキンがビームが来た方向を見ると、そこにはバスターの姿があった

 

『初音島のガンダム!?』

 

『間に合ってくれたか!』

 

アリシアとラルゴが驚いていると、若い男の声で

 

『こちらは、初音島統合防衛軍特務部隊だ! すまない、遅くなった!』

 

という言葉を聞き、ウェルキンは部隊指揮官として

 

「こちらは、JEUドイツ軍第7MS大隊のウェルキン・ギュンター少佐です! 助かりました!」

 

と返すと、サブモニターに《サウンド・オンリー》と表示されて

 

『ここは我々が引き受けます。あなた方は帰艦して、アレの指示に従ってください!』

 

そう言いながらストライクが指差した先には、ただただ、海が広がっているだけだった

 

そのことに、ウェルキンは首を傾げて

 

「あの、アレとは一体……」

 

と問い掛けた直後

 

『ウェルキン! 海中に巨大な反応! 推定、戦艦クラス!』

 

アリシアからの悲鳴のような報告を聞いて、ウェルキンは海面をよく見た

 

すると、ストライクの指差した方向の海面に巨大な影が写り、数秒後、海中から白亜の巨艦が海水を滝のように落としながら現れた

 

そして、その艦をウェルキンは知っていた

 

「不沈艦……アークエンジェル!」

 

不沈艦アークエンジェル

 

それはストライクと同じように伝説的な扱いの戦艦で、激戦と知られている初音島攻防戦で最後まで戦い抜いた戦艦である

 

そして、その艦橋(ブリッジ)に居るのは

 

「ゴッドフリート、バリアント、両舷起動! イーゲルシュテルン、全門自動照準で起動! 艦尾ミサイルランチャーは全門コリントス装填完了! 艦長!」

 

副艦長として雪村杏少佐

 

そして、艦長席には

 

「総員、対MS及び対艦戦闘用意!」

 

凛とした雰囲気の朝倉音姫が座っていた

 

「艦長、通信繋ぎます!」

 

CICに座っている白河ななかがそう言うと、音姫は頷いてから受話器を取り

 

「こちらは、初音島統合防衛軍特務部隊旗艦、アークエンジェル!」

 

ウェルキンに対して、通信を始めた

 

「貴官達は母艦へと帰艦して、こちらの指示に従ってください!」

 

『……了解しました。頼みます!』

 

通信が終わると音姫は、受話器を戻して

 

「白河さん、彼らの誘導をお願い! 板橋君はそのまま操舵を! 総員、気を引き締めて!」

 

「「「「「了解!」」」」」

 

音姫からの激励に、全員は斉唱で返した

 

こうして、彼女達も戦場へと向かう

 

場所は変わり、激戦地域

 

そこでは、帝国軍部隊とEU軍が共闘していた

 

『殿下! 富士にお戻りください! 殿下になにかあったら!』

 

そう言ったのは、赤い龍閃に乗った中年の男性

 

紅蓮是唯(ぐれんこれただ)中蒋だった

 

そんな彼の機体の近くには、紫色の龍閃が居て

 

『ならん! 我々が引いたら、撤退している民を誰が守るというのだ!』

 

と声を張り上げた

 

殿下と呼ばれた男

 

斑鳩古城(いがるがこじょう)は、一機のウィンダムを刀型ビームサーベルで斬り捨てると

 

『彼らは我々を信じて、ここまで付いて来てくれた! その彼らを守らずして、なにが征夷大将軍か!?』

 

『しかし!』

 

斑鳩の言葉に紅蓮は反論しようとするが

 

『くどい! なれば、貴君ら近衛が我を守ってみせい!』

 

その一言を聞いて、紅蓮は歯噛みすると

 

『承知! クレスト2より、近衛各機に通達! なんとしても殿下と民を守れ!』

 

と命令を下した

 

「了解!」

 

その命令を聞いた女性

 

篁唯衣(たかむらゆい)中尉は、愛機である山吹色の龍閃のビームライフルでダガーLを撃破した

 

その直後、唯衣の近くに白い烈空タイプが近づいてきて

 

『アルゴス1よりホワイトファング1! これ以上は保たねぇぞ!』

 

と喚きたてた

 

彼の名前は、ユウヤ・ブリッジス少尉である

 

彼は日系アメリカ人であり、本来ならばNAU軍の所属であるが、現在は彼が乗っている烈空弐型タイプ1のテストパイロットである

 

これは日本帝国軍が新型機を開発するにあたり、NAUからの支援であった

 

当初、彼は日本を毛嫌いしていて、非協力的であったが、唯衣と接していくうちに日本を認めて、烈空弐型の機体特性を発揮していけるようになってきた

 

その矢先に、ユーラシア連合が日本に対して宣戦布告

 

ユウヤとそのチームは日本に残り、共に戦ったのである

 

そして今、初音島まで来ていた

 

「ホワイトファング1よりアルゴス1! 何としても保たせろ!」

 

そうとしか言えない唯衣は、歯噛みした

 

その時

 

『グゥッ!?』

 

うめき声がして、赤い龍閃が右腕を肘から喪失しながら後退してきた

 

そして、その赤い龍閃を落とそうとウィンダムがビームライフルで狙うが

 

『させない!』

 

という声の直後、一発の砲弾が胴体を貫いて爆散した

 

『清十郎! 大丈夫!?』

 

そう言いながら、一機のジン・トーナードADVが両手で支援突撃砲を持って現れた

 

『イルフリーデ殿、すまない……助かった』

 

彼の名前は真壁清十郎(まかべせいじゅうろう)少佐

 

そして、彼を助けたのはイルフリーデ・フォイルナー大尉である

 

すると、イルフリーデ機の近くにディン・ラファールともう一機のジン・トーナードADVが来て

 

『イルフリーデ、いきなり離れるな』

 

『カバーがし辛いですわ』

 

と、イルフリーデに対して苦言を呈した

 

ジン・トーナードADVに乗っているのは、ヘルガローゼ・ファルケンマイヤー大尉で、ディン・ラファールに乗っているのが、ルナテレジア・ヴィッツレーベン大尉である

 

イルフリーデ、ヘルガローゼ、ルナテレジアの三人はEUドイツ軍の精鋭部隊である、ツェルベルス大隊に所属している

 

清十郎は以前にそのツェルベルスに研修に赴いていて、その時は彼女達が世話役になったらしい

 

ただ、当時のことを聞こうとすると、遠い目になるが

 

閑話休題

 

その時、警告音と同時に

 

『中尉、後ろだ!』

 

ユウヤの声と同時に唯衣が振り向くと、そこにはウィンダムがビームライフルを構えていた

 

(私の回避も攻撃も間に合わない! 味方の援護も無理……私はここで死ぬのか? あいつに再会せずに……っ!)

 

この時、唯衣の脳裏によぎったのは、11年前に初音島に来た際に会った一人の少年だった

 

11年前、唯衣は父親の仕事に付いて来て初音島に来た

 

ただ、自分のミスによりはぐれてしまい、泣いていた時に手を差し伸べてくれた少年が居た

 

その少年は父親が見つけてくれるまで、一緒に遊んでくれた

 

そして、別れ際に名乗りあった

 

その少年の名前は……

 

(もう一度会いたい……神崎直哉!)

 

唯衣がその名前を思った直後、ウィンダムのビームライフルを光弾が貫き爆発した

 

「……え?」

 

唯衣が呆然としていると、そのウィンダムの胴体を一機のアストレイタイプが切り裂いた

 

『初音島のアストレイか!?』

 

『データベースに適合無し……新型!?』

 

清十郎とイルフリーデが驚いていると、そのアストレイタイプは唯衣の機体をじっと見ていた

 

なんとなくだが、そのアストレイタイプのパイロットを唯衣は知っている気がした

 

すると、アストレイタイプのカメラアイが不規則に光り出し、唯衣はその光方が光通信と気付いた

 

「……こちらは初音島統合防衛軍特務部隊の者だ……こちらの指示に従ってもらいたい……」

 

唯衣がそう呟いた直後、アストレイタイプがゆっくりとある方向を指差した

 

唯衣がその方向を見ると、その先には白亜の巨艦

 

アークエンジェルが存在していた

 

「アークエンジェル……!」

 

『初音島の部隊……間に合ってくれたか!』

 

唯衣に続いて、ユウヤが言うと

 

『こちらは初音島統合防衛軍特務部隊旗艦、アークエンジェルです! こちらの指示に従ってください!』

 

若い女性の声が、コクピット内に響いた

 

『こちらは日本帝国軍征夷大将軍の斑鳩古城だ! 救援に感謝する!』

 

斑鳩が返答すると、唯衣機の前に居たアストレイタイプは機体の向きを変えて、高速でユーラシア連合軍部隊に突撃していった

 

「あっ……」

 

それを見た唯衣は反射的に手を伸ばすが、すぐに引っ込めた

 

『中尉、俺達は富士の護衛に行くぞ』

 

「ああ、そうだな……」

 

ユウヤの言葉を聞いた唯衣は、後ろ髪引かれる思いで富士級MS空母一番艦《富士》の護衛へと向かった

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