機動戦士ガンダム 英雄黙示録   作:京勇樹

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教導任務依頼と新たな出会い その2

「……人工生命体?」

 

魔王からの説明を聞いて、稟は眉をひそませた

 

「そう。ある計画のために作り出した人工生命体。それがこのプリムラさ」

 

魔王はそう言いながら、稟の隣に座ってネコのぬいぐるみを抱いている少女

 

プリムラを指し示した

 

稟は視界の端で、プリムラを見た

 

プリムラは無表情でぬいぐるみを抱きしめている

 

「……なぜ、人工生命体を……プリムラを誕生させたんですか?」

 

「おっと……いくら稟ちゃんの頼みとは言え、詳しくは教えられないね。ただ言えるのは、その計画には途轍もなく強大な魔力を必要としたのさ」

 

魔王は稟からの問いかけにそう返すと、一拍置いて

 

「私と神ちゃんはね、その計画のためにプリムラを含めて三体の実験体を用意した」

 

「三体……ですか」

 

稟が呟くように言うと、魔王は頷いて

 

「そう……最初の一号は魔力を強化したのさ……だが、強化した魔力に着いていけず、一号体は暴走を起こして消えた」

 

と悲しそうに言った

 

それを聞いた稟は黙祷のつもりなのだろう、数秒間目を閉じてから

 

「それで、二号体は?」

 

と問い掛けた

 

「二号体のコンセプトは、元々強い魔力を持っている者の複製……つまりは、クローンさ」

 

それを聞いた稟は、目を見開いて驚いた

 

「しかし、クローンは国際法で……」

 

「確かに、禁止されているね……しかし、我々には手段は選べなかったのさ」

 

稟の言いかけた言葉を引き継いで、魔王はそう言った

 

その時、ネリネが

 

「二号体……リコちゃんの複製元は……私です」

 

と言った

 

「ネリネが?」

 

稟はネリネの言葉に驚くが、すぐに納得した

 

軍の資料で、ネリネは現代において当代随一の魔力を有しているというのを見たからだ

 

リコちゃんというのは、恐らくは愛称だろうと稟は予想してから

 

「……その子も、失敗だったんですね?」

 

と問い掛けた

 

稟からの問いかけに、魔王は頷いて

 

「その通りだよ……クローンだったからか、それとも強化したからか……寿命が短かったんだ」

 

と答えた

 

そして、魔王はプリムラに視線を向けて

 

「そして、三号体は創造というコンセプトで造られた」

 

と語り始めた

 

「創造と口にするのは簡単だが、これは難航した……失敗に次ぐ失敗を繰り返し、天文学的な確立とほんの少しの偶然により産まれたのが、プリムラさ」

 

魔王の言葉を聞いて、稟は隣に座っているプリムラを見つめた

 

プリムラは楓が出したプリンを食べており、その姿はまるで猫を彷彿させた

 

その時、魔王が

 

「おっと、カップが空だね……稟ちゃん。紅茶のお代わりはいるかい?」

 

と、稟に問い掛けた

 

問い掛けられた稟は

 

「あ、どうも……って、なんで魔王のおじさんが給仕をしてるんですか!?」

 

魔王の言動に驚いて、声を張り上げた

 

「ふっ……安心したまえ、稟ちゃん。私の特技は家事でね……こういうことは大得意……いや! 大好きなのだよ!!」

 

と魔王は笑いながら、一瞬にしてエプロンを装着していた

 

しかも、何気に似合っている

 

そのことに稟と桜が絶句していると、楓が苦笑いを浮かべながら

 

「稟くん、早く慣れたほうがいいですよ? そうしないと、気疲れを起こしますから……」

 

と、実感がたっぷりと籠もった声で言った

 

(これまで俺が培ってきた魔王像が、一気に崩壊したなぁ……いや、そもそも、人間が間違った魔王像を持っていたんじゃないか? ……確かに、楓の言うとおりに慣れたほうが良さそうだ……そうしないと、フリーズを起こす……よし、一旦、頭の中にあった魔王像は全て捨てよう)

 

と、そこまで一気に考えると、大きく深呼吸して

 

「それで、プリムラが人間界に来た理由はなんですか?」

 

と、問い掛けた

 

「そういえば、そうだね。プリムラ?」

 

と魔王が問い掛けると、プリムラは視線を魔王に向けて

 

「……リンに、会いに来た……」

 

と呟くように、その理由を語り出した

 

「……リコリスお姉ちゃんが……リンのことをよく話してたから……」

 

「リムちゃん……」

 

プリムラの言葉を聞いて、ネリネは悲しそうにプリムラを見つめた

 

「ふむ……」

 

プリムラの言葉を聞いた魔王は、顎に手を当てて考えだした

 

そして、少しすると

 

「よし!」

 

と意気込んでから、視線を稟に向けて

 

「稟ちゃん、急で申し訳ないんだが。プリムラを預かってくれないかい?」

 

と言った

 

「はい!?」

 

まさかの話に、稟は驚愕した

 

「実はね、プリムラはまだ魔力の制御が出来ないのさ……その理由は、感情が未発達だからなんだ。言っておくけど、プリムラの魔力が暴走したら、一つの都市くらいは簡単に地図から消えるよ?」

 

「なるほど……って! まるで、歩く核弾頭じゃないですか!?」

 

「放射能を撒き散らさない分、地球にクリーンな兵器だね♪」

 

魔王の説明を聞いて稟が突っ込むと、魔王は朗らかにそう言った

 

それを聞いた稟は、深々とため息を吐いた後

 

「俺はこの家に厄介になってるだけですので、楓がいいのならば……」

 

と言うと、楓に視線を向けた

 

すると楓は、笑みを浮かべながら

 

「稟くんが良いのでしたら、私は構わないですよ?」

 

と言った

 

それは稟の予想通りの言葉だったので、稟はため息を吐いてからプリムラを受け入れると魔王に言った

 

その頃、魔界にある神魔界合同近衛部隊の隊舎では……

 

「この、バカスバル! あんたのせいで、あたしまで始末書を書くはめになったじゃないの!!」

 

「あ痛っ! ティア、ごめんってばぁ!」

 

と騒いでいるのは、この部隊の新人の二人である

 

怒鳴ったのは、オレンジ色の髪をツインテールにした少女で名前はティアナ・ランスターで、怒鳴られたのは、青い髪をショートカットにした少女だ

 

名前はスバル・ナカジマという

 

プリムラが脱走したのは、スバルが食欲に負けて持ち場を離れてしまったからであり、ティアナはスバルの相方なので、連帯責任でスバルと同じように始末書を書いている

 

そして、それを監督しているのは茶髪をサイドボニーにしている少女だった

 

「はいはい。文句を言わないでチャキチャキ書く!」

 

彼女の名前は高町なのは

 

この世界では珍しい人族の一人であり、近衛部隊の隊長の一人である

 

「「はい!」」

 

なのはに言われて、ティアナとスバルの二人はペンの速度を上げたのだった

 

場所は初音島に戻り、ワルキューレ隊隊舎

 

そのある会議室に、主だった隊長陣が集まっていた

 

議題はもちろん、御剣財閥への教導任務である

 

「というわけで……近々、御剣財閥への出張教導任務がある」

 

と義之が言うと、麻耶が

 

「向こうの希望は、義之を含めてパイロットは四人。整備士は最低でも15人ということです」

 

と、補足説明をした

 

「あ、じゃあ、パイロットの一人はあたしが立候補するわ」

 

そう言って、いの一番に手を上げたのは高坂まゆきだった

 

「わかりました。では、伊隅中佐は留守番ということで、構いませんか?」

 

と、麻耶がみちるに問い掛けた

 

すると、みちるは頷いて

 

「高坂中佐が行くのであれば、私が残るしかありませんから」

 

と言った

 

その言葉を聞いて、義之は頷き

 

「それじゃあ、二人目はまゆき先輩に決定っと……後の二人は新人から選ぶか……誰にしようかな……」

 

と唸りだした

 

すると、千鶴が手を上げて

 

「なんでしたら、白銀を連れて行ってはどうでしょうか。白銀の腕はかなりのモノですが……」

 

と意見を出した

 

「あいつはダメだ」

 

が、義之はそれを拒否すると、端末を取り出して

 

「この間、楠木軍曹に泣きつかれてな……」

 

と言いながら、端末の画面を見せた

 

そこに出ているのは、どうやらMSの部品の損耗具合らしい

 

各人の名前の上に損耗量を示すグラフが表示されていて、白銀武はダントツでトップだった

 

「あいつは、MSの負担を考えなさすぎだ。いくらワルキューレ隊が優遇されてるとはいえ、このままじゃ部品が底を突く」

 

「申し訳ありませんでした……」

 

義之の言葉を聞いて、千鶴は深々と頭を下げた

 

「それに、出張ということを考えると……持っていける部品にも限りがあるから、尚更だ」

 

と言うと、端末を見て

 

「お? ……織斑少尉が適任かな?」

 

と呟いた

 

「お、俺ですか!?」

 

一夏はまさか名前を出されるとは思っておらず、慌てた様子で問い掛けた

 

「ああ。織斑少尉は部品の損耗量が新人の中では、ダントツに少ないからな。こういう出張では助かる」

 

一夏からの問いかけに義之はそう返すと、視線を一夏に向けて

 

「どうかな? 一緒に来てもらえるかな?」

 

と問い掛けた

 

問い掛けられた一夏は、数秒間黙考すると

 

「わかりました。その任務、引き受けます」

 

と宣言した

 

それを聞いた義之は、満足そうに頷くと

 

「そうなるとだ、もう一人は織斑少尉の部隊から選ぶべきだな」

 

と言うと、顎に手を当てて唸りだした

 

すると、一夏が手を上げて

 

「それでしたら、シャルはどうでしょうか?」

 

と、シャルロットを推薦した

 

「デュノア少尉か……確かに、織斑少尉が前衛だから、遊撃か中距離が最適だな。わかった。四人目はデュノア少尉とする。異論は無いな?」

 

義之が隊長陣にそう問い掛けると、隊長陣は無言で頷いた

 

その後、整備士は麻耶と虚が選ぶことになり、護衛のための歩兵部隊は五反田弾准尉率いる一個小隊に決まった

 

余談ではあるが、五反田弾は一夏の友人で、一夏は弾がワルキューレ隊に所属していたことに驚いていた

 

しかも、整備士の虚技術大尉と付き合っていると聞いて驚愕の声を上げていた

 

出張の出発まで、あと三日である

 

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