義之達が教導任務に向かって、約三週間と少しが経過した
義之からの報告では、将来有望なパイロット達ばかりで指導に熱が入るとか
特に、明久が良いらしい
閑話休題
そんなある日、市街地を彼、ユウヤ・ブリッジスが一人で歩いていた
「しまった……迷った……」
彼は申請して許可が降りたので、一人で街を散策していた
だが気づけば、知らない道に出ていた
なんとか戻ろうと歩いたが、余計に道に迷ってしまった
「えっと、ここはどこだ?」
ユウヤは一人呟きながら、携帯端末に映っている地図に視線を向けた
「えっと……第五人工島の第七地区……」
ユウヤはそう言うと、頭を乱暴に掻いて
「目的地は第四人工島だから、えっと……」
と唸っていると、すぐ近くから
「あなたも迷子なの?」
と声を掛けられて、ユウヤは声のした方へと振り向いた
そこに居たのは、銀髪碧眼の少女だった
(今のは、この子か?)
ユウヤが内心で首を傾げていると、銀髪碧眼の少女が小首を傾げながら
「お兄さん?」
と聞いてきたので、ユウヤは慌てて
「あ、ああ……そうだな。確かに、迷子だ」
と答えた
そして、少し気恥ずかしそうに頬を掻いてから
「そういう君は?」
と、少女に問い掛けた
「私も迷子だけど、クリスカの居場所は分かるよ」
少女の答えに、ユウヤは首を傾げた
「クリスカ?」
「あ、クリスカって言うのはね、私のお姉さんみたいな人なの」
少女の言葉を聞いて、ユウヤは内心で
(ご近所の人なのかな?)
と思いながら
「そうか……俺はユウヤ・ブリッジス。君は?」
「私はイーニァ。イーニァ・シェスチナ!」
ユウヤが名乗ってから名前を聞くと、銀髪の少女
イーニァは元気に名乗った
「OK、イーニァ。そのクリスカって人はどこだ?」
ユウヤはもしかしたら、駅かバス停に行けるかもと思い、イーニァに問い掛けた
するとイーニァは、ユウヤの手を掴んでから
「こっち! こっちだよ!!」
と言うと、駆け出した
「おぉ!?」
ユウヤは引っ張られると思ってなかったのと、予想外の力強さに僅かにバランスを崩しかけた
「こっち! こっちに居る!」
「わかった。わかったから、引っ張るなって」
ユウヤが抗議するが、イーニァは無視して引きながら曲がり角を右に左に走り続けた
そして数分後、広い道に出ると
「イーニァ! イーニァ、どこ!?」
という、イーニァを呼ぶ声が聞こえた
声のした方を見ると、イーニァと似た銀髪に少し高めの身長が特徴の女性が居た
ユウヤは彼女がクリスカだろうと、当たりを付けた
すると、イーニァが空いている手を高々と掲げながら
「クリスカ!」
イーニァが名前を呼ぶと、銀髪の女性、クリスカが振り向いて
「イーニァ!」
安堵した様子で走り出したが、少し手前で止まると身構えて
「お前は……」
とユウヤを睨んだ
どうやら、怪しまれてるらしいと踏んだユウヤは、軽く両手を上げると
「待ってくれ、怪しい者じゃない。俺の名前はユウヤ・ブリッジス。この子、イーニァと一緒で迷子になってたんだ」
ユウヤが説明するが、クリスカは尚もユウヤを睨んでいる
すると、イーニァがクリスカの腰に抱きつき
「クリスカ。ユウヤは怪しくないよ!」
と訴えた
「イーニァ……」
「ユウヤはね、私にお願いしただけなの! クリスカの場所まで案内してって!」
イーニァが説明すると、クリスカは数回ほどイーニァとユウヤを交互に見た
そして、深々とため息をするとユウヤに視線を向けて
「どうやら、要らない勘ぐりをしてしまったようだな。すまない」
と、頭を下げた
「いや、この場合は仕方ないだろ。妹みたいな子に知らない男が居たらな」
ユウヤはそう言うと、イーニァに視線を向けて
「イーニァ、もうはぐれるなよ?」
「うん!」
ユウヤの言葉に、イーニァは満面の笑みを浮かべて頷いた
「そういえば、名乗っていなかったな。私の名前はクリスカ・ビャーチェノワだ」
「さっき名乗ったが、俺はユウヤ・ブリッジスだ」
二人は互いに名乗ると、握手をした
「おっと、そうだ。この近くにバス停か駅はあるか?」
ユウヤの問い掛けに、クリスカはある方向を指差して
「ああ……それならば、あちらにモノレールの駅があったな」
と言った
「おお、サンキュー! じゃあな、イーニァ、クリスカ! また何処かで会おうぜ!」
ユウヤはクリスカにお礼を言うと、クリスカに教えられた方向に走り出した
「じゃあね、ユウヤ!」
「ああ、また会おう!」
イーニァとクリスカの二人はユウヤを見送ると、互いに手を繋いで歩き出した
この時、三人はまだ知らなかった
次に出会うのが、戦場だということを……