義之達が教導に来て、早1ヶ月が経った
今日は機体の一斉メンテナンスもあり、訓練は休みだった
そして、義之達はそれも相まって訓練生達と食事をしながら歓談していた
「へぇー……それじゃあ、大佐と少佐は訓練生時代からの付き合いなんですね」
と言ったのは、義之達の正面で食べていた明久である
「そうよ。私が義之を含めた訓練生のまとめ役」
「で、俺はパイロット候補生だったんよ」
麻耶と義之が続けて言うと、明久と秀吉、優子の三人はへぇーと声を漏らした
すると、麻耶が渋面を浮かべて
「ただ、あの頃は義之達に苦労させられたわ。義之、杉並、板橋の三人は問題児トリオだったから」
「いやぁ、俺も青かった」
麻耶の呟きを聞いて、義之は笑いながらそう言った
「そうだったんですかぁ……」
意外だなぁ。といった様子で明久が頷いていると、優子が恐る恐ると手を上げて
「あの……お二人が付き合うようになったのは、いつ頃からなんですか?」
と問い掛けた
「あぁ……初音島攻防戦の後だったな」
「えぇ……出撃前に、終わったら大事な話がある。って言われたのよね」
二人は懐かしいなぁ、と呟いた
「そうなんですか……」
優子が頷いていると、義之が優子に視線を向けて
「君も、明久くんと付き合ってるから気になるか?」
と言うと、優子はむせた
「き、気づいてたんですか!?」
明久が驚きながら言うと、義之はカッカッカと笑って
「そりゃね。あんだけ仲むつまじく一緒に居たら、わかるよ」
と言った
すると、明久と優子の二人は顔を真っ赤にした
そんな二人を見て、義之は微笑むと
「人が誰を好きになるかなんて、個人の自由だ。恥ずかしがる必要なんてないさ」
と言った
すると、麻耶が頷いて
「そうよ。あの時の訓練生部隊には、他に魅力的な子達が居たわ……だけど、義之は私を選んでくれたの」
と嬉しそうに言った
「なるほどのう……」
二人の馴れ初めを聞いて、秀吉は腕組みしながら頷いた
すると、明久が義之に対して
「それで、大佐は訓練生時代から凄かったんですか?」
と問い掛けた
すると、麻耶が頷いて
「それは凄かったわよ? 訓練生の中で唯一、MSでの模擬戦で教官を倒したんだから」
と答えた
「教官に勝ったんですか!」
「それは凄い!」
麻耶の話を聞いて、明久と優子の二人は驚いた
教官に勝つというのは、並大抵の技量では土台無理だからである
ちなみに、義之が勝った教官というのは、千冬である
誰もが勝てなかった千冬に、義之は紙一重とはいえ勝った時、誰もが驚愕し、そして喜んだ
千冬も最初は驚いていたが、機体から降りると義之を褒め称えた
義之は確かに、勘が鋭く反射能力も高かった
だが、千冬の予想外の速度で腕を上げていたのだ
実は、この模擬戦が理由で千冬は義之をストライクのパイロットに推したのだが、義之は知らない
「さて、歓談はここまでにしようか」
「え? ……うわ、こんなに時間が経ってる!?」
義之の言葉を聞いて、時計を確認した明久は驚愕した
なにせ、食べ始めて一時間が過ぎていた
気づけば、ご飯も少しばかり冷たくなっている
「さて、作ってくれた人に申し訳ないから、急いで食べようか」
「はい!」
義之の言葉に従って、明久達は食べるほうに集中した
そして食べ終わると、それぞれ自室へと引き上げた
この時、自室へ引き上げていった明久達を物影から見ている二つの人影があった
ただ、その視線に含まれているのは怒りだけ
「吉井の奴……あんな女と一緒に居るなんて…… 、あれの準備は出来てる?」
一人が問い掛けると、もう一人は頷いて
「ええ…… ちゃん……後は、チャンスを待つだけです」
と答えた
問い掛けた人物は、その答えに満足げに頷いて
「後は、アレを使って勝てば……吉井だって……」
「はい……私達を見てくれる筈です!」
二人はそう言うが、それが後に危機を招き寄せることに気付かなかった