「この……大バカ者が!!」
戦闘が終わって、数十分後のハンガー内で西村の怒号が響き渡った
その理由は、戦闘が終わった後まで遡る
所属不明部隊による襲撃は、明久や義之達の活躍により多少の被弾は有ったものの、皆無事に帰還
ハンガーで生き残ったことを喜びあった
だが、整備士の本音が島田と姫路を見ると
『昨日の夜に、ハンガーでなにしてたのー?』
と問い掛けたことから、状況は変わった
本音の発言を不思議に思い、西村と義之は二人に尋問を開始した
ちなみに、なぜ本音が二人がハンガー内に居たのかと言うと、本音は昨日、夜に自分の工具のメンテと確認を行った時に工具を一つ、ハンガーに忘れたことに気づいたのだ
そして、ハンガーに取りに来たら姫路と島田の二人が明久の機体から離れていったらしい
本音は不思議に思いつつも、工具を回収して自室へと戻ったのだ
閑話休題
当初、二人は西村と義之からの尋問に対してずっと黙っていた
だが、諦めたのか語り出したのは
《明久の機体に対して、ウィルスを仕掛けた》というものだった
これを聞いた西村は大激怒
大声を上げて、二人を叱ったのである
なお、虚達はハンガーに敵の歩兵が襲撃してきたが、弾達機械化歩兵部隊の活躍により全員無事である
そしてその歩兵はどうやら、傭兵だったようで装備などはバラバラだった
閑話休題
そして、姫路と島田の二人がウィルスを仕掛けた理由があまりにも下らなかった
その理由は、嫉妬である
明久が優子を好きになったことを許せずに、明久への意趣返しを含めて行ったのである
それを聞いて、西村は未だかつて無いほどに大激怒したのだ
「貴様らの身勝手な行動で、どれほどの人達に迷惑が掛かったと思っているんだ!! しかも、吉井が間に合わなかったら坂本は死んでたんだぞ!?」
「だって……」
「でも……」
「言い訳は聞かん! 貴様らにはほとほと愛想が尽きた!」
西村がそこまで言うと、義之が西村の肩を掴んで
「西村教官殿、そこまでにしましょう」
と諭した
「大佐殿……しかし……」
義之の言葉を聞いて、西村は渋い表情を浮かべるが義之は首を振って
「処罰は我々ではなく、月詠さんが下します」
義之はそう言いながら、背後に居た月詠に視線を向けた
すると、月詠は無言で二人の前に立ち
「あなた達に対する処罰は……我が社からの追放です」
と宣言した
「なっ……!?」
「そんな……!?」
二人は月詠の言葉を聞いて、絶句した
だが、月詠はそんな二人を無視して
「あなた達の行った行動により、我が社に多大な損害を発生させ、しかも、悠陽様のお命まで危険に晒した罪は重いです。今日中に荷物を纏めて、何処へでも行きなさい」
月詠がそう言うと、二人はその場で座り込んだ
月詠はそれを確認すると、義之に身体を向けてから深々と頭を下げた
「大佐殿、此度は我が社の元社員達が多大なご迷惑をおかけしましたことを、深くお詫びします」
月詠がそう言うと、義之は首を振って
「いえ、我々は出来ることをしたまでです。お気になさらず」
義之がそう言うと、月詠は顔を上げて
「このお礼に関しましては、後ほど悠陽様からご提案がありますので」
と言った
「わかりました」
月詠の言葉に義之が頷いた直後、座り込んでいた姫路と島田が明久を睨みつけて
「吉井……っ! あんたのせいで……!」
「お仕置きです!」
と声を上げて、明久に飛びかかろうと立ち上がった
その時、乾いた炸裂音が連続して響き、二人の足元に火花が起きた
姫路と島田は数瞬呆然としてから、恐る恐ると音のした方向へ視線を向けた
そこでは、義之が硝煙くすぶる拳銃を構えていた
そして、ふと気づけば義之だけでなく、麻耶はPDWを構えていて、一夏やシャルロットも拳銃を構えていて、二人の周囲を強化外骨格を装着した弾達が囲んでいた
「いい加減にしろ、貴様ら……温情とわからんか? 次、何かしたら、容赦なく蜂の巣にするぞ」
義之のその言葉の直後、銃を構えていた全員が安全装置を解除した音が響いた
その状況でようやく諦めたのか両手を上げて、その場で座った
義之はそれを確認すると、拳銃をホルスターに収めて
「五反田準尉、二人を拘束し自室へ連行。二人が自室から出ないように、監視しろ」
「了解! 御手洗、アルシャービン」
「「はっ!」」
義之の命令を聞いて、弾は部下の二人に姫路と島田の連行を命じた
命令を受けて、二人は姫路と島田の二人を拘束してハンガーを去った
すると、西村が頭を下げながら
「最後までご迷惑をおかけしました」
と謝罪した
すると、義之は手を左右に振りながら
「いえ、こちらも大人気なかった」
と謝った
そして、視線を虚に向けて
「それで、ウィルスはどうですか?」
「今現在、二人の部屋から押収したウィルスのデータからワクチンソフトを制作してます」
義之からの問い掛けに、虚は手元の端末を見ながら端的に答えた
義之は頷くと、視線を明久に向けて
「吉井訓練生。先ほど活躍、見事だった」
と誉めた
誉められた明久は、恥ずかしそうに顔を赤くしながら敬礼して
「ありがたいお言葉ですが、あの最新鋭機の性能があったからこそです」
と言った
すると義之は、明久に対して右手を差し出して
「吉井訓練生……君さえ良ければ……初音島に来ないか?」
と提案した
「え……?」
まさかの義之の提案に、明久は固まった
「君は間違いなく、SEED保持者だ」
「SEED保持者……?」
義之の言葉を聞いて、明久は首を傾げた
「俺も詳細は忘れたが、人が持つ進化の可能性とやららしい……そして君は間違いなく、エースの資質を持っている」
「僕が、エース……?」
義之の言葉が信じられず、明久は呆然とした
「まあ、簡単には信じられないだろう。だが、真実だよ。俺もSEED保持者だ……そしてそれがあったからこそ、俺は英雄と呼ばれるようになったんだ」
義之の言葉を聞いて、明久は悩み始めた
「どうする? 君が望むなら、我が隊に君を迎え入れたい。そちらの彼女と一緒にね」
明久の言葉を聞いて義之が問い掛けると、明久は首を振ってから
「嬉しいお言葉ですが、お断りします」
「いいのか?」
義之の言葉に、明久は頷いて
「ええ……僕はこの仲間達が大好きなんです……ですから、残ります」
「そうか……わかった。だが、気が変わったら……ここに連絡してくれ」
義之は名刺に端末の番号を書くと、明久に手渡した
「はい……ありがとうございます!」
明久は名刺を受け取ると、義之に対して敬礼した
こうして、襲撃事件は一旦幕を閉じたのだった