教導任務が終了して数日後、義之達は無事に初音島へと帰還した
そして、更に数日後のことだった
「あー……本日付けで配属となった新人達を紹介する」
と朝の連絡で、義之が言った
「新人……ですか?」
「この時期に?」
義之の説明を聞いて、隊員達は疑問を口にした
とはいえ、それも仕方ないだろう
新人達が着任して、約四カ月
そんなタイミングで、新人が配属となるなんてほとんどの軍人は知らない
「うむ……お前達の疑問も分かる。だが、配属となる連中は風見総合学園の短期特別教育を僅か三カ月でクリアした猛者だ」
と義之が設定すると、ようやく隊員達は納得した
短期特別教育
これは風見総合学園にある教育科目で、望めば誰でも受けられる
そのために、年間の受講希望者は百人を超える
だが、その求められるハードルが非常に高いのである
この短期特別教育はいわゆる、特化型スペシャリストを短期間で育成するための授業である
そのために、この短期特別教育は単位性となっている
ゆえに、単位を満たせば三カ月で望む企業や部隊に配属されることは約束されたも同然だ
要するに、その配属となった者達は僅か三カ月で軍人に必要な技能を習得してワルキューレ隊への配属を希望したのだろう
それを考えると、その新人達は並大抵の努力ではなかった筈だ
なお、年間の合格者は十人居れば良い方である
「では、入れ!」
義之が入室を促すと、ドアが開いて数人の少年少女達が入ってきた
そして、稟はその内の二人を見て固まった
なぜならば……
「それでは紹介しよう。まず、医療班に配属となった、芙蓉楓軍曹と八重桜軍曹だ」
「「若輩者ですが、よろしくお願いします!」」
稟が護りたいと誓った少女達だったからだ……
その後、義之により
整備班に麻弓=タイムと時雨亜沙
操舵班に緑葉樹
の配属が告げられた……
数分後、稟は楓と桜の二人を呼び出した
「なんで軍に来た!」
と問い掛けた
「もう、稟君と離れるのは嫌なの」
「だから、稟君が居るこの部隊に来るために、短期特別教育を受けたの」
稟の問い掛けに対して、二人は毅然とした表情で答えた
稟は二人の回答を聞いて、頭を乱暴に掻いてから
「だからって、命の危険がある軍に来るなんて危険過ぎる!」
「それもわかってる……」
「けど、その危険性も理解してここに来たの」
稟の言葉に対して、二人はそう返した
二人の意志の固さを感じたのか、稟は再び頭を乱暴に掻いた
その時
「稟。いい加減、二人の気持ちを汲んでやれよ」
と言いながら、一夏が稟の肩に手を置いた
「一夏、武……」
稟の振り向いた先には、一夏の他に武も居た
「時雨さんの話を聞いたら、お前。二年近く何の連絡もしなかったらしいじゃねぇか」
「それだったら、彼女達が心配するのも仕方ないさ」
一夏と武がそう言うと、稟は深々とため息を吐いて
「確かに……そこは完全に俺の落ち度だな……わかった。ただし、無理はしないでくれよ?」
と言った
稟がそう言うと、楓と桜は嬉しそうな表情を浮かべて
「うん!」
と頷いた
そして、稟達は自分の業務を始めた
それから数時間後
一夏とシャルロットは義之に呼び出された
「三日間の休暇……ですか?」
「そ」
シャルロットの言葉に対して、義之は頷いた
「しかし、なぜ三日間も?」
一夏が問い掛けると、義之は頷いてから
「あー……ほれ、お前達、三カ月も出張教導任務に就いてただろ? その三カ月間、ずっと出勤扱いだったから、人事部から休暇を入れろって催促されたんだよ」
という義之の説明を聞いて、二人は納得した様子で頷いた
だが実を言うと、出張教導任務に就いていた全員に対して人事部は休暇を取れと言っていたのである
だが、義之とまゆきは三カ月の間に書類が溜まり、虚は出張教導任務に持っていった機体のオーバーホール、弾は一応歩兵部隊の隊長なので部下を優先させた
なお、麻耶は義之の補佐があるので無理
ゆえに、一夏とシャルロットが先に休暇を取る形になったのだ
「わかりました……とはいえ、三日間もどうしようかな……」
「だね……さすがに、三日間は手持ち無沙汰かな……」
一夏の言葉にシャルロットが同意していると、義之が捌いていた書類を一旦止めて
「なに言ってんの。さくらパークのチケットが有るでしょ」
と言った
すると、一夏とシャルロットは数秒してから
「「あぁ!!」」
と二人して手を叩いた
どうやら、完全に忘れていたようである
「まあ、そういう訳だ。三日間楽しんでこい」
義之はそう言うと、再び書類作業へと没頭し始めた
「了解しました」
「織斑一夏及び、シャルロット・デュノア両少尉は明日から三日間の休暇に入ります!」
二人は敬礼してから、執務室から出ようとドアへと向かった
すると、二人が触れるよりも早くドアが開いて、両手で書類を抱えた麻耶が現れた
二人は麻耶に道を譲りながらも、書類の量を見ると義之に対してエールを送りながら
「「失礼しました!」」
と退室した
その数秒後
「はい、追加の書類ね」
「っだよ、マジかよーー!!」
という、二人のやり取りを一夏とシャルロットは背中越しに聞いた
こうして、二人のデートが決定した