ドタバタです
翌日
一夏とシャルロットの二人は、第3メガフロートこと巨大テーマパーク
さくらパークに来ていた
このさくらパークのテーマは《一日中遊んでも遊びきれない》であり、それを象徴するようにメガフロート丸々一つを使ってあらゆる遊具やプールなどが設置されている
極めつけはパーク内にホテルまで完備されており、泊まりがけで遊ぶことも可能なのだ
「来たな……」
「だね……」
一夏とシャルロットは巨大なゲートを見上げながら、呆然と呟いた
そうしている間にも、次々と二人を避けて人が入っていっている
「ここで止まってても仕方ない。入るぞ!」
「う、うん!」
二人は気合いを入れると、ゴロゴロとキャリーバックを引きながら受付へと向かった
しかし、そんな二人を影から見ている不審な人影が複数あった
「手、繋いでるな……」
「繋いでるわね……」
「仲良く入っていきましたわね……」
「入っていったな……」
見ていたのは、箒、鈴、セシリア、ラウラの四人だった
時刻的には既に、勤務開始時間である
しかし、なぜ彼女達が居るのか
先日帰る前に、一夏とシャルロットの予定日欄に二人揃って三日間休暇となっており、シャルロットに至っては端に♪マークが書かれていたので、四人は何かあると感じとり、朝から尾行をしていたのだ(ラウラの手引きによって、二人にはギリギリ察知されない距離を保っていた)
なお、簪と直哉の二人は我関せずを決め込み、真面目に出勤している
「中に入ったぞ……」
「追うわよ……」
「ええ……」
「うむ……」
鈴の言葉に三人は頷くと、どこからともなく武器を取り出した
箒は刀、鈴は柳葉刀、セシリアはスナイパーライフル、ラウラはナイフである
そんな四人を見て、一人の子供が指差しながら母親に問い掛けるが、母親は子供の手を引いてサッサとどこかへ行った
そして、一夏とシャルロットの二人を見失わないようにと四人が一歩踏み出した途端
「お前ら……仕事をサボってこんな所に来るとはいい度胸だ」
この場において、聞きたくない声が四人の耳に入った
その声を聞いて、四人はまるで錆びたブリキ人形のようにギギギと振り向いた
そこに居たのは、彼女達の上官にして部隊隊長の義之と教官
織斑千冬の姿があった
しかも、二人の背後には軍用高機動車が後部座席のドアを全開にして止まっていて、四人にはそれが地獄への馬車に見えた
「そんなに暇なら、俺と織斑中佐が自ら近接白兵戦の手解きをしてやろう……なに、四時間もやれば逝けるさ」
義之がそう言うと、それまで腕組みしていた千冬がゆっくりと腕組みを解いた
その瞬間、四人には義之と千冬の背後に二体の阿修羅が見えた
「に、逃げっ!」
四人は捕まる前に逃げようとしたが、時既に遅し
四人の襟首をそれぞれ、千冬と義之が掴んだ
「さあ……逝こうか……」
笑顔ではあるが、目が笑っていない
「「「「い……いやぁぁぁぁ!?」」」」
晴れ渡った蒼穹に、四人の悲鳴が響き渡った
その後、ワルキューレ隊隊舎のトレーニングルームから少女達の悲鳴が四時間ぶっ通しで聞こえて、それを聞いた先達達は全員
《ああ……誰かがバカをやったな……》
と察した
なぜなら、数時間ぶっ通し近接白兵戦訓練はもっぱら、懲罰としてワルキューレ隊では有名だからである
その後、四人は死んだ魚のような目をしながら山のような書類を深夜遅くまで裁き続けたとか
こうして、四人の頭には
《仕事をサボったら、精神的に地獄に落とされる……》
と刻み込まれた
そもそも、仕事はサボらないのが普通である
良い子の皆も、仕事は決してサボらないようにしましょう
もしサボっても、当方は一切の責任を負いません
「なあ、なんか聞き覚えのある声が聞こえなかったか?」
「ううん……聞こえなかったよ?」
一夏の問い掛けに対して、シャルロットがそう言うと一夏は首を傾げながらもホテルのフロントに荷物を預けたるとフロント係から番号の書かれた札を貰った
二人は貰った札を仕舞うと、ホテルから出て周囲の遊具を見回すと
「そんじゃあ、遊びますか!」
「うん!」
と駆け出した