一夏達がプールに行っている時、直哉と唯衣は遊園地エリアに居た
唯衣が直哉を誘った形ではあるが、唯衣は非常に緊張していた
まず、こういう所に来るのが初めてであり何よりも、意識している直哉が居るからだ
直哉と唯衣の年齢は一歳違いで、直哉の方が年上である
そして今回は、有る意味予想外のデート(唯衣にしては)だった
まさか、寄ったショッピングモールでくじ引き大会がやっているとは思わず、しかも、自分が特賞を当てるとは思わなかったのだ
特賞を当てると、唯衣はさくらパークのことを直哉に聞いた
そして、微塵も躊躇わずに直哉を誘ったのだ
そして直哉の休暇である今日、さくらパークに来た
唯衣の心臓は緊張でうるさい位に高鳴っており、必死に静めようとしたが無理だった
唯衣は右隣に居る直哉に、視線を向けた
直哉は唯衣とはぐれないようにと、唯衣の右手を優しく握っていた
それが、唯衣の心臓を高鳴らせている理由だった
しかしながら、唯衣は直哉に何があったのか気になっていた
黒かった髪は白くなり、右目は赤く左目には眼帯がしてあり、しかも眼帯の下からは何かの駆動音すら聞こえた
何よりも、今の直哉からは危うい均衡を保っているように感じた
少し触っただけで割れるような、まるでシャボン玉のような危うさを
そして、唯衣が聞こうかどうか迷っていると、直哉は立ち止まり
「で、どのエリアに行く?」
と振り向きながら、唯衣に問い掛けてきた
そこで唯衣は我に帰ると
「どういうことだ?」
と直哉に問い返した
すると、直哉は左奥の大きなドームを指差して
「まず、アレがプールエリア」
と説明を始めた
「次に、アクション系重視エリア」
と指差したのは、右奥側のゲート
「こっちは自然公園系で」
次に唯衣の右側を指し示し、最後に左側を指差して
「んで、定番の遊園地エリアだ」
と説明すると、唯衣はホウと感心した様子で頷き
「エリア毎に分けられているのか」
と呟いた
「ああ……このさくらパークは初音島唯一の一大娯楽施設だからな。経営者の指針故か、1日じゃ遊びきれないがモットーらしい」
直哉がそう言うと、唯衣は顎に手を当てて
「ふむ……流石に、水着は無いからな……」
と呟くと、直哉が端末を取り出して
「貸し出しが有るみたいだぞ」
と言って、画面を見せた
唯衣がその画面を見ると、色とりどりの水着を着た男女が映っていた
それを見て、唯衣は少し考えてから
「遊園地にしよう」
と言った
「わかった。行こうか」
唯衣の言葉を聞いて、直哉は唯衣の手を握って遊園地エリアへと向かった
この時唯衣は心中で
(いきなり水着は、恥ずかしい……)
と思っていた
そして、遊園地エリアに入ると直哉はマップを端末に表示させて
「どこから行く?」
と唯衣に見せた
唯衣は端末を見ると、数秒間黙考してから
「では、ここから行こう」
と定番のお化け屋敷を指差した
「あいよ。行こうか、唯衣」
直哉はそう言うと、唯衣の手を握って歩き出した
「ああ……直哉」
お互いに階級を付けないのは、周囲の人間に自分達が軍人ではないと思わせるためである
だが唯衣としては、直哉に呼び捨てにされたのが嬉しくって、笑顔を浮かべた
こうして、二人のデートは始まったのだった