とある軍施設の地下、10階
そこの、とある執務室
その執務室には、少し大きめの木製の事務机と椅子。そして、1対の応接セットが置かれてある部屋だった
なお机には、書類が山のように積まれていて、処理済よりも、処理待ちのほうが圧倒的に多い
そしてその机には、ショートカットに切りそろえた黒髪に軍服を着た男がうつ伏せに倒れている(手にはペンが握られている状態)
すると、書類の山の間にあった電話が鳴った
電話が鳴ると、男は手だけを動かして、書類を崩さないように受話器を持ち上げた
「………はい」
『義之。伊隅中佐と高坂中佐が来たわよ』
電話してきたのは、男、
義之は、耳に受話器を当てたまま、体を起こすと、手櫛で髪を軽く整えながら
「………通してくれ」
と言うと、受話器を戻した
すると、空気が抜けるような音が聞こえて、ドアが開くと
「「伊隅みちる及び、高坂まゆき。両中佐、出頭しました!」」
と、2人の女性が敬礼しながら、部屋に入ってきた
「はい、ご苦労様です。というか、敬礼はしないで良いと、言いましたよね?」
義之は返礼すると、首を傾げながら問いかけた
「これは、礼儀みたいなものでして」
「そうだよ。弟くん♪」
2人は微笑みながら、応接セットの近くまで歩いた
義之は2人の反対側に立つと、座るようにジェスチャーで促した
2人は座ると、机の上に脇に抱えていたファイルを置いた
「で、今年はどうかな?」
義之は膝の上で手を組むと、2人に問いかけた
すると、麻耶が机の上にコーヒーを人数分置いた
「今年は大漁ですね」
「そうそう。なんせ、選ぶのに手間取ったくらいだし」
そう言いながら、2人はファイルを開いた
ファイルには、20数人近くの写真とプロフィールが書かれた書類が挟まれていた
「へえ。今年は、本当に大漁ですね」
義之は、机の上に広げられた書類を見ながら呟いた
「それじゃあ、選んだ連中を紹介するね。まずは、206訓練部隊部隊長の
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「最後に210訓練部隊所属のライラ・フリードリヒ。で、以上です」
と伊隅みちるは、プロフィールの書かれた紙を置いた
「ふむ。今年は本当に大漁だな」
義之は、机の上に広げられたプロフィール表を見て、満足そうに頷いている
すると
「ん? この御剣って、あの”御剣”か?」
と義之は、冥夜のプロフィール表をヒラヒラと揺らした
「そ、あの御剣財閥のご令嬢よ。しかも、直系の。備考見てよ」
とまゆきは、首をすくめた
「ふーん。なんで、御剣財閥のご令嬢が居るのか知らないけど。使えるなら使うさ」
と義之は、満足そうに頷いた
すると
「ああ、そういえば、神崎教官長から推薦が出ているんです」
とみちるが、手を叩いた
「え? あの神崎教官長が?」
神崎教官長とは
本名を
現在、訓練生に教える教官達を束ねる立場の男性だ
年齢は40代後半、髪はオールバックにして、無精ひげを生やし、何時もサングラスを掛けている
その経歴も凄まじく、タイタン戦争以前は傭兵として世界中の戦場を渡り歩いていた豪傑だ
しかし、その性格に難があるのだ
それは
人の不幸を笑いながら、撮影したりするのが大好きなのだ
因みに、それに関して義理の息子のKS氏は
「いっぺん、本気で殴ってやりたい!」
と宣言している
閑話休題
「それが、こいつです。名前は土見稟訓練生」
とみちるは、プロフィール表を義之に手渡した
「ふーん。こいつかー………あれ?」
「どうしました?」
「いや、どこかで見たような気が………どこだっけ?」
義之は思い出そうとしているようで、額に指を当てて唸っている
「? そう。だけどこいつ、総合A判定だね」
まゆきはプロフィール表を見て、顎に手を当てた
義之はどうやら、思い出すのを諦めたようで、立ち上がった
「ほんじゃま、試しましょうか」
「試すとは、室内戦闘ですか?」
「いやいや、俺達に必要な技能だよ」
義之の口元には、笑みが浮かんでいた
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「行ってきまーす!」
私、
私が住んでるのは、光陽町と言います
とは言っても、今居る光陽町は2番目なんです
本物の光陽町は日本帝国にあったんですが、2年前のタイタン戦争で廃墟になってしまいました
そんな私達を、初音島の大統領さんが受け入れてくれたんです
しかも、無償で家とお仕事。そして学校まで入れてくれたんです
そんな優しい大統領さんの名前は、芳野さくらさん
見た目は完全に10歳くらいの子供なんですけど、立派な大人で、優しいんです
金髪碧眼で、最初は外人さんかと思いましたが、完全に日本人さんなんです
それに、今私が向かってる学園の学園長も兼任してますし、タイタン戦争で親の居なくなった子供達の為に里親さんを探してくれたりしたそうです
「ん? おーい! 八重!」
私が歩いてると、後ろから私を呼ぶ声が聞こえてきました
「ん? あ! 美夏ちゃん!」
私は声のした方向を見ると、そこには牛柄の帽子に真っ赤なマフラーがシンボルの
「これから学園に向かうんだろ? 一緒に行こう!」
「うん!」
美夏ちゃんとはクラスメイトさんで、仲良くやってます
そんな美夏ちゃんと話し合いながら、私達は駅に着いて、モノレールに15分くらい乗って、着いたので降りてから、次に電動無人バスに乗ります
そして、目的地に着いたので下りると
そこには、大きな門に<風見総合学園>と大きな校門が建ってます
ここが、私達の通ってる風見総合学園です
この学園は、初等部から大学部までエレベーター式に通える学園で
総生徒数がなんと、1万人越えという、超マンモス学園です
私達は警備員のおじさんに挨拶してから、玄関に入って、靴箱で上履きに履き替えます
「そういえば、美夏ちゃんって、軍人さんなんだよね?」
「うむ。流石に、詳しい所属などは言えないがな」
美夏ちゃんは学生ですけど、同時に統合軍の軍人さんなんです
そして、教室の前に到着して、ドアを開けようとしたら
「待て、八重」
と、美夏ちゃんが私の腕を掴んで、ジェスチャーで退いてと言ってきました
私はそれに従って、ドアから離れると
「すー…はー…っ!」
深呼吸すると、一気にドアを開けました
すると
「ようこそ! 桜ちゃん! 俺様の腕の………」
と、眼鏡を掛けた男子が腕を広げながら、飛び出てきました
すると
「ふっ!!」
「ごふっ!!」
美夏ちゃんが、腰の入った右拳、所謂右ストレートを眼鏡を掛けた男子
「学習しないな、緑葉。だったら……麻弓!」
「合点承知なのですよーー!!」
美夏ちゃんが呼んで現れたのは、右目が赤で左目が青のオッドアイの女の子で
名前は麻弓=タイムちゃんです
「ふっ!」
「がはっ!」
美夏ちゃんが、樹くんを蹴り飛ばすと
「麻弓ちゃん流縄縛術! 第27弾!!」
麻弓ちゃんがどこから出したのか、縄で樹くんを一瞬にしてグルグル巻きにしました
「新しい世界が見える!!」
そして、麻弓ちゃんがそのまま、樹くんを吊り上げると
「さて、後は……ムラサキ!」
と、美夏ちゃんが振り向くと
そこには、綺麗な金髪ロングに、スタイル抜群の女の子が居ました
その子の名前は、エリカ・ムラサキちゃんです
なんでも、東欧の小国のお姫様なんだそうです
「準備完了ですわ!」
気付けば、エリカちゃんは窓を全開にしてました
「ふむ…では、行くぞ。麻弓!」
「行くのですよーー!!」
「「「「「麻弓(ちゃん)に美夏(天枷)(ちゃん)!! ぶちかませーーーー!!」」」」」
「「必殺! ライジング・インパクト!!」」
「ビリヤード!?」
意味がわからない悲鳴と共に、樹くんは窓の外に蹴り飛ばされて
「害虫駆除完了ですわ!」
と、エリカちゃんが窓を閉めたと同時に、下に消えました
「あははは………流石にやりすぎなんじゃ……」
私は、苦笑いをしながら、かばんを机に置きました
「何を言う! 八重!」
「そうなのですよ! あの万年発情期はこのくらいしないと、学習しないのですよ!」
随分な言われようです
そして、私が座ると、麻弓ちゃんが手を叩いて
「そういえば、近いうちに転校生が来るらしいのですよー。しかも、3人も!」
転校生さんですか。この時期に珍しいですね
「へー、そうなんだ」
私は返事しましたが、それよりも、気になってることがありました
それは、もう1年以上会えてない大好きな男の子です
稟くん
稟くんは今、何処に居るんですか?
窓の外には、季節はずれの桜の花びらが、舞っていました