機動戦士ガンダム 英雄黙示録   作:京勇樹

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出撃準備

12月30日早朝、初音島の領海ギリギリ手前にユーラシア連合の艦隊が到着

 

それまでの間に、初音島政府は再三に渡り会談を要請したが、ユーラシア連合は全て無視

 

よって、初音島政府は午前10時に初音島全土に対して避難勧告を発令

 

それに合わせて、初音島統合防衛軍は第一種態勢を発令

 

それにより、全軍人は所属隊舎へと集結

 

出撃のための最終準備へと始めた

 

「あなた達、今は速さよりも確実性をお願いね!」

 

「「「「「はっ!」」」」」

 

虚の言葉を聞いて、整備士達は返答しながら整備に駆け回っていた

 

今回は彼らにとっても初めてとなる、大規模対人戦闘だ

 

しかも、負けたら初音島はユーラシア連合の奴隷となるのは目に見えている

 

中には、ユーラシア連合に対して怒りを露わにしている軍人も居る

 

だが、そんなことで仕事を仕損ずるような彼らではない

 

軍人として、感情の制御の仕方は心得ている

 

何よりも、自分達の整備如何によっては、搭乗し出撃したパイロット達の運命が決まる

 

だから、機体に怒りをぶつけるような真似は絶対にしないし、手抜きやミスもしない

 

やることは何時もと同じように、機体を万全にすること

 

だから、彼らは互いにフォローしあい、整備後に他の整備士や班長が確認する

 

そうやって安全策を複数設けて、万全性を上げる

 

そして、整備士達が願うのはたった一つだけ

 

《パイロット達が全員、生きて帰ってくる》

 

それだけだ

 

機体は壊れても、部品があれば治せる

 

だが、パイロット達たる軍人はそう簡単には治せない

 

それは、医療技術が発達した今も変わらない

 

義肢や人工臓器は出来たものの、パイロットが即死したら意味はなく、また心のキズまでは治せない

 

だから、パイロット達には絶対に帰ってきてほしい

 

そうすれば、暖かく出迎えるし、機体も必ず直す

 

それが、整備士達の真摯な願いだった

 

場所は変わり、市街地

 

市街地では歩兵が装甲車、高機動車に搭載されてるメガホンを使い避難誘導が行われていた

 

『落ち着いてください! 慌てないで!』

 

『本島のシェルターにはまだ余裕があります! 大丈夫です!』

 

『入りましたら、係員に氏名をお教えください! その後、タオル等を支給します!』

 

軍人達の誘導に従い、市民は次々と地下シェルターへと入っていく

 

その表情は一葉に、不安に染まっている

 

その表情を見て、軍人達は全員

 

〈絶対に、ユーラシア連合を撃退する〉

 

と心に誓っていた

 

それが、自分達軍人の役割と彼らは理解していた

 

そもそも、初音島統合防衛軍は志願式を採用しており、全員の士気は非常に高い

 

更に言うと、今回のユーラシア連合が送ってきた降伏勧告状は全員に公開されており、内容を知った全員は激怒した

 

なんと身勝手な降伏勧告なのかと

 

だからこそ、彼らの士気は今や最高潮と言っても過言ではない

 

身勝手なユーラシア連合に、目にものを見せてやると息巻いていた

 

そして、午後6時半過ぎ

 

本島地下シェルターに全市民の収容を完了

 

全防衛設備の整備及び点検も終わり、改めて全軍に臨戦態勢が敷かれた

 

そして運命の時は近づき、朝6時少し手前

 

ワルキューレ隊舎のブリーフィングルームには、全隊員が集まっていた

 

早朝だというのに全員の目はバッチリと覚めており、既にパイロットスーツに着替え終わっていたり、腰に道具を入れたポーチを付けていた

 

そして最後に、前のドアが開いてパイロットスーツ姿の義之とヘッドセットを装着した麻耶が入ってきた

 

それを見ると、最前列に立っていたみちるが

 

「総員、敬礼!」

 

と号令を掛けると、全員一斉に敬礼した

 

何時もだったら、義之は手をヒラヒラと振って止める所だが、今日は違った

 

義之は真剣な表情で壇上に上がると、全員を見回してから

 

「お前達。分かってると思うが、後約一時間でユーラシア連合と交戦を始める」

 

と喋り初めて、全員黙って聞いていた

 

「相手のユーラシア連合は、言わずと知れた大国だ……厳しい戦闘になる……一応、お前達には選択肢を与える」

 

義之はそう言うと、教壇の上に紙束を置いた

 

「これは退役許可証だ。今なら、まだ市民に戻れるぞ?」

 

義之がそう言うが、誰も取りに来ない

 

「大佐……今更、そんなのは不要です」

 

「俺達は全員、守るために軍に入りました。今更、戻ることは出来ません」

 

みちるを皮切りに、次々とそんな声が上がった

 

それを聞いて、義之は退役許可証を背後に立っていた麻耶に渡して

 

「お前達の覚悟、確かに確認した。最後に命令を出す……全員、必ず生きて帰れ! いいな!?」

 

「「「「「了解!」」」」」

 

義之の命令を聞いて、全員は一斉に敬礼した

 

そして、ワルキューレ隊隊員は全員、自分の戦場へと向かった

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