御剣セキュリティーサービスの食堂
「初音島が侵攻されてるって、本当!?」
任務から帰った明久は報告を手短に済ませると、食堂に赴いた
そこでは、同僚の雄二や恋人の優子達がテレビを見ていた
「本当よ、見て」
優子はそう言うと、テレビ画面を指差した
テレビに映っていたのは、戦火に焼かれている初音島だった
一ヶ所で爆発が起きる度に、どちらかの兵士の命が消えていっている
戦争は、命の削りあいだ
どちらかの命が尽きるまで、戦いは終わらない
「教官………」
明久が囁くように呟くと、優子が明久の手を優しく解した
気づいてみれば、どうやら強く握り過ぎて、爪が食い込んで流血していたらしい
明久は優子に微笑むと、再びテレビを見た
そこでは今もなお、激しく閃光が瞬いている
明久は心中で、義之達の無事を祈った
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
場所は変わって、初音島近海のユーラシア連合艦隊
その内の一隻
MS空母、シチルストイ
その甲板には今、新しくウィンダムが中隊規模、12機が格納庫から上がったところだった
『CPよりバオフェン中隊。発艦まで、あと420秒です』
「了解」
通信将校の言葉を聞いて、パイロット
正直言えば、この作戦に彼女は乗り気じゃなかった
しかし出撃を拒否すれば、人質になっている家族がどうなるかわからないし、国籍を剥奪されて、身の毛もよだつような非道な実験に使われるのが目に見えている
ユーラシア連合において、彼女のような元中国人や韓国人といった人々は、人間扱いされていない
奴隷
もっと悪く言えば、家畜や道具同然だった
国籍を得るには、軍に入り、功績を上げないといけない
しかし、その数少ない功績も、結局は上官たるロシア人に奪われて、その上官の出世に使われる
「今はまだ、その時ではない……」
彼女がそう呟いた直後、通信画面が開いて
『バオフェン中隊、出撃してください!』
と通信将校が告げた
それを聞いて、彼女は操縦桿を掴んで
「了解、出撃する!」
と返した
そして、通信を切ると
「鈴……あなたは今、そこに居るの……?」
と呟いた
自身の妹のような、小柄な少女を思い出した
そして、彼女率いるバオフェン中隊はリニアカタパルトによって宙に射出された
その妹分が敵軍として展開している、戦場に向けて
その妹分が、敵に居るとは予想もしないで………
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
再び場所は変わり、ユーラシア連合艦隊旗艦
アークエンジェル級2番艦、ドミニオン
その
「予想外に手こずらせてくれるな。初音島は……」
と呟いた
それを聞いて、隣に立っていたセルベリアは
「どうやら、かの英雄率いる部隊による抵抗が激しく、友軍に大きな被害が出ている模様です」
と報告した
それを聞いて、マクシミリアンは少し考えると
「セルベリア……あいつらと共に出撃しろ……かの英雄を討てば、初音島は瓦解するだろうからな」
と告げた
「はっ!」
その命令を受けて、セルベリアは
そして、長い通路とエレベーターを歩いていって、ドミニオンの
「お前達! 殿下から御命令が下った! 全機出撃し、初音島を蹂躙! 英雄率いる部隊を壊滅させるぞ!」
と告げた
それを聞いたのは、六人の女だった
そして、その女達の背後にはそれぞれ、ガンダムがあった
セルベリアはオレンジ色に塗装された一機のガンダムの前に立った
その機体には、巨大な大剣が二本も装備されていた
セルベリアがその機体を見上げていると、整備員が駆け寄ってきて説明を始めた
並び立つガンダムの一機
深緑に塗装されたガンダムの前に立っていた少女は、パイロットスーツの胸元を開くと、小さなロケットを取り出した
そして、そのロケットの蓋を開いて中の写真を見た
そこに映っているのは、幼い自分と仲良く写っている一人の少年だった
少女は蓋を閉じると、そのロケットを握りしめて
「直兄……行ってくるね……」
と言うと、自機に乗り込んだ
そして、戦場にて想いは交錯する……