「よし……次だ」
一機のウィンダムを撃破した義之はそう言うと、レーダーを見た
すると、その義之機に接近してくる敵MSの反応を捉えた
数は二機
どうやら、
「二機か……動きは悪くないが……っ!」
義之はそう言いながら、二機の攻撃を簡単に避けていき
「動きが読めるんだよ!」
と言いながら、素早く一閃
その二機のウィンダムを、あっという間に切り裂いた
数秒後、その二機のウィンダムは紫電を放ってから爆散した
「んー? なーんか、知ってる奴のような気がするが……いっか」
義之は僅かに首を傾げたが、すぐに気を持ち直して機体を動かした
なお、義之のそれは当たっていたのだ
その二機のウィンダムのパイロットは、実は御剣を追い出された後にユーラシア連合に所属した島田と姫路の二人だったのだ
では、その二人は死んだのかと思われるだろうが、生きているのだ
二人は運良く機体の緊急脱出装置が作動
海に着水したのだ
「まさか、私達が負けるなんて……っ!」
「真正面から挑んだからよ! 次は、ロックオンしないで、不意討ちすれば!」
二人がそう言ったタイミングで、近くを兵隊を陸揚げしたのだろう
ゴムボートが通りがかった
二人はそのゴムボートに助けてもらうと、一番近いMS空母
シチルストイへと向かった
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
『クソッ! 誰でもいい、鈴を援護出来ないか!?』
『無理だよ! 鈴と敵の動きが激しくって、味方誤射しかねないよ!』
一夏からの問い掛けに、シャルロットはそう返した
事実、二機は激しく動き回っており下手に攻撃したら鈴を撃破しかねなかった
その時だった
直哉機が盾を構えて一夏の前に出た直後、二発の砲弾が盾に当たった
『なに!?』
『レーダーに反応なんて!?』
一夏と箒は驚くが、直哉は無言だった
だがその表情は、険しかった
直哉には、ある確信があった
敵は、自分が知ってる相手だと
『見つけましたわ! 10時の方向、距離約四千!』
とセシリアは言いながら、データリンクで捕捉した敵機の映像を共有した
全員に見えたのは、緑色に塗装された右手に大きな鎌を持って、甲羅を背負った印象の機体だった
その機体を見て、直哉は目を見開いた
直哉はその機体を、よく知っていたからだ
そして、その機体から感じる気配を……
「あいつは、俺がやる!」
『直哉!?』
一夏の驚く声を聞き流し、直哉は最高速で突撃した
敵は迎撃のためだろう、その甲羅の両側面のレールガンを次々と連射した
直哉はそれを最低限の動きで避けきると、ビームサーベルを抜刀
斬りかかった
敵機も座して待っているわけではなく、右手で持っていた鎌でビームサーベルを防いだ
二機の間で激しく火花が散り、二機のボディに当たる
敵機は直哉機を押し飛ばそうとしたのか、鎌を両手で保持した
その直後、直哉は敵機の右手を掴んだ
そして
「
と声を上げた
すると、接触回線で通じたらしく、敵機パイロットの息を飲む音がして
『なお兄……? なお兄!』
と敵機
フォビドゥン・ガンダムのパイロット、織斑円夏の声が聞こえた
直哉はつばぜり合いを装いながら、フォビドゥンに更に肉薄し
「なぜだ! なぜ、円夏がフォビドゥンに乗ってるんだ!?」
と円夏に問い掛けた
すると、円夏はすすり泣くような声で
『あのタイタン戦争で、なお兄が編成された第一次ファントムペインは全滅したって聞いて……一時期は
「
円夏の言葉を聞いて、直哉は驚愕した
その計画は、強化人間計画と同じように倫理を真っ向から否定した計画だった
「まさか……残る二人は、シェスチナとビャーチェノワか!?」
『そう……ソードカラミティに乗ってる!』
円夏の言葉を聞いて、直哉は歯噛みした
下手したら、何も出来ぬまま負けると
「ちっくしょぉぉぉ!!」
直哉の叫びが、狭いコクピット内で木霊した
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
『HQより全軍に通達! ユーラシア連合のガンダムタイプの投入を複数確認! 全軍警戒されたし!』
「もう目の前だよ! クソッたれ!」
通信将校の遅かった通達に、義之は悪態を吐いた
今義之の目の前には、友軍たる一機のアストレイから対艦刀を抜いたオレンジ色の機体
ソードカラミティが居た
しかもその肩には、魔女を彷彿させる女のペイントが施されていた
「ユーラシアの魔女……セルベリア・ブレスか」
義之がそう呟くと、ソードカラミティは持っていた対艦刀をバックパックに懸架した
すると、電子音が鳴り響いた
「レーザー通信だと?」
それは、ソードカラミティからだった
義之は少し迷ったが、通信回線を開いた
すると、コクピット上部の小型サブモニターに銀髪に赤目が特徴の女が映った
『こうして顔を合わせるのは初めてだな。私の名は、セルベリア・ブレス。ユーラシア連合軍、マクシミリアン殿下が配下の大佐だ』
「初音島統合防衛軍特務部隊、ワルキューレ隊隊長。桜内義之大佐だ」
義之はセルベリアが名乗ったから、礼儀として名乗り返した
だが、油断は一切していない
油断出来る相手ではないと、知っているからだ
『要件はひとつだけだ……貴様の命、貰い受ける』
「てめぇなんぞに、やれる命じゃないんだよ」
二人はそう言うと、互いに構えた
今ここに、両軍のエースパイロットの戦いが始まる
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
少し時は遡り、とある艦上では
『殿下……遅くなりましたが、全軍の準備、整いました』
『うむ……』
と会話が行われていた
そして、紫色の機体がその目を光らせて
『諸君! 今、大恩ある初音島に危機が訪れている! 恥知らずに攻めいってくるは、言わずと知れた大国。ユーラシア連合!』
と演説を始めた
周囲には様々な色合いの機体が展開しており、演説を無言で聞いている
『初音島は流浪の身と化した我々を受け入れてくれただけでなく、逗留地や食料、医療品などを融通してくれた……その大恩ある国を見捨てていいのか? 否! 断じて否だ! 今ここで、あの美しき桜の咲き誇る国を見捨てたら、我々子孫末代までの恥ぞ!』
その演説が進む度に、展開している機体から
いや、機体だけでなく艦隊からも気迫が滲み出す
そして、紫色の機体はビームサーベルを抜刀すると、高々と掲げて
『行くぞ、諸君! 我に続け!!』
と宣言すると、万雷の如くに雄叫びが響き渡った