機動戦士ガンダム 英雄黙示録   作:京勇樹

57 / 136
それは、義による動き


烈士たち

「っく、強いっ……!」

 

義之は相手が振り下ろした対艦刀を、ビームサーベルで軌道を変えることで防いだ

しかし、相手

セルベリア・ブレスが駈るソードカラミティの方が、性能が高い

性能が高いだけなら、義之の技量で倒せるだろう

それは、ウィンダム戦で実証されている

ウィンダムの性能は、ストライクと同等か少し高い位だ

しかし、そのウィンダムを義之は難なく撃破していた

しかし、目の前のセルベリア・ブレスはそうはいかなかった

機体性能、そしてパイロットたるセルベリア・ブレスの腕

その両方が合わさって、義之を圧倒していた

 

『これで、終わりだ!』

 

セルベリア・ブレスはそう言うと、両肩のビームブーメラン

マイダス・メッサーを投擲した

 

「それのことは、よく知ってるよ!」

 

義之はそう言いながら、ビームサーベルと楯でマイダス・メッサーを弾いた

マイダス・メッサーはブーメランという形状上、避けても戻ってきて背後から機体に襲い掛かる

故に、避けるよりも弾くのが正解だった

義之は、それを熟知していた

ストライクのストライカーパックの一つ

ソードストライクの武装の一つだからだ

そして、マイダス・メッサーを弾いた直後、ストライクの目前に対艦刀を振り上げたソードカラミティの姿があった

どうやら、マイダス・メッサーを投げたと同時に前に出たらしい

 

「しまった!?」

 

『終わりだ、英雄!』

 

義之は相手の策に気付いたが、時既に遅し

対艦刀が、ストライクに振り下ろされた

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

直哉と円夏の戦いは、まだ続いていた

互いに武装を振るい、何とか傷を付けないように倒そうとしていた

その時だった

 

『M、何時まで一ヶ所で遊んでるのかしら?』

 

と女の声が聞こえた

 

『スコール!!』

 

「スコール少佐か!?」

 

円夏の通信画面に見えたのは、金髪の美女

スコールだった

スコールは嫌な笑みを浮かべて

 

『数で押されてるのかわからないけど、手伝ってあげるわね』

 

と言った

 

『待て、スコール! 逃げて直兄! プラーフカが、プラーフカが起動する!』

 

「プラーフカだと!?」

 

直哉が驚愕した直後、フォビドゥンガンダムの眼が赤く光り、円夏の後ろから不気味な蒼い光が溢れた

次の瞬間、アストレイの右腕が飛んだ

フォビドゥンがその鎌で斬ったのだ

 

「くっ!?」

 

直哉は急いで距離を取ろうとしたが、フォビドゥンは付かず離れずを維持していた

それは、セシリアがスナイパーライフルで狙ってることに気付いているからだ

それだけじゃない

今円夏は、未来を予測しているのだ

少しでも離れたら、自分に向かってセシリア達の砲撃が殺到すると

だから、直哉に近い方がいいと

そうすれば、一番脅威度が高い直哉機を葬ることが出来ると

 

『アハハハハハハハハハ!』

 

「ちいっ!」

 

直哉は距離を離そうと左手の楯を突き出したが、フォビドゥンは軽やかに回避

鎌の石突きで直哉機のコクピット部分を叩いた

 

「ガハッ!?」

 

その衝撃で、直哉の意識が一瞬途切れた

その隙を突いて、フォビドゥンは直哉機の左肩を掴んだ

 

『あれでは、援護出来ませんわ!』

 

『あの野郎、直哉を楯に!』

 

直哉を楯にされては、一夏達に手出しは出来なかった

円夏には、それも予測出来ていた

それが、プラーフカの効果だった

プラーフカ

それは、二人が互いにリーディング、プロジェクションと呼ばれる超能力を使い、互いの思考を読み、更に自分の思考を相手に投射するということを繰り返し行うことにより、因果量子論を用いて、擬似的に未来を見ることを可能にしているのだ

だが、フォビドゥンに乗っているのは人間は円夏のみ

《人の形を保っているのは円夏》のみだ

円夏の座っているシートの後ろには、楕円形の白い機械があった

大きさは、約1m足らず

その中に、人の脳髄が入っているのだ

リーディングとプロジェクションは、最低でも脳髄があれば行える

薬物と電極による信号で実行させるのだ

しかし、リーディングとプロジェクションは多大な負荷が掛かる

円夏は休めば大丈夫だろうが、機械に納められた脳髄は休めない

実質的に、使い捨てなのだ

だったら、その脳髄はどうやって集めているのか

それが、強化人間計画と同時期に立案された計画

π3(ポールザイナトミィ)計画だった

遺伝子調整により人工的に二つの能力を持った子供達をクローニングで大量に作り出し、一定値の能力を出した個体から脳髄を摘出し、機械に納めるのだ

人道だけでなく、倫理観も無視した計画

それが、π3計画だった

そして、ソードカラミティに乗っているクリスカとイーニァはその個体だ

彼女達は自分の意思でそれを発動させることが出来るので、特別に機体に搭乗させているのだ

直哉を楯にしたフォビドゥンは、至近距離でビーム砲

フレスベルグを撃とうとした

その証拠に、砲口にエネルギーが収束してきている

 

『直哉ぁ!』

 

それに気付いて、一夏がスラスターを吹かした

しかし、間に合わない

砲口の光りが臨界になった

正にその時、山吹色の機体がフォビドゥンに斬りかかった

フォビドゥンは直哉機から手を放し、距離を取って現れた敵目掛けてフレスベルグを放った

その一撃を、山吹色の機体

龍閃は敢えて前に出て回避

ビームサーベルをフォビドゥン目掛けて振り下ろした

その一撃を、フォビドゥンは更に距離を取って回避した

そのフォビドゥン目掛けて、一夏達からの砲撃が殺到

フォビドゥンは楯を展開して防御

不利と悟ったのか、離れていった

それを確認してか、龍閃はゆっくりと意識朦朧となっていた直哉機に歩み寄った

 

『龍閃ってことは、帝国近衛軍!?』

 

『なんで、彼らが?』

 

『待って、帝国近衛だけじゃない! 帝国軍もEU軍も展開してる!』

 

簪機が指差した先では、烈空やジントーナードADVが共に戦っていた

 

『一体、何が……』

 

一夏達は現状を把握しきれず、呆然としていた

その間に、龍閃は直哉機の肩に手を置き

 

『無事だな、直哉』

 

と龍閃のパイロット

篁唯依は語りかけた

ここから、どんでん返しが始まる

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。