天枷研究所
地下90番格納庫前
「まさか、またここに来るなんてな……」
義之は前タイタン戦争が始まる前に、ストライクを受領する時にこの90番格納庫に来たのだ
この90番格納庫に来たのは、それ以来久しぶりだった
今義之の両側前には二人の整備員居り、二人の手にはそれぞれ色違いのカードキーが握られている
その整備員達は、互いに顔を見合わせると
「大佐、扉を開けます」
「よろしいですか?」
と義之に問い掛けた
「頼む」
義之がそう言うと、二人は顔を見合わせて頷き
「1、2の3!」
とタイミングを合わせて、カードキーをスラッシャーに通した
すると、巨大な扉が重厚な音を立てながらゆっくりと開いた
開ききると、整備員達が振り向いて
「中へどうぞ」
と言った
それを聞いて、義之は無言で中に入った
ある場所まで入ると、扉が閉まった
一瞬部屋の中が真っ暗になったが、すぐに電気が点灯
義之はそれを左腕を目の前に上げて耐えると、その機体を見た
PSが入っていない証の鉄灰色の装甲
特徴的なツインアンテナと、デュアルアイのガンダムを
「この機体……ストライクの後継機か?」
「その通りです、大佐殿」
義之の呟きに対して、誰かが答えた
声のした方向を見ると、50代半ばと思われる男性技士が居た
その男性は、天枷研究所に於いてさくらの補佐をしている人物だった
その男性は、義之の隣に立つと
「型式は、GATーX10A。機体名はフリーダムです」
と説明した
「フリーダム……」
義之は呟きながら、自由の名前を冠した機体を見上げた
すると、男性が
「この機体は、初音島が有する全ての技術を投入して作られた、大佐専用機です」
と言った
「俺専用機?」
「はい。OSからフレーム強度、武装……それら全て含めて、大佐の運用データから得られた情報を基に、開発しました」
義之の問い掛けに対して、男性がそう答えた
「そして、MSの中では破格のシロモノも搭載しました……」
「破格のシロモノ?」
義之が問い掛けるが、男性は頷いて
「申し訳ありませんが、私からは説明出来ません。大佐御自身の眼で御確認ください」
と言った
そして、一歩下がると
「初音島を、よろしくお願いいたします」
と敬礼した
義之は返礼すると、フリーダムのコクピットに乗り込んだ
そして、機体を起動させた
すると、HUDにOSの起動シークエンスが表示されたのだが
GENERATIOM
UNSUBDUED
NUCLEAR
DRIVE
ASSAULT
MODULE
と表示された
義之はその一文を見て、驚愕した
「ニュークリア……核駆動なのか!?」
核融合炉は、確かに存在する
しかし、そのサイズはとても大きく、MSに搭載出来るとは思っていなかった
義之が驚いていると、HUDにさくらの顔が映った
「さくらさん!?」
『義之くん、先に言っておくけど、これは録画だよ』
画面に映ったさくらに義之は問い掛けようとしたが、その言葉に口を閉じた
考えてみたら、今のさくらには余裕は無いだろうことが予想出来た
『OSの起動シークエンスを見た義之くんならもう分かってると思うけど、フリーダムを含めた三機には常温核融合炉が搭載されてるの』
さくらの説明を聞いて、義之は目を見開いた
常温核融合炉
それは、前歴たる西暦1945年にイギリスで理論のみ発表された機関だった
しかし、技術的な問題で当時は誰にも見向きもされず、西暦中に於いても結局開発は不可能とされた
そして、太陽歴に入ってもどこの国も採用したという話は聞いたことがなかったのだ
『その常温核融合炉を、僕たちはMSに搭載出来るサイズの開発にも成功して搭載したの。つまり、理論上だったら半永久的にエネルギーの生成を可能としてるの。でも、時間内発電量を超えるエネルギーを使ったらエネルギー切れになるから、気をつけて』
さくらがそう説明すると、サブ画面に10分毎の発電量が表示された
義之がそれを確認すると
『お願い、義之くん……初音島を、守って』
とさくらは言いながら、頭を下げた
そこで映像が終わり、外の光景が見えた
そして義之は、PS装甲のスイッチを入れた
それにより、フリーダムの装甲は鉄灰色から白黒青に変わった
それを確認したからか、フリーダムの上のハッチが次々と開いていく
そして、全部開いたからか
『進路、オールクリア……フリーダム、出撃どうぞ!』
とオペレーターが言ってきた
それを聞いて、義之は操縦捍を握り締めて
「オーディーン1、桜内義之……フリーダムガンダム、出るぞ!」
と言って、スラスターペダルを踏んだ
そして、蒼翼の機体は祖国の平和を掴むために降臨する