機動戦士ガンダム 英雄黙示録   作:京勇樹

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強化人間

ファントム・ペインを撃退したワルキューレ隊とホワイトファング隊は、アメノミハシラに帰還した

世界初の低軌道ステーション、アメノミハシラ

今現在、出来ているのは約四割程

その建造には御剣財閥も関わっている

そして、一行が機体から降りると

 

『お帰り、義之』

 

と麻耶が来た

その後には、ノーマルスーツを着た整備兵達が続々と入ってくる

そしてテスタメントのコクピットからは、直哉が出てきた

 

『神崎少尉、テスタメントはどう?』

 

『やはり、加速性能が素晴らしいですね。しかし、もう少し遠距離戦闘用の武装が欲しいところです』

 

虚に問い掛けられて、直哉はそう答えた

それを聞いて、虚は

 

『今本国の天枷研究所で、専用ライフルを開発してるわ』

 

と言った

それを聞いて、直哉は

 

『それは楽しみですね。では』

 

と敬礼し、虚から離れた

そして、義之達に続いてハンガーから出た

その後、義之達はパイロットスーツを脱いで話していた

 

「今回のは、どういう奴等か分かるか。神崎少尉」

 

「恐らくですが、強化人間でも……所謂成功個体は居ないでしょう……動きが中途半端でしたから」

 

義之に問い掛けられて、直哉はそう答えた

すると、義之は

 

「つまり、失敗個体……と?」

 

と問い掛けた

すると直哉は、僅かに俯いて

 

「ええ……恐らく、俺と同類かと……自我が崩壊仕掛けていたか、崩壊した個体かと……」

 

と答えた

それを聞いた唯依は歯を鳴らして

 

「外道共が……」

 

と声を漏らした

確かに、それは道を違えた所業だった

すると、義之が

 

「すまんな、神崎少尉……辛い戦いをさせている」

 

と謝罪した

すると、直哉は

 

「いえ……同類を倒すのが、俺の役割でしょう……第一期ファントム・ペインのたった一人の生き残りの俺の……」

 

と言った

第一期ファントム・ペイン

タイタン戦争にて投入されたのは、108人

機体は、デュエルダガー

普通のパイロットでは扱えない機体で、増加兵装フォルテストラを装備する機体もあった

それらは危険で生還が望めない戦域に投入され、直哉以外は全員が死亡したのが確認された

直哉も助けられたのは、本当に偶然だった

直哉が居た部隊が投入された場所と、ユーラシア大陸に派遣された千冬率いる部隊がたまたま近い戦域で戦っていたこと

そして千冬の部隊が、逃げたタイタンを追撃したこと

何より、撃破された直哉機がコクピット部分をたまたま外して無事だったこと

これらが重なり、直哉は救助された

しかも、直哉が初音島国民として登録が残っていたこと

そこから直哉は、さくらと束が筆頭として治療が施され、織斑家で一年掛けて自我を取り戻した

その後は、千冬を説得し防衛軍訓練校に入隊

現在に到る

 

「その第一期ファントム・ペインの指揮官だったのが、スコール・ミューゼル、オータム。そして……セルベリア・ブレス」

 

その三人は、第二次初音島攻防戦の際にもMSパイロットとして出撃

多大な戦果を上げていたらしい

特にセルベリア・ブレスは、ストライクに乗っていた義之を追い詰めた

その腕の高さは、折紙付きだろう

そして、スコールとオータムの二人は副隊長二人を含むGATを相手に互角に戦った

その前に戦ったアストレイ隊は、幾つか全滅している

その強さは、かなりだろう

そして、直哉機と戦ったフォビドゥン

織斑円夏

千冬に問い掛けたら、答えた

一夏の、双子の妹と

今は居ない千冬と一夏の両親

織斑百春

織斑秋十

この両親が、円夏を連れて消えたということだった

そして調べてみたら、両親は薬物学博士だった

それも、人体に深く関わる薬物

恐らく、ユーラシア連合から接触があったのだろう

そして、円夏を連れてユーラシアに向かった

 

「そして、π3計画か……」

 

「俺が知っているのは、その根幹を為す繭……コクーンを作るのに、クローンを大量に作り出し、また犠牲にした。という位です……」

 

余りにも、人道を無視した計画

それをして、何を目指したかったのか

だが最早、それは世界中に知られた

今は名ばかりの国連も、ユーラシア連合に対して制裁を決めた

だが、ユーラシア連合は未だに大国

多少の制裁などは、意味を成さない

どうすればいいのか

 

「今俺達が考えても、仕方ない……出撃した各員は、詳細をレポートにして各代表に提出してくれ」

 

「了解」

 

義之のその言葉を最後に、一堂は解散

部屋に向かった

その後直哉は、戦闘詳報を纏めて、義之宛に送った

そして、背伸びをしているとノックされた

 

「どうぞ」

 

と直哉が入室を促すと、ドアが開いて長い黒髪が見えた

その主

篁唯依の肩には、小さいショルダーバッグがあった

唯依はそのショルダーバッグを下ろすと、中から注射器を取り出して

 

「直哉、薬を打つぞ」

 

と言った

 

「すまんな。本来、帝国近衛の筈の唯依にさせて」

 

「仕方ないだろう。お前は、医務官資格が無いし、此処の医務官も忙しいからな」

 

直哉が謝罪すると、唯依はそう言いながら注射器の中に薬液を規定量まで満たした

そして、気泡を抜くと唯依は直哉の腕を掴んだ

そして、消毒を済ませると注射を手早く済ませた

その後、注射器を仕舞うと唯依は

 

「簡単には、治らないのか……」

 

「ああ……まだ掛かる見込みだ」

 

唯依の問い掛けに、直哉はそう答えた

それは、直哉に施された強化施術

それに使われた薬物の、禁断症状だった

今しがた唯依が打ったのは、その禁断症状を緩和する薬である

未だに、完治の目処は立たない

だが、少しでも禁断症状による激痛を抑えるための薬である

それをさくらが、唯依に預けたのである

そして唯依は、注射器を仕舞うとショルダーバッグを肩に掛けて

 

「また後でな」

 

と言って、部屋から出たのだった

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