機動戦士ガンダム 英雄黙示録   作:京勇樹

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緊急事態

それが起きたのは、9月頭だった

 

「間違いないんだな?」

 

「ええ……アイスランド領ではキノコ雲が。カムチャッカでは、巨大な機体が確認されたわ」

 

義之の問い掛けに、麻耶はそう言いながら会議室のディスプレイに写真を表示させた

その会議室に居るのは、アメノミハシラに駐留してる全軍人だった

国籍や所属する軍はバラバラだ

だがそこに集まっているのは、対ユーラシア連合の名の下に集った者達だ

その実力は、折り紙付きである

 

「まず、アイスランドのキノコ雲のほうですが……核ではないことが人工衛星により確認されています。恐らくは、気化爆弾だと思われます」

 

麻耶はそう言いながら、人工衛星で観測されたのだろうデータを表示した

そして次に、遠目だが起爆した後の写真も表示された

よく見れば、キノコ雲が二つある

 

「二発も使われたのか……アイスランドで戦闘は?」

 

と問い掛けたのは、唯依である

すると麻耶は

 

「欧州連合軍の報告では、確認されなかったそうです」

 

と言った

そして最後に表示されたのは、無惨な光景のアイスランド領だった

もはや、生き残りは絶望的だろう

アイスランドに展開していたダルクス軍は、全滅

更に言えば、アイスランドには数多の民間人が居た

それも、全員死んだだろう

そして、新しく画像が表示された

それは、人工衛星から撮影されたのだろう

上からだった

街は灰塵に帰していた

そして街中には、巨大な機体が居た

 

「こいつは……MAか?」

 

と言ったのは、シオンだった

シオンは地上から物資を運んできたタイミングだった

 

「はい……推測では全長は60mに達するそうです」

 

「デカッ」

 

麻耶の言葉に絶句したのは、御剣警備MS隊の明久だ

今現在、アメノミハシラに所属しているのは一個中隊規模だ

明久は、その第一小隊隊長としてそこに居た

今現在、御剣グループでは新型MSの開発計画が進行しているらしい

 

「今から衛星にて撮影した映像を流します」

 

麻耶はそう言うと、パソコンを操作した

すると、映像が始まった

それは、海側から侵攻してきた

その動きから察するに、ホバーで移動しているらしい

その時、上部のビーム砲を撃った

その一撃は凄まじく、一撃で街並みが吹き飛んだ

すると、山沿いの基地から次々と機体が出撃してきた

ザクフライトとグフイグナイテッド

そして新型機のバビがその巨大機体に攻撃を開始

だがその攻撃の悉くが、光の膜に防がれた

そして、機体の全身に配置されている火器を一斉解放

ダルクス軍の機体は、全て撃破された

短時間で、出撃してきた師団規模が壊滅

カムチャッカは、炎に飲まれた

映像が終わると、義之が

 

「なんて機体だ……」

 

と呟いた

すると唯依が

 

「まるで、破壊の化身だ」

 

と呟いた

その時

 

「まさか、デストロイ……か?」

 

と直哉が首を傾げた

 

「デストロイ?」

 

「ああ……桜内大佐」

 

唯依の問い掛けに頷くと、直哉は手を上げた

すると義之は、直哉に視線を向けて

 

「どうした、神崎少尉」

 

と直哉の名前を呼んだ

すると直哉は、映像の機体を指差して

 

「恐らくですが、その機体の名前はデストロイかと思われます」

 

と言った

全員の視線が直哉に集まる中、直哉は

 

「その機体は、自分が覚えている限りですが……強化人間専用機体です」

 

と言った

 

「強化人間専用機体……」

 

「はっ……強化人間を生体CPUとして、扱う機体です」

 

義之がオウム返しに言った後、直哉がそう言った

すると、会議室がざわめいた

 

「自分が居た時は、機体のOSと強化人間を直接繋いで動かすと聞いてましたが、当時は挫折。第一期ファントム・ペインはデュエルダガーにて出撃しました」

 

直哉の説明を聞き、義之は苦い表情を浮かべ

 

「機体のOSと直接繋ぐ……どうやるか分からんが、胸糞悪い話だな……その感じだと、生体CPUとして使われた強化人間は使い捨てか……?」

 

「恐らくは」

 

義之の問い掛けに、直哉は頷いた

そして義之は、少し考えると

 

「麻耶、今の話を簡潔に纏めて各国に送れ」

 

と麻耶に命じた

それを聞いた麻耶は、端末を取り出した

そして義之は、キノコ雲の写真を表示させて

 

「問題は、これだな」

 

と言った

 

「なにが問題なんですか、桜内大佐」

 

とシオンが問い掛けると、義之は

 

「今確認した限りでは、ユーラシア連合軍各基地からも、人工衛星からも発射した形跡は無いらしい」

 

と言った

その言葉に、また会議室がざわめいた

 

「もしかしたら、車両により現地に運びこんで、という方法かもしれんが、現状は不明だ」

 

義之はそう言ったが、それは限りなく難しい

気化爆弾は、製造が難しい

それだけでなく、ダルクスの検問はかなり厳しいと確認されている

 

「まあ、俺達がああだこうだと言っても仕方ない」

 

義之のその言葉で、会議は終了

各員は部屋に戻った

混迷の時代

この後どうなるのかは、誰にも分からない

だが、戦火は広がる一方だった

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