9月末日
それは、再び確認された
「大佐!」
「落ち着け! 状況は?」
義之が会議室に入るとざわめき、義之は一喝すると麻耶に問い掛けた
すると麻耶は、パソコンを操作して
「御覧ください。自由ユーラシア連邦領内にて撮影された写真です」
と言った
すると正面スクリーンに、キノコ雲が写された
その場所は、今現在自由ユーラシア連邦と呼ばれている国
その対ユーラシア連合前線基地のあった場所だった
「自由ユーラシア連邦軍からの発表では、基地を中心に半径10kmが壊滅……生存者は、確認されないと」
麻耶のその報告に、再び会議室がざわめいた
「……攻撃方法は?」
「ミサイルではありません。それが、宇宙から投下されたと」
義之の問い掛けに、麻耶はそう答えた
「人工衛星は?」
「その宙域を通る、投射式人工衛星は確認されていません」
麻耶の報告を聞いて、義之は腕組みした
(人工衛星ではない。考えられるのは、宇宙に機動兵力を展開。それが、気化弾頭を投下した。しかないか……)
すると、麻耶が
「大佐」
と声を掛けた
それにより、義之の意識は現実に戻り
「恐らくだが、ユーラシア連合の特務機。または、特務艦が、投下した可能性が高い」
と言った
義之のその話を聞いて、三度会議室がざわめいた
すると、明久が
「大佐、その特務機か特務艦とは、なんでしょうか?」
と問い掛けた
すると義之は
「恐らくだが……ミラージュコロイドを装備した機体か艦になる」
と言った
それに対して、唯依が
「機体は分かりますが、艦……ですか?」
と問い掛けた
その問い掛けに、義之は頷き
「理論上は可能だ……麻耶」
と言って、麻耶に視線を向けた
すると、麻耶は頷いて
「ミラージュコロイド粒子の精製エネルギーやコストは非常に掛かりますが、可能です。もし、アークエンジェルサイズで作ろうとしたら、予想ですが、10兆単位は下りませんが」
と言った
その説明を聞いて、絶句した
その金額は、日本帝国の国家予算の四割に達するからだ
それだけの金額、簡単には使えないだろう
しかし、戦術的価値は高い
隠密行動により、此方が気づかぬ間に懐まで入られる
「そうなったら、見つけられないわね……」
と言ったのは、優子だ
彼女は、明久達御剣財閥MS部隊CPチーフとして着任している
すると、義之が
「いや、見つける方法はある」
と言った
義之の言葉に、全員の視線が集中した
すると義之は、頭を掻いて
「本来は、我が国の重要機密だが、俺の権限で開示する」
義之はそう言うと、自身のIDカードをパソコンのカードリーダーに通した
すると、スクリーンにその名前が表示された
「ミラージュコロイド・デテクター?」
と唯依が呟くように言うと、義之は頷いた
「これは、ミラージュコロイド粒子から発せられる独自の波長を捉える機器だ。これを使うことにより、ミラージュコロイドを使っている機体や艦を見つけることが出来る」
その説明を聞いて、ワルキューレ隊以外は誰もが固まっていた
なにせ、ミラージュコロイドは初音島が作り出した世界最高のステルスである
そのミラージュコロイドを展開している機体を見つけるのは、実質不可能と言われている
実際、今ミラージュコロイドを有しているAGF天美夏(ミナのこと)
それと度々演習したが、他の国の軍は見付けられた試しが無かった
そのミラージュコロイド展開機を、見つける装備があったのだ
「だが、これには欠点がある。エネルギー消費が激しいことだ。もし、このミラージュコロイド・デテクターを装備・使用しながら戦闘した場合、通常のバッテリー式機体は、約20分でエネルギーが切れる」
義之がそう言うと、唸り声が聞こえた
それは、仕方ないだろう
たった20分しか、エネルギーが切れるのだから
しかも、戦闘は必然的だろう
それを考えると、単機で動かす訳にはいかないだろう
誰もがそう考えた時
「なれば、そのセンサーは自分が運用します」
と直哉が前に出た
「神崎少尉……」
「自分の機体は、大佐や伊隅中佐と同じく核駆動機です。エネルギーの心配は解消されます。更に、もし見つかっても機動性で逃げ切ることが可能かと思われます」
直哉がそう言うと、誰もが沈黙した
確かに、理には叶っている
しかし、危険さは変わらない
だが、直哉の腕は会議室に居る誰もが知っていた
そこに、テスタメントの核駆動と規格外とも言える高い機動性
それらが合わさり、単機で一個中隊は楽に相手出来る程だった
すると、義之が
「アホか。誰が、単機で行動させると言った」
と言った
そして義之は、唯依に顔を向けて
「篁中尉。貴官の部隊で、彼の護衛。頼めるか」
と言った
それを聞いた唯依は、真剣な表情で
「無論です、大佐殿。大事な部下殿の護衛、我が中隊にお任せを」
と告げた
それを聞いて、義之は頷き
「では、篁中尉。貴官にミラージュコロイド・デテクターを運用する我が部下の護衛を任せる」
「はっ!」
義之の命令に、唯依は敬礼で答えた
すると義之は
「近いうちに、本国に頼んでミラージュコロイド・デテクターを上げてもらうように頼む。他の部隊は、篁中尉から要請があったら、直ぐに動けるようにしておけ!」
と言った
こうして、宇宙での戦いは始まった