『た、隊長ー!?』
『脱出しろぉ!』
『CP! このままでは、長くは!?』
その報告を聞いて、ラトロワは歯噛みした
はっきり言ってしまえば、相手の戦力が予想出来る以上だった
『ターシャ、市民の避難状況は!?』
『八割が完了しました! しかし、残り二割が戦火で逃げ遅れています!』
ラトロワの問い掛けに、副官たるナスターシャ・イヴァノワ大尉はそう返した
しかし、データリンクで見た味方残存戦力が心許なかった
残存戦力は、残り四割
たった一時間足らずで、半分以上が撃破
もしくは、戦闘不能にされた
その時だった
『大佐、下がってください!』
と部下の声が聞こえた
その直後に、凄まじい密度の迎撃弾幕が形成された
その方向から来るのは、赤い機体だった
『あの形状は……フォビドゥンの改修機か!?』
『各機に通達! あれに、ビームライフルは意味を成さない! 格闘戦だ!』
『了解!』
ナスターシャの言葉を聞いて、ジャール大隊のパイロット達はビームサーベルと脚部ビーム刃を展開
接近を計った
しかし、それをロートフォビドゥンは増設された火器で次々と迎撃
近づいても、大鎌で切り裂かれた
そしてロートフォビドゥンは、フレスベルグを発射
それは不規則に曲がり、ナスターシャ機の足を吹き飛ばした
『ターシャ!?』
『大佐、逃げてください!』
ターシャがそう忠告するが、最早遅かった
気付けば、フォビドゥンが鎌を振り上げていた
ラトロワはビームサーベルで防ごうと反射的に入力していたが、間に合わないと分かった
だがその時、不意にフォビドゥンが後退
その直後に、一機のガンダムが現れた
そのガンダムは背部のストライカーパックが可変し、アームとなってフォビドゥンの居た場所に伸びていた
もちろん、そのガンダムの手にはビームサーベルがあった
識別は、GATーX12A
つまりは
『初音島のガンダムか!?』
援軍が来たということだ
『こちらは、ワルキューレ隊のものだ! 無事で!?』
『すまん、助かった』
ストらトス8
直哉の問い掛けに、ラトロワはそう答えた
そして直哉は、油断なくビームサーベルを構えながら
『こいつの相手は、こちらが引き受ける! 部下を回収し、後退を!』
と告げて、フォビドゥンに突撃した
その間に、ラトロワは機体から脱出してきたナスターシャを自機に収容し、部隊と一緒に後退を開始した
それと入れ替わるように、次々とMS隊が前進してきた
それは正しく、待ちに待った援軍
精鋭部隊の到着に、防衛部隊の士気は一気に上がった
しかし、ラトロワの指示
防衛ラインの維持を遵守
敵部隊との交戦は、降下部隊が中心に行った
その中で、直哉はロートフォビドゥンに積極的に交戦していた
以前は、自身の油断と機体スペックの差で負けてしまった
しかし、今は直哉自身もガンダムパイロット
しかも、乗っているのは初音島の有する機体の中でも最高峰の一機たるテスタメント
神罰の名を与えられた機体は、正に神罰を与えんとその能力を全解放した
何時もは緑色のデュアルアイが赤に変わり、装甲の色も白を基調にした配色から赤地に白い逆十字に変わる
そして最後に、胸部の排熱ダクトが全開になり、白い湯気が一気に吐き出された
その直後、馬鹿げた加速でテスタメントが突撃を開始した
それこそが、テスタメントの完全解放
高い耐G体質が与えられた直哉でも、長くは使えない切り札
その最高Gは、優に15を越える
直哉の体重は、約80kg近い
直哉の体に、常に1.2t近い重量が掛かる
それは、ゾウと何ら変わらない重さだ
しかも、その重さが掛かるのは前からだけではない
激しく動く機体の動きにより、一瞬にして変わる
そんな全開解放
直哉だけでなく、機体にも相応の負荷が掛かる
だから、発動したら短期で勝負を決めなければならない
でなければ、機体とパイロット
双方が再起不能になりかねない
『行くぞ……円夏!』
『アハハハハハハハハ!!』
今ここに、双方全開の戦いが始まった