機動戦士ガンダム 英雄黙示録   作:京勇樹

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混迷の戦場 地上

仁川での戦闘は、まだ続いていた

その原因となったのが、現れたデストロイだった

デストロイは攻防備わったMAで、更に厄介だったのが遠隔兵器

仮称ドラグーンだった

それは縦横無尽に宙を走り、自由ユーラシア軍を葬っていた

しかし自由ユーラシア軍は、最後の一機になろうが、逃げる民衆のために戦う気概で留まっていた

既に、少なくない犠牲が出ていた

その怒りを気力に変換し、暴虐の化身に向き合っていた

 

『この、デカブツがぁぁぁぁぁぁぁ!!』

 

『てめぇらなんかに……てめぇらなんかにィィィィ!!』

 

『畜生がぁぁぁぁぁぁぁ!?』

 

しかしまた、一個小隊がビーム砲の直撃で消し飛んだ

そこに、英雄達が舞い込む

 

『オーディーン1より、オーディーン、アテナ、アストレア、スクルド各隊に通達する! 車掛かり(ホイールラッシュ)! 周囲のザコを蹴散らし、あのデカブツの足を止めるぞ!』

 

『了解!!』

 

義之の指示に従い、四隊がまるで風車のような動きをしながらデストロイの周囲に展開していたスローターダガーを撃破

そして、デストロイに迫った

しかしデストロイに放った攻撃は、全て防がれた

それの正体は、デストロイの各所に設置された防御兵器

陽電子リフレクターだった

その防御力はなんと、アークエンジェルに搭載されている破城砲

ローエングリンを防ぐことが出来るのだ

それにより、デストロイに向けて放った攻撃の全てが防がれた

 

『なんで防御力なの!?』

 

『弱音厳禁ですよ!』

 

あきらの弱音を聞いて、由夢がそう言いながら向かってきていたミサイルを迎撃した

その時、デストロイが動きを止めた

 

『なんだ!?』

 

『一体、何を!?』

 

デストロイが動きを止めたことを怪しんで、一同は一度動きを止めて構えた

すると、それまで足が生えた貝のような見た目だったデストロイが変形を開始した

そして、真の姿を見せた

ドーム状の中から現れたのは、特徴的なデュアルアイとV字アンテナ

そして、それまで逆関節だった足が前を向いて、飛んでいたドラグーンは巨大な両手となる

それは、まさしく

 

『が、ガンダムだと!?』

 

『こいつ、ガンダムタイプだったのか!?』

 

デストロイの正体は、可変式MAだったのだ

デストロイは両腕を掲げると、両腕だけでなく全身の火砲を一斉に解き放った

その弾幕は、正に暴虐の嵐と言えた

ワルキューレ隊は散開しながら、乱数回避

なんとか無事に、回避した

しかし、自由ユーラシア軍は回避が遅れた一個中隊が吹き飛んだ

更に、避難民をトラックも消し飛んだ

たった一斉射で、仁川だった街の三割が焼け野はらに変わった

それを見て

 

『ワルキューレ隊! こいつをこれ以上進ませるな! なんとしても、足止めしろぉぉぉ!!』

 

と義之が、叫ぶように指示を下した

それを聞いて、ワルキューレ隊は斉唱と共に突撃した

破壊の名を冠した暴虐の化身を、撃破するために

 

『アハハハハハハハハハ!!』

 

『お、オオォォォォォアァァァァァ!!』

 

場所は変わり、仁川の町外れでは狂笑と雄叫びが、その戦域を支配していた

互いに死角を突いて攻撃するが、それは共に空を切る

そして、二人の戦いは徐々に限界が近付いていた

円夏はまるで、泣くように目から血を流していて、直哉は口端から血を流していた

円夏は未来予測が脳に禍負荷を与え、直哉はGが体にダメージを与えていた

そして、直哉の援護に来たホワイトファング隊は、カラミティとレイダーの改修機体

ブラウカラミティとゲルプレイダーの二機と交戦していた

ブラウカラミティは、その圧倒的火力で濃密な弾幕を形成

ゲルプレイダーは、強化された機動で空を駆け巡り、凶悪な見た目になったハンマーを繰り出した

ホワイトファング隊はそれを回避しつつ、その二機に攻撃を加えていた

数では勝っているのに、決定打を与えられずにいた

それを可能としたのは、それぞれ強化された機体と更に施された強化施術だった

ファントムペイン、第一MS小隊

セルベリア隊

セルベリア隊は、他の部隊とは違い成功個体のみで構成されていた

勿論だが、強化施術が成功したからとはいえ、一概に強いとは言えない

たとえ強化施術が成功しているとはいえ、その技量を使いこなせなければ意味はない

しかしセルベリア隊は、それら全てをパスした隊員のみで構成されている

MSの性能だけでなく、パイロット達の技量が合わさって、たった二機で精鋭一個中隊に匹敵していた

 

『くっ……近付けん!』

 

『大尉、ここは一度後退したほうが!』

 

『ならん! 今我々が後退したら、ストラトス隊が挟撃される!』

 

副官雨宮の言葉に、唯依はそう返した

直哉以外のストラトス隊は、スローターダガー隊と交戦しており、確かに二機を通したら挟撃されるだろう

そうなったら、ストラトス隊に少なくない被害が出るだろう

それを、唯依は是としなかったようだ

しかし唯依は、サブモニターに表示されていたある情報に目が向けられていた

それは、直哉のリアルタイムバイタルデータだった

直哉の体には、大Gによるダメージが蓄積

もはや、一刻の猶予もなかった

しかし、二機が邪魔で直哉の援護が出来なかった

 

(頼む、勝ってくれ……直哉!)

 

唯依には、そう祈ることしか出来なかった

戦局は、どうなるのか……

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