機動戦士ガンダム 英雄黙示録   作:京勇樹

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目的の場所

戦闘が終結した翌日昼過ぎ、なんとか直哉は峠を越えた

しかし、未だに余裕が無いのは事実だった

直哉だけではなく、直哉の機体

テスタメントも、中破レベルのダメージがあったからだ

見た目の損傷は頭部だけだが、機体内部に機能全開のダメージが大きかった

特に、強引な軌道変更を行った下半身とスラスターに高いダメージがあった

それを直すには、本国かアメノミハシラに帰還するしかないだろう

そして、直哉が治った理由は

 

「いやぁ、間に合って良かったよ」

 

と言った、一人不思議の国のアリスというべき服装の女性

その名前は、篠ノ之束

初音島が世界に誇る天才の一人で、箒の姉である

彼女はロボット工学の天才だが、人体工学にも長けている

そして何より、さくらと一緒に直哉に投与された薬物の特定をした人物だ

故に、さくらが大統領として忙しい今は彼女が頼りだった

 

「すいません、束さん。ここまで来てもらって」

 

「いいよー。丁度暇してたから……それに、この子も直さないとね」

 

義之に返答した後、束はそう言って駐着されているテスタメントを見上げた

テスタメントの開発には、彼女も関わったのだ

ある意味、テスタメントは子供のような感じだろう

そして束は、ジッとテスタメントを見て

 

「これ、相当無茶したね……何分位、機能解放したの?」

 

「記録によれば、二十分近くです」

 

束の問い掛けに、義之はそう答えた

すると、束は

 

「そうなると……オーバーホールした方が良いレベルだね……」

 

と呟いた

そして、自分が乗ってきた音速ジェット機の無線で何か話した

そして終わったらしく、振り向き

 

「今、本国に長距離輸送機を要請したよ。それで、テスタメントと直哉君を一度本当に帰還させよう」

 

と言った

どうやら、本国たる初音島に通信していたらしい

 

「俺達は、その輸送機の護衛をしましょう」

 

義之がそう言うと、束は頷き

 

「それで……二人目は?」

 

と義之に問い掛けた

その問い掛けを聞いて、義之は

 

「こちらです」

 

と束をテントに案内した

そのテントの入口には、みちるとまゆきの代わりに唯依とその副官の雨宮が居た

義之はその二人に

 

「何か異常は?」

 

「ありません」

 

「大人しいものです」

 

義之の問い掛けに、二人はそう答えた

それを聞いてから義之は、束と一緒に中に入った

中に入ると、円夏はベッドに腰掛けていた

その両手両足には、手錠がある

円夏に抵抗する意思も逃げる意思も感じられなかったので、拘束を簡易的な物に変更したのである

その円夏の顔を見て、束は

 

「なるほど、よく似てる……確かに、ちーちゃんといっくんの姉弟だね」

 

と言った

なお、ちーちゃんというのは千冬

いっくんとは、一夏のことだ

実は束には一つ、重大な欠点があった

それは、コミュニケーションだ

束は極限られた人物としか、話したがらないのだ

その限られた人物の中に、義之も入っていた

何が義之を気に入ったのか知らないが、それがフリーダムが開発出来た要因の一つだと、さくらは言っていた

 

「初めまして、円夏ちゃん……」

 

「初めまして、篠ノ之束博士」

 

束が呼び掛けると、円夏はそう言いながら頭を下げた

すると、束は

 

「多分、よし君に教えたと思うけど。もう一回聞くよ……ユーラシア連合の強化人間研究所の場所は……どこ?」

 

と問い掛けた

すると円夏は、ジッと束を見て

 

「強化人間研究所の場所は……ロドニア」

 

と告げたのだった

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