機動戦士ガンダム 英雄黙示録   作:京勇樹

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帰投

仁川での戦闘から、三日後

降下部隊は、一路初音島に到着

機体の修理や整備を始めた

その中で、一番時間が掛かるのは、やはりテスタメントだった

テスタメントはフレームが歪んでいたり、スラスター類が焼き付く寸前だったりしていた

修理には、最低でも二週間は必要だと分かった

更に、直哉自身も重症だった

直哉は、今も意識が戻っていない

下手したら、脳に障害が起きている可能性も僅かだがあった

それにより、直哉はしばらく戦線離脱を余儀なくされた

しかし、待っている暇は無かった

なにせ、ユーラシア連合の強化人間計画とπ3計画の根幹をなす場所

研究所が判明したのだから

だから、他の機体の修理と整備は急ピッチで進められていた

 

「おら、そこ! 終わったら、器具はすぐに片付けろ! 邪魔になる!」

 

「誰か、Aー304のパイプを持ってきてくれ! 大至急!」

 

「やべ! 電パチの予備バッテリーが無くなった! 新しいのはどこだ!?」

 

天枷研究所のハンガーは、喧騒に包まれていた

それを見ながら、さくらが

 

「10式は、一日もあれば大丈夫……09も、同じくらいだね」

 

と各機の修理予定を確認していた

そして、隣に居た束に視線を向けて

 

「他の機体は?」

 

と問い掛けた

すると、束は

 

「大体、長くても四日あれば大丈夫なレベルだねー。まあ、なんとかなるよー」

 

と答えた

そして二人の視線は、ある一機に向けられた

頭が無くなり、装甲が完全に外された機体

テスタメントに

 

「問題は」

 

「テスタメント……かぁ……」

 

二人はそう言うと、モニターにテスタメントの状態を表示させた

頭部全損

各関節、損耗度危険域

スラスター、焼き付き寸前

フレーム、全体的に大幅な歪み

最早、廃棄寸前のレベルだった

しかし、廃棄する訳にはいかない

テスタメントの建造に、かなりの予算を費やした

それだけでなく、今後は更に激戦化が予想される

今は、一機たりとも戦力を失うわけにはいかない

 

「これは、予想以上の損耗だなぁ」

 

「だねぇ……戦闘データ見たけど、秒間コマンドが20越えてたよ……完全に、想定ギリギリの域だよぉ」

 

二人はそう言って、頭を掻いた

さくらと束に二人は、初音島が世界に誇る天才科学者だ

その二人が、当時有していた技術の粋を投入したのが、09、10、12の三機だった

まさか、その内の一機

超高速戦闘機たるテスタメントが、こんなに損耗するとは予想していなかったのだ

それほどに、その三機は自信作だった

 

「とりあえず、予備部品を使って修理をするけど……」

 

「フレームもだから、最低でも二週間……か……確実に、ロドニア襲撃作戦には間に合わないね」

 

ロドニア襲撃作戦

それは、円夏から得た情報から立案された作戦だった

ユーラシア連合が行っている、狂気染みた研究

強化人間計画とπ3計画を破壊するために、今純一が各国軍と共同で立案している作戦である

ユーラシア連合に移設の時間を与えないために、一週間以内に作戦が遂行される予定である

しかし、テスタメントの修理には二週間掛かる

どう頑張っても、間に合わないのは目に見えている

それだけでなく、直哉だ

 

「それで、直哉君は?」

 

「手術は、無事成功……でも、何時目覚めるかは」

 

さくらの問い掛けに、束はそう返した

それを聞いて、さくらは

 

「そっか……ダメだなぁ、ボクは……どうしても、嫌な予想ばっかりしちゃう……」

 

と言って、椅子に深々と座った

今の直哉の保護責任者は、さくらとなっている

ある意味、孫とも言えるのだ

そういう意味では、義之とは義理の家族関係である

その義之は、久しぶりの地上隊舎で、怒濤のように書類を捌いてる真っ最中である

すると、束は

 

「束さんにはよく分からないけど、これだけは言えるよ……一国の当主として。そして、親として……クヨクヨはしてられない……でしょう?」

 

と言った

それを聞いたさくらは、残っていたコーヒーを一気に飲み干して

 

「そうだね……」

 

と言って、立ち上がった

そして

 

「今回の戦闘データから得られたデータで、機体を強化しよう。それが、ボク達に出来ることだよ!」

 

と言って、頬を叩いて気合いを入れたのだった

それから四日後、作戦を遂行するために義之達は再び宇宙に上がった

狂った研究を、終わらせるために

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