大学生活は別に面白いことはない。友達を作ろうと思って何人かの女子生徒に声をかけてみたものの、何故かみんな私とは友達になってくれない。代わりに、男子達はよく私の所に来るけど、別に男子の友達は望んでいなかった。だって、同性の友達がいないのに男子の友達を作ったら、女子から妬まれそうだもん。友達を作るのなんて夢のまた夢だ。
………はぁ、女子の友達が欲しい。高校の時の友達は何故か神奈川の大学に行っちゃったし………。
ま、バイト先には女の子の友達いるんだけどね。
「おはようございまーす」
学校が終わって、私はバイト先に顔を出した。私のバイト先はコンビニ。まぁ、結構変わった人が多いけど。
店の奥に行くと、既に準備を終えた女の子がこっちを見た。
「おう、おはよう」
「おはよう、天ちゃん」
天龍さん。なんか元艦娘らしい。
「天ちゃんって言うんじゃねぇ‼︎」
「えー、可愛いじゃん。天ちゃん」
「う、うるせぇ!バーカバーカ!」
この小学生並みの罵倒、かわいいって言われたら真っ赤になる顔、本当にからかい甲斐があるなー、この子は。
「大体、何してたんだよ。遅くないか?」
「ごめんねー。大学の講義長引いちゃってさー」
「まぁ、遅刻したわけじゃねぇけどよ……。もっと余裕を持って来ないとダメだろ」
「はーい。分かってまーす」
「ったく………」
とりあえず、制服に着替えていつでも出れるようにした。
しかし、天ちゃん……胸大きいな。何、艦娘ってみんなそうなの?みんなおっぱいなの?ちっぱいはいないの?
「………なんだよ」
ジッと見てると、天ちゃんが怪訝そうな顔を向けて来た。
「………揉ませろ」
「はっ?」
「そのダブルマウンテン揉ませろおおおお‼︎」
「はっ⁉︎ちょっ、何を……ひゃあっ‼︎」
「あっはっはっ!天ちゃんは口調以外は女子力高いなー!スタイル、悲鳴、携帯しているもの、全部がもう……私より、女子力が………」
「人の胸を揉みながら勝手に絶望すんな!」
「………天ちゃあん……どうやって大きくしたの?ゴムゴムの実?」
「天ちゃんじゃねぇっつってんだろ!ていうか、いい加減離せ‼︎」
「あふん⁉︎」
ゴンッと額を引っ叩かれ、私は後ろにひっくり返った。
「いったいなー!何すんのさ!」
「こっちの台詞だコラァッ‼︎」
「ほら、もう時間だよ、行くよ!」
「お前の所為だろうが‼︎」
二人でレジに出た。
ー
雑誌の品出しをしてると、ジャンプが目に入った。そういえば、買うの忘れてたなー。うちに千歳と千代田が来てからは、生活に余裕出て来たしジャンプ毎週買ってるんだよなー。
………そうだ。みんなでお金貯めて、今よりもっと広いマンションに住もうかな。流石に今の部屋を三人で暮らすのは狭いし。帰ったら相談してみよう。
「………そういえば、先週は食戟のソーマがいいとこで終わってたな」
それが、今週は巻頭カラーか………。
私はジャンプを持ってレジに向かった。レジの向こうには天ちゃんが待機している。
「すみませーん」
「おい、なんでお前が買ったんだよ」
「売り切れちゃうと困るからだよ!お願いだからこれだけ!これだけ!」
「まぁなんでも良いけどよ……。怒られても知らねーぞ。260円だ」
「はいはーい。えっと……ありっ?」
……財布がない。あれ?嘘?財布がない………!
「ど、どうしよう天ちゃん!財布ない!」
「いや知らねーよ。どうすんだよジャンプは」
「とりあえずツケで!」
「買うんかい!ていうかコンビニにツケはねーよ‼︎」
ど、どうしよう……!財布がないってマジでヤバイって……!あの中には銀行のカードも免許証も入ってるのに………‼︎
「て、天ちゃん!私の財布!」
「知らねって。とりあえず、更衣室とか見て来いよ。品出しは俺がやっといてやるから」
「ごめん!ありがと!」
私は慌てて店の奥に駆け込んだ。自分の荷物や服のポケットの中を漁ったが、財布っぽいのは出てこない。
あーヤバイヤバイヤバイヤバイどうしよう。千代田に怒られちゃう……!
「………お、戻って来た。あったか?」
とりあえず店に出ると、天ちゃんが聞いてきたので、首を横に振った。
「ごめん天ちゃん、ちょっと学校見て来る!」
「いや、流石にダメだろ。………仕方ねーな。後で一緒に探してやるから、今は耐えろ」
「て、天ちゃん………」
相変わらず面倒見良いなぁ〜……。私もあんな風になれば、千歳とか千代田に言うこと聞いてもらえるかなぁ。
とにかく、今は耐えるしかないのかな。うう、財布………。少し涙目になってると、ピポピホピポーンと音が鳴って、店にお客さんが来た。
「いらっしゃいま……ありっ?」
「やっほー、お姉」
「お邪魔します」
千代田と千歳だった。仕事終わりなのか、スーツ姿だ。
「あれ、二人ともどうしたの?」
「んー、ちょっと今日のお酒買おうと思って」
千代田はポケットから財布を取り出して、一番後ろの飲み物のケースに向かった。………私の財布を持って。
「っ⁉︎待った待ったちょっと待ったぁ!」
「お客さんにタメ口?」
「うっ、し、少々お待ちいただいてもよろしいでしょうかお客様!」
慌てて二人に近づいた。
「ちょっ、なんで私の財布持ってんのさ⁉︎」
「今日、お姉一限だったよね?」
「え?う、うん」
「忘れ物ない?って、千歳お姉が散々確認してたよね?」
「し、してたけど………」
「それで、玄関にこれ落ちてたんだけど………忘れ物ないのにこれが家に落ちてたってことは、お姉の物じゃないって事だよね?」
「わ、わあー!謝るから返して!ごめんなさい!」
「まったく……次忘れたら、マジでこれで買うからね」
「ううっ……ごめんなさい」
「千代田、もうその辺で、ね?ごめんなさいね、仕事中に」
千歳が宥めてくれたので、私はジャンプを持ってレジに並んだ。
「ふー、財布あったぁ……。天ちゃん、これ」
「早速買うのか……。なぁ、あの二人って知り合いか?」
「そうだよ?私の義妹」
「………完全にお前が末っ子にしか見えなかったんだが………」
「自分でも分かってるから言わないで……」
「ていうか、あの二人って千歳と千代田だよな?水上機母艦の……」
………ああ、そっか。天ちゃんも元艦娘だったから知り合いなのかな?
「うん。近代化改修されたって事で私の義妹になったんだー」
「そうかよ……。俺と一緒か」
「はい、270円とTカード」
「んっ」
んー、なんか思ってた反応と違うなぁ。てっきり、同窓会みたいな感じになると思ってたけど………あんまり気にしない方が良いかな。
すると、二人は酒を大量に籠に入れて持って来た。
「はいこれ」
「………ねぇ、買っても良いけどこんなに冷蔵庫に入るの?うちの冷蔵庫小さいし」
「大丈夫ですよ、三日で全部飲みますから」
「いやいや、別の意味で安心できないんだけど。ていうか、私のジュースも買っといてよー」
「ダメです。まだ家にコーラあるでしょう」
「あれ炭酸抜けてて不味いもん」
「お姉さんがちゃんとキャップ閉めないからでしょう」
「うっ……ご、ごめんなさい」
「コーラは私達も使うんですからね。コーラ割りとかで」
そんな話をしながら、会計を済ませた。
「今日は何時に上がりですか?」
「9時頃かな。ね、天ちゃん?」
「ん、おお」
「分かりました。夕飯作っておきますね」
「ステーキが良い!」
「今日は魚です」
「はーい……」
「店員さん、こんな姉だけどよろしくお願いします」
「千代田、それどういう意味⁉︎」
千歳と千代田はコンビニから出て行った。今日は魚かぁ……何かなぁ、ニジマスだと嬉しいなぁ……。焼いたニジマスに醤油を垂らして……ふへへ。
「おい、ヨダレ出てんぞ」
「はっ、いっけね」
「………意外と普通に暮らしてるのな」
「天ちゃんはどこで暮らしてるの?」
「俺は先に解体された龍田が既に一人暮らししてたからなぁ。そこで居候しながら、学生やってる」
「うわー、妹社会人で姉は学生なんだー」
「お前に言われたくねーんだよ。あの二人、スーツ姿のところ見ると社会人だろ?」
「うっ……仰る通りで………」
クッソゥ……どいつもこいつも………!
ぐぬぬっ、と唸ってると、別のお客様が来たので、私と天ちゃんは挨拶した。
「おい、ジャンプしまって来い」
「はっ、ご、ごめんっ」
「後で読ませろ」
「うんっ」