遊戯王OCG’s─変態デュエリスト「古霊 真由美」の1日─ 作:レモンの人
ちょいシリアスです。この本編を見た方はもしかしたら真由美さんのターン中に『ジャックバトル』を流したくなるかも…?
※08年3月当時のルール及びレギュレーションで製作しております。
「真由美さんってそういえば、最古参のデュエリストだよね」
「そうよ」
私はカードを整理しながら翔太君の言葉に耳を傾けた。その話をされると少し照れ臭い。あの日遊戯王に出会わなかったら私はきっと…。
「でも、すごいレッド・デーモンズ・ドラゴンに執着してるよな。その話についてちょっと聞かせて欲しいな」
「馴れ初めの話?」
「そういう言い方やめて下さいよ」
そっか、聞きたいのかー…じゃあ話をするとしよう。あれは私が小学生だった頃の話………。
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「………」
当時、小学生だった私は周囲に馴染めず、私に対し過度な期待を込めて行き過ぎた教育をする両親…生まれつきのバカが災いして、イジメの対象にされた。学校に行く勇気も出ず、いつもランドセルを公園に隠しては親戚のおじさん…現在のマスターの家に居候していた。マスターが淹れてくれる温かいミルクが大好きで、お店に匿ってくれる代わりに私は一生懸命お皿洗いの手伝いをしていた。
「……きょうはたのめないなぁ…」
いつものようにお店に行ったら今日はお出かけしているみたいでCLOSEの看板が置かれていた。
「…がっこういこう」
諦めて重い足取りでトボトボと学校への道を歩いていた時、急に横から誰かがぶつかってきた。尻餅をついてしまい、見上げると……1人の男が立っていた。
「ごめん、見てなかったんだ。大丈夫?」
「うん……」
「この時間は学校の筈だけど…どうしたんだい?お兄さんでよければお話聞いてあげるよ」
「…うん!」
初めて優しくしてくれた彼に手を引かれて着いた先はその人の家だった。その時の私はその意味がよく分からなくて…遊んでくれる優しいお兄さんという程度の感覚だった。
「それ遊戯王カードじゃないの?懐かしいなぁ」
「わたしの大好きな遊びなの!これがなきゃ……毎日がつまんないの」
「そっか……じゃあ、今日はお兄さんと一緒に学校サボろうか!」
リビングで寛いだ私はお兄さんに色んな事を打ち明けた。遊戯王好きの所為で学校でイジメられ、家族からは学力の低さを責められ、おじさん以外に頼れる人が居ない事…寂しくて……途中から泣きながらお兄さんに訴えた。数少ない理解者だと思い、私はいっぱい話をした。お兄さんはうんうんと頷きながら時々私の頭を撫でてくれた。
「6時になったら一緒にアニメ観ようよ」
「アニメ…?」
「そう、お兄さんアニメをよく観るんだ。今日は一緒に観よう」
「うん!」
トランプで遊んだり…ジェンガで遊んだりして時間を潰した私は……とうとう6時に始まったアニメ…『遊戯王5D’s』を一緒に観る事になった。お兄さんが作ってくれたポップコーンを食べながらそれをじーっと眺める。
「真由美ちゃんは遊戯王が好きなの?遊戯王カードが好きなの?」
「カードが好き!アニメも好きなんだけど…いっしょうけんめい勝つために考えて戦うのが大好きなの!」
「へぇ……」
その放送回…『運命の対決! 立ちはだかるスターダスト・ドラゴン』こそが私を真の意味でデュエル漬けにさせてくれた大きな転機だった。
「!!!」
レッド・デーモンズ・ドラゴンはアニメでは『ジャック・アトラス』というデュエリストが使う魂のモンスター。1話でもその姿は出ていたけど、シンクロ召喚で現れた時のあのレッド・デーモンズ・ドラゴンの勇姿たるや!荘厳にして修羅の如き力強さ…悪魔のような禍々しさを持つドラゴンの力強い咆哮に私は心を奪われた…。
「お兄さん!あのドラゴンかっこいいよ!」
「えぇ…お兄さんはスターダストの方が好きなんだけどなぁ…」
「レッド・デーモンズの方がずっとカッコイイもん!」
思わずむくれてしまう程、私は一目惚れしてしまった。驚いたお兄さんは私に1枚のカードをくれた。
「じゃあこれやるよ。俺使わねーし」
「えっ……?」
そのカードは今アニメに出ていた筈の『レッド・デーモンズ・ドラゴン』だった。
「いいの?」
「いいんだよ。これは持っときな」
「わーい!」
お兄さんから貰ったカードを天に掲げて私は嬉しさでいっぱいだった………。
「じゃあ、お兄さんとデュエルしよっか」
「本当?やるやる!」
早速融合デッキにレッド・デーモンズを入れた私は、テーブルの上でデュエルの準備をした。
「じゃあ、デュエル!」
真由美 LP8000
男 LP8000
「先攻!」
「後攻!」
「「じゃんけんぽん!!!」」
よし!先攻もらった!
「私のターン、ドロー!」
手札は…まぁ、いいかな?
「手札の『サンダー・ドラゴン』の効果発動です!このカードを捨ててデッキからサンダー・ドラゴンを2体手札に加えて…っと、魔法カード『融合』です!手札の2枚のサンダー・ドラゴンを融合!『双頭の雷龍』を融合召喚!」
双頭の雷龍 星7 ATK2800
「カードを2枚伏せてターンエンド!」
「じゃあ、俺のターン…ドロー!」
…一体どんなデッキを使うんだろう。
「じゃあ、魔法カード『コストダウン』!手札を1枚捨てモンスター1体のレベルを2つまで下げる。手札の『ホルスの黒炎竜 LV6』のレベルを2つ下げる。そして、レベル4となったホルスの黒炎竜 LV6を召喚!」
ホルスの黒炎竜 LV6 星6→4 ATK2400
「さらに魔法カード『レベルアップ!』を発動!ホルスの黒炎竜LV6を墓地へ送り、『ホルスの黒炎竜 LV8』を特殊召喚!」
ホルスの黒炎竜 LV8 ATK3000
「ホルスの黒炎竜 LV8がいる限り、魔法カードの発動を無効にし破壊出来る!バトル!ホルスの黒炎竜 LV8で双頭の雷龍を攻撃!」
「カウンター罠カード『攻撃の無力化』!攻撃を無効にしてバトルフェイズを終了させる!」
「カードを1枚伏せてターンエンド」
よし!相手は魔法カードを無効にするモンスター…恐らく伏せカードは罠カードの効果を無効にする永続罠『王宮のお触れ』…それらで完璧に封殺するつもりだろう。でも、私の手札には…!
「私のターン、ドロー!」
「永続罠『王宮のお触れ』!これで互いに罠カードの効果が無効になる!どうだ!真由美ちゃんに勝てるかな〜?」
「突破は出来ます」
「…え?」
その布陣を切り崩す程度なら…!!!
「チューナーモンスター『ダーク・スプロケッター』を召喚!」
ダーク・スプロケッター 星1 ATK400 チューナー
「この布陣…まさか!」
「レベル7の双頭の雷龍にレベル1のダーク・スプロケッターをチューニング!《おうじゃのこどう、いまここにれつをなす!てんちめーどーのちからをみるがいい!》シンクロ召喚!わがたましい!『レッド・デーモンズ・ドラゴン』!」
レッド・デーモンズ・ドラゴン 星8 ATK3000
「いきなり召喚しやがった…!」
「ダーク・スプロケッターの効果です!闇属性シンクロモンスターの素材として墓地へ送られた時、表側表示の魔法・罠カードを1枚破壊します!王宮のお触れを破壊!」
「マジかよ…!?」
「バトル!レッド・デーモンズ・ドラゴンでホルスの黒炎竜を攻撃!《灼熱のクリムゾン・ヘルフレア》!!!」
これでカードを2枚除去出来た。損失分は稼げたかな…?
「カードを1枚伏せてターンエンド」
「クソッ…俺のターン!ドロー!『ホルスの黒炎竜 LV4』を召喚!」
ホルスの黒炎竜 LV4 星4 ATK1600
「さらに、ホルスの黒炎竜を除外して手札から『レッドアイズ・ダークネス・メタルドラゴン』を特殊召喚!」
レッドアイズ・ダークネス・メタルドラゴン 星10 ATK2800
「わぁ〜!本物だ〜!」
「うるせぇ!黙ってろ!」
「ッ!」
この辺りで私はこのお兄さんが危険な人間である事に気付いた。でも、1度始めたデュエルを捨てる気にもなれなかった。だからヤケクソになって、戦う道を選んだ。
「レダメの効果発動!1ターンに1度、手札か墓地のドラゴン族1体を特殊召喚する!墓地から『ホルスの黒炎竜 LV6』を特殊召喚!」
ホルスの黒炎竜 LV6 星6 ATK2300
「バトル!ホルスの黒炎竜でダイレクトアタック!」
「うっ…!」
真由美 LP8000→5700
「レダメでダイレクトアタック!」
「罠カード『炸裂装甲』!レダメを破壊します!」
「クソがぁ!ターンエンド!」
なんとか…糸口を…!
「ドロー!」
来た…!このカードならデュエルに勝てる!
「速攻魔法カード!『自律行動ユニット』発動!ライフを1500払って相手の墓地のモンスターを攻撃表示で特殊召喚します!『レッドアイズ・ダークネス・メタルドラゴン』を特殊召喚です!」
「チッ…」
レッドアイズ・ダークネス・メタルドラゴン 星10 ATK2800
乱暴に投げ渡してきたレダメを慎重にキャッチした私は自分のフィールドに置いた。緊張するなぁ…激レアだもん!
「レダメの効果発動です!1ターンに1度、手札か墓地のドラゴン族1体を特殊召喚する!墓地から蘇れ!『レッド・デーモンズ・ドラゴン』!」
レッド・デーモンズ・ドラゴン 星8 ATK3000
「さらに魔法カード『受け継がれる力』発動!自分フィールドのモンスター1体をリリースしてその攻撃力を自分フィールドのモンスター1体の攻撃力に加えます!レダメをリリースしてレッド・デーモンズ・ドラゴンの攻撃力に継承!お返しします」
レッド・デーモンズ・ドラゴン ATK3000→5800
「バトル!レッド・デーモンズ・ドラゴンでホルスの黒炎竜 LV6を攻撃!《灼熱のクリムゾン・ヘルフレア》!」
「痛くも痒くもねぇ!」
男 LP8000→4500
「このターンで終わりです」
「ハァ?何言って……!」
「罠カード『破壊神の系譜』発動です!レベル8モンスターが相手モンスターを破壊した時発動出来ます。このターン、そのモンスターは1ターンに2回攻撃が出来ます!」
「なっ…!」
「レッド・デーモンズ・ドラゴンでダイレクトアタック!」
男 LP4500→0
「このクソガキが!!!調子に乗りやがって!!!」
「ッ!」
直後に飛んできたパンチを避けた私はデッキを何枚か取り落としつつも素早く回収して全速力で家から飛び出した。
「待てやゴラァ!!!」
「…!!!」
それから私は交番まで全速力で走り、お巡りさんの目の前でお兄さんに捕まった事で気付いてくれ、お兄さんは無事逮捕された。
「………」
あの日、私が手にしたレッド・デーモンズに今でも感謝している。私に逃げる勇気をくれた事……私に鉄のような意思をくれた事…………あの日、あの時私が見た咆哮は確かに私を変えてくれたのだ。
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「なんか…すごい話っスね」
「私が使ってるレッド・デーモンズはその時のカードじゃないけど……ここに入ってるわ」
私は胸に下げていた板状の御守りを服の下から引っ張り出して蓋を開けた。
「ホントだ…」
「この子のおかげで私はイジメにも耐えたし、勉強だって諦めずに頑張ったわ。落ちたけどね」
私がお兄さんに捕まった時にカードが一部折れ、年月を経て既に色褪せ、雨に晒された時にテキストの部分が皺くちゃになってしまったり、管理していたにも拘らず生えてしまったカビの部分をハサミで切ってしまったりと散々な姿になってるけど…私の魂はちゃんとこのカードに刻み込まれている。
「さ、今日は気分がいいから夕飯奢るわよ!」
「やった!」
「あそこの食堂でいい?うな丼が700円で食べられるの!」
「マジっすか!?」
レッド・デーモンズ…あの日、私を守ってくれてありがとう。
真由美「って事で私の過去の話でした〜♪」
翔太「で、ロリコンはその後どうなったの?」
真由美「3年ブタ箱に入って釈放されたわ。釈放されてすぐ謝罪に来たんだけど、私を見てなんて言ったと思う?『ヲタクBBAに欲情なんてしねーから』だからね!」
翔太「何だそれ」
真由美「って事で、今回は2008年当時の私のデッキを復元するわね。参考にはならないと思うけど……まぁ、見てってよ」
デッキ総枚数(40)
モンスター(20)
●ダーク・クリエイター×2
●ダーク・アームド・ドラゴン×1
●サンダー・ドラゴン×3
●サイバー・ドラゴン×2
●スナイプ・ストーカー×1
●首領・ザルーグ×2
●キラー・トマト×3
●沼地の魔神王×2
●ダーク・リゾネーター×2
●クレボンス×1
●ダーク・スプロケッター×1
魔法(14)
●サイクロン×1
●大嵐×1
●自律行動ユニット×2
●早すぎた埋葬×1
●貪欲な壺×1
●スケープ・ゴート×1
●増援×2
●死者蘇生×1
●洗脳─ブレイン・コントロール×1
●融合×3
罠(6)
●攻撃の無力化×2
●神の宣告×2
●破壊神の系譜×1
●聖なるバリア─ミラー・フォース×1
融合デッキ(6)
●レッド・デーモンズ・ドラゴン×1
●マジカル・アンドロイド×2
●双頭の雷龍×2
●サイバー・ツイン・ドラゴン×1
真由美「昔はこんなデッキだったわねぇ…懐かしいなぁ」
翔太「……なんだろう。トマハンの香りがするだが…」
真由美「まぁ…お小遣いで少しずつ買ってたから構築も甘いし、今見てみると恥ずかしいわね」
翔太「でも、真由美さんの貴重な姿が見られてよかったなぁ」
真由美「あらそう///嬉しい事言うじゃない!」バシバシ
翔太「いだいいだいいだい!」
真由美「みんなは2008年のあの日…どんなデッキを組んでた?当時の雰囲気を味わえたら最高ね!」
翔太「因みに僕は遊星デッキを組んでたよ〜!」
遊斗「………オレがまだ遊戯王カードをやってない時期か…」
セバス「…裁き3体並べてダブルピースしてました」
遊斗「怖ぇよ!無表情で裁き3体並べてダブルピースとかサイコパスかよ!!!」