遊戯王OCG’s─変態デュエリスト「古霊 真由美」の1日─ 作:レモンの人
「どうぞ、こちらになります」
「「わぁ………」」
休日を使い、遊斗君の家に入った私達はその豪邸ぶりに小学生並みの感想しか出なかった。金をふんだんに使った家具や見れば分かるくらい高級そうなソファー…そして、喫茶店に置いてある安物のテレビの3倍の大きさの液晶モニター…遊斗君……何故このタイミングでアフリカに行ってるの…?
「こんな広い家を2人きりで使ってるの?」
「はい……。ただ、大抵私も遊斗様も外出している事が多く、大抵は半日も此処には居ません」
「勿体無いわねぇ」
「……身の丈の物を揃えなければ社交界で侮られてしまいますので…」
「なるほどなぁ」
お、屋上にプールまであるみたいね。すごい豪邸だわ。
「では、お食事を用意致しますので少々お待ちを…」
「うん、ありがとう!」
というわけでソファーでのんびり寛ぎながら、私は翔太君と2人でテレビを観る事にした。
「面白そうなの無いわねぇ」
「困った時はディカ○リーチャンネルだよ」
「デスカリバーチャンネル?」
「何その強そうなチャンネル」
冗談を言い合いながらテレビを眺めている事1時間。結局、私オススメの探偵ドラマを観賞した私達はセバスティアンさんが料理を持ってきたのでテレビを消した。
「完成致しました。どうぞお召し上がりください」
「やったー!一体どんな料理……が………」
「えーっと……」
笑顔で食卓に座った私達は数秒で無表情になり閉口した。何これ?
「我が母の祖国イギリスの伝統料理『スターゲイザー・パイ』でございます。どうぞ遠慮無く──」
忘れてた……セバスティアンさんの料理は激マズだって遊斗君言ってたじゃない!そうか…セバスティアンさんのお袋さんはイギリス出身だったのか……!
「(どうするのさ!食べる?)」
「(食べなきゃダメでしょ…)」
取り敢えず、魚がブッ刺さったゲテモノパイをナイフとフォークで食べ…たんだけど、味も素っ気も無い。てか味しないんだけど…。
「味付けは?」
「ほとんどしていません」
「マジかー……」
セバスティアンさんは涼しげな顔で食べている。しかも昼間っからワインを飲みながら食べている。飲酒運転とか大丈夫?
「あの…私もイギリス料理作ってもいい?」
「作り方を古霊様にも伝授致しましょう」
「いや、作り方言ってくれたら私がアレンジするから」
取り敢えず、横で話を聞きながら私は料理を開始した。
******************
「はーいお待たせ〜♪ヨークシャー・プディングとローストビーフよ!サラダも用意したわよ」
「うめぇ…!真由美さんの料理美味いッス…!」
「何でしょうか……この敗北感…」
セバスティアンさんの言う味付けを拒否して私なりの味付けでやったら美味いの出来たわこれ。うん!肉も高いものを使ったから短期間でも十分柔らかいし、ヨークシャー・プディングも肉の付け合わせ向けの味付けをしておいた。我ながら上手くいったと思う。
「後で味付け方法を伝授していただければ幸いです」
「いや、その前に調理がおかしい」
肉汁を捨てようとしたり、付け合わせで切っていた野菜を茹でようとしたりと調理中ツッコミばかりしてた気がする。
「いい?郷に入れば郷に従えとは言わないけど、ここはイギリスよりは衛生管理もしっかりした美味しい野菜がたくさん買えるんだから素材をしっかり活かさないとダメよ?」
「はぁ」
「茹でる時も茹で過ぎないようにして。味付けもしっかりとするの。野菜スープを作る時はブイヨンを入れたり、肉も入れて味と旨味を溶かしたり…まだツッコミたいのは山々だけど料理小説じゃないから今回は割愛するわ!」
「一体誰と話してるんですか真由美さん」
セバスティアンさんがものすごい勢いで私のアドバイスをメモしている様子を一瞥しながら完成品を食べる。うん、いい感じに味付け出来たわ。
「あと、臭みを消す為の香辛料とかそういうのしっかりと使わないと肉料理はダメよ」
「ハギスも…ですか?」
「えっ、何言ってるの」
「ごちそうさまでした!」
「お粗末様。なんかゴメンね」
「お気になさらず、遊斗様は大抵二、三口しか食べてくれませんので…」
今のイギリス料理も文化が変わって少しずつ美味しくなってきてはいるんだけどね。セバスティアンさんの今後の進化に期待しよう!
「これ食べ終わったらデュエルしましょう!」
「賛成です」
「いつでもOKだぜ!」
3人でイギリス料理を食べた後、私達はデッキを取り出し広いテーブルの上に置いた。
「今回も変なデッキを組んでみたわ!デュエルしてくれる人は居る?」
「では私が」
「セバスティアンさんと久しぶりとデュエルしたかったし、いいわよ!相手になるわ!」
互いにマットを敷いてデッキをセットする。セバスティアンさんのデッキも中々に危険な物が多いから気をつけなきゃ。
「「デュエル!!!」」
真由美 LP8000
セバス LP8000
「先攻!」
「後攻」
「「じゃんけんぽん!」」
先攻は取れた!さて、好きにやりますか!
「魔法カード『簡易融合』を発動!ライフを1000払い、レベル5以下の融合モンスター1体を融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターは攻撃できず、エンドフェイズに破壊される。チューナーモンスター『テセウスの魔棲物』を特殊召喚!」
真由美 LP8000→7000
テセウスの魔棲物 星5 ATK2200 チューナー
「さらに、手札の『サイバー・シャーク』は自分フィールドに水属性モンスターが存在する場合、リリース無しで召喚出来る!」
サイバー・シャーク 星5 ATK2100
「レベル5のテセウスの魔棲物とサイバー・シャークでオーバーレイ!エクシーズ召喚!『No.73 激瀧神アビス・スプラッシュ』!」
No.73 激瀧神アビス・スプラッシュ ランク5 ATK2400
「カードを2枚伏せてターンエンド」
「なるほど、そのカードを選びましたか…。では、私のターン…ドロー……」
セバスティアンさんはどんなデッキを選んだのだろうか…?気になるところだけど、嫌な予感はする。
「永続魔法『ウォーター・ハザード』を発動します。これにより、1ターンに1度、相手フィールドにのみモンスターが存在する時、手札からレベル4以下の水属性モンスター1体を特殊召喚出来ます。この効果により、私は『スクリーチ』を特殊召喚」
スクリーチ 星4 ATK1500
「さらに、魔法カード『渾身の一撃』。自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動します。このターン、選択したモンスターは戦闘では破壊されず、その攻撃によって発生するお互いへの戦闘ダメージは0になる。また、このターン、選択したモンスターが相手モンスターを攻撃した場合、ダメージ計算後にその相手モンスターを破壊します。私はスクリーチを選択。このままバトルです。スクリーチでアビス・スプラッシュを攻撃」
「戦闘ダメージは0……」
「よってダメージを受けない上に渾身の一撃の効果でアビス・スプラッシュを破壊出来ます」
くっ…手札を3枚消費してまで処理してきたか……!
「スクリーチが戦闘で破壊された場合、デッキから水属性モンスター2体を墓地へ送ります。そして、メインフェイズ2…『レクンガ』を通常召喚」
レクンガ 星4 ATK1700
「レクンガの効果、墓地の水属性モンスター2体を除外する度に『レクンガトークン』を特殊召喚します」
レクンガトークン 星2 ATK700
「さらに、魔法カード『おろかな埋葬』。デッキからモンスター1体を墓地へ送ります。さらにレクンガの効果…墓地の水属性モンスター2体を除外する度に『レクンガトークン』を特殊召喚します」
レクンガトークン 星2 ATK700
「召喚条件は水属性2体…レクンガトークン2体で『マスター・ボーイ』をリンク召喚」
マスター・ボーイ LINK-2 ATK1400 リンクマーカー【左下・右下】
なんかグルグル回ってない!?
「マスター・ボーイの効果により、水属性モンスターの攻撃力は500上昇します」
マスター・ボーイ ATK1400→1900
レクンガ ATK1700→2200
「さらに、カードを1枚伏せてターン終了です」
なんか、グルグル回してモンスター2体を揃えてる辺り全く訳が分からない。ただ、まだ何かを仕掛けようとしている事は分かった。
「私のターン!ドロー!」
今私が引いたカードは『ゲイザー・シャーク』。墓地のこのカードをゲームから除外し、ゲイザー・シャーク以外の自分の墓地の水属性・レベル5モンスター2体を選択して発動できる。選択したモンスター2体の効果を無効にして特殊召喚し、その2体のみを素材として水属性のエクシーズモンスター1体をエクシーズ召喚する……ただ、現状でゲイザー・シャークを召喚するのは難しい。その上、伏せカードが気になってしょうがない。
「(……このままエンドする方が良さそうだけど…)」
守りを固めよう。まだ攻めるには早過ぎる。
「モンスターを裏守備で伏せる。私はこれでターンエンド」
「私のターンです。ドロー……」
覚悟を決めるしかないか。このターンは意地でも耐えるわよ!
「魔法カード『フィッシュアンドキックス』を発動。ゲームから除外されている自分の魚族・海竜族・水族モンスターが3体以上の場合、フィールド上に存在するカード1枚を選択して発動する。選択したカードをゲームから除外します」
「なんですって!?」
確かに…セバスティアンさんの除外ゾーンにはレクンガの効果で除外した『アビス・ソルジャー』・『サイレント・ウォビー』・『ホワイト・スティングレイ』、そして対象外の『スクリーチ』がいる。発動条件はクリアしてる。てゆうかそれが目的なんじゃないかなぁ!
「私は自分の伏せカードを除外します」
「げっ…て事は……」
「除外した『エクシーズ・ディメンション・スプラッシュ』の効果発動」
「ですよね〜…」
「セットされたこのカードがゲームから除外された場合、デッキから水属性・レベル8モンスター2体を特殊召喚できます。この効果で特殊召喚したモンスターは攻撃宣言できず、効果は無効化され、リリースする事もできません。私はデッキから『アイスブリザード・マスター』2体を特殊召喚」
アイスブリザード・マスター 星8 ATK2500
アイスブリザード・マスター 星8 ATK2500
「レベル8のアイスブリザード・マスター2体で『No.23 冥界の霊騎士ランスロット』をエクシーズ召喚致します」
No.23 冥界の霊騎士ランスロット ランク8 ATK2000
「ランスロットはオーバーレイユニットがある限り、モンスターが居てもダイレクトアタックが出来ます。バトル。ランスロットでダイレクトアタック」
「通すわ。でもモンスター破壊効果は表側表示のみ。伏せカードは除去されないわ」
真由美 LP7000→5000
「ですが、2回分の効果無効効果を保有しています。充分ではないかと」
「そう」
「続けてレクンガで守備モンスターを攻撃します」
私の伏せカードは………
水晶機巧─ローズニクス 星4 DEF1000
「戦闘破壊されるわ」
「続けてマスター・ボーイでダイレクトアタック」
真由美 LP5000→3100
「私はこれでターンエンドです」
「私のターン、ドロー!」
さて、セバスティアンさんの場には攻撃力1900以上のモンスターが3体…内1体はカード効果を無効にする効果を持っている。手札にはゲイザー・シャーク…そして、今ドローしたカードともう1枚を合わせると計3枚……そして…
「(来た……!)」
このデュエルを終結させるカードを引けた!
「伏せていた魔法カード『シャッフル・リボーン』を発動!」
「無駄です。ランスロットの効果により無効にします。強制効果ですので」
「ならさらにもう1枚!罠カード『サンダー・ブレイク』を発動!手札を1枚捨てカードを一枚対象として発動…そのカードを破壊する!レクンガを破壊!」
「通します」
さて、効果を使い切らせたし、墓地にゲイザー・シャークを落とせた。さぁ……
「ワンショットキル……行くわよ!!!」
「っ」
「真由美さん…!?勝ったんスか!?」
このカード…このカードを待っていたわ!
「墓地の『ゲイザー・シャーク』を除外しその効果を発動よ!ゲイザー・シャーク以外の自分の墓地の水属性・レベル5モンスター2体を選択して発動できる。選択したモンスター2体の効果を無効にして特殊召喚し、その2体のみを素材として水属性のエクシーズモンスター1体をエクシーズ召喚する!テセウスの魔棲物とサイバー・シャークを特殊召喚!そして、この2体でオーバーレイ!!!エクシーズ召喚!『No.73 激瀧神アビス・スプラッシュ』!」
No.73 激瀧神アビス・スプラッシュ ランク5 ATK2400→2900
「マスター・ボーイの効果は相手フィールドにも適用されます」
「アビス・スプラッシュの効果発動!1ターンに1度、オーバーレイユニットを1つ使い、このカードの攻撃力を相手のエンドフェイズまで2倍にするわ!」
No.73 激瀧神アビス・スプラッシュ ATK2900→5800
「ですが、その効果を使えば戦闘ダメージは半分になります。どうやってワンショットキルをする気ですか?」
「こうするのよ!装備魔法『ストイック・チャレンジ』を発動!アビス・スプラッシュに装備!装備モンスターの攻撃力は自分フィールド上のエクシーズ素材の数×600ポイントアップし、相手モンスターとの戦闘によって相手ライフに与える戦闘ダメージは倍になる!」
No.73 激瀧神アビス・スプラッシュ ATK5800→6400
「だからそれが───しまった」
「あ!そうか!真由美さんのアビス・スプラッシュのデメリットがストイック・チャレンジの効果で上書きされて戦闘ダメージが半分にならないのか」
正解よ、翔太君。これでアビス・スプラッシュの効果で大ダメージを与えられる。
「つまり、実質12800の戦闘ダメージが発生するって訳よ!バトル!アビス・スプラッシュでランスロットを攻撃!!!」
「……お見事です」
セバス LP8000→0
********************
「今日はありがとうね」
「いえ、みっちり調理指導をしてくださり感謝の限りです」
「じゃ、帰ろっか♪」
「うん!家まで送りますよ!真由美さん!」
夕日が綺麗な外を一緒に歩いて私達は家路についた。余談だが、遊斗君は私達の入れ違いに帰宅し、事実を知ってものすごく悔しがったのだという。
真由美「さて、今回は水属性デッキを紹介しました」
翔太「今回は大人しかったッスね」
真由美「アビス・スプラッシュで攻撃力を上げて、ストイック・チャレンジでワンショットキルするのがこのデッキの特徴よ。まぁ、構築上の問題で手札事故は多いけどね」
翔太「じゃあデッキの紹介だ!」
デッキ総枚数(40)
モンスター(19)
●ゲイザー・シャーク×2
●サイバー・シャーク×3
●ドラゴン・アイス×2
●召喚僧サモンプリースト×2
●セイバー・シャーク×2
●サイレント・アングラー×3
●水晶機巧─ローズニクス×2
●スクリーチ×3
魔法(15)
●ツイン・ツイスター×2
●簡易融合×2
●ストイック・チャレンジ×3
●強欲で貪欲な壺×2
●RUM─ヌメロン・フォース×1
●異次元からの埋葬×2
●死者蘇生×1
●シャッフル・リボーン×2
罠(6)
●神の宣告×1
●サンダー・ブレイク×3
●水霊術─「葵」×2
EXデッキ(15)
●テセウスの魔棲物×2
●レッド・デーモンズ・ドラゴン×1
●CNo.73 激瀧瀑神アビス・スープラ×1
●No.73 激瀧神アビス・スプラッシュ×3
●No.94 極氷姫クリスタル・ゼロ×1
●CNo.101 S・H・Dark Knight×1
●No.101 S・H・Ark Knight×3
●マスター・ボーイ×3
真由美「レベル4と5の混合デッキよ。本編でもやったようにアビス・スプラッシュの高火力でワンショットキルするデッキなの。条件が満たされなくてもS・H・Ark Knightやマスター・ボーイといったカードでビートダウンも出来るわ。まぁ、扱いにくいカードばかりだからかなり厳選したんだけどそれでも事故は起きるけどね」
翔太「ヌメロン・フォースの採用で2種の派生に行けるのも大きいッスね」
真由美「エクシーズ素材を選ぶに辺り、特殊召喚効果を内蔵するドラゴン・アイスは優秀よ。都合上相手ターンに特殊召喚する事が多いけど、高い守備力でターンを稼ぎやすいし手札コストにゲイザー・シャークを使えればコンボも出来るわ」
翔太「テセウスの魔棲物も結構優秀だよね」
真由美「レッド・デーモンズが出せるのが大きいわよね!チューナーだからレベル3を用意出来ればすぐに除去効果内蔵のアタッカーとして存分に力を発揮してくれるわ」
翔太「今回は割と面白いデュエルだったね」
真由美「ストイック・チャレンジが引けなかったら負けてたわ…」