遊戯王OCG’s─変態デュエリスト「古霊 真由美」の1日─   作:レモンの人

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今回はデュエル無しです。準決勝に合わせてデュエル構成やオチを考えており、時間がかかっています。ご了承ください。






閑話休題…諸星家はこんな家

「いらっしゃ〜い♪」

「お、お邪魔しまーす…」

「ただいま〜」

 

翔太君の家は山の麓にある大正時代に建てられたという木造の一軒家。庭がやや広く、即席で作られた畑には野菜が植わっている。

 

「まぁ、つまむ程度の知識で作った家庭菜園だから味はプロに負けるけどね」

 

翔太君の家には古ぼけた時計、テレビ、ちゃぶ台、畳、縁側と時代が止まっている感じ。奥は作業場のようで障子で見えないようになっていた。

 

「すごい家ですねぇ」

「そうなのよ。ここに嫁いだ時は古臭いと思っていたんだけど、今じゃ愛着が湧いてくるわ」

「父さんは今仕事中だから静かにね。騒ぐ時は2階って決めてるんだけど妹も期末試験が終わって寝てるんだ…」

「なるほど…」

 

薫さん曰く、「夫は製本職人」らしい。あと、翔太君には一個下の妹がいる事も発覚した。翔太君の妹…どんな顔をしてるのかしら?

 

「ただ、仕事を僕に継がせる気はないって言ってて、父さんの代で終わりにする…そんなつもりらしいよ」

「そうなの…」

 

子供には好きな仕事をさせたい、好きな学校に通わせたい…いい親じゃない。私なんて何でもかんでも名門一流と身の丈に合わない所ばっかり通わせようとしてたからそういう親はホントに羨ましい。

 

「妹とはもう少ししたら顔を合わせるだろうから、今は寛いでて」

「翔太、先に2人で手を洗いなさい。私はお夕飯を作ってるから」

「じゃあ父さんに何食べたいか聞いてくるよ」

 

翔太君は半紙と硯を用意すると、達筆で手紙を書いてから障子を少し空けて手紙を置いた。気になってチラリと仕事場の様子を見てみたけど…翔太君のお父さんは背中しか見る事が出来なかった。

しばらく、翔太君と2人でテレビを見ていると障子に何かが当たる音が聞こえた。

 

「父さんからの返事だ」

 

障子を少し開けると、先程の半紙が紙飛行機にされていた。翔太君がそれを広げたところ、半紙には翔太君の字の下に「鶏大根+鰐」と書かれている。ん?ワニ……?

 

「母さん!鶏大根と鰐だって!」

「鶏大根と鰐ね…ちょっと庭で大根取ってくるわ」

「あ!私が行ってきますよ義母さん!」

「じゃあ…手前の一本をお願い出来るかしら?玄関にあるサンダル使っていいから」

「ありがとうございます!」

 

よし、この大根ね。一度農家でバイトした事あるから大丈夫でしょ。よいしょぉ!

 

「あの…義母さん?」

「?」

「大根…プロレベルだと思いますよ?」

 

大根の太さとか…大きさとか……普通に店頭に並んでもおかしくないんですが…。

 

「そんな事無いわよ。ありがとう」

「手伝いますよ?」

「ごめんなさいね。じゃあ…大根切ってくれないかしら?」

「はい!」

 

この人とは仲良く出来そう♪翔太君と同じくいい人そうだし。

 

 

 

**********************

 

鶏大根が出来上がり、盛り付けている最中に階段から1人の女の子が降りてきた。多分、翔太君の妹…だと思うんだけど……

 

「こんばんは、翔太君と付き合ってる古霊真由美です」

「あ…どうも」

 

顔が見えなくなるまで伸びきった枝毛だらけのロングヘア、風呂に何日も入っていないのか結構酷い体臭、そしてその体に纏うパジャマ………間違いなく勉強のし過ぎで仙人に至ったパターンね。

 

「お兄ちゃん…お風呂借りる……」

「お、おぅ」

 

隈が出来た虚ろな顔で私に会釈した彼女はフラフラと風呂場へと向かっていった。

 

「いつもはあんなんじゃないんだけどね。試験後の寝不足と知恵熱のダブルパンチから治ったばかりだから……まぁ、大目に見てあげて」

「うん…分かるわ。その気持ち」

 

あの子は自主的な勉強だろうけど、私の場合は母さんがメガホン片手に勉強しろ・期末で1位を取れと監督しながら脅迫してたからなぁ……。確か3年辺りで1度発狂して…そこから点数が落ちて……うん。結論から言えば有名大学への進学が不可能と悟った両親に「出来損ない」呼ばわりされて…それに今まで溜まりに溜まった怒りとストレスと悲しみが爆発。絶縁状叩きつけて出て行ったのはいい思い出かな。おかげで自由に生きられてるし。

 

「(まぁ、中学の時点で自炊も出来たしバイトさえ出来れば完全自立する事だって出来た…まぁ、高校まで通わせてくれただけでも感謝しないと)」

「真由美さん…顔怖いけど?」

「あぁ、ゴメン!気にしないで……ちょっと嫌な事思い出しちゃったから。よし!夕飯食べるわよ〜!」

 

もう私に関わる親戚はマスターだけなんだ…だから、もう親の事は忘れよう。それが私の幸せなんだから。

 

「ん?お客さんか?」

 

と、このタイミングで障子が開いて作務衣を着た男が出てきた。うん、すごいイケメン。薫さんに似たヨーロッパ系の顔だ。髪色は黒だけど…諸星一家ってみんな髪がウェーブしてるのね。

 

「あ、父さん。この人が僕の彼女!」

「古霊真由美です。翔太君とお付き合いさせていただいています!」

「そうか、『諸星 陽介』だ。ウチのバカ息子が世話になっている」

「バカってなんだよバカって!?」

 

陽介さんとも握手を交わした。すごい大きな手だ。翔太君より大きいんじゃない?

 

「お兄ちゃん!今行くから!」

「優里香!走らなくていいからな!それと、使ったスポンジは捨てとけ!」

「お兄ちゃんのスケベ!」

「なんでさ!?」

 

大きな声で数度やり取りした直後、さっきとは別人のような女の子が出てきた。母親譲りの髪色を持つ綺麗な銀髪のウェーブロング(自分で散髪&整髪したのだろう)・翔太君と同じ幼さの残る顔・たっぷり使ったシャンプーのいい匂いがする。ん?じゃあ何で翔太君だけキャベツ色なんだろう……隔世遺伝って奴かな?

 

「初めまして!『諸星 優里香』です!よろしくね!真由美さん!」

「えぇ、よろしくね」

 

これで全員と握手したのかな?

 

「よし、じゃあ『いただきます』の挨拶をしてから夕飯を食べるとしよう」

 

いつの間にか薫さんが用意してくれた夕飯に私は驚いた。

発芽米のご飯・味噌汁・鶏大根の他に見覚えのない白身の刺身があったのだ。しかも、よく分からない魚の煮付けもある。なんだろこれ。

 

「では、いただきます」

「「いただきます!」」

 

挨拶をしてから、私は味噌汁を一口飲んでから刺身を食べてみた……

 

「美味しい…トロみたいな味です!義母さん…こちら何の魚ですか?」

「サメよ」

「なるほど、サメですか…………サメ!?」

 

サメってこんなに美味しいの!?アンモニア臭がすごいイメージがあるんだけど…全然臭くない……。

 

「じゃあこの煮付けも…?」

「サメのアラよ」

「サメェ…」

「真由美さん!サメは何処を食べても美味しいんですよ!ねぇお兄ちゃん」

「うん…まぁ、美味しいけど押し付けはダメだよ」

 

ふと、まな板を見てみるとアブラツノザメの頭と皮と骨が乗っていた。頭以外全部解体したんだ…あれ。

 

「頭と骨から煮凝りを取るのよ。コラーゲンたっぷりだからお肌にもいいの」

「な、なるほど…」

「それより、翔太の部屋に行きなさい。内臓の処理は私がやるから」

 

今更だが、流石に臓器類は捨ててあった。後で聞いたところ『臓器は劇物』とのこと。

 

 

************************

 

「ここが僕の部屋だよ」

「で、向かいが私の部屋」

 

二階には4つの洋式の扉があって、二階に上がって手前の右側が翔太君、左側が優里香ちゃんの部屋みたいだ。なんか…既に家族の一員扱いになってるんだけど…それほど気に入られたって事?

 

「まず僕の部屋から─」

「私の部屋を案内するね。真由美さん!」

「えぇ…」

 

 

 

まず、優里香ちゃんの部屋に入ってみると…私の家と同じレベルの殺風景ぶりだった。大抵ありそうなアイドルのポスターも無く、文房具やファイルも単色かチェック柄。学習机には整理整頓された資料や過去問などの試験対策の本が積み上げられている。強烈な芳香剤の匂いはずっと篭りっぱなしだった時の異臭を誤魔化す為だろうか。

 

「今は名門大学に進学する為に色々断捨離したの。卒業したら一人暮らしして高校時代に溜めていたものを爆発させるつもりなの」

「へぇ…聞き辛いんだけど、目標への到達率はどれくらいなの?」

「70%ね。いいところまでは来たんだけど…」

「そう…」

 

この子は大成する…と思うわ。人生どうなるか分からないからね、私がいい例よ。まぁ、私は諦めてしまった側なんだけど。

 

「じゃあ、私はこれからテストの正答確認をするから後はお兄ちゃんの部屋でゆっくり過ごしてね」

「な、なるほど…お邪魔しました〜」

 

要は『ここで勉強するから静かにしろよ?入ってくんなよ?』って意味かしら。気を付けないと…

 

 

 

 

 

 

 

「いらっしゃい、ここが僕の部屋だよ」

「なるほどなるほど」

 

翔太君の部屋は年頃(?)らしく、某二次元アイドルのポスターやゲーム機が置いてあった。机はさっぱりしており、意外にも掃除が行き届いた綺麗な部屋だった。

 

「綺麗な部屋ね。こんなにモノがあるのに…」

「真由美さんが少な過ぎるだけだよ」

「そうかしら?」

 

まぁ、お金の無い私には厳しいわね。親に頼れないから……

 

「せっかくだし、ゲームとかやろうか」

「いいの?妹さんの邪魔にならない?」

「気にすんな。いつも部屋の中では耳栓かイヤホン付けて勉強してっから」

「そう…なら、お言葉に甘えて」

 

その日、特にやる事も無かった私は翔太君と2人でゲームしたり、義母さんの仕事を手伝ったりと充実した時間を過ごした。翔太君のベッドで一緒に寝た時は正直ドキドキしたけど、何も無かった…。




真由美「翔太君の両親がシグディアじゃなくてアルディアだった件について」
翔太「いや、何それ…」
真由美「もしかして親御さんは異母姉弟(兄妹?)だったりする?」
薫「そんな訳ないじゃない♪安心なさい」
翔太「(ほっ……)」
薫「ところで、昨日の夜は何かあったの?」
翔太「な、何もないよ///何を言ってるんだい!?R-18じゃないんだからケンゼンにやらなきゃ!ケンゼンに!」
薫「R-18版が無いなら作ればいいじゃない」
真由美「いや、意味分からないです!」
薫「まぁ、いっか。それより…次の相手は太陽遊斗とかいうチンピラみたいじゃない」
真由美「いや、あぁ見えて真面目な男(?)なんですよ」
薫「?」
翔太「ま、それより!今日のデュエル、頑張ってね!母さん!」
薫「あったりまえのコンコンチキよ!私にかかれば【サクリファイス】だって叩きのめしてあげるんだから!」
真由美「と、いう訳で…準決勝をお楽しみに!」
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