遊戯王OCG’s─変態デュエリスト「古霊 真由美」の1日─ 作:レモンの人
朝早くに諸星宅を出てバイトに勤しみ、バイト終わりにカードショップへ直行したタイミングでついに始まった3回戦…私はシード権を得て決勝に上がる事になったが……今回の対戦カードでは遊斗君が勝ち上がってくるのか義母さんが勝ち上がってくるのか全く読めない。
「貴女がディアドラさんか。美しい……実に美しい方だ」
「ふふ…褒めても何も出ないわよ?」
早々にナンパまがいのセリフを吐いている遊斗君だが、いつものチャラ男感は出ていない。
「故にオレは全力の果し合いを臨む。どんな敵だろうが…どんな状況だろうがオレは超えてみせる!」
「いい覚悟ね。格の違いってヤツを教えてあげるわ…」
開幕から既に義母さんと遊斗君との間で火花が散っていた。自信と実力が伴う遊斗君と実力未知数の義母さん…どっちに勝敗が傾くか全く分からない。
「「デュエル!!!」」
遊斗 LP8000
薫 LP8000
「先攻!」
「後攻…」
「「じゃんけんぽん!!」」
先攻は遊斗君が先取した。遊斗君…一体どんな戦略を展開する気なのかしら?
「オレのターン……!儀式魔法『イリュージョンの儀式』を発動!手札の『儀式魔人リリーサー』を儀式素材として儀式召喚!いでよ、『サクリファイス』!」
サクリファイス 星1 ATK0
「リリーサーを儀式素材とした儀式モンスターがいる限り、相手はモンスターを特殊召喚出来ない!カードを1枚伏せてターンエンド」
特殊召喚が封じられた今…薫さんは儀式召喚が封じられたも同じ。さぁ…どうす─
「『月読命』を召喚」
ですよねぇ。
月読命 星4 ATK1100
「月読命が召喚に成功した時、モンスター1体を裏守備にする。サクリファイスを裏側に」
「ッ…!」
「これでリリーサーの効果は使えません。さらに魔法カード『儀式の下準備』を発動!デッキから儀式魔法カードを1枚手札に加え、その後加えたカードに記された儀式モンスターを手札に加えます…『霊魂の降神』と『霊魂鳥神ー姫孔雀』を手札に加えます。そして、儀式魔法『霊魂の降神』を発動!レベルの合計が儀式召喚するモンスターのレベル以上になるように、自分の手札・フィールドのモンスターをリリース、またはリリースの代わりに自分の墓地のスピリットモンスターを除外し、手札から『霊魂鳥神-姫孔雀』または『霊魂鳥神-彦孔雀』を儀式召喚するわ!フィールドの『月読命』と手札の『和魂』で儀式召喚!おいでませ!『霊魂鳥神-姫孔雀』!」
霊魂鳥神─姫孔雀 星8 ATK2500
「必勝パターンかよ…クソッ!」
「姫孔雀にチェーンして和魂の効果発動!自分フィールドのスピリットモンスターが場にいる時にこのカードが墓地に送られた場合、デッキからカードを1枚ドローする!そして、姫孔雀が儀式召喚に成功した場合、相手フィールドの魔法・罠カードを3枚まで選んで持ち主のデッキに戻す」
「やられた…!」
伏せカードは『融合』。完全にやられたわね。
「その後、デッキからレベル4以下のスピリットモンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚できる。『天岩戸』を特殊召喚!」
天岩戸 星4 ATK1900
「これでスピリットモンスター以外のモンスター効果は発動出来ない。バトル!天岩戸で守備モンスターを攻撃!」
「──ッ!」
「そして、姫孔雀で直接攻撃です!」
遊斗 LP8000→5500
「カードを1枚伏せてターン終了。エンドフェイズに姫孔雀は手札に戻り、『霊魂鳥トークン』を2体特殊召喚します」
霊魂鳥トークン 星4 DEF1500
霊魂鳥トークン 星4 DEF1500
「(マジかよ…諸星が苦戦する訳だ。こいつぁ…歯が立たない)」
「どうしますか?」
「やってやる……やってやらぁ!オレのターン、ドロー!」
でも、サクリファイスを出せた所で吸収効果が発動出来ない……魔法・罠カードで容易に壊せないだけあって厄介な盤面となっている。どうするの…遊斗君。
「速攻魔法カード『サクリファイス・フュージョン』を発動!手札・フィールド・墓地のモンスターを除外しアイズ・サクリファイス融合モンスター1体を融合召喚する!そして、手札の『パラサイト・フュージョナー』は永続効果として融合素材代用効果を持つ!手札のパラサイト・フュージョナーと墓地のサクリファイスを除外!融合召喚!いでよ、『ミレニアム・アイズ・サクリファイス』!!!」
ミレニアム・アイズ・サクリファイス 星1 ATK0
「……なるほど、そういう事ね。これは突破されちゃうわね〜」
え、もう攻略したの!?
「墓地のサクリファイス・フュージョンを除外し効果発動!自分メインフェイズに墓地のこのカードを除外し、相手フィールドの効果モンスター1体を対象として発動できる。自分フィールドの、アイズ・サクリファイス融合モンスターまたはサクリファイス1体を選び、その効果による装備カード扱いとして対象の相手の効果モンスターを装備する!この装備効果は魔法カードによる効果、よって天岩戸で発動を封じる事は出来ない!!!天岩戸を吸収!」
ミレニアム・アイズ・サクリファイス ATK0→1900
上手い!これなら天岩戸を除去出来る!
「バトル!ミレニアム・アイズ・サクリファイスでトークンを攻撃!」
「………ふっ」
あっさりと攻略されたのに全然涼しい顔をしてるんだけど…何を企んでるのかしら?
「ターンエンド。ミレニアム・アイズ・サクリファイスは1ターンに1度、相手モンスターの効果が発動した時、相手のフィールド・墓地の効果モンスター1体を対象としてその相手の効果モンスターを装備カード扱いとしてこのカードに装備。攻守を継承し、このカードの効果で装備したモンスターと同名のモンスターは攻撃できず、その効果は無効化される!同名モンスターで処理しようなんて考えは止すんだな」
「そうね。止しておくわ。私のターン、ドロー!……だから」
義母さんはそう言うと1枚のカードを手に取った。
「面白い趣向で行くわね♪」
「……何だと…」
「霊魂鳥トークンを攻撃表示に変更」
霊魂鳥トークン DEF1500→ATK1500
「伏せていた魔法カード『強制転移』♪自分のモンスター1体と相手モンスター1体のコントロールを入れ替える」
「しま──ッ!!!」
そうか、ミレニアム・アイズには魔法・罠カードへの耐性はない。おまけにコントロールが奪われる…!
ミレニアム・アイズ・サクリファイス(所有権) 遊斗→薫
霊魂鳥トークン 薫→遊斗
「罠に嵌めたつもりが……!」
「まんまと罠にかかってくれたわね♪」
これはマズイ状況だ。エースモンスターのコントロールを奪われ、おまけに下手に動くと同名カードを封じられてしまう。
「じゃあ次の展開行きます!これがサイドデッキに入れていたカード『SRベイゴマックス』!」
SRベイゴマックス 星3 ATK1200
親子揃ってベイゴマックスを入れているなんて…なんか感慨深いわね。
「ベイゴマックスの召喚・特殊召喚に成功した場合、デッキからスピードロイドを1体手札に加えます!『SRタケトンボーグ』を手札に加え…自分フィールドに風属性がいる為、このカードを自身の効果で特殊召喚!」
SRタケトンボーグ 星3 ATK600
「レベル3のベイゴマックスとタケトンボーグでエクシーズ召喚!『No.30 破滅のアシッド・ゴーレム』!」
No.30 破滅のアシッド・ゴーレム ランク3 ATK3000
「バトル!ミレニアム・アイズ・サクリファイスでトークンを攻撃!」
「通す…!」
遊斗 LP5500→5100
「そして、破滅のアシッド・ゴーレムで直接攻撃です!」
遊斗 LP5100→2100
「ターン終了」
マズイわね…アシッド・ゴーレムは自分のスタンバイフェイズ時、このカードのオーバーレイユニットを1つ取り除くか、自分は2000ポイントダメージを受ける自傷効果を持つ。また、アシッド・ゴーレムはオーバーレイユニットが無い場合、このカードは攻撃できず、フィールド上に存在する限り、自分はモンスターを特殊召喚できないというデメリットを抱えている。そして、一見デメリットでしかない効果は
「……くっ」
おまけにモンスターで無闇に動こうとすればミレニアム・アイズに吸収され同名モンスターが紙札と化してしまう。見事なロックだ。これこそまさしく【霊魂トロール】という奴だ。
「僕のターン、ドロー!」
遊斗君…その顔は……引けたみたいね!
「魔法カード『強欲で貪欲な壺』を発動!デッキトップを10枚裏側で除外し、デッキからカードを2枚ドローする!そして、召喚!『紅蓮魔獣 ダ・イーザ』!」
紅蓮魔獣 ダ・イーザ 星3 ATK?
「このカードの攻撃力は除外されているオレのカード1枚につき400アップする!除外されているカードは12枚!」
紅蓮魔獣 ダ・イーザ ATK?→4800
「バトル!ダ・イーザでミレニアム・アイズを攻撃!」
「やるわね…♪」
薫 LP8000→5100
「カードを1枚伏せてターンエンド」
遊斗君の布陣もなかなかに強力ね。切り札級の攻撃力を得たダ・イーザと情報の無い伏せカード1枚。プレッシャーをかけるには十分過ぎる。
「私のターン、ですね。ドロー。維持コストとしてアシッド・ゴーレムのオーバーレイユニットを使うわ」
No.30破滅のアシッド・ゴーレム ORU2→1
だが、義母さんも全く動じていない。冷静に手札と盤面を交互に見ながら調整していた。
「魔法カード『強制転移』発動です!モンスターのコントロールを入れ替えるわ」
「だが、薫さんの除外されているカードは0。アシッド・ゴーレムの攻撃力には及ばない!」
No.30 破滅のアシッド・ゴーレム(所有権) 薫→遊斗
紅蓮魔獣 ダ・イーザ(所有権) 遊斗→薫 ATK4800→0
考えたわね…強制転移を使うよう誘った訳ね。そして、ダ・イーザは『自分』の除外されたカードを参照するから除外されているカードが少ないプレイヤーが奪ったとしても弱小モンスターと化す……実に理にかなった戦術だ。
「(仮にオーバーレイユニットが0になったとしてもオレはノー・フェイスなどの上級モンスターを引くことが出来れば解決する…)さぁ、どうした?この程度で終わりじゃないだろ?」
「そうね。でも、今回はこの程度にしておくわ。ダ・イーザを守備表示に変更してターン終了」
紅蓮魔獣 ダ・イーザ 星3 ATK0→DEF0
「エンドフェイズに速攻魔法『スケープ・ゴート』を発動!オレのフィールドに羊トークンを4体守備表示で特殊召喚!」
羊トークン 星1 DEF0
羊トークン 星1 DEF0
羊トークン 星1 DEF0
羊トークン 星1 DEF0
形勢は変わった。完全に流れが遊斗君に来ている!
「オレのターン、ドロー!アシッド・ゴーレムの維持コストとしてオーバーレイユニットを1つ使う!」
No.30破滅のアシッド・ゴーレム ORU1→0
「オレはアシッド・ゴーレムをリリースして『幻想魔術師─ノー・フェイス』をアドバンス召喚!」
幻想魔術師─ノー・フェイス 星5 ATK1200
「召喚条件はレベル1モンスター1体!羊トークン1体で『リンクリボー』をリンク召喚!」
リンクリボー LINK-1 ATK300 リンクマーカー【下】
「召喚条件はモンスター2体!羊トークン2体を使い『セキュリティ・ドラゴン』をリンク先へリンク召喚!」
セキュリティ・ドラゴン LINK-2 ATK1100 リンクマーカー【上・下】
「セキュリティ・ドラゴンの効果発動!表側表示で存在する限り1度だけ、カードが相互リンク状態の場合に相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを持ち主の手札に戻す!ダ・イーザを手札に戻す!」
よし、さらに次のターンで攻撃力4800のダ・イーザを召喚出来る!完全に強制転移を逆利用した形になったわ!
「続けて!リンクリボーと羊トークンで『プロキシー・ドラゴン』をリンク召喚!」
プロキシー・ドラゴン LINK-2 ATK1400 リンクマーカー【左・右】
「バトル!セキュリティ・ドラゴン、プロキシー・ドラゴン、ノー・フェイスでダイレクトアタック!」
「通します」
薫 LP5100→1400
「さらに畳み掛ける!メインフェイズ2に移行!このカードの召喚条件は効果モンスター3体以上!そして、セキュリティ・ドラゴンはリンク素材に使う場合は2体分としても扱える!セキュリティ・ドラゴン、プロキシー・ドラゴン、ノー・フェイスでリンク召喚!『ヴァレルロード・ドラゴン』!」
ヴァレルロード・ドラゴン LINK-4 ATK3000 リンクマーカー【左・左下・右下・右】
「さらに、ノー・フェイスが墓地へ送られた場合、墓地の『ミレニアム・アイズ・サクリファイス』を特殊召喚!」
ミレニアム・アイズ・サクリファイス 星1 DEF0
「オレはこれでターンエンド!」
ついにライフポイントが逆転した。盤面でも遊斗君が優位に立っている!そして、次のターンで攻撃力4800のダ・イーザを出す事だって──
「さてと、お遊びはここまでね」
「なっ──」
お遊び…?
「私のターン、ドロー!魔法カード『トレード・イン』を発動!手札のレベル8モンスター1体を墓地へ送り、デッキからカードを2枚ドローする。姫孔雀を墓地へ送り2枚ドロー!」
「だが、どう足掻こうがその手札ではヴァレルロードを落とす事は出来ない!」
「虚勢ね。儀式魔法『霊魂の降神』は墓地のスピリットモンスターも素材に出来るわ。もし儀式の下準備を引けば彦孔雀を儀式召喚して私の勝利が確定するわ」
「くっ……」
手札を素早く交換した義母さんだが、その顔からは先程とは全く違う…冷徹な一面が浮かんでいた。
「私は最初に言った筈よ。『格の違いを教える』と…そして、このカードでそれを証明してあげるわ!魔法カード『ダーク・コーリング』!」
「しまった…!!!」
「このカードは自分の手札と墓地のモンスターを除外して融合素材とし、『ダーク・フュージョン』で融合召喚出来る融合モンスターをEXデッキから特殊召喚する!手札の『トーチ・ゴーレム』と墓地の『No.30 破滅のアシッド・ゴーレム』を除外融合!いでよ…『E-HERO ダーク・ガイア』!」
E-HERO ダーク・ガイア 星8 ATK?
「ダーク・ガイアの攻撃力は融合素材となったモンスターの元々の攻撃力の合計となる。素材となったモンスターの攻撃力はそれぞれトーチ・ゴーレムとアシッド・ゴーレムの3000ずつ…よって攻撃力は!」
E-HERO ダーク・ガイア 星8 ATK?→6000
「そん…な………」
「バトル!ダーク・ガイアでヴァレルロードを攻撃!プライドごと砕け散りなさい!《ダーク・カタストロフ》!!!」
遊斗 LP2100→0
嘘……遊斗君まで…負けた……。
************************
「クソッ!あと一息だったのにあんな……あんなカードをサイドデッキに仕込んでたなんて…!」
「最初から天岩戸を除去された時点でこの筋書きは出来ていたんですね」
「そうよ。先の先を読んでデュエルをする……冷静なペース配分が勝敗を分けるの。いい?そこは忘れないように」
「っ…」
これは私にも言っている言葉だ…決勝で恥を掻くわけにはいかないわ。
「真由美さん、貴女のデュエルは温存型…ただし、私のデッキとの相性は最悪……貴女が勝つ方法はただ1つ」
義母さんは私に人差し指を向けた。
「私からの猛攻を最小限のカードでかい潜り、確実に仕留める事。それが出来ないならば…貴女は必ず私に敗北する。私の期待を裏切らない事ね」
「は…はい!」
義母さんは最初から私以外眼中に無いって事ね…そういう事なら私も本気でやるしかないわね。
「(と…言っても、サイドデッキの殆どを見せてしまった今…情報アドバンテージでは明らかに負けている。私が勝つ為には…)
私は首に提げた御守りを少し握った。
「(今あるカードで勝機を掴むしかない!)」
古霊真由美、人生の大一番がやって来た……。
真由美「惜しかったわね」
遊斗「悔しいぜ。あと一息で倒せたのに…」
翔太「母さんのデュエルはやっぱえげつないわ。手札だってラストターンの時には余ってたし…」
薫「さてと、サイドデッキ弄らないとね…」
真由美「そうだった!私も今から弄るから…ここで離脱させてもらうわね」
翔太「うん、頑張ってね」
遊斗「負けたりしたら承知しないからな!」
真由美「いや、遊斗君に承知されなくてもなぁ…」
遊斗「酷いッ!?」