遊戯王OCG’s─変態デュエリスト「古霊 真由美」の1日─ 作:レモンの人
「潜海奇襲かぁ…」
単発夜勤で働いていた大型スーパーでパックを買った私はパックの中身を一瞥して私は肩を落とした。今日は『覇王紫竜オッドアイズ・ヴェノム・ドラゴン』が目当てだったのに……残念。
「近所の牛丼屋で食べて帰るか…」
肩を落としながら当たったカードをしまおうとした時、私の視線はジュラルミンケースのあるカードに釘付けになった。
「こ、これだぁああああああっ!!!………あ、すみません」
驚いて私を見る人達に小さく頭を下げ、いそいそと店を出た後…私は全速力でカーショップに向かった。
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「今回のデッキは代わり映えしない【パシフィスHERO】よ」
「あれ?同じなんスか?」
「そうよ、【パシフィス】デッキは色々応用が利くの。早速だけど実験体になって、翔太君」
「えぇ…」
今回からは遊斗君も一緒に観戦に来ている。本来のデッキとやらを手に『そんな奴よりオレとデュエルしろよ』的な嫉妬の視線を感じる。
「じゃあ、遊斗君とデュエルするかな?」
「なっ!?」
その言葉を聞いて遊斗君が歓喜を体で表現し、翔太君が憤慨した。
「本来のデッキって奴をボコボコにしてから翔太君とデュエルしたいのよ」
「あぁ…そういう」
遊斗君、完全に舞い上がってしまっている。ある意味弄りやすいキャラなのかもしれない。
「じゃあ、行きますか!」
「よっしゃ、カッコいいトコ見せてやるぜ!」
そのついでに食事でも誘ってあわよくば…とか、何やらブツブツ言っているが無視無視。
「真由美さんガンバー!」
「オッケー自信諸共踏み砕く」
「「デュエル!!!」」
真由美 LP8000
遊斗 LP8000
「じゃんけんで決めるわよ。なーにコイントスしようとしてんのよ!」
「ひっ!?すんません!」
「じゃあ行くわよー!先攻後攻」
「「じゃんけんポン!」」
「先攻はオレだ!チューナーモンスター『魔轟神レイヴン』を召喚!」
魔轟神レイヴン 星2 ATK1300 チューナー
「レイヴンの効果発動!手札を任意の枚数捨て、このカードのレベルは捨てた枚数分アップし1枚につき攻撃力が400アップする!この効果はエンドフェイズまで続く。オレは2枚捨てる」
魔轟神レイヴン 星2→4 ATK1300→2000
「さらに墓地へ送った『Emトリック・クラウン』の効果発動!このカードが墓地へ送られた場合、墓地のEmモンスター1体を攻守0にして特殊召喚する!トリック・クラウンを特殊召喚!その後、オレは1000ダメージを受ける」
Emトリック・クラウン 星4 DEF1200→0
遊斗 LP8000→7000
「レベル4のトリック・クラウンにレベル4のレイヴンをチューニング!シンクロ召喚!来い!『ブラッド・メフィスト』!」
ブラッド・メフィスト 星8 ATK2800
「カードを2枚伏せてターンエンド」
「私のターン、ドロー!」
ブラッド・メフィストには2つの効果がある。1つは相手ターンのスタンバイフェイズに相手フィールドのカード1枚につき300ダメージを与える効果。もう1つは魔法・罠カードゾーンにカードをセットした時に300ポイントを与える効果だ。さしずめビートバーンといったところか。
「魔法カード『融合』!手札またはフィールドのモンスターを素材に融合召喚を行う!手札の『E・HEROスパークマン』と『城塞クジラ』を融合!融合召喚!『E・HEROアブソルートZero』!!!」
E・HEROアブソルートZero 星8 ATK2500
「さらに魔法カード『死者蘇生』発動!墓地から『城塞クジラ』を特殊召喚!」
城塞クジラ 星7 ATK2350
「城塞クジラの効果発動!特殊召喚に成功した時、デッキから『潜海奇襲』をセットする!」
「この瞬間、ブラッド・メフィストの効果発動!魔法・罠カードにカードがセットされた時、相手に300ポイントのダメージを与える!」
「その程度なら痛くもないわ!」
「が、効果ダメージが発生する効果が発動した瞬間!墓地の『Emスティルツ・シューター』の効果発動!オレの墓地にスティルツ・シューター以外のEmモンスターが存在する場合に発動出来、自身を除外する事で2000ポイントのダメージを与える!合計ダメージは2300!!!」
「うっ!?」
真由美 LP8000→5700
なるほど、ブラッド・メフィストの効果ダメージをスティルツ・シューターの効果で増幅させるデッキなのね。
「でも、アブソルートZeroはこのカード以外のフィールドの水属性モンスター1体につき攻撃力を500ポイントアップする!」
E・HEROアブソルートZero ATK2500→3000
「バトル!アブソルートZeroでブラッド・メフィストを攻撃!」
「永続罠『強制終了』!自分フィールドのカード1枚をコストにバトルフェイズを終了させる!」
「カードを1枚伏せてターンエンド」
これはマズいわねぇ……墓地にシャッフル・リボーンが落ちちゃったわ。
「オレのターン、ドロー!墓地の『シャッフル・リボーン』の効果発動!このカードを除外し自分フィールドのカードを1枚デッキに戻す事でデッキからカードを1枚ドローする!強制終了をデッキに戻し1枚ドロー!速攻魔法カード『異次元からの埋葬』!互いに除外されてるモンスターの中から3枚までを墓地に戻す!オレはスティルツ・シューターを墓地に戻す!さらに、魔法カード『強欲で貪欲な壺』!デッキの上から10枚を裏側で除外し2枚ドロー!」
なんか皆んな引いてるわね強欲で貪欲な壺…そのドロー運が羨ましい。
「魔法カード『ミス・フォーチュン』発動!バトルフェイズを破棄する代わりに相手モンスター1体の元々の攻撃力の半分のダメージを与える!対象はアブソルートZero!さらにスティルツ・シューターも除外!合計3250ダメージを喰らえ!」
「厄介ね…!」
真由美 LP5700→2450
「さらに魔法カード『おろかな埋葬』!デッキから『Emスティルツ・シューター』を墓地へ送る。ブラッド・メフィストが次のスタンバイフェイズに与えるダメージは1200ポイント!スティルツ・シューターの効果を加えれば3200ダメージだ!次のターンでオレの勝利が確定する!」
「気は済んだ?」
「…?」
「永続罠『潜海奇襲』発動!発動後処理として手札または墓地の『海』を発動する!手札から『幻煌の都 パシフィス』を発動!パシフィスはルール上『海』として扱う!」
さて、やりたい放題やらせたし反撃と行きますか!
「潜海奇襲の効果を発動!1ターンに1度、自分フィールドの水属性モンスター1体をエンドフェイズまで除外して発動できる。このターン、自分フィールドの表側表示の魔法・罠カードは相手の効果では破壊されない。アブソルートZeroを除外!」
「アブソルートZeroを除外…まさか!?」
「察しがいいわね!アブソルートの効果発動!このカードがフィールドから離れた場合、相手フィールドのモンスターを全て破壊する!」
「しまった…ブラッド・メフィストが!」
「自分フィールドにトークンが存在せず、相手が魔法・罠・モンスターの効果を発動した場合に発動できる。自分フィールドに『幻煌龍トークン』1体を特殊召喚するわ!」
幻煌龍トークン 星8 ATK2000
「パシフィスの効果発動!1ターンに1度、自分が通常モンスター1体の召喚・特殊召喚に成功した場合に発動する。デッキから幻煌龍カード1枚を手札に加える!『幻煌龍の戦禍』辺りでいいわね」
このコンボ強いのよねぇ。毎ターン禁止カードこと『サンダー・ボルト』をぶちかませる。しかも潜海奇襲も自身の効果で守る事が出来るからタチが悪い。まぁ、サーチしたカードは大抵使えないんだけどね。
「クソッ…ターンエンド」
「エンドフェイズにアブソルートZeroはフィールドに戻る!フィールドには幻煌龍トークンと城塞クジラの2体!よって1000ポイントアップ!」
E・HEROアブソルートZero 星8 ATK2500→3500
「私のターン、ドロー!このままバトルよ!幻煌龍トークンでダイレクトアタック!」
遊斗 LP7000→5000
「城塞クジラでダイレクトアタック!」
遊斗 LP5000→2650
「そして、アブソルートZeroでダイレクトアタック!!!」
「ああああああああああ!!!」
遊斗 LP2650→0
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「ひどぃ…また除外系カードにボコられた…」
四隅で体育座りする遊斗君を他所に私と翔太君は完成したデッキを眺めていた。
「今回はHERO要素少なめッスね…」
「アブソルートZeroを出す為に必要だってだけでメインは『城塞クジラ』なの。詳しい説明は後でするわ」
「これならガチデッキ相手にもマトモに戦えそうッスね!」
「ダメダメ、今の環境に殆ど入ってる壊獣相手には処置されちゃうの」
「壊獣は悪、はっきり分かるッス」
今回の出来は割と満足ね。いいデッキが作れたと思うわ。
「ところで、最後の遊斗のターンの時もっと早くに潜海奇襲を使ってもよかったと思ったんスけど……」
「アレ?あぁ、ジャックの真似をしただけよ?」
「ジャックの?」
私は腕を組むと翔太君の前でドヤ顔でこう言った。
「己のピンチを演出し、観客のカタルシスを掴む!これがキングのデュエル!ってね」
「……遊斗に同情するッス」
遊斗「クソッ!セコいぞお前ら!除外とフィールドを行ったり来たりしながら徹底的に妨害しやがって!!!」
真由美「はいはい、私が悪い私が悪い…さて、今回は私の使ったパシフィスHEROデッキを紹介するわ」
モンスター(10)
●城塞クジラ×2
●沼地の魔神王×3
●E・HEROスパークマン×3
●ウォーター・スピリット×2
魔法(22)
●融合×3
●E-エマージェンシーコール×3
●増援×1
●鹵獲装置×2
●幻煌の都 パシフィス×3
●テラ・フォーミング×2
●死者蘇生×1
●ハーピィの羽根帚×1
●強欲で貪欲な壺×3
●幻煌龍の螺旋波×1
●おろかな埋葬×1
●ミラクル・フュージョン×1
罠(8)
●幻煌龍の戦禍×2
●潜海奇襲×3
●神の宣告×1
●ヒーロー・ブラスト×2
EX(15)
●E・HEROアブソルートZero×3
●E・HEROシャイニング・フェニックス・ガイ×1
●E・HEROシャイニング・フレア・ウィングマン×1
●E・HEROサンダー・ジャイアント×1
●始祖竜ワイアーム×2
●レッド・デーモンズ・ドラゴン×1
●トポロジック・ボマー・ドラゴン×1
●プロキシー・ドラゴン×2
●リンクスパイダー×3
真由美「今回のデッキの特徴は敢えてHEROをスパークマンに絞り、デッキ圧縮カードを多めに採用した事ね。スパークマンと水属性を素材にアブソルートZeroを融合召喚し潜海奇襲とのコンボで毎ターン『サンダー・ボルト』をぶちかます!これだけで相手は毎ターンサンダー・ボルトを撃たれる恐怖に怯えながらプレイしないといけないわ」
翔太「え、えげつないッス」
真由美「本文でも言ったけど壊獣には弱いわ。アブソルートZeroをリリースされてデッキが崩壊しちゃうの。ま、それでも戦えるようカードも幾らか用意してるから問題ないけどね」
遊斗「出た、シャイニング沼地マン」
真由美「勿論沼地マンや沼地ガイも状況によっては使うわ。どっちも性能としては悪くないからね」
翔太「強欲で貪欲な壺を無視するとしたらかなり安いデッキっスね。これなら安心して組めるッス」
真由美「強欲で貪欲な壺が無くもツイン・ツイスターとか馬の骨の対価を採用する手もあるし応用色々って感じよ」
翔太「なるほどー…」
真由美「ところで、翔太君。明日空いてる?ラーメン屋でも行かない?」
翔太「行くッス!」
遊斗「ならオレとっておきの店知って…る……行っちゃった」