「あの黒い霧…ネミートコアペン達を全部奪って消えちゃったけどなんだったんだ…」
博物館の事件の翌日、奏多は朝の通学路で、事件の最後に出てきた霧について考えていた。
「う~ん…まぁ、今は考えていても解らないことだらけだな…うん・・っと!もう少しで葵様との待ち合わせの時間だな」
結局、奏多は考えることを辞めてしまった。
「おい姉チャン!どこ見て歩いとんのや?」
そんな奏多が曲がり角に差し掛かると、そこに自分と同じ制服を着たスラっとした背で長い黒髪の女子を、学ランに身を包んだいかつい男が囲んでいる光景が見えた。
「こりゃ折れてしまったわどうしてくれるん?」
「いや、ぶつかってきたのはそっ「はぁ?そっちだろ」え…」
「兎に角治療費やらなんやら払ってもらおか」
「お、お金なんて無いです…」
「お金がないなら身体で払ってもらってもええんやで?」
(うわぁ、物凄いベタだな~この人)
そんなことを考えがら奏多は歩きだした。
「ヘ!ヘ!へ!とりあえず一緒に来てもらお ドカン 」
男が震えている女子に手を伸ばそうとしたとき、その手に何かがぶつかった。
「なんだ!?」
「イッテテテテ あぁー」
手にぶつかった何かとは奏多であった。
「何すんだ!お前!」
「すみません!前が見えてなくて!大丈夫でした?」
「あ?何が大丈夫だと?」
男は奏多の胸ぐらをつかんで怒鳴りつけた。
「おかしいな?こんな彼女がぶつかっただけで折れる腕が僕にぶつかっても折れないのはおかしい話ですよね~本当は折れてなかったりして」
「な!」
男は奏多の言葉にあからさまに動揺している。
「あれ?その顔?もしかして図星ですか?」
「グ!グヌヌ」
「兎に角、こんなつまらないことは早く辞めて・・・ここから消えてください」
奏多は男を睨みつけ冷たい言葉を贈った。
「ク、クッソォォォォォォ」
男は捨て台詞を叫んで逃げていった。
「ふぅ~大丈夫でした?」
「は、はい・・ありがとうございました」
女子は震える身体を抑えながら震える声で奏多にお礼を述べた。
「そっか、ならよかったです!・・・ってヤバッ!じゃぁ!これからは気を付けてくださいね!」
奏多は慌ててその場を離れていった。
「・・・」
「おーい!ねーちゃーん!!」
震えてる女子の元に女子と似た男がすごい形相で近寄ってきた。
「あの男が姉ちゃんに、何かしたのか!?」
「え?・・あっ、嫌「クソーあの男!覚えてろよ」だから違う・・・」
「姉ちゃんとにかく学校に行こうぜ」
「う、うん あぁ~」
女子がうなづくと同時に腕を引っ張って学校へと向かっていった。
鳥居坂高校クラス
「それで?約束に間に合わなかったと?」
「はい・・・面目ありません・・・」
奏多は教室の後ろで葵に正座をさせられていた。
なぜ正座をさせられるかというと、朝の事件のせいで約束の時間に間に合わなかったのである。
「まぁ、いいじゃないか!悪いことをしたってわけじゃないし」
「そうだよ~奏多君も反省してるんだし」
瞬矢と凛は葵を落ち着かせていた。
「まぁ、そうね、これからは遅れそうになったら連絡よろしくね」
「はい・・・」
キーンコーンカーンコーン
「さぁ!席に着きましょ!」
「そだね~」
「ウッ!あ、足が痺れた」
「大丈夫か?」
ガラガラ
四人はそれぞれの席に着くと、担任が入ってきた。
キリツ!オハヨウゴザイマス!チャクセキ!
「はい!おはよう!こんな時期ですが今日は転校生が来ています」
オォォォ~!
「センセーイ!転校生って女子ですか!」
一人の男子生徒が先生に尋ねた。
「そうです、じゃあ入ってきてください」
ガラガラ
「あ!」
入ってきた女子を見た奏多は驚いて声を上げた。
「ん?どうかしたのか?星作?」
「い、いえなにも」
「そ、そうか、よし!じゃあ自己紹介を」
「はい・・・稲内冬花ですよろしくお願いします」
稲内冬花と名乗った女子はスラっとした背で長い黒髪、顔も整っている綺麗な女子。
そう朝に奏多が助けた女子だった。
「よし席は・・・おっ!一番後ろの端、星作の隣だな」
「はい・・・」
そう言って冬花は奏多の隣、窓際の後ろ端へと向かった。
「け、今朝はありがとうございました。」
「いやいや、たいしたことはしてませんよ、あぁ!僕は星作 奏多!わからないことがあったら何でも聞いてください!これからよろしくお願いします!」
「はい!お願いします!」
奏多の言葉に彼女は笑顔で答えた。
鳥居坂高校 クラス
昼休みになり、冬花と奏多の周りに、葵たちがやってきた。
「お~い!奏多!一緒に弁当食べようぜ!」
「うん!稲内さんも一緒に食べよ!」
奏多は昼休みまでで仲良くなった冬花を誘った。
「うん!いいよ!」
冬花達は、席をくっつけて席に着いた。
「お前もう仲良くなったのか?」
「うん、まぁね」
瞬矢の言葉に奏多は照れくさそうに答えた。
「本当に奏多は友達を作るの上手いわよね、あ!自己紹介がまだだった、私は原島 葵!」
「私は仲門 凛!」
「俺は鹿良 瞬矢」
「あ、改めて稲内 冬花です」
奏多を除く全員が自己紹介を済ませると奏多が口を開いた。
「さ!お弁当食べよ!」
「はい!・・・あれ?」
いざ、お弁当を食べようとしたとき、冬花は大慌てでカバンをあさりだした。
「どうかしたの?」
「ない!・・ないんです!私のお弁当忘れてきたみたいです!」
「「「「えぇ!」」」」
「大丈夫なの?」
「もう購買閉まってるぞ」
ガラガラ
全員が慌てていると、冬花達の席に一人の少年が近寄ってきた。
「姉ちゃん!お弁当!忘れてきたでしょ?」
「夏樹!」
夏樹と呼ばれた少年は冬花に似た顔で黒髪の短髪の少年だった。
「はい!弁当!ちゃんと持ってきたよ!・・あ!俺の名前は稲内 夏樹!稲内 冬花の弟です!以後お見知りおきを・・・って・・あぁぁぁぁ!」
自己紹介をした夏樹は、奏多の顔を見て驚きの声を上げた。
「お、お前!今朝の最低男!なんで姉ちゃんと一緒にいるんだよ!」
「「「最低男?」」」
「え?なんのこと?」
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