バカとセンターと召喚獣 作:ビーター/beater channel
「......雄二」
「なんだ翔子?」
「......携帯電話を見せて欲しい」
「前にもこんなやり取りがあった気がしなくもないが...。まぁ良い。んな事よりどうしてそんなことを言い出したんだ?」
「......昨日、TVで言ってたから」
「TVで?何を?」
「......浮気の痕跡は携帯電話に残ってることが多いって」
「なんだその番組、今年も全く同じ事を言ってるってことはアレか?ネタ切れなのか?」(バカテス5巻参照)
「......今はそんな事はどうでも良い。携帯、見せて」
「断る」
「......歯を食い縛って欲しい」
「待て!今途中経過が色々飛んだぞ!?いきなりグーか!?グーで来るのか!?」
「......見せてくれる?」
「あー...。いや、それがだな、今日たまたまタンスで携帯をカチ割ってしまっtぎゃぁぁああっ!目が、目がぁぁああ!」
「......最初からこうするべきだった」
「ちょっと待て、タンスで携帯をカチ割るという文章のおかしさにまず気付け!」
「......それは気付かなかった」
「絶対気付いてただろ畜生!」
「......雄二。見せて」
「くっそ、また振り出しか。まぁこれ以上怪我もしたくねぇし、少しだけだからな」
「............」
「どうだ?特に面白いものは何もないだろう?分かったら大人しく携帯を返せ」
「......もうちょっと」
PiPiPiPiPi
「っと、メールか。ちょっと確認するから携帯を...。_いや、違うな。携帯よりも先に、そのグーで構えた右手を下ろせ」
「......ダメ。殴らなきゃ」
「は?なんdぎゃぁぁああ!顔が、顔がぁぁああ!」
「......浮気は、絶対に、許さない......!」
「さっきのメールにはなんて書いてあったんだ畜生!」
【Message From 吉井明久】
雄二の家に泊めてもらえないかな。今夜はちょっと......帰りたくないんだ。
☆☆☆
梅雨前線の影響をあまり受けないはずのこの地域にしては珍しく、僕の点数の如く雨が思いっきり降った日曜の午後。
外は雨が上がって日差しが射しているのにも関わらず、僕はキッチンに立っていた。
手前には綺麗に飾りつけされた料理がズラリと並んでいる。
がしかし、綺麗に盛られた料理とは裏腹に、とても落ち着かない様子だった。
「ま、まさか母さんが来るなんて...」
さっき送った雄二宛のメールはまだ返ってこない。
これはもはや絶体絶命というのではなかろうか?
_pinnpo-n
聞こえてきた呼び鈴に、僕は寒気を感じた。
「は、はーい。今行くよー」
返事をしながら鍵を外し、ドアを開ける。
「久しぶり、明久」
「お、お久しぶりであります!お母様!」
「どうして敬礼なんてしてるのよ」
「は!怖いからであr_ごふぁ!」
いきなり殴ってきた。これだから嫌なんだよこの人!
「とりあえず上がらして貰うわね」
と言って目線を下ろしてため息をつく。
「はぁ...。全く、どうしてスリッパが用意されてないのよ」
「も、もうしわけありませぬ!」
回り込んで膝をつくと、棚の三段目からスリッパを出す。
...埃が被っていた。
「すみません!今すぐ拭いてきmぎぃやぁぁああ!」
僕の腹に母さんの蹴りが直撃する。
...膝をついているから高さ的にちょうど良いんだこれが!
☆☆☆
無言で食事を済ませたあと、僕は気になったことがあったので聞いてみた。
「母さん、どうしてウチに来たの?」
数秒のタイムラグの末、口を開く。
「そうねぇ、暇だったからよ」
「じゃ、じゃあ目的は?一人暮らしの件だったら姉さんが報告してくれたはずだよ?」
「玲の報告だけじゃ、俄かに信じられない内容が書いてあって...」
「そ、それってどんな?」
「”不純同姓交際アリ”っていう、報告がね」
「はぁぁあああっ!」
「全く、玲もどうしちゃったのかしら」
「ちょっと待って母さん!”も”ってどういう事?!」
「明久がおかしいのは元からでしょう?」
そんな意見は認めない。
まぁ、姉さんの報告におかしな点があったから母さんが来たという結論で、大体間違いないだろう。
ならば先ほど送った雄二宛のメールは、見られたら大変な事になりそうだ。
「ところで明久」
「何?母さん」
「雄二って、どちら様?」
「へ?」
母さんは僕の携帯を覗き込んでいた。
「のぉぉおおっ!隠し切れない事実が露わに!」
「答えようによっては、川を渡る羽目になるわよ?」
「それって三途の川だよね?!ねぇ!」
と、とりあえず弁解をしなきゃっ!
「あのね、母さん」
「なに?」
「雄二って言う女性が居るんだっ」
...三途の川は、来る人を拒むかのようにとても冷たかった。
☆☆☆
日が変わって月曜日、いつもとは違って塩分以外の食事が取れ、良い日になりそうだと高をくくったその時。
「よお、明久、奇遇だな」
教室に入って一番最初の顔がブサイクだったものだから、一気にテンションが下がった。
「ど、どうしたのさ、雄二。...その手は?」
僕が気になったのは雄二の右手。なんでもう構えちゃってるの?
「ああ、これか。...ちょっと殴らせろっ!」
「え?ちょっ!僕がなにしたって言うのさ!」
「したもなにも...。お前が俺に送ってきたメールの内容に腹が立ってるんだ!」
なんだ、その事か。
「ああ、あの件はもう済んだから大丈夫だよ」
「え?済んだって、姉さんが来たから泊めろとかじゃないのか?」
そこら辺は察しがついているのか。
「いや、確かに母さんがウチにきたけど...」
「ほお、お前ん家のピラミッドの頂点か。なら尚更泊めろと言われそうなんだが」
「うん、でも大丈夫だって!今回は頼む相手が違うんだ」
「そうか。ならばお前の作戦が無事に成功することを祈ろう」
「な、なんのことやら」
「とぼけたって無駄だぞ。俺以外を頼るってことはなんらかしら作戦があるってこった」
「まぁその通りなんだけどね」
そう、今回ばかりは僕に作戦がある。
風呂に入ってる時に考え付いた物だが、我ながら頭が良いと思った程だ。
「まぁそれとこれとは別で、俺が殴られた分だけ殴らせろ!」
「ぎぃやぁぁぁあああっ!目と顔がぁぁぁあああっ!」
☆☆☆
「姫路さん、ちょっと良い?」
「はい!明久君、なんでしょう」
教室で勉強をしていた姫路さんに声をかける。
「あっと、ここだと少し困るから来て貰えるかな」
「分かりましたっ」
僕は、Fクラスに声が届かないぎりぎりの廊下で立ち止まった。
後は異端審問会が後を付けて来てないか確認するのみ。
...幸い、馬鹿の気配はしないようだ。
「どうかしましたか?明久君」
あまりにもキョロキョロする僕を気にしたのか、不思議そうに尋ねてくる。
「大丈夫だよ、そんなことより姫路さん」
「はいっ」
「今晩、僕を泊めてくれないかな?」
さてさて、次話で姫路さん家に泊まるわけですが果たしてどうなることやら(笑)