バカとセンターと召喚獣   作:ビーター/beater channel

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僕と姫路さんとお泊り会 前編

新学年になって一ヶ月が経過し、日没の時刻にはっきりとした変化を感じ始めるこの季節。

僕にとっては腫れた頬の痛みしか頭に感じることができなかった。

「何をやらかしたんだ?明久」

教室の戸をくぐることはや二回目。

その二回共々ブサイクの顔を拝むこととなり、若干の吐き気を催したうえに、胃酸が腫れた頬に染み、全く新しい感覚を覚えることとなった今日この頃...。

「雄二には関係ないねっ」

悔し紛れに雄二を冷たく制するが

「全てゲロっちまえ、楽になるぞ」

もうゲロそのものは出ているとかそういう話ではなく、確かに今の気持ちを相談したかっただけなんだ、きっと。

「分かったよ...じゃあ_」

 

雄二の他に秀吉やムッツリーニが耳を傾けるなか、僕はゲロを吐き出し始めた。

 

 

☆☆☆

 

 

姫路さんは美波と屋上にいた。

「どうしたの?瑞希から相談なんて珍しいじゃない」

「それが...」

 

急に明久君から泊めて欲しいと懇願されたこと、そしてそれは校則である《学年恋愛の前面禁止》を違反すること。

そして何よりも、そもそもなぜお願いされたのかという疑問から相談せずにはいられなかった。

 

「なるほど、そんな事が...」

羨ましいなどという欲望は押し殺し、できる限り考えてから口を開いた。

「瑞希が悩むことないんじゃないの?急にそんなこと言い出したアキがいけないのよ」

「でもっ、切羽詰っていた様でしたし、協力しない訳には...。しかも、あんなことまでしてしまいました...」

「なんだ、もう答えでてるじゃない。それに、ビンタについては謝れば済むことよ」

ウチながら、良いこと言ったと思う。

「...。そ、そうですね。美波ちゃん、私、明久君を泊まらしてあげたいと思いますっ」

 

一度は制してしまったものの、姫路さんは決意を固め、階段を軽やかに駆け下りた。

 

 

☆☆☆

 

 

 -場面変わってこちらは教室-

 

不純同姓交際アリなどという情報を掴んでやってきた母。

さらには雄二へ送ったメールが情報の裏付けを担う事となり、雄二という名の女性がいると嘘を付いてみるが軽くあしらわれるこの始末。

ならばせめてもの対抗ということで、姫路さんに雄二役をやって貰う名案を実行しようとしたものの、前段階の泊まるという嘆願から失敗したのだと説明した。

 

「なんじゃ、そんなことかの。十中八九、説明しない明久が悪いのう」

「え?...やっぱり一気に端折り過ぎたかなぁ」

「そうだな。それについては同感だ」

「............(コクコク)」

薄々そんな気がしてたんだよ。うん。

「恥ずかしくって、気が動転しちゃったんだよ」

「まぁアレだな。そんな突拍子もない案を思いつく昨日の明久こそ、気が動転してたんじゃないのか?」

む。なんか上手いことまとめられた感があるな。

「いや、決して昨日の僕はおかしくなんかなかったよ?」

悔し紛れに退路を作る。

「そんなこたぁねぇな」

「............明久は毎日おかしい」

あ、退路が塞がれた。

 

「ま、そういうことだそうだ。姫路、許してやれるか?」

「?!」

その一言で、僕は撥ねるように飛び上がってそのまま正座した。

「まこと申し訳ありませんでした姫路さん!」

そのまま顔を見ることなく土下座に移る。

姫路さんは多少驚いたものの...、

「顔をあげてください。明久君」

「で、でも...」

「いいですよ」

「ふぇ?」

「いいですよ。泊めてあげます」

 

一瞬の沈黙。

そして嵐が巻き起こる。

 

「は!殺気っ!」

僕は思いっきり後へ後退る。

すると元居たそこには、カッターや包丁などの凶器がズサズサッと音をたてて刺さった。

「......っち」

な、なんて危ないやつらだ!

「だ、大丈夫ですか?!明久君!」

「大丈夫大丈夫」

息を切らしながら答える。

 

「でもでも、それでは校則違反じゃないかなっ?」

そこへ、工藤さんがボイスレコーダーを持って現れる。

そういえば同じクラスになったんだったけ。

でもなんだか嫌な予感。

「"姫路さん!""毎日""ラブホ""泊まらしてくれないかな?"」

以前もこれで酷い目にあった、録音した音声を切っては繋げて新たな文を作るというテクニックだ。

"毎日"はムッツリーニの声だし、ラブホに限ってはどこの誰だか分からない声だったが、雷を落とすには充分な威力を誇っている。

「瑞希を変な目で見るなんて許さないっっ」

あらやだ、美波が相当怒っていらっしゃるわ...。

「ぎぃやぁぁぁあああ!腕が次世代人類型の方向にっっっ!!」

 

これは箸が持ちにくそうだ。

 

「ま、校則違反なのは確かだ。バレない様に気を付けろよ」

「ありがとう、頑張るよ」

「が、頑張りますっ」

そんなやり取りをしていたからか、

「じゃあ雄二、私の家に泊まる?」

霧島さんがどこからともなく現れた。

「いや遠慮しておく」

しかしその頭を掴み、ずいっと追いやる姿は、最近扱いに慣れたなぁと心を打たせる何かがあった。

 

 

☆☆☆

 

 

【Message From 吉井明久】

あ、お母さん、今日ちょっと坂本さんちのお宅に泊まって帰るから、夕飯は外で済ませておいてね。

 

 

坂本さんなどと歯が浮きそうなメールを送信し、そのままの流れで...

「じゃ、姫路さん、帰ろうか」

「えっと、坂本さんって呼ばないと...」

「あ、確かにその通りだよね。坂本sぐっはっ!」

「だ、大丈夫ですか!明久君!」

これはDNAレベルで無理があるんじゃないだろうか。

「ところで姫路さん、家ってどっち?」

「それはですね...」

 

 

 

僕はこんな幸せな時間がいつまでも続くと思っていた。

 




【第1問】
問 焦点距離8.0cmの凸レンズの前方cmの位置に5.0cmの物質を置いたとき、できる像の位置を答えなさい。


姫路瑞希の答え
物質の逆側、凸レンズから24cmの位置

筆者のコメント
正解です



土屋康太の答え
倒立実像

筆者のコメント
確かにその通りです。あとは公式に当てはめるだけですね


吉井明久の答え
僕には見えなかった

筆者のコメント
吉井君以外は見えています
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