バカとセンターと召喚獣 作:ビーター/beater channel
「......雄二」
「なんだ?」
「......今度ウチに泊まりに来るといい」
「俺には縛られて行った記憶があるんだがな」
「......何のことか分からない」
「そうやって白を切れるところが、なんと言うか、...主席並みだな」
「......吉井は瑞希の家に泊まるって言ってた」
「ああ、そうだな。それがどうかしたか?」
「......なら雄二もウチに泊まるべき」
「はっ、冗談じゃねぇ」
「......なんで?」
「...そうやって素直に聞かれると、なんと言うか、答えづらいんだが...」
「(ポンッ)......なるほど」
「なんだ?妙に納得しやがって」
「そういう事ならいつまでも待ってる」
「あ!ちょ、そういうわけじゃねぇからな!」
「......雄二は素直じゃない」
「ああ、確かにそうかもな」
☆☆☆
辺りはしーんと静まり返り、夜を迎えた。
さっきまで明るかった外が嘘のように暗くなり、家には明かりが灯される。
そのうちの一軒の食卓にはいつもの三人と、見慣れない男一人が腰を掛けていた。
「まさか瑞希が男を連れて来るなんてな...」
「ちょ、お父さん!そういうのじゃないからっ!」
「しかも抱き枕でお馴染みの子ですよ~」
「ちょっと!お母さんまで!」
「そうだな。姫路、抱いて寝ようとするなよ」
「しないってばっ!」
僕を挟んで意味不な会話を繰り広げる姫路さん一家。
いや、もしかしたらこれは意味不ではなく意味深かもしれない。
最近抱き枕という単語を良く耳にするから。
「明久君も何か言ってくださいっ!」
そんな急に振られても...あ、そうだっ...
「僕だったら抱かれても大丈夫ですよっ」
「「「...」」」
ジョークでこの場を和ませるつもりが、逆に白けてしまった。
会話に出てきた単語を使ってみたんだけど、厳しかったかなぁ?
「明久君は何か勘違いをしているようです...」
失敬な。
「ま、本人の許可も下りた訳だし、抱いて寝たらどうだ」
「えっ!それはっ...、本当に良いんですか?明久君」
ふむぅ、イマイチ会話が理解できてないけど、これ以上先へ踏み入れたら危ない香りがするのは確かだ。
「いやだなぁ、冗談に決まってるじゃないか」
「はうっ、そうですか...」
リアルに落ち込む姫路さん。
なんというか、今日も可愛いな。
「それはそうと、吉井君...でしたっけ?」
不意に姫路さんのお母さんから声をかけられた。
「あ、はい、吉井です」
「いつまで泊まる予定ですか?」
流石は姫路さんのお母さん、こんな糞みたいな会話の中でも予定を気にするなんて、(見かけによらず)良い主婦じゃないか。
でもこれに関しては具体的な答えが用意されていない。
「あー、っと、僕の危険が回避されるまでですかね」
「それは随分と曖昧ですね...」
否定はできない。
「ま、それはそれとして、今瑞希から抱き枕を没収している次第でな。良かったら抱かれてやってくれると助かるのだが」
「ちょっ!何てこと言ってるの!お父さん!」
ふむ?
ちょっと僕には話のレベルが高すぎたようだ。
「お父さん、それはどういう...」
「そうだな、瑞希のためになると思ってだな」
フム、要するに姫路さんは困っているのか。
「まぁ僕でよければ良いですよ」
「...良かったな。許可が出たぞ」
お父さんは半ば呆れながら姫路さんに会話を振ったが、全くの反応がない。
それどころか「お義父さんだなんて...そんなっ」などと呟いては頬を赤らめていた。
☆☆☆
「明久君、良かったらお風呂入っちゃってくださいっ」
という声を掛けられ、僕は風呂に入った。
僕だけかもしれないけど、なんか他人の家のお風呂って緊張するよね。
「そういえば着替えってどうしよう...」
学校から直接来たから何も持ってきてなかったっけ。
...などと迷っていると、
「明久君っ、お父さんのですが、着替えここに置いておきますね」
「あっ、ありがとう!」
僕の悩みは一瞬で解消された。
ああ、こんな娘が嫁に欲しいなぁ。
「それじゃ、失礼しますね」
先ほどよりも声が鮮明に聞こえ、僕は思わず後を向き...、一瞬にして向きを前に戻した。
ど!どうして姫路さんがお風呂にっ!
「明久君、お背中流しますよ~」
「だ、大丈夫だよっ!僕一人でもできるってっ!」
「いえいえ、愛子ちゃんが言ってました。私には大胆さが足りないって...」
ごめん。それはきっと聞く人を間違えたんだと思う。
「とりあえず明久君、座ってくださいっ」
「え、でもっ」
「いいからっ」
姫路さんが手を伸ばしてきた。
「いやいやいや」
それを僕は振りほどこうとする。
その衝撃で、僕は思わず振り返ってしまった。
ああ、これは鼻血もんだわ...。
「...(ブシャァァァアアア)!」
「!?ちょっ、明久君大丈夫ですかっ!」
バスタオルの隙間から峰がちらっと見え、一気に昇天と化した。
目の前が赤く染まり、意識が朦朧とし出す。
その朦朧とする意識のなかでふと思った。
もったいないことをしたな。
☆☆☆
両親の誘いから半ば強引に姫路さんの部屋に泊まることになった。
ひとつ息を吸い込むと華やかな香りが鼻を擽り、頭を一色に染めるかのよう。
すー、はー、すー、はー、すぅぅぅうううっ!!!
「でも、僕用の布団がないような...」
一通り香りを堪能すると、僕は姫路さんに投げかける様に思ったことを口に表した。
しかし、姫路さんは「まさか本当に同じベッドで寝るだなんて///」とても忙しそうだ。
さてどうしたものか。
「明久君っ!」
姫路さんが不意に声を掛けてきた。
「は、はい!なんでありましょう!」
切羽詰ったその表情に吊られ、こちらも大きな声を出してしまう。
「...お、同じベッドで寝ませんか?」
...ん?
僕にとってこの家はレベルが高すぎる。
僕も同じベッドで寝てみたいなっ!(号泣)