実力至上主義の学校に数人追加したらどうなるのか。※1年生編完結   作:2100

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では、どうぞ。


ep.14

 

 

 翌朝のホームルーム。俺たちに衝撃的な事実が報告された。

 

「須藤とCクラス生徒3人の間にトラブルがあった。分かりやすく言うと喧嘩だな」

 

 喧嘩、というと、須藤の場合殴り合いでもしたんだろうか。

 そんな風にしか考えていなかったのだが、事はそんな他人事ではなかった。

 その報告に続き、須藤が停学処分を受けるかもしれないことや、クラスに連帯責任ということで、今月のクラスポイントが没収される可能性がある、なんて話まで出てきた。

 頑張って貯めたクラスポイントがゼロになるかもしれない。その恐怖や理不尽さから、教室内はざわついていた。

 

「……結論が出ていないのはどうしてですか?」

 

 平田が質問する。

 Dクラス全体の雰囲気として、かすかな疑問点も質問するようになっていた。主に聞くのは平田だが、茶柱先生のように叩けば叩くほど埃が出てきそうなタイプには有効な手だ。

 

「須藤側とCクラス側で主張が食い違っているからだ。Cクラス側は一方的に殴られた、とのことだが、須藤は自分が呼び出されて喧嘩を売られた、と言っている」

「俺は嘘なんてついてねえよ。正当防衛だ」

 

 須藤はそう主張するが、クラスメイトの多くはその言葉を懐疑的に捉えている。

 

「だが須藤、お前の言い分には証拠がない。違うか?」

「は? そんなもんあるわけねえだろ」

「つまり双方の主張のうち、どちらが正しいとも言えない状況だ。だから結論を出すのが長引いている。ことによっては責任がどちらに傾くかが大きく変わってくるからな」

 

 双方の意見が相反している。つまり、どちらかが嘘をついているということだ。

 須藤は正当防衛だと言ってたな。つまり、防衛手段としてそのCクラスに生徒に手を出したんだろう。

 須藤が怪我をしているところを見たことがないことからすると、Cクラス生徒だけが一方的にやられた、ってところか。

 そしてその時の傷がCクラスの訴えの根幹になっているわけだな。

 

「須藤がいた気がするという目撃者が出てくれば、状況に何らかの変化があるかもしれない。どうだ、誰かこの中で須藤とCクラスの生徒が喧嘩している場面を見た者はいるか?」

 

 茶柱先生は目撃者に挙手を呼びかける。

 だが、それは須藤のためというより、事務的、機械的に行われているものだった。

 茶柱先生は言い回しが独特で面倒だが、どちらに肩入れするわけでもない中立公平な姿は、個人的には嫌いではない。

 

「残念ながら須藤、名乗り出るものはいないようだな」

「ちっ……!」

 

 須藤はがっかりしたような表情を浮かべ、目を伏せる。

 

「今、全クラスで同じような呼びかけが行われているはずだ」

「は!? バラしたのかよこのこと!?」

 

 須藤は狼狽しているが、クラスポイント支給の遅延の原因にもなっているこんな事件、遅かれ早かれ明るみに出ていただろう。

 

「とにかく、この話はここまでだ。責任がどちらにあるか、どのような罰を受けるのかも含めて、最終的な判断は近々下されることになるだろう。それではホームルームを終了する」

 

 そう言って、先生は教室を出て行く。

 それとほぼ同じタイミングで、須藤も教室を出た。

 自分を疑っている雰囲気のある教室に居づらくなったのか、あるいはここにいると自分を抑えきれそうになかったからか。

 もしも後者なら、須藤も少しは成長しているということか。

 しかし、須藤が出ていくやいなや、次から次へと須藤に対しての文句が噴出する。

 その中には、須藤と普段からつるんでいる池や山内もいた。

 つるんではいても、不満はある、ってことか。

 いよいよ収集がつかなくなってきた時、櫛田が立ち上がった。

 

「みんな、少し私の話を聞いてくれないかな。須藤くんは確かに喧嘩しちゃったかもしれないけど、本当に巻き込まれただけなの」

「巻き込まれたって、櫛田ちゃんは須藤の言ってること信じるのかよ?」

 

 池は少し不満そうに櫛田を見る。

 その視線をしっかり受け取った上で、櫛田は事の詳細を語り始めた。

 要約すると、須藤がバスケ部のレギュラーを取りそうで、それに嫉妬したCクラスのバスケ部が、須藤にバスケ部をやめろと脅してきた事。須藤は先に仕掛けられ、防衛のために相手を殴った事。

 俺らが知らなかった情報がどんどん入ってくる。

 クラスのほとんどは櫛田の必死の説明に聞き入っていた。

 

「改めて聞きます。もしもこのクラスの中や、知り合いや友達にこの事件を目撃したっていう人がいたら、教えてください。お願いします」

 

 そう言って、櫛田は着席した。

 櫛田が説明した、嫉妬で喧嘩に発展、という流れは、確かにあり得ない話ではない。だが、それは並かそれ以下の高校なら、だ。

 Cクラスに生徒がそんな短絡的思考で動くなら、Dクラスの何人かの方がよっぽどマシだ。平田や櫛田なんて、そもそもなんでDクラスにいるのか分からないし。

 

「でも、やっぱり俺須藤の言ってる事信じらんねえよ。あいつ中学の頃喧嘩ばっかやってたらしいしさ」

「私、廊下でぶつかった子の胸ぐら掴んでるの見たよ」

 

 など、須藤の悪行を表すエピソードが出てくる。

 櫛田の力をもってしても、クラス全員に賛同を得ることはできなかった。

 こうして聞いていると、須藤という人間の悪名高さがよくわかる。

 そもそも須藤の話が信頼されていないのも、須藤のこれまでの態度が原因の1つだ。

 疑いがかけられてるのが平田だったら、男女口を揃えて「あり得ない」と言っていたはず。

 築いてきた信頼度の差は大きい。

 

「僕は信じたい」

 

 そう言ったのは、今ちょうど頭の中で思い浮かべていた平田だった。

 

「他のクラスの人が疑うならそれは仕方ないかもしれない。でも、同じクラスの仲間を信じてやれないのは、僕は間違ってると思う」

「私も賛成ー。濡れ衣だったらひどい話だし」

 

 平田の声に続くようにして言ったのは軽井沢だ。平田と付き合ってるとかいないとか、そんな話を聞いたことがある。

 軽井沢本人が持つリーダー気質と、平田のガールフレンドという肩書き。

 Dクラス全体というより、Dクラスの女子のリーダー格だった。

 その軽井沢が須藤擁護に回ったのを機に、女子はだんだんとその方向に流れ込んで行く。

 それをみた男子の方も、須藤擁護という形でだいたいまとまったようだ。

 集団行動が得意というべきか、我が弱いというべきか。

 とはいえ、俺もとりあえずはその流れに逆らわないことにした。

 須藤の無実が証明されれば、クラスポイントの没収がなくなったり、色々俺にとってもプラスになるかもしれないしな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フェードアウト、の予定だったんだけどな……」

「……ん、なんか言ったか綾小路?」

「なんでもない……」

 

 よく聞き取れなかったが、まあいいか。

 昼休み、食堂に集まっていたのは、1ヶ月半前の勉強会のメンバー7人だった。

 俺はいつものように弁当を持ってきていたので、食堂で弁当を食べるという若干異様な光景が作り出されている。

 

「全く、あなたは次から次へとトラブルを運んできてくれるわね」

 

 堀北が呆れた様子で須藤を見る。

 

「ま、仕方ないから助けてやるよ」

「ああ、悪いな」

 

 ついさっき須藤のことを攻め立てていた池だが、本人を目の前にして手のひらを返したように態度を変えている。

 

「それと堀北、また迷惑かけちまって悪い。でも、本当に俺は悪くねえんだ。嘘ついてるCクラスに一泡吹かせてやろうぜ」

 

 須藤は少しテンションを上げて堀北に言う。須藤は堀北を好いているようだし、また一緒に動けると思って嬉しいんだろう。

 

「悪いけれど、私はこの件、協力する気にはなれないわね」

 

 だが、堀北はそんな須藤の声をバッサリと切り捨てた。

 

「あなたはどちらが先に仕掛けたかに話の重きを置いているようだけど、それは些細な違いでしかないことに気づいているかしら?」

「さ、些細ってなんだよ。全然ちげえだろ!」

「そう。そう思うなら、精々頑張るといいわ」

 

 素っ気なく言い、堀北は飯にほとんど手をつけないままお膳を持ち上げ、立ち上がった。

 

「何だよそれ! 俺ら仲間じゃなかったのかよ!」

「仲間? あなたと仲間になった覚えはないわ。そもそも、何より重要なことに気がついていない愚かな人間と、話すことは何もないわ」

 

 毒舌を浴びせ、須藤が唖然とする中、そそくさと歩いて行ってしまった。

 

「何だよクソっ!!」

「あっ」

 

 須藤が拳を机に叩きつけた衝撃で、箸でつかんでいた人参が床落ちた。

 

「……」

 

 おい、またか須藤。

 言っとくが、お前が俺の靴をカップ麺のスープで汚したの、許した覚えはねえぞ。

 汚れは水で流せても、この気持ちは水に流せない。

 ……まあ、今はそのことはどうでもいいか。

 堀北の言いたいこともわかるが、あいつに少し確認したいことがある。

 

「悪い、ちょっと外す」

「お、おいお前まで抜けんのかよ!?」

「違う。弁当箱はここに置いとくから。すぐ戻る」

 

 須藤を制しながら立ち上がり、堀北を追う。櫛田も不安そうな顔してるが……まあ、うん、なんかごめんね。

 堀北の姿を捉え、声をかける。

 

「堀北」

「はあ……昨日と同じね。あなたストーカー?」

「お前を好き好んでストーキングするやつなんていねえよ……」

 

 やったら殺されそうだし。

 コンパスとかで。

 

「で、何か用かしら。まさかとは思うけど、野暮なことを言うつもりじゃないわよね」

「引き止めはしない。お前の言ってることも分からんでもないからな」

 

 こいつは今回の事件、須藤にも原因があると考えている。

 俺は須藤擁護派だが、須藤の責任がゼロかといえばそうは思っていない。

 

「ただ、お前何か知ってるだろ」

「何の話?」

「今日の朝、教室で櫛田が演説してたときのことだよ。まあ、これに関しては勘ぐったとかじゃなくて偶然なんだけどな……お前あの時、櫛田の話聞かずにどこか向いてただろ。一点見つめてたようだったけど、お前あの時何見てたんだ?」

 

 そう聞いた俺を、堀北は睨む。

 

「……あなたに教える必要がある? それに、私が何を見ていたかくらいわかっているんじゃないの?」

「やっぱり何か見てたのか。言っとくが、何見てたかなんて本当に知らないからな。皆櫛田の話聞いてるな、と思って周り見渡したときに、全力でそっぽ向いてるお前が目に入っただけだ」

 

 正確には、堀北が櫛田の話をどう聞いているかが気になって、ピンポイントで堀北見てたんだけどな。

 それを言うと話が面倒な方向に行きそうだったので、こういう形での主張にした。

 

「まあ、話したくなければ話さなくて良い」

 

 無理に聞いても何も話してくれないだろう。というか、無理やり聞こうとしたら俺の心が傷ついて終わりそうだ。

 

「ただ、綾小路あたりには話を入れといても良いんじゃないか?」

「……なぜそこで彼の名前が出てくるの?」

「他の奴よりマシだろ」

「……私の勝手にさせてもらうわ。話はそれだけ?」

「ああ、呼び止めて悪かったな」

 

 そう言って堀北の前を離れ、須藤たちがいる場所に戻る。

 取り敢えず、堀北が何か知っていることは確定だ。具体的に何を、かは皆目見当もつかないが。

 

「おせーぞ速野」

 

 戻ってきた俺に、須藤が軽く手を上げて言う。

 

「ああ、悪い……あれ、櫛田は?」

「櫛田なら、知り合いがいるとか言ってさっきどっかに行ったぞ」

 

 俺の質問には綾小路が答えた。

 まあ、あいつ知り合いめちゃめちゃ多いだろうしな。

 

「で、何の話してたんだ?」

「そうそう、この中の誰が一番早く彼女作るかって話なんだけどよー」

「……」

 

 こいつら、一体なんのためにここにいるんだ……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 昼休みに脱線しかけた話は、放課後に目撃者を探すということで意見がまとまった。

 平田たちも似たような結論に至ったらしい。

 クラスの二枚看板、平田と櫛田が本格的に動くことを決意し、クラス全員に協力を要請した。その2人をもってしても、やはり全員の協力を取り付けるのは無理だったようだ。

 

「じゃあ、私は帰るわ」

 

 そして非協力的な立場を取っているのは、堀北もまた然りだった。他と少し違うのは、必ずしも須藤憎しでその立場にいるわけではないということくらいか。

 

「本当に帰っちゃうの?」

「ええ」

 

 櫛田の呼びかけもばっさり切り落とし、そのまま教室をさっさと出て行こうとする堀北。

 一瞬目があったが、向こうの方から目線を切られ、そのまますっと歩いて行ってしまった。

 ……いや、別に止めるつもりはありませんから。

 その姿を確認してから、俺は池と山内が座っている場所に向かった。

 

「あ、速野。やっぱ堀北のやつ帰っちまったな」

「そうだな。まあ、俺たちでやるしかないだろ」

「でもよ、なんか冷たくないか?」

 

 ……果たして、ここで池と山内に堀北の真意(を俺が勝手に予想したもの)を伝えるべきだろうか。

 須藤に伝えるのが得策ではないことは分かりきっているが、この2人となると少し判断が難しい。

 須藤を助ける会のメンバーに櫛田がいる限り、この2人が抜けることはないと思うが、俺が与えた理屈を利用して手を抜くことも考えられる。

 ひとまず、今は伝えるべきじゃないな。

 そう結論づけたとき、櫛田と綾小路がこちらに来た。

 

「私、堀北さんを追いかけたい」

 

 櫛田が開口一番、そう強く意気込む。

 

「いや、あいつ帰っただろ。それもたった今」

「それでも、諦めないで頼めば協力してもらえるかもしれない。それに、堀北さんがいてくれたら心強いし」

「そうだな。それは否定しない」

 

 綾小路も櫛田の発言に乗っかる。

 

「池くんと山内くんは、ここで待っててくれるかな」

「「オッケー」」

「速野くんは……」

 

 一瞬迷い、俺の表情を伺う櫛田。

 

「……いや、行くなら2人で行ってきてくれ」

「うん、分かった」

 

 どうせ言われるのは、昼休みに言われたこととほぼ同じことだろうし。

 納得した様子の櫛田は、綾小路の腕を引いて教室を出、堀北を追いかけた。

 

「な、おいてめえ綾小路い!」

「何してんだあ!」

 

 その様子を見た2人は怒り心頭の様子だ。

 

「クッソー、綾小路のやつ……」

「落ち着けよ」

「これが落ち着いてられるか! い、いま櫛田ちゃんが綾小路の手を引いてっ……」

 

 2人のうち、特に池が悔しそうに言う。

 

「まあ、あれだ。クラスのために一生懸命やれば好感度も上がるんじゃないの、多分」

 

 その悔しさを何とかこの事件解決の動きへ昇華させようと、池にアドバイスした。

 

「そりゃそうなんだろうけどさー……てか速野。お前は櫛田ちゃんのことどう思ってんだよ」

「そういや聞いたことなかったな。で、実際どうなんだよ? 狙ってんの?」

 

 突如として始まる質問攻め。もうほんと何なんだよこいつら……

 

「ちょっとは考えろよ。俺が櫛田のこと狙ってたら、さっきついて行くはずだろ」

 

 さっきの行動を思い出させて納得させる。

 

「確かに。あ、てかお前彼女いるんだっけ?」

「俺それ前に否定したよね? 覚えてないのかよ」

「あー、そうだっけ。悪い悪い」

 

 はあ、失礼なんだかバカなんだかコミュ力が高いんだか……でも、コミュ力高くても失礼じゃないやつはいるからな。平田とか藤野とか櫛田とか。逆にコミュ力ないくせに失礼なやつは堀北……と、多分俺も入る。

 時々、申し訳程度に会話に参加しながら教室で待機していると、ドアが開いた。

 

「ごめん、ダメだった」

「そりゃ残念」

「櫛田ちゃんは悪くないよ。俺ら頑張るからさ!」

「うん、ありがとね。池くんも山内くんも」

 

 是非とも2人には頑張っていただきたい。戦力になるかは別として。

 

「じゃあ、どこから聞いて回る?」

「なあ、Bクラスから聞くのはどうだ?」

 

 提案したのは、意外にも綾小路からだった。

 

「え、どうして?」

「一番目撃者がいてほしいクラスだから、っていう理由だけだけどな」

 

 はあ、なるほど。

 

「ごめん、ちょっとよくわかんない」

「綾小路は多分、利害の一致を言いたいんだと思うぞ。Bクラスとしては、Cクラス側に責任があるって分かった方が助かるだろ。Bクラスにとって、DクラスよりCクラスの方が脅威だしな」

「そういうことだ」

 

 どうやら俺の説明は当たっていたらしい。

 

「確かに、じゃあCクラスに聞くのは最後にした方がいいかもだね。でも、それならAクラスでもいいんじゃないかな?」

「Aクラスに関しては、ちょっとわからないことが多すぎて気がすすまないな。それにAクラスにしてみれば、CとDの揉め事なんてさして興味もないだろうし」

 

 俺としては、藤野がいる分Bクラスの方が知らないことだらけだが、それを加味しても、俺も綾小路と同じくBクラスがいいと思った。

 

「じゃあ、早速Bクラスにゴーだねっ」

「ちょいストップ」

「うにゅぅ」

「ふああああ……」

 

 駆け出そうとした櫛田の首根っこを綾小路が掴んで止める。櫛田の可愛らしい反応に池も山内もメロメロだ。

 

「聞き込みには櫛田のコミュニケーション力が必要だが、これは友達を作るのとはわけが違うぞ」

「そうなの?」

「Bクラスに知り合いは?」

「いるよ。仲良くなったって言い切れる人は少ないけど……」

「なら、その人たちから当たってみよう」

 

 綾小路なりの作戦なのだろう。信用できる人物から当たっていくのは、時間はかかるが良策だ。ただ、なんか今日は妙に主張するな綾小路。

 

「なんかすげえ面倒じゃねそれ? 一度にぱっと聞いた方が早いって」

「私もちょっと消極的すぎるって思うな。いい手だとは思ったけど、それだとタイミングが悪くて本当の目撃者に話がいかないこともあるかもしれないし」

「そうだな、確かにそうかも知れない。櫛田がいいと思う方法でやってくれ」

「ごめんね綾小路くん」

 

 申し訳なさそうに謝る櫛田。綾小路は気にするなと言いたげな表情でそれを見ていた。

 その数分後、聞き込みのためにBクラスの教室まで移動した。

 Bクラスの様相は、意外にもDクラスとそこまで変わりがなかった。

 Dクラスと違って落ち着いた雰囲気かと思っていたが、全くそんなことはない。むしろ雰囲気の明るさで言えばDクラスにも勝るだろう。

 Dクラスをいいとこ取りしたようなクラスだな。

 初めて他クラスの教室前まで来た俺は、今、Bクラスに臆することなく入っていった櫛田のすごさに感心していた。綾小路は予想通りとして、池や山内までちょっと帰りたそうな顔してるのに。

 だが、結局須藤の喧嘩に関する有力な情報は手に入らず、そのまま教室に戻った。




実はこの時点で書き溜めが尽きました。更新スピード一旦遅くなると思いますが、これからもよろしくお願いします。
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