実力至上主義の学校に数人追加したらどうなるのか。※1年生編完結   作:2100

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では、どうぞ。


ep.38

 夏休みの最終日、の前日。

 明日のことを思い浮かべつつも、明後日から学校かー……と憂鬱な気分になりながら、タオルケットを被って寝ようとしたとき、突如として携帯が鳴った。

 画面に表示された名前は綾小路。あら珍しい。

 

「もしもし」

『速野か。今大丈夫か?』

「ああ。で、何の用だ」

 

 こんな時間にわざわざ、ってことは、何か急な用事か?

 

『明日、予定空いてるか』

「明日……?」

 

 明日の予定を聞かれてるってことはあれか、遊びの誘いか。別に急用というわけでもないらしい。

 だが、都合が悪かったな。

 

「残念だが、実は先約があってな。無理そうだ」

『先約が……?』

 

 そう呟く綾小路の口調には、かなりの驚愕の色が見て取れた。

 

「……おい、その疑問符はなんだ。流石に傷つくぞ」

『いや悪い。そういうわけじゃない。分かった。池たちにそう伝えとく』

「え、池たちって、あの3人も一緒なのか?」

 

 頭の中に、池、山内、須藤の顔を思い浮かべながら聞く。

 

『ああ。一応な』

「ふーん……まあどっちにしろ俺はちょっと無理だな。誘ってくれたとこ悪いが他当たってくれ」

『分かった。じゃあ、おやすみ』

「ああ」

 

 そこで通話は終了した。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 翌朝、8時半少し前。荷物を持って自室を出、エレベーターに乗り込んだ。一階のボタンを押して、そこにたどり着くのを待つ。

 この時間だし、恐らく直接行けるだろう。そう思っていたのだが、俺の部屋がある五階から一階降りた四階でエレベーターは停止した。

 ドアが開いて、このエレベーターを停止させた犯人の顔を拝む。

 

「……お、おはよう」

「お、おう……」

 

 なんと、その犯人は綾小路だった。

 昨日遊びの誘いを断った手前、少し気まずい。一階までのエレベーターの時間が長く感じた。

 ようやく到着し、エレベーターを出て歩く。すると、ロビーがやけに賑やかなのに気づいた。

 

「……なんか賑やかだな」

「今からあいつらとプールに行くんだよ。それにお前を誘おうとしてたんだ」

「……え?」

「お前は何しに行くんだ?」

「あ、いや、ちょ、え?」

 

 突如の報告を受けて焦る俺の声を遮るようにして、横から声が聞こえてきた。

 

「あ、速野くーん」

 

 俺の名前を呼びながら手を振っていたのは、その賑やかな集団にいたうちの1人。

 そして、俺が昨日綾小路の誘いを断らざるを得なかった先約の人物。

 Aクラス、藤野麗那だった。

 

「あ、ああー……」

 

 ようやく状況が理解できた。

 俺は藤野との約束があり、それを理由に綾小路の誘いは断った。

 だが、綾小路たちが遊びに行く先は俺たちと一緒で、奇しくも集合場所や時間まで一致してしまい、それをみた藤野は瞬時にその集団に溶け込んでしまったというわけだ。

 

「速野くん、おはよ」

 

 藤野と話していた櫛田が、俺の方に向かってそう言う。

 

「あ、ああ、おはよう」

「麗那ちゃんと2人で行く予定だったんだよね?麗那ちゃんからはオッケーもらったんだけど、よかったら一緒に行かない?」

 

 櫛田からの申し出。藤野が了承したのなら俺に拒否する理由はない。

 

「ああ、分かった」

「うん。楽しもうねっ」

「あ、ああ、ってうぁっ……!」

 

 櫛田との会話を終えたところで、俺の腕が何者かに引っ張られる。

 

「なんだよ……」

 

 振り向くと、そこには鬼の形相(あんまり怖くない)をした池と山内が立っていた。

 

「おい速野、どう言うことだよお前、あんな美少女と2人でプール行くつもりだったのかっ……!?」

「あ、ああ……」

「やっぱお前付き合ってんじゃねえか!」

 

 そういえば以前、2人から2回ほどその件について問い詰められたっけ。俺その度に違うって説明したはずなんだけどな……

 

「前にも言っただろ。あれが俺の友人だ。てか、事情聞いたら納得すると思うけどな」

「な、なんだよ、何か事情があんのかよ……?」

「ああ、これは今から12時間くらい前のことなんだがな……」

 

 俺は池と山内に言い聞かせるようにして、昨夜の出来事を告げた。

 

 

 

 

 

 

 夕飯を食っている最中、ベッドの上で充電していた携帯が鳴り出した。

 食事中ということもあり少し面倒だったが、無視するわけにも行かない。携帯を操作すると、それは藤野からのものだった。

 

「もしもし?」

『あ、速野くん?今いいかな』

「……まあ、飯食ってたけど大丈夫だ」

『あー、そっか。かけ直そうか?』

「いやいい。用件を言ってくれ」

 

 後回しにすると逆に面倒だ。

 

『じゃあ手短に済ませるね。速野くん、明日予定空いてる?』

「明日……?まあ、空いてるが」

 

 少し間を開けたが、本当は考えるまでもなく暇だ。

 

『よかったぁ。あのさ、今、普段水泳部が使ってるプールが解放されてるの知ってる?』

「プール?ああ、なんかメールで来てたな」

 

 プールは夏休みの最終日、つまり明日までの三日間、一般生徒向けに解放されている。ただ、初日に人がごった返していたらしく、それ以降は1人1日限りの使用のみ認める、と学校側からメールで通達があったのだ。

 

『その……よかったら、一緒に行かない?』

 

 藤野の声は、少し遠慮がちだ。

 

「……一緒に?」

『う、うん……』

 

 言われて、少し状況を思い浮かべてみた。

 かたや、Aクラス所属で学年トップクラスの美少女。

 かたや、Dクラス所属で学級トップクラスの地味男。

 

「いや、多分無理じゃないか」

『え、どうして?』

「なんと言ったらいいか分からんが……不釣り合いというか。てか、他の友達誘えなかったのか?いくらでもいるだろ」

『その、今まで当たった友達はみんな昨日と今日で行っちゃってたみたいで』

 

 なるほど。だが、そうなるともう一つ疑問が浮かぶ。

 

「なんでお前はそのどっちかに行かなかったんだ?」

『情けない話なんだけど、今日の朝まで熱出してて……いろんな子から誘われてたんだけど、全部断っちゃってさ』

「……そりゃ気の毒に」

 

 藤野も夏バテするんだな。まあそりゃそうか。人間だもの。

 

「あー……俺はいいんだけど。お前はいいのか?俺で」

『もちろんだよ。よくなかったら誘ってないよ?』

 

 うーん……

 

「……分かった。いいぞ」

『ほんと?』

「ああ」

『やったっ。じゃあ混まないうちに行きたいから、明日8時半に寮のロビーに集合でいい?』

「あ、ああ」

『じゃあ、楽しみにしてるね』

「分かった。明日な」

 

 さっきの遠慮がちな声とは真逆で、若干弾んでいるように感じる。

 

 ……まあ、俺も楽しみじゃないといえば嘘になるな。

 

 

 

 

 

 

「と、いうわけなんだ」

「いやいやいや、バリバリデートっぽいじゃん!」

 

 どうやら納得いただけなかったらしい。

 

「もっとよく考えろよ。藤野は俺にあたる前、何人かに聞いたんだ。つまり、あいつの中で俺の優先度はそれくらいってことだよ」

「いや、関係ないって。結局2人で行くつもりだったんだろ?」

「……まあ、そうなるな」

 

 それは事実だ。

 

「くっそー……!いや、でもよくやったぜ速野」

「……お、おう?」

 

 藤野がこのプールに遊びに行く集団に参加したことを言ってるんだろうか。まあ、あいつが参加したのはこいつらにとっても嬉しいことだろうけど。今も藤野ちゃん胸でっかーとか言ってるし。聞こえないようにしとけよ。

 池と山内から目線を外し、周りを見渡していると、珍しい顔を見つけた。

 

「……堀北?お前も参加してるのか」

「いけない?」

「いや別にダメじゃないが。お前参加するようなやつだっけ」

「……色々事情があるのよ。放っておいて」

「……まあ、そこまでいうなら」

 

 堀北の逆鱗に触れるのもよろしくない。ここは退散することにした。

 

「あれ?堀北さんたちじゃない?おっはよー」

 

 そんなハイテンションな声のする方に耳を傾けると、寮から一之瀬とその友達と思われる女子、合計3人が降りて来た。

 

「もしかして君たちもプール?」

 

 一番入り口に近い位置に立っていた俺に問う一之瀬。

 

「ああ」

「じゃあせっかくだし一緒に遊ばない?」

「もちろん歓迎だぜっ!!」

 

 一之瀬の合流を聞きつけた池が、ソファーから立ち上がりながら喜んでそう言った。

 

「でも悪いな。今、1人寝坊してる友達を待ってるんだ。移動はそいつが降りて来てからでいいか」

「うん、オッケー」

 

 綾小路も、付け加えるようにしてそう言った。

 

「寝坊?」

「須藤がまだ来てないんだ」

「……そういえば見当たらないな」

 

 360度どこを回してもいない。あいつこんな時にも寝坊するのか。

 

 にしても、須藤が来たら総勢12人か。随分と大所帯だなこりゃ。何より、その集団に俺が入ってるってのが感動的すぎる。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「あはは、すごい偶然だね」

 

 須藤があくびをしながら到着し、プールに向かって移動を始めていた時。どのタイミングで俺がこの集団に参加することになったのが偶然だということを聞きつけたのかは知らないが、一之瀬が事情を聞いて来たので素直に話した。

 

「でも意外だよー。速野くんと藤野さんがこんなに仲よかったなんて」

「あー、まあ、流れでな」

 

 少し失敗したかもしれない。ここで俺と藤野を結びつけてしまった。

 いや、今はいいか。ここでそんなことを考えるのは場違いだし、いずれバレていたことだ。

 

「ちょっと予想外のことになっちゃったね」

「ああ……」

 

 件の藤野が、俺の隣に並んできた。

 

「もう風邪は大丈夫なのか」

「うん、今はバッチリ。それに、怪我の功名ってこのことかもね。お陰で速野くんと初めて週末に遊びに行けるし」

「……そういやそうだったな」

 

 確か以前、週末にもいつか遊ぼうと言われて、ポイント的に無理だって断ったんだっけ。

 だが、今はもうそれに敏感になる必要はないな。まあ節約はし続けるけど。ドケチですから。

 

「……ねえ、池くん、と山内くん、だっけ。前歩いてる2人」

「ん、ああ」

「なんかやけに荷物重たそうじゃない?」

 

 言われて見てみると、確かに。基本的に着替えやバスタオルくらいしか持っていくものはないはずだが、2人ともかなり重そうにしている。

 

「あなたもそう思う?藤野さん」

 

 同様の疑問を持ったのか、堀北が珍しく自分からコミュニケーションを取りに行った。一応この2人は顔見知りだ。

 

「うん。ちょっと変だなーって」

「やはりそうよね……」

 

 プールでの遊び道具という線もあるが、あの2人だからこそ疑いが深まってしまっているのだろう。

 にしても、堀北は藤野相手だと普通だな。誰かれ構わず嫌悪感を振りまいているというわけではないらしい。

 

 その後も適当に雑談をしながら、大型プール施設への道のりを歩いて行った。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「な、なあみんな、俺たちにとって、今日という日は特別な日になる。そんな予感がしないか!?」

「ああ、俺たちはクラスの誰よりも先に進むんだっ!」

 

 プールの更衣室に入るや否や、池と山内がでかい声でそう叫んだ。

 いくらなんでもテンション高すぎやしないだろうか。ちょっとうるさい。

 

「おい、お前ら少し落ち着けよ。あんまり騒ぐとまずいだろ」

「……そ、そうだな。悪い悪い、あだっ!」

 

 須藤が2人の頭をぶつけあわせて黙らせる。やっと静かになった。

 

「須藤は意外と冷静なんだな」

「元々そこまで期待してねーしな。それに、嬉しい気持ちとそうでない気持ちも半々だ。冷静に考えてみりゃ、鈴音が悲しむことをするわけだし。無防備な鈴音をあいつらに見られるのも気に入らねえ。男なら自力で女を落としてこそだ」

「……」

 

 須藤の言ってる意味がちょっと分からない。そりゃ男なら自力で、って部分の認識は正しいだろうが、何に対する期待がそこまでなんだ。それと、堀北が悲しむことってなんだ?

 なんか、プールだけに水面下で何かが起こってる気がする。答えてくれるかどうかは定かではないが、一応後で綾小路に聞いてみることにしよう。

 

 着替え終わり、プールサイドに出た俺と綾小路。人前で肌を晒すのが苦手なため、2人ともラッシュガードをつけている。

 何をやっているかは知らないが、池と山内、それに須藤は遅れていた。

 ひとまず壁にもたれて全員の到着を待つ。綾小路が一之瀬に体をめちゃくちゃツンツンやられていて吹き出しそうになったのは別の話だ。

 と、そこで池、山内、須藤の3人がようやく更衣室から出てきた。女子はすでに全員出ているし、これで全員が揃ったということになる。

 

「うほぉ……」

 

 堪えきれなかった感嘆の声が、池と山内の口から漏れる。

 

「え、ちょ、藤野ちゃんの、佐倉と同じくらいじゃ……」

 

 人の体を比較し、その評価を口に出してしまう始末。褒められた行為とは言えないが……うん、でもちょっとその気持ちもわかってしまう俺がいる。

 藤野、一之瀬、佐倉。この3人の胸囲は脅威である。……いやまじで。男子高校生には凶悪すぎるぞこれは。

 藤野はウエストが他の2人と比べて少し細い……気がする。だから余計に強調されているのかもしれない。脅威(誤字に非ず)が。

 女子の身体に目線が引きつけられてしまうのは、欲求階層説の最も低次の欲求である生理的欲求に由来している。低次だが、人間が初めて感じる欲求だ。本能といってもいいそれに逆らうことはできない。綾小路であっても恐らくそれは例外ではないと思う。

 

「それじゃ行こっか。奥の方の席が空いてるみたいだから」

 

 飛び入り参加の一之瀬だが、自然と場を仕切っている。もうこれは天賦の才能と言ってもいいな。櫛田や藤野とはまた違ったタイプの人心掌握術だ。

 歩きながら、この大型プール施設を俯瞰する。

 

「これは……」

「凄いね……」

 

 俺の言葉の続きを先回りして言うようにして、藤野が声を漏らした。

 

「普段使えるのが部活動だけっていうのがもったいないよ」

「……それは確かに」

 

 プールは大きいのが3つに分かれている。普通のプール、流れるプール、そしてバレーのネットがいくつか設置されているスポーツ用プール。しかも、なんか焼きそばやらたこ焼きやらを売っている出店まである。ってか、店員この学校の上級生じゃないの?売り上げ競争でもあるんだろうか。……なんか、あってもおかしくないような気はしてきた。だってこの学校だし。

 

「速野くんって泳ぐの得意?」

「あー……どうかな。苦手ではないな。でも別に得意分野ってわけでもない」

 

 四月にあったプール授業を思い出した。確かあの時、飛び込みでゴーグル外れてそのまま泳いだんだっけ……ダサい。想像してみたが猛烈にダサい絵しか思い浮かばない。

 

「あれ、一之瀬たちじゃん。そっちも今日来てたんだな」

「あ、柴田くんたちだ。やっほー」

 

 俺の残念な姿を想像しながら歩いているところで、そんな声が聞こえた。一之瀬の知り合いか、と思って声のする方を向くと、3人の男子生徒が一之瀬と話している。その中には一応知り合いの神崎もおり、恐らくBクラスの男子たちだと予想がつく。

 

「うわあ……あれ凄いね」

 

 隣にいた藤野が、スポーツ用プールを見て感嘆の声を漏らす。俺もその方向を向いた瞬間、バッチャーンという大きな音とともにボールが水面に叩きつけられた。誰かがスパイクを放ったんだろうが、それはものすごい威力だったことが見て取れる。

 そこでは、上級生たちとみられるグループがバレーボールをやっていた。

 

「今打ったのは……多分あの人だな」

 

 俺が目を向けたのは、こちら側から見て左側のコートに立っている金髪の少年。一見細身だが、無駄のないがっちりとした筋肉がついているのが分かる。

 しかもこれが、雑誌のモデルにでも起用されそうなくらいの美少年ときた。ギャラリーには女子生徒が多いみたいだが、多分この人目当てがほとんどだろう。

 続いてのボールも件の美少年が大きく飛び上がり、威力の強いスパイクを打ち込む。相手側もいい動きでボールを上げようとするが、ポイントには繋がらず、結局また美少年サイドのポイントとなった。

 

「い、イケメンでスポーツもできるとか……」

「相当なものね。彼1人であの場を支配してる」

 

 かなりの実力者であることは間違いなさそうだった。

 

「あの人は2年A組の南雲先輩。現生徒会副会長で、次期会長は確実だって言われてる人だよ。頭もすごくいいみたい」

 

 一之瀬がそう言った。

 南雲という名前は会長と接触した時に聞いたが、あんな完璧超人だったとは。

 

「聞いたことあるか?」

「ううん、ないよ。でも生徒会なら、多分だけど今の生徒会長が凄すぎるってことなんじゃないかな。あの人の前だとどんな人でも霞んじゃいそうだし」

「確かに……」

 

 藤野の言葉を聞いて納得する。あの人から出る強者オーラは尋常ではない。歴代最高の生徒会長だ、なんて話も耳にしたことがある。

 そんな藤野の言葉に続くように、一之瀬が口を開いた。

 

「でも、南雲先輩も実力では負けてないって話だよ。実際、去年の生徒会選挙の時はまだ1年生だった南雲先輩と堀北会長で争ったらしいし」

「やけに詳しいな」

「私生徒会に入ったから。自然に覚えちゃったの」

「……生徒会に?」

 

 その事実に、堀北が驚愕の表情を見せる。

 そういえばあの時、橘書記が1年の女子から1人取ったって言ってたな。それが一之瀬だったってことか。少し納得した。

 

「南雲先輩は私の目標でもあるんだよね。元々Bクラスだったっていうのもあって、私と境遇が被ってたりさ。それがもう次期生徒会長確実ってところまで来てる。私も同じようにいつか……なんてね」

 

 一之瀬には一之瀬なりの目標がある。それでいいんじゃないだろうか。

 

「スタートが出遅れてる時点で、彼のポテンシャルを察するべきね」

「おいおい……」

「お前……もしかして自分がDクラスだってことをまだ認めてないのか?」

「当然でしょう」

 

 本当に当然だと言わんばかりに言ってしまった。

 

「うーん、でも堀北さんが不思議がるのも無理はないかも。単純な能力によるクラス分けってわけでもないっぽいしね。頭の良さももちろんそうだけど、人間としての成熟さや協調性とかね。速野くんや堀北さんがDクラスに配属されているのを見ると、そういうのを全部ひっくるめた上での判断じゃないかな」

「つまり……私が総合力で劣っているということ?」

「ごめん、そう受け取られちゃったなら謝るね。でも、堀北さんは基本的に自分を信じるタイプ。それって言い換えたら、自分本位ってことにもなっちゃうじゃない?社会に出た時、自分本位な人と指示に的確に従う人、どちらが優秀かはケースバイケースだと思わない?」

「……納得できないわね」

 

 一之瀬のいうことも一理ある。だが、俺はそれとは別のことを考えていた。

 冷静に考えれば、周りに従順な行動を堀北に求めるやつはいないだろう。それに一之瀬の説なら、欠点らしい欠点のない一之瀬がAクラスでないのはおかしいはずだ。

 能力判断の項目がもっと多いのか。

 それとも、人によって判断基準が違うのか。

 

 まだまだ、この学校の秘密には悩まされそうだ。




原作ヒロインのスリーサイズが公開されてますが、藤野のスリーサイズも公開した方がいいですか。特に拒否されなければ次の後書きに書きます。

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