実力至上主義の学校に数人追加したらどうなるのか。※1年生編完結   作:2100

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めっちゃ遅くなってしまい、すみません。テスト期間は終わったんですが、ちょっと成績がアレなのでこれからもこれくらいの頻度になってしまうかもしれません。往生際悪く勉強の合間にどんどん書いていきますので、これからもお願いします。
では、どうぞ。


ep.46

 休憩時間が終了し、次は1年女子からのスタート。初めの種目は騎馬戦だ。

 その名の通り4人1組で騎馬を作り、相手の騎馬の騎手がつけているハチマキを取ることでポイントを狙う。1クラスから4騎ずつ出る決まりとなっており、紅白8騎ずつということになる。残りのメンバーはリザーバーだ。

 騎馬はそれぞれポイントを所持していて、敵のハチマキを奪えば、1本ごとにそのポイントが手に入る。それプラスで、最後まで生き残っても同様にポイントが入るルールだ。

 4つのうち1つの騎馬は大将騎と役割づけされている。通常の3つの騎馬の所持ポイントは50だが、大将騎は100ポイントが配分されるのだ。

 強気で攻めれば大量のポイントを期待できる反面、自分も奪われやすくなるリスクがある。Dクラスはリスクを負わない方を取り、運動神経がいいとは言えない森を大将騎の騎手に選出。それを残り3つで守る狙いだろう。

 スタートと同時にB、Cクラスの騎馬が迫ってくる。

 特にCクラスは、その足取りに迷いがない。

 

「な、なんだあれ!?」

 

 池が驚くのも無理はない。Cクラスが狙ったのはただ一つ。堀北の騎馬だった。他の騎馬には目もくれていない。

 いや、より正しく言うならば堀北本人、か。

 あっという間に4対1の構図が出来上がる。頼みの綱のAクラスは様子見だけで、救援しようとはしていない。

 

「龍園の指示だろっ。あのクソ野郎が!」

「仕方ないだろ。リーダーを潰すのは作戦として邪道なわけじゃない」

 

 悔しそうな須藤の声に、綾小路の冷静な指摘が入る。

 そんな中、救援に動いたのは軽井沢の騎馬。しかし、Bクラスの大将騎である一之瀬がそれを阻む。

 軽井沢の騎馬は仲良しのメンバーで組まれているのに対し、一之瀬の騎馬はBクラスでも指折りの実力者だった。

 だが、仲良しチームの連携力も負けていない。正直すぐに決まるんじゃないかと思っていたが、軽井沢vs一之瀬の勝負は意外と長引いた。

 

「あ!!」

 

 ここで状況に変化が訪れる。堀北がハチマキを取られ、落馬してしまったのだ。

 悔しそうにしながら立ち上がる堀北。足のこともあるので少し心配ではあるが、体は大丈夫だろうか。

 そしてここからはB、Cクラスの各個撃破作戦が炸裂する。堀北が狙われている間にハチマキを奪えなかったDクラスの軽井沢以外の2つの騎馬はあえなく撃沈。その後、その騎馬が一之瀬に加勢し、軽井沢は一瞬8対1という状況を作られてしまった。

 こうなるともう勝ち目はないと悟ったのか、軽井沢は自爆覚悟で特攻し、Bクラスの1騎のハチマキを奪って相打ちで勝負を終えた。

 1騎減ったとは言え、数の上では向こうが圧倒的だ。残りのAクラスの騎馬も総攻撃を喰らい、こちらは全滅。向こうの損害は2騎だけという完全敗北を喫してしまった。

 まあ、これに関しては仕方がない面もある。まずAクラスがすぐに救援に向かわなかったこと、漁夫の利を狙ったのに敵のハチマキを奪えなかったことが敗因の多くを占めるだろう。

 だが、終わってしまったことは仕方がない。

 

「っしゃ行くぞお前ら!」

 

 須藤の叫び声とともにスタンバイする。

 騎馬には須藤、綾小路、三宅。騎手に平田を擁立した最強の騎馬。初めはこの騎馬を大将にする方向で話が進んでいたのだが、どこでどう間違えたか、俺が騎手を務める騎馬が大将騎ということに決定してしまっていた。

 

「はあ……」

 

 女子が全滅という結果になってしまったので、なおさらその責任は重大だ。思わずため息が漏れてしまう。

 まあ、もう騎馬の池、山内、南に頑張ってもらうしかないだろう。

 俺が騎手をやると決まった時点で、俺が騎馬役に頼んでいた作戦。それは制限時間の3分間、絶対に囲まれないようにただひたすら逃げ回ることだ。敵のハチマキを奪うことなんてこれっぽっちも考えない。初めから逃げることだけに100パーセントを出し切る。みっともないと言われるかもしれないが……いやまあ、実際みっともないのでなんも言えない。大将なのに逃げ回るとか大将の器疑うレベル。だから平田たちを大将騎にしろって言ったのに……

 

「頼んだぞ」

「おう!」

 

 平田にもこの話は承諾してもらっている。何か作戦会議のようなことをやっているが、俺は攻撃には参加しないので話半分に聞いていた。

 そして、スタートの合図が鳴る。

 

「狙うはクソ龍園の首一つ!ぶっ飛べやオラあ!!」

 

 スタートと同時に、俺の騎馬を除く赤組の7つの騎馬が突撃していく。その様子を見ながら、Cクラス大将騎の騎手である龍園は不敵に笑っていた。

 須藤のあの馬力と平田のテクニックなら、あのエース騎馬だけで2、3騎は潰せると踏んでいる。そして1騎は釘付けにできるだろう。それ以外の4騎は他の騎馬になんとかしてもらう。

 俺の騎馬は、複数騎が仕掛けてきたときのことを警戒して、体力温存のために自陣からほぼ動かない。

 だが、戦局は予想以上に良好だった。

 須藤は敵に向かって体当たり作戦を発動し、白組の騎馬を合計3騎崩していた。もっとも騎手が落馬しただけのためこちらにポイントは入らないが、それでも大金星と言っていいだろう。

 Aクラスは3騎失いながら、柴田や神崎擁するBクラスの大将騎のハチマキを奪った。その他2騎も倒し、敵の残りは龍園の騎馬を含めて2騎だ。

 

「うわ!こっち来た!!」

 

 龍園でない方の騎馬がこちらに向かってくる。

 

「よし、練習通りに頼む」

「わ、わかった!」

 

 まあ、練習通りと言っても大したことはしてない。左右への方向転換をスムーズにするように頑張っただけだ。それでもまだまだガタガタだが、逃げることだけに100パーセント集中していればなんとかなるだろう。

 

「くそ、待てえ!」

 

 敵の騎手の声が聞こえてくる。

 待たないから。

 

「はあ、はあ……は、速野、そろそろ限界が……」

「……え、もう?」

「し、仕方ないだろ!で、どうすんだよ!?」

 

 前線の様子を伺う。

 そこでは、少し不思議な光景が広がっていた。

 

「なんで挟んでないんだ……?」

 

 なぜか平田の騎馬と龍園の騎馬で一騎討ちが行われていた。その横には2騎いるのに、加勢する様子がない。

 気になるが、それは今はいい。龍園がこちらに来る様子はないし。ここも一騎討ちに持ち込めるだろう。

 

「止まってくれ。迎え撃つ」

「で、出来んの!?」

「じゃあ走るか?無理ならもう仕方ないだろ。残り時間40秒くらいだし、なんとかする」

 

 俺がそう言うと、3人とも止まって、相手の方を向く。

 その様子を見て、相手の方も止まってこちらへの攻撃の機会をうかがっているようだ。

 攻撃はいい。とにかく避け続けることだけに集中すれば、一騎討ちの今の状況ならいけるはず。

 敵の騎手が素早く手をハチマキに向けてくる。俺はそれを後ろに反るようにして避けた。するとさらに近づいてきたので、今度は腕自体を受け流して防御した。

 

「くっ……」

 

 その後も同じようにして避け続ける。攻撃の意思が全くなく、ただただ避けるだけの俺は心底うざったく映っているだろう。攻撃しないことで、守備にも隙が生まれづらい。対して相手は、こちらが攻撃してこないということがある程度分かっても、俺が攻撃する可能性への警戒を怠ることができない。一騎討ち、かつ防御に徹して欲張らないということを心に決めておけば、守備側が絶対的に有利なのだ。これは葛城あたりが好みそうな戦法かもしれないな。

 残り時間が迫る。残り4秒。ここで相手は防御を捨て、無防備に手を伸ばしてきた。

 俺はそれを体をそらして避け、伸ばした腕をさらにこちら側に引っ張ってバランスを崩させる。

 

「うわ!?」

 

 体が前に倒れると、必然、ハチマキを巻いた頭がこちらに近づく。

 取られる、と察知した敵が後ろに下がったが、すでに俺はハチマキを掴んでいた。終了の合図が鳴ると同時にそれが相手の頭からするっと外れる。

 そこで終了。相手、特に騎手はかなり悔しそうな表情をしていた。

 

「ふう……」

「すげえじゃん!ハチマキ取ったよこいつ!」

「ああ、まあ相手がラストスパートで無防備に攻めてくれたからな……」

 

 何はともあれ残ってよかった。さっきの俺のプレーはカウントされるか審議されていたようだが、なんとか得点になった。

 先ほどの平田たちの方に目を向ける。

 しかし、平田を含めさっきまで残っていた騎手のハチマキは龍園の手にあった。

 

「……全員取られたのか?」

 

 少し話を聞きに行く必要があるかもしれない。俺はたまたま近くにいた平田の騎馬の1人、三宅に質問した。

 

「何があったんだ?」

「速野か。実は……」

 

 そこで、龍園が須藤を挑発してタイマンに持っていく方向に誘導したこと。須藤を説得できなかったこと。龍園のハチマキを何度か掴んだが、不自然に滑って取るには至らなかったこと。結果的に自分たちが取られてしまったことなどの説明を受けた。

 

「なるほどな……」

 

 俺はため息混じりに須藤の方を見る。

 

「おいコラ反則だろテメエ!ハチマキになんか塗りやがったな!?」

「あ?知るかよ。なんかついてたんなら髪のワックスだろ。負け犬がいちいち騒いでんじゃねーよ」

 

 それだけ言い残し、龍園は愉快そうに戻っていった。

 対して須藤は怒り心頭。今すぐにでも角が生えてきそうだった。

 

「……どうやらそういうわけだったらしいな」

「ああ」

 

 龍園が試合終了直後に見せびらかすようにハチマキをぶん回していたのは、湿っていたのを隠すためなんだろう。つまり追求しても黒にはならない、という事実を突きつけられた形になる。

 序盤は有利だった騎馬戦。結果的にお互いの大将騎が生き残り、ハチマキを取った数も換算すると白組には敗北。

 

 さらに最悪なことに、ついに須藤がキれ、平田を殴ってしまった。そこに至る過程は見ていないので詳しいことは分からないが、大方の予想はつく。平田がかけた言葉に須藤が爆発したんだろう。もっとも、原因は須藤本人にあるんだろうが。

 

「やってられっか。勝手に負けてろよ雑魚ども。体育祭なんざクソ食らえだ」

 

 そう吐き捨てた須藤は、つかつかとどこかへ行ってしまった。

 

「……大丈夫か、平田」

「うん。ちょっといいのをもらっちゃったけどね……でも、この状況は流石にまずいね」

 

 体育祭でクラスが勝つことを第一に考えている平田は、須藤に殴られたこともあまり気にしていない様子だった。

 平田の言う通り、今のDクラスは客観的に見て非常にまずい状況だ。

 全ての元凶である龍園の方を見て、少しため息をついた。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 校舎の方から戻ってきた俺は、最後の全員参加競技である200m走に向けて準備を始める。

 時間になっても須藤は戻ってこない。絶対的エースの不在。Dクラスにとってはかなりの痛手だ。

 

「平田。須藤はどうした。便所か?」

 

 不気味な笑みを浮かべながら、龍園は後ろにいる平田に声をかけた。

 

「彼は訳あって休憩中なんだ。すぐに戻ってくると思うよ」

「クク、根拠のねえことは言うもんじゃねえぜ」

 

 俺はこの徒競走、龍園と同じ組に選出されている。しかも隣だ。龍園の名前が呼ばれた直後、俺の名前も呼ばれ、スタンバイする。

 

「龍園くんは、個人競技全てで1位を取ってるって聞いたよ。運がいいみたいだね」

「ああ?何が言いたい」

「君の考えてることはわかってるということだよ。君がDクラスの参加表を知っていることも、それを利用してることもね」

 

 俺にとっては初めて聞く事実。それが平田から告げられたが、近くにいた綾小路には驚いている様子はない。

 

「それがハッタリじゃなきゃ面白いんだがな。これまでの状況を見てれば気づく程度のことだ。いくらでもカマはかけられるだろうからなあ?」

「うん。だから君に一つ宣言しておくよ。この体育祭が終わるまでに面白いものを見せるって」

「面白い物だと?そいつは楽しみだな」

 

 なんだよ面白いものって……なんか、俺だけ会話についていけてない。

 龍園はその平田の謎発言も本気にはしていないようだ。

 龍園が4レーン、俺は5レーンで、スタートした。

 まあ、細かいレース展開については語るまでもない。低レベルというわけでもなく、熾烈な争いがあったわけでもなく、起伏のないレース。順位の変動もあまりないまま、龍園が1位、俺が3位でゴールした。

 俺は少し息を整えている中、龍園は涼しい顔をしている。身体能力に開きがある証拠か。

 

「ふう……木下の具合はどうだ?」

「あ?……はっ、誰かと思えば、船の上で鈴音といた金魚の糞じゃねえか」

 

 俺が誰かを思い出したらしい。

 

「なんだ、謝罪する気になったのか?」

「謝罪?なんで俺が。俺はただ木下の様子を聞いただけだ。で、どうなんだよ」

「すぐに分かるだろうさ。鈴音に覚悟しとけっつっとけ」

「……?」

 

 最後に妙な言葉を残し、龍園はその場を立ち去った。

 ……まあ、これでも十分か。

 俺は一瞬龍園の方を振り向いた後、逆方向にあるDクラスのテントへと戻った。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 昼飯の時間。ランチタイム。

 なんでも、昼食は無料で食べられる高級弁当が敷地外から取り寄せられているらしく、ほぼ全生徒が慌ただしく受け取り場所まで走って行った。俺もそれを利用するが、流石にあの人混みの中に飛び込む勇気はないので少し落ち着いてから行くことにした。

 その間に、俺は綾小路から話を聞く。

 

「綾小路、堀北に何言ったんだ」

 

 さっき2人は長めに話していた。そしてそのあと、堀北はテントを飛び出していった。こいつが何か吹き込んだんだろう。

 

「別に、気にするほどのことは言ってない」

「じゃあ、あいつは今何してるんだ。須藤か?」

「だといいんだけどな」

 

 なるほど……大体分かった。触発したのか。

 

「お前も飯は取り寄せの弁当食べるのか?」

 

 綾小路が話題を切り替える。

 

「ああ。人混みが緩和されてから取りに行くつもりだ。……そろそろいいかもな」

 

 弁当が用意されている方を見てみると、さっきよりは少なくなっている印象だ。

 

「じゃあ、取りに行ってくる」

「ああ」

 

 手短な会話を終えて、弁当求めて三千里。いや遠すぎか。大体0.05里くらい。メートルにして200m。

 こういった単位の計算は非常にめんどくさいことが珍しくない。海外のニュース映像が流れた時に、天気予報で気温がファーレンハイト温度で「temperature:76」とか表示されて初見だと「はっ!?」とか反応してしまうアレだ。温度表示の統一は割と需要ある気がする。

 閑話休題。

 俺が到着する頃には混雑はほぼなくなっており、スムーズに弁当を受け取ることができた。

 弁当箱を片手にDクラスのテント付近に戻る。

 

「速野くん。今から昼ごはん?」

 

 そんな時、通りがかった平田に声をかけられた。

 

「え、ああ、まあ」

「じゃあ、一緒に食べない?みんなで食べた方が美味しいし、速野くんとご飯を一緒に食べる機会は持ててなかったからね」

 

 平田は少し離れたところにいる男女数人のグループを見ながら言う。その中には軽井沢や前園などの女子、それに池、山内、綾小路もいた。平田が声をかけてドッキングしたんだろう。

 

「……じゃあ、そうする」

 

 断ってもよかったが、このままでは1人寂しく(いつも通りに)食べることになりそうなので、承諾した。

 敷かれたブルーシートの上に胡座をかき、弁当をかきこむ。さすが高級弁当ということもあって美味い。普段手作りなので余計に強調されている。

 集団の中でも、平田や軽井沢のようによく話す人と俺や綾小路のようにあんまり喋らず飯を食っている人がいて、食べ終わる時間にも差異が出てくる。

 俺と綾小路、それに池が食べ終わったところで、平田が話を切り出した。

 

「龍園くんは、やっぱり動いてきたね」

 

 平田の言う龍園の動きとは、さっきのハチマキのことなのか、それとも……

 

「それで裏切りものは誰なわけ?洋介くんは知ってるんでしょ?」

 

 軽井沢の言葉で、それが「Dクラスにいる裏切り者」のことだと分かる。

 その裏切り者がいつからDクラスを裏切り始めたのかは分からない。だが、少なくともその存在と、そいつがこの体育祭で何かしでかすということは予見していた。

 

「僕は知らないよ。いくつか分からないことがあるんだ。それを解消してもらえないかな」

 

 平田の口ぶりからすると、綾小路が裏切り者の正体を知っていることを知っているらしい。

 軽井沢も知っているという事実を俺はどう受け取ったらいいんだろうか。綾小路と軽井沢の間にもなにかがあることはほぼ間違いないんだが、確信にたどり着くことは叶っていない。

 

「いずれはそうするつもりだ。だが、今ここで誰が裏切り者かを言うことはできない」

「はあ?なんでよ」

「クラスで混乱が生まれる可能性があるからだ」

 

 本心でそう思ってるとしても不自然ではないが、こいつの場合他に何か目的があると考えた方がしっくりくる。

 

「ちょっと待った。まずなんでお前知ってんだよ」

「それは話すほどのことでもないさ。偶然のことだったしな」

 

 言うつもりはないらしい。

 

「分かった。それらについてむやみに聞くことはしないよ。でも、どうしてそのまま提出してしまったんだい?もし気づいてたなら、場合によっては有利にことを運べたかもしれないのに……」

「そうだな」

「なんでそんな他人事みたいな反応なわけ……そんな呑気でいいの?」

 

 言いながら軽井沢は、身近な人間にそれがいるかもしれない、と疑惑の目を向けている。

 

「裏切り者の道徳心を測ってる、ってとこか」

「は?道徳心?」

 

 想定していなかった言葉に思わず反射的に返してしまった。

 

「こちらから追い詰めることなく改心してほしい、ってことだよ」

「この話は堀北さんの指示のもと、ってことなんだよね?」

「ああ。そうだ」

 

 なるほど。平田にはそう説明してるのか。信じられてるかどうかは分からないが。

 

「それで、その堀北さんはどこにいるわけ?」

「……須藤を探しに行ってる、んだっけか?」

 

 綾小路からはそう聞いている。

 

「そうだといいんだけどな」

「うん。僕らにとっては須藤くんが頼りだ」

 

 そうだ。Dクラスがどれだけ食い下がれるかは、須藤が戻ってくるかどうかにかかっている。

 そして、それができるのは堀北のみ。クラスの命運は堀北が握っているといってもいいかもしれない。

 

 これは堀北にとっても、さらに言えば須藤にとってもチャンスである。

 堀北がAクラスを目指す上で、片腕をゲットできるかどうか。

 須藤のこれからの学校生活がどのようになっていくのか。

 

 まあ、俺がそのことについて気にかけても仕方ない。結局、当人間でなるようになるんだろう。




女子の騎馬戦は描写する必要なかったかも……と思い始めた今日この頃。「原作通りじゃん。つまんね」と思ったら飛ばしてください(後書きで言うことじゃねえ)。私としてはオススメしませんが……たまーにその描写に伏線突っ込んだりするので。伏線なんて立派なものじゃないかもですけど。

感想、評価お待ちしております。


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