実力至上主義の学校に数人追加したらどうなるのか。※1年生編完結   作:2100

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7巻って綾小路の過去の一部がメインなので、オリ主ものだとあまり書くことないんですよね……ですが、ちゃんと書きます。7巻分は3話、長くても4話くらいで完結するかと思われます。
では、どうぞ。


第7巻
ep.53


 あーたーらしーいーあーさがきたー。

 ただ、その朝は希望ではないのがたまに傷だ。

 

「寒いな……」

 

 端末で調べてみたが、今日は割と寒いらしい。一応覚悟はして部屋を出たのだが、現在進行形で寒さを体感中だ。

 これからに備えて、マフラーやコートなどの防寒着を買い揃えておいた方がいいかもしれない。冬は何回も経験するわけだしな。

 

 期末テストも終了し、生徒たちは一息つける頃だろう。「ほっと」一息という言葉に反し、ここ最近は非常に「コールド」である。そして今の俺のギャグも寒冷化に貢献したことだろう。

 冬休みも近づき、生徒たちの間では休み中に何して遊ぶとか、そんな話もちらほら聞こえてくる。俺にとって少し驚きだったのは、綾小路もその輪の中に入っていたことだ。なんでも期末テストへ向けての勉強会のメンバーに佐倉を加えたメンツで友人グループを形成しているらしい。一応グループ結成のはじめのきっかけを作ったのは俺だと思うんだが、残念ながらそのグループに俺はいない。

 俺と馬が合うらしい三宅との会話が減ったわけでもないし、綾小路とも会えば二言三言話したりはする。ただ、ものすごい疎外感を感じるのは気のせいではないだろう。

 グループのメンバーからして、結束が強いわけではないであろうことは想像できる。各々の都合優先で、予定があった時だけ集まる、そんな感じの良い意味で適当なグループなんだろう。だから、その疎外感は壁ほど厚くはない。精々金網くらいだろう。

 だが、金網でもなんでも、あるのとないのとでは環境は全然違う。金網があればそれは障害物だし、同じ網でも七輪があれば肉が焼ける。

 冗談はさておき。

 その領域に入ろうとすれば、フェンスを超える必要がある。

 しかしそれは、他人の領域を土足で踏み荒らすことに等しい。俺はそんなことをするつもりはないし、そもそも勇気はない。

 

「あ、おはよう速野くん」

 

 俺のぼっち感を一人語りしていたところで、背後から突然声をかけられた。

 聞き覚えのある声。すぐに誰だか認識できる。

 

「……一之瀬か。おはよう」

「うん、おはよっ。ちょっと寒くなってきたねー」

 

 一之瀬帆波。Bクラスのリーダー。明るい性格でクラスを鼓舞し、強いリーダーシップとカリスマ性でクラスをまとめ上げるだけでなく、Bクラスのブレインでもある。俺が知る限り欠点らしい欠点のない完璧に近い人間だ。

 

「そういえば、まだちゃんとお礼言えてなかったね。勉強会の件、ありがとう」

「俺じゃなくて堀北に言ってくれ。提案者はあいつだからな」

「でも速野くん、私たちのために結構な量の問題作ってくれたでしょ?それも含めてだよ。結果は負けちゃったけどね」

「差は1点なかっただろ。惜しかったな」

 

 よくぬけぬけとこんなこと言えるもんだと自分でも思うが、こう言っておくしかない。

 

「一問、速野くんが作ってくれた問題と解き方がほとんど同じ問題があってびっくりしちゃったよ」

「え、そうなのか。そりゃ良かった」

 

 十中八九藤野からの問題だろう。そのおかげでBクラスは平均点が少し上昇している。

 

「DクラスはCクラスのポイント逆転したんだよね。もしかしたら3学期はCクラスなんじゃない?おめでとう」

「まだ油断はできないんだけどな」

 

 ただ、トラブルメーカーの須藤は大人しくなり、クラスも結束力を増していることで、3学期開始までの間にもう一度Cクラスに追い抜かれるなんてことにはならないだろう。

 長いスパンで見るとそうとも限らなくなってくるが。それを防ぐためには、Dクラスにある病気を治す必要がある。

 場合によっては切除も必要かもしれないが、俺はその方法を取ることに気は進まない。

 と、それを考えるのはここまでにして、俺は別のことを一之瀬に言う。

 

「協力関係の話、堀北と話す機会を持った方がいいんじゃないか」

 

 もし仮に俺たちがCクラスに上がれば、今まで通りの協力関係、というわけにもいかない気もする。

 

「私も思ってたんだよね。堀北さん、いつ時間とれるかな」

「それは本人に聞いてくれ」

 

 あいつも基本的に暇だとは思うが、俺の関知するところではない。てか、あいつ普段何してんだろ。

 

 そんな疑問に思い当たったところで、校舎に到着し、一之瀬とは別れた。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 昼飯の時間。俺はいつも通り、自作の弁当(夕飯の残り)を広げて食べ始める。

 後ろの席の綾小路は、例のグループで食べるのだろう。授業終了と同時に立って幸村や三宅のところへ向かっていった。

 

「綾小路はぼっちを脱却したらしいな」

「そのようね」

 

 俺の斜め右の席で、俺と同じように弁当を食う堀北。

 1人好きであることを自称する堀北は、綾小路に友達ができようが興味はないんだろうな。

 

「今度はあなたの方が哀れね」

「なんとでも言えよ。1人でも苦に思わない点ではお前も似たようなもんだろ」

「そうね。苦に思わないというより、好きなのだけれどね」

「そうですか……」

 

 格が違うと言いたいらしい。

 まあ確かになあ。人生の友達いない歴でいうと多分こいつの方が長いしな。堀北もこの学校に入って大きな心境の変化とともに成長もしたが、友達ができたかといえば多分できてないだろう。須藤は協力者。綾小路も多分違う。平田はただのクラスメイト。櫛田とは論外。藤野とはただの顔見知りだ。一之瀬あたりが一番こいつの友達に近いかもしれないな。

 

「お前普段何してるんだ」

「……聞いてどうするの?」

 

 何気ない質問だったが、不審がらせてしまったようだ。まあ同じこと聞かれたら多分俺も同じような反応だから文句は言えないんだが。

 

「いや、その道のエキスパートに暇つぶし術の伝授を頼みたいなと」

「あなた聞く気ないでしょう」

 

 睨まれてしまう。殺気が見えるのは気のせいか……?

 

「……聞かせてください」

「はあ……別に言うほどのことはしてないわよ。勉強か読書。あなたも似たようなものでしょう」

「俺はあまり読書はしないな」

 

 俺の部屋にある文庫本は数冊だけ。日常的に読書をする習慣はない。

 それに対し、堀北は学校で暇さえあれば本を読んでいるといっても過言ではないほどの読書家だ。

 

「図書館で借りたりしてるのか」

 

 勉強会などでよく使う図書館。素人の俺でも分かるが、あそこの本の貯蔵量は半端ではない。

 

「それもあるけれど、書店で買うこともあるわね」

「ふーん」

 

 やっぱり読書か。

 俺は無趣味というわけじゃない。強いて言えばバスケなんがが俺の趣味というものに当てはまるだろう。だが、冷え込んでくるこの時期に、かじかんだ手でバスケをやろうとは思えない。温い室内でだらだらと暇を潰せる手段が欲しいのだ。

 今度図書館で本を借りてみるのもいいかもしれない。読書家になろうかな。それとも独書家になろうかな。後者の方はすでになってる説もあるが。

 ここまで話したところで昼食を食べ終わり、弁当箱をさっと片付ける。

 堀北の方も食べ終わったらしく、趣味である読書に没頭していた。こういう時にやることに困らないのが羨ましい。

 俺の方はというとやることもなかったので、バッグに入っている問題集の適当なページを開いて解き始めるのだった。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 放課後は買い物の時間である。

 いつも待ち合わせていた場所で藤野と合流し、食品館へ向かう道のり。

 

「藤野」

「ん?なに?」

「お前も休日何してるんだ」

 

 堀北にしたのと全く同じ質問を藤野に問いかける。

 違った立場からの意見も参考になるだろう。

 藤野は少し考えるような表情をしてから、一つ一つ思い出すように言っていく。

 

「うーん……友達と遊びに行くことが多いけど、それ以外は勉強とか読書とか、インターネットで動画も見たりするかな。あとお昼寝もするよ」

 

 流石というべきか。友達と遊びにいくという答えが求められていないことをちゃんと分かってくれている。

 

「昼寝か……」

 

 新しいキーワードだ。夜の睡眠に影響がない程度に2、30分、くらいならいいかもしれない。

 昼寝といえば、スペイン語圏で広まる「シエスタ」なんかが有名だろう。現地に行ったことはあるわけないのでよく知らないが、俺はいいんじゃないかと思う。

 そんなことを考えていると、目的地のスーパーにたどり着いた。

 少しいつもとは違う道を通って無料コーナーに到着。藤野はあらかじめ決めたものを、俺はその場で夕飯のメニューを考えて、質のよくない無料の商品をカゴに入れていく。

 ここまでの淀みのない手慣れた動き。学校で主夫力競わせたらかなり上位に食い込むなこれは。問題は俺に働く嫁がいないので主夫とは呼べないこと。別に悔しくない。専業主夫は夢じゃないしな。働いたら負けどころか世の中稼ぐが勝ちだろ。やはり俺の労働理論はまちがっていない。漢字じゃないところがミソだ。

 会計を済ませ(0円だが)、買い物袋を持って外に出る。

 俺たちが通ったあと、開き切った自動ドアが閉まり始める音がするが、直後にそれが止まり、再び開いた。誰かが俺たちの後に通ったということだ。

 特に振り返ることはせずに歩き出す。

 

「……ねえ」

 

 その途中、声を潜めて話しかける藤野。俺に聞こえるようにするためか、口を耳元に近づけて言ってきた。

 

「……やっぱり、つけられてるよね」

「……」

 

 口では何も答えず、小さく頷く。

 店の中でいつもと違う道を通り、遠回りして無料コーナーに行ったのはそれを確かめるため。尾行されてるっぽいことは気づいていたので、お互いに暗黙の了解みたいな感じでそのルートを歩いた。

 放課後すぐにスーパーにいく人はそう多くない。娯楽施設の集まりは別の場所にあるため、俺と藤野が買い物に行く際は人の流れに逆らうことになる場合が多いのだ。尾行するということは同じことをしなければならないので、必然、そいつも人とは違う方向に歩くことになり、バレやすくなる。尾行自体は下手ではないんだろうが、俺と藤野の行き先が災いしたな。俺が普段通りに寮に直行していたら、尾行に気づくのがもう少し遅れたかもしれない。

 

「……誰か分かるか」

「……分からない。同学年だとは思うけど」

 

 藤野が分からないのであればAクラスではないということだ。

 

「……そういえば、なんか噂になってたよ。Dクラスを裏で操って、いろんな試験で勝たせてる策士がいて、その人をCクラス、っていうか龍園くんが突き止めようとしてる、って」

「ふーん……」

 

 まあ、その流れがあること自体は知っている。船上試験でも本人が堀北の後ろにいる黒幕を引きずり出してやるとか言ってたしな。

 恐らくそれ関連だろう。この学校の生徒にストーカーやらかすアホはいない、と思いたい。店員にはヤバイのが1人いたが。

 

「その策士ってさ……速野くんのことじゃない?」

 

 疑う、というより単純に疑問の表情で俺に聞いてきた。

 

「いや、俺は別にクラスを勝たせたことはないぞ」

「でも結果的にはそうなってるでしょ?」

「……まあ、ほとんどな……」

 

 ポイントがかかった行事でDクラスが敗北したのは体育祭のみ。無人島試験でも船上試験でも、ペーパーシャッフルにおいてもDクラスは勝利を収めた。俺も0.5枚くらいは噛んでいるので、藤野の言うように俺が勝たせた、という表現もできなくはない。

 

「これからも尾行されるのか……」

「多分、そうなるんじゃないかな。私が声かけようか?」

 

 言われて、藤野が声をかけた時の状況を少し考えてみる。

 

「……いや、何もしなくていい。そのうち終わるだろうし」

「?そうなんだ……」

 

 そもそも藤野が声をかけたところで、尾行する人間が変わるだけだろう。

 それに藤野はイマイチ腑に落ちていないようだが、俺には確信があった。

 この尾行は終わりが見えないものじゃない。10日くらい我慢すれば解放される。

 

「Cクラスといえばさ、この前の話、聞いた?」

 

 あまり深く考えない方がいいと思ったのだろうか。藤野が話題を変える。

 

「いや、なんだこの前の話って」

 

 Cクラスに関連する話題のうち俺の耳にも入ってくるのは基本的に小言や文句ばかりだ。いい話はほとんど聞かない。

 

「期末テストの直前のタイミングで、全員のポストに一之瀬さんが不正にポイントを得ている可能性がある、って手紙を龍園くんが入れたらしいの」

「……やっぱり聞いたことないな」

「時間帯が時間帯だったから、速野くんは見てないかも」

 

 俺が見ていない間に全部回収されたということだろう。まあそんな手紙を放置しておくわけにもいくまい。

 ただ、ふと疑問に思ったことがある。

 

「なんで龍園って分かったんだ」

「その手紙に龍園くんの名前が書いてあったんだって」

 

 名前が、か……

 

「また乱暴なやり方をする奴だな……」

「ほんとだよね。結局不正ではなかったらしいんだけど……」

「違ったのか」

 

 まあ、ポイントの流れは学校側に筒抜けだ。不正にポイントを稼いで退学させられた前例もある。一之瀬がどれほどのポイントを所持しているかは知らないが、学校側が不正でないというならそうなんだろう。

 問題はそこじゃない。

 こんなことをやった人物、それが本当に龍園なのかどうか。手紙本体に龍園の名前が書かれていたから龍園がやった?判断するのは早計だろう。

 一之瀬の所持ポイントを知ることができた可能性があり、こんなことをやってもおかしくない人物。俺はその候補を1人知っている。

 

「まあ不正じゃないなら良かったんじゃないか」

 

 だが、ひとまずそんな返事で済ませておく。人目があるということと、単純に言う必要性を感じられないことから、藤野にその候補は告げない。俺自身憶測でしかないからな。

 これ以降、俺と藤野がCクラスや尾行に関して何か口に出すことはなかった。

 同時に、会話も止む。俺も藤野も沈黙は苦手じゃない方なので、気まずくなるなんて問題も特に起きず、寮に到着してその日は別れた。

 部屋に入り、少し考える。

 あの時……5ヶ月ほど前、登校時に、偶然にも綾小路と出くわしたあの朝。神崎が貼ってくれた須藤の暴力事件の目撃者探しの貼り紙を発見し、神崎本人、それに一之瀬にも遭遇した。

 あの時、綾小路は一之瀬に事件に関する情報提供者へのポイントの払い方を教えていた。

 あの当時は分からなかったが、今は俺も匿名の人物にポイントを送る方法を把握している。その手順の中で、自らの所持ポイントが表示される段階があるのだ。

 

 つまりあの時一之瀬とほぼ密着状態にあった綾小路なら、その画面を見ていてもおかしくない。

 

 もし仮に龍園の名前を勝手に使っても、龍園は否定したりしないだろう。これに関しては、あいつはそういう奴だ、としか言えないが、綾小路なら当然それを分かっているはずだ。

 そして周りも、今までの龍園の行動から「龍園ならやりかねない」と考える。犯人は他にいて、そいつが龍園になすりつけたと考える人物は少ないだろう。

 それらの状況全てを利用し、綾小路が全員の郵便受けに一之瀬が不正をしているかもしれないという旨の手紙を入れ、龍園がやったと全員に思わせた。完全な憶測だが、全ての辻褄が合っているのもまた事実だ。

 もしこの仮説が当たっているとしよう。綾小路は一之瀬の所持ポイントを見ていて、それがとんでもない額だった、ということか。

 俺も自分が高ポイント保持者であると自負しているが、藤野からの依頼料を除き、俺のポイントは人を騙して得たものだ。当然、騙した人からは二度と信用されない。信頼とか、そういった類のものを重視しそうな一之瀬がそんなやり方をするとは思えない。

 それに、明白に違反ではないと結論が出ている。俺のやり方も合法といえば合法なのだが、俺とは違って真っ直ぐな意味での合法で、初めての特別試験が実施されるより前に大量のポイントを得る機会があったということだ。

 

 まあ、俺が考えても結論は出ない。そもそも仮説が当たっているかどうかも分からないのだ。一之瀬に所持額を聞いて揺さぶってみるのも手だが、無用な警戒をされるのはよろしくないしな。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 藤野と食料調達をした翌日の放課後。今日は特に用がないので寮に直行する。

 昨日より少し冷え込みはおさまっていて、過ごしやすい気温だと言える。これくらいの日が続いて欲しいもんだが、そうも行かないんだろうな。それどころか、今後さらに冷え込んでいくに違いない。やっぱり次の週末、コートとかマフラーとか買いに行こう。

 これからの寒さを考えて少し憂鬱になりながらも校舎を出る。

 昨日と変わらぬ人通り。寮に帰る者と、遊びに行く者、部活に行く者が同じくらいの割合で混在している。

 俺はその中の寮に帰る者の流れに乗って歩き出した。

 流れに逆らわないのって大事だと思う。これが野球なら流し打ちでヒットが打てる。

 頭の中で3塁線に2塁打(実は左打ち)を放つ光景を思い浮かべながら、正門までの直線の道に差し掛かったとき。

 

 やはり来た。

 

 今日もやはり尾行はついている。昨日と同じ人物だ。追いかけるターゲットが藤野ではなく、俺であることが確定した。いや、そんなことは初めから分かっていたのだが。ただ、尾行してるこいつも出来ることなら藤野を追いかけたかっただろうな、とは思う。それでもちゃんと尾行してもらわなきゃ困るけどな。

 少し冗談めかしたことを考えつつ、尾行がちゃんとついて来ているのを確認。そして俺は通学路を外れて路地に入るために右に曲がった。

 そこは薄暗い路地。日光があまり当たらないので空気が少し冷たい。ここは少し入り組んでいて、普段は誰も来ない場所だ。ちゃんとした道を把握している人は少ないだろう。というか、普通こんなところ行こうとは誰も思わない。だからこそいいのだ。それでもあまり道が汚れていないのは、清掃員の人が頑張ってくれている証拠か。

 俺は頭の中に地図を思い浮かべながらゆっくりとスピードを緩めて歩き、右に曲がって、さらに左に曲がる。

 そこからまっすぐ行くと、行き止まりに突き当たった。

 

「……」

 

 あれ、ちゃんと地図覚えたはずなんだけどな……とかそんなんではない。元からこの行き止まりを目指していた。

 ゆっくり歩いていたので、当然俺を尾行していた人物もここにたどり着くだろう。

 

 足音が聞こえてきた。

 

 そしていま、その姿が見える。

 

 

 




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