戦姫絶唱シンフォギア -俺を誰だと思っていやがる!!!-   作:GanJin

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第一章 覚醒編
プロローグ


 太平洋の何処かにあまり認知されていない無人島が存在する。そこで誰にも気付かれずに設立された研究所ではある聖遺物の実験を行っていた。

 

「『ギャラルホルン』の状態は?」

 

 研究の責任者である男は画面に映る聖遺物『ギャラルホルン』を見ていた。モニターに映っている『ギャラルホルン』の周りには夥しいほどの機械で埋め尽くされている。

 

「安定しています。この調子であれば、新エネルギー起動実験を行なうことも可能でしょう」

 

「うむ。皆も知っている通り、異端技術の研究は世界中で極秘裏に行われている。しかし! この『ギャラルホルン』はこの世界に存在しない未知の技術、エネルギーをもたらす可能性の象徴であり、成功すれば我々は長年の夢を叶え、どの組織、国家よりも優位に立つこととなるだろう」

 

 その言葉に研究室にいる誰もが気を引き締めた。もしこの実験に成功すれば、富も名声も欲しいままであると分かっているが故に、失敗することは許されないと理解しているからだ。

 

「では、これより『螺旋エンジン』起動実験を始める! 各員、作業に取り掛かれ!」

 

 それが合図となり、職員は自分に課せられた作業に集中した。

 

「螺旋エンジン待機状態に移行」

 

「ギャラルホルン、起動準備よし」

 

「螺旋エンジン起動用コア、準備よし」

 

 それぞれの準備が完了し、後は責任者がボタンを押すのを待つだけとなった。

 

「では……ギャラルホルン起動」

 

 責任者がボタンを押す。するとモニターに映るギャラルホルンに光が発せられ、ゲートが開かれた。

 

「ギャラルホルンによる異次元へのゲートの開口を確認」

 

「ゲートより螺旋エネルギーを検知。螺旋エネルギーを起動用コアに供給します」

 

「コアのエネルギー充填率、ニ十パーセント。三十五、五十、更に上昇」

 

 実験は順調に進んでおり、責任者は成功を今か今かと待ち望み、子供のように笑みを浮かべている。

 

「エネルギー充填率九十パーセント」

 

 あと少しだと誰もが待ちわびる。だがあと一歩の所で警告を表すブザーが鳴り響いた。

 

「何事だ!?」

 

「ギャラルホルンから膨大なエネルギー反応を検知!」

 

「なんだと!? 止むを得ん、ギャラルホルンを緊急停止だ!」

 

「ダメです、受け付けません!」

 

 これまで何度か実験してみたが、そのような事は一度も無かった。一体何が起こったというのか。職員の誰もが慌てふためていた。

 

「まさか遠く離れた螺旋力すらない次元宇宙にもこのような愚か者がいたとは」

 

 突然、第三者の声が聞こえたことに誰もが驚愕する。その声は耳からではなく、まるでテレパシーのように頭に呼びかけている感覚だった。

 

「誰だ!」

 

 男は辺りを見渡す。だが、その声の主は何処にもいない。

 

「モニターに、ギャラルホルンの隣に誰かいます!」

 

 だが変化は既に起こっていた。先程まで無人であったギャラルホルンの隣に人影があった。

 いや、そもそもあれが人かどうかも怪しかった。その姿は人に近い形でありながら肉体、表情はおろか光すらも感じさせない虚無的な姿であった。

 

「貴様、何者だ!?」

 

「君達が知る必要はない。この宇宙でスパイラル=ネメシスを起こさない為にもここで君達には消えてもらうのだから」

 

「スパイラル、ネメシス?」

 

「知る必要は無いと言ったはずだ」

 

 人型の何かが手をかざすと辺りモニターに映された部屋が光に包まれた。その光はそこだけでなく、男達がいる部屋も包み込む。職員の中には悲鳴を上げる者もいたが、光に完全に呑まれた瞬間に掻き消された。

 

「何故だ、何故このような……」

 

 光に包まれた瞬間、男の意識は消滅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 アンチ=スパイラルは研究室が光に包まれていくのを空から眺めていた。

 

「螺旋力による進化は滅びしか生み出さない。あのような事を起こしてはならんのだ。許せ、螺旋の力を持たぬ者達よ。せめて、その命をもってこの宇宙を守ったことを誇るが良い」

 

 島を包み込むほどの強い光は徐々に弱まり、クレーターを残して完全に消え去る。そこに残っているのは研究所の残骸とギャラルホルンだけだった。

 

「成程、あれ程のエネルギーを受けても破損しないとは多元宇宙を繋ぐだけのことはあるか」

 

 空から降りたアンチ=スパイラルはギャラルホルンに近づきに手をかざす。

 

「本来なら破壊すべきだろうが、流石に時間が掛かるか。だがせめてこいつの能力に制限はつけておいた方が良いだろう。我々の世界に干渉しない為にもな。後は極力誰にも発見されない所に置けばどうにかなるだろう」

 

 ギャラルホルンを人目につかない所へ転送した後、アンチ=スパイラルはまだ展開されている空間の裂け目に目を向ける。

 

「では私はこちらに残ってこれまでの干渉によって螺旋力を内包している者が誕生していないか監視をすることとしよう。ゲートの修復と例の螺旋族の件はそちらに任せる」

 

 アンチ=スパイラルはゲートの先にいる者にそう告げるとゲートはみるみる塞がっていった。 

 完全にゲートは閉じ、彼は一人となった。

 

「螺旋力が存在しない宇宙か……。私にとってこれほど平和な世界は無いな」

 

 ここに留まる必要が無くなったアンチ=スパイラルはゆっくりとその場から消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 無人島に建設された研究室が消失してから数年の月日が経った。

 

「これが完全聖遺物『ギャラルホルン』」

 

 櫻井了子は遺跡から発掘されたそれを見て目を輝かせていた。

 

「さーて、一体どんな代物なのかしら。楽しみ……あら?」

 

 調査していると、ギャラルホルンの近くにライトの光で反射する何かがあることに気付いた。

 

「何かしらこれ? ドリル?」

 

 それは手のひらサイズのドリルだった。ドリル部分が黄色く、金属のようなもので出来ているようだった。

 

「アクセサリー? でも、だったら少しダサい気がするけど、何でこんなものがあるのかしら?」

 

 聖遺物がある遺跡には似合わないそれを見て、了子は首を傾げた。

 

「櫻井教授、ちょっと来てくれますか」

 

「はいはーい、今行きまーす」

 

 その後、彼女が見つけたものはギャラルホルンと一緒に調べられたが、特に聖遺物のような価値のある代物ではなかった。それでも見つかった場所が場所なだけに、深淵の竜宮にて保管されることとなる。

 

 

 

 

 

 

 

 ノイズが特異災害として国連総会で認定されてからそれほど年月が経っていない頃、一人の少女が小学校の窓を見てボーっとしていた。

 彼女は何時からか、何気ない日々が少しだけ退屈に感じることが多くなった。別に家族といるのが嫌だとか、友達と遊ぶのに飽きたとかではない。勿論、そんな日々が幸せだと感じているし、楽しいと思ってる。でも、やっぱり心の何処かで物足りなさを感じているのは否定できない事実だった。

 

「あー、何か面白い事無いかなぁ」

 

 教室の机で寝そべっているとまたいつものように何気ない日々の始まりを象徴するように学校のホームルーム開始のチャイムが鳴った。また、同じ日々が始まるんだと思っていると……。

 

「おはよう、テメェら!!」

 

 その少年はチャイムが鳴り終わった後に教室の前の扉を思いっきり開けて登場した。

 周りのクラスメイト達が何事だとビックリした顔を晒しているのを見て、少しだけ笑ってしまった。

 

「先生が後で呼ぶから待っててって言ったのに」

 

「良いじゃないっすか、後でも先でも。どうせ紹介するならド派手にやらないと!」

 

「あんまり派手にやって欲しくないんだけど……」

 

 担任の女性教師が慌てて教室に入ってきた。彼はどうやら転校生らしい。

 今まで何人か転校生を迎えてきたことはあったがが、どういう訳かその少年を見た瞬間、あたしは彼が他の奴らと何か違うと直感した。

 

「良いかテメェら、良く聞きやがれ!」

 

 するとあろうことか少年は教師を前にして、教卓の上に立ったのである。

 突然の事に担任も注意することを忘れて、呆然としている。

 

「俺は今日からこのクラスで厄介になるもんだ。よろしく!」

 

 そう言うと少年は高らかに上を指さした。

 

「まずは宣言させてもらうぜ。このクラス、いや学校はこの俺が占めるってことをなっ!」

 

 言ってることは滅茶苦茶で、意味不明でありながらも、あいつの言葉があたしの心の中で失いかけていた熱に火をつけた。

 

「学校を占めるたぁ、大きく出るじゃねぇか。何者だよ、お前」

 

 あいつに乗せられたのか、いつの間にかあたしも机の上に足を乗っけて啖呵を切っていた。

 そしたらあいつはあたしを見て、嬉しそうに笑みを浮かべやがった。

 

「俺の名前を知らねぇたぁ、もぐりだな? 教えてやるよ! 西海一の暴れん坊、神野神名(かみのかみな)様たぁ、俺のことだ! よく覚えときやがれ!」

 

 それがあたし天羽奏と神野神名、カミナとの出会いだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 カミナと出会ってあたしの見る世界は変わった。いつもやっていた遊びも悪戯も何もかもが楽しくて仕方なかった。

 そして今日もそんな楽しい悪戯が始まろうとしている。

 

「計画通り、夜の学校に忍び込んで校庭に俺達のマークを描く。メガネ、用意はできてるな?」

 

「当然さ」

 

 あれから数日で、カミナは何人もの仲間を集めて、あるグループを作り上げた。その名は『グレン団』、兎に角馬鹿みたいに目立つことをしまくる悪ガキ集団だ。当然、団長はカミナだ。

 そのメンバーの一人である、メガネがいっちょ前に方眼紙で丁寧に図面を引いてきたものを皆に見せる。

 メガネはクラスで一番頭がいい奴で、最初はカミナを毛嫌いしていたが、道端で怪我をした猫を拾ってどうすれば良いのか分からない所をカミナに助けてもらってことで慕うようになり、グレン団に入団した。

 

「校庭の広さがこれぐらいだから、最も大きく描くならこの木を目印に……」

 

 グレン団が活動を開始してから、もう三か月が過ぎた。悪ガキ集団と言っても、保護者や周りからは元気な子供と言う印象を抱かれていた。その理由はカミナが『悪戯でも、誰かに嫌がられることをするのは俺が許さねぇ。やるなら皆を笑わせるような悪戯をしようぜ!』と言い出したからだ。

 

「テッド、鉄平、ファット。石灰の準備は?」

 

「勿論だ、指定の場所に隠してあるぜ」

 

 テッドがそう言い、鉄平はサムズアップして準備万端だと報告する。

 この二人はグレン団の設立メンバーの一人で、主に悪戯の準備をすることが多い。

 

「本当に大変だったぞ。おかげでお腹がすいちゃった」

 

「ファット、さっき晩飯食べたばっかだろ」

 

 食いしん坊のファットはパワーがあるがすぐにお腹がすいてしまう。もう少し痩せた方が良いのだが、デブと言う単語はグレン団の中でも禁句とされている。

 

「でも奏ちゃん、見つかって怒られたりしない?」

 

 グレン団でも数少ない女子メンバーであるあっちゃんが不安そうな顔をしている。彼女はあたしの友達でいつもおどおどしているのをどうにかしたいと相談され、ここに居れば少しは度胸が付くだろうと思い、引き入れた。

 最初は文句を言う奴がいたが、そこはあたしの拳で黙らせた。

 

「大丈夫だって、ジョーがちゃんと準備してるってさ」

 

「おうよ! 俺の親戚があそこの警備やってんだ。何処の時間に何してるのかも二週間前から聞き出してるぜ!」

 

 ジョーは正義感が強い少年で、最初はカミナとぶつかっていたが、河原で喧嘩をしてから随分と打ち解けた(どこの少年漫画だよ)。将来の夢は警察官らしいが、そんな奴が悪戯するとかどうなんだよと尋ねてみると、本人は特に気にしていないようだ。

 

「ジョー、描ける時間はどれくらいだ?」

 

 校庭に大きな絵をかくならば、それなりに時間が掛かる。ならばどれほど長い時間を得た上で、最短で描けるかが勝負となる。

 

「おっちゃんが言うには、同じ所を巡回するのは大体一時間後。でも深夜二時になれば、おっちゃんの好きな番組が始まるから仕事をさぼってテレビを見てるんだってよ。上手く行けば最長で二時間は確保できるぜ」

 

「メガネ、グレン団のマークを描くのに必要な時間はどれくらいだ?」

 

「安心してくれ団長、一時間もあれば十分だ。それにノッポがいれば大丈夫さ」

 

 メガネはカッコつけて眼鏡を人差し指でクイっと上げて、決め顔で断言した。

 

「うん、任せて」

 

 のっぽはこのメンバーの中で最も身長が高くて、人一倍優しい奴だ。将来は教師になりたいそうだ。彼ならいい先生になれると思う。

 

「よっしゃ、なら後は予定通りノッポ達が見張りになって周囲を警戒、俺達はメガネの指示通りにマークを描く。やるぞ、お前ら! グレン団の名前を町中に広めてやれ!」

 

「「「「「「「「おうっ!」」」」」」」」

 

 そして彼らは計画を実行する為に散り散りとなった。

 

「完成させて皆を驚かせてやろうぜ、カミナ!」

 

「当たり前だ! そっちも頼んだぜ、奏」

 

「ああ!」

 

 そして計画が上手くいき、あたし達の校庭には大きくグレン団を象徴するサングラスを掛けた髑髏を象る炎が描かれ、学校中の生徒や教師達を驚かせることが出来た。

 それから数年間、あたしの世界は嘗てないほど色鮮やかなものになった。




どうもです。
前にシンフォギアの二次創作を書いていたのですが、色々思うところもあり、削除いたしました。
この作品はAXZの第一話で響がやらかしてるを見て「グレンラガン……、カミナぶち込んでらいけるんじゃね」という安易な思いつきで書き始めました。
初のクロスオーバーと完全な見切り発車で書いた作品ですが、楽しんでいただけたら幸いです。
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