戦姫絶唱シンフォギア -俺を誰だと思っていやがる!!!-   作:GanJin

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どうも、ご無沙汰しています。
前話から半年以上放置していたくせに戻ってきました。
少々スランプ気味だったのですが、どうにか投稿することが出来ました。
楽しんでいただけたら幸いです。


新しい絆

「良い天気だな」

 

 上を見れば青い空と白い雲が視界の隅まで広がっている。そんな空を奏は眺めて呟いた。

 隣にいる翼も同じように空を見上げる。

 

「ああ、本当に良い天気だ。こういう時にのんびりするのも悪くない」

 

 カミナが正式に二課に所属して半年以上が経って、三人は揃ってとある山に来ていた。

 これまでのノイズとの戦いを頑張り続けてきた事を讃えて、弦十郎から二泊三日の大自然の中でのキャンプをプレゼントしてもらったのである。

 

「おーい、お前ら。俺にだけ荷物を持たせてんじゃねぇよ。少しは手伝え」

 

 そしてカミナはと言うと大きな荷物を沢山持って、ゆっくりと二人の後を追ってきていた。ひっかけられる所はもうないほどの荷物にカミナはかなりつらそうな顔をしていた。

 

「ジャンケンで負けたのはカミナだろ。グダグダ言うなんて男らしくねぇぞ」

 

「せめて自分の荷物くらい持ちやがれ! お前らが持ってきた荷物が多すぎるんだよ!」

 

 カミナの持っている荷物の量はとてもではないが三人でキャンプするほどの量ではない。明らかにその数倍の荷物を一人で持っているのである。

 そんな量を問題なく持てているのは螺旋力の影響だと了子の調べで出ている。彼の身体能力は螺旋力を解放していなくてもかなり上昇していたことが判明しており、通常時でも常人以上の力が発揮できるようになっていた。

 

「だって、しょうがないだろ。今回のキャンプは……」

 

「おーい、おせーぞ、お前らー」

 

 二人が会話していると、カミナ達を呼ぶ声が聞こえてきた。

 

「皆早くー、もうお腹すいたよー」

 

「マイペースだな、ファット」

 

「まぁまぁ、それも彼の良いところなんだし」

 

「三人とも、早く早くー!」

 

 声のする方には、グレン団のメンバーが勢揃いしていた。

 

「お前ら―、急かすなら手伝えー」

 

「肉体労働はテッドと鉄平とジョーの仕事ですから、彼らに頼んでください」

 

「「「いや、お前も手伝えよ(えや/いやがれ)、メガネ!」」」

 

 メガネに呼ばれた三人は揃って声を上げる。

 

「僕は頭脳労働優先ですので、体力は必要最低限にしておきたいんですよ」

 

「いや、医者になろうとしてる奴が、体力ねぇとか話にならねぇだろ」

 

 テッドのつっこみに鉄平もジョーもうんうんと頷く。

 

「毎週ジムに行っていますから問題ありません」

 

「だから、そう言う問題じゃねぇだろ。とにかく手伝えや、このインテリオタク」

 

 テッドに言われたメガネは自身の眼鏡を人差し指でわずかに上下させ、仕方がないと言いたげな顔をした。 

 

「仕方ないですね」

 

「だから偉そうにすんな」

 

「誰でも良いから早く手伝えよ、お前らっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 さて、何故グレン団のメンバーが揃っているのかと言うと今回のキャンプはただ休息するだけでなく、グレン団と翼の懇親会も兼ねているからだった。

 発案者は当然、奏とカミナの二人。それに乗っかったのは弦十郎と緒川である。やはり翼にも近い年の子と交友を深めて欲しいと思っており、二人の友人ならば問題無いと言うことで今回のキャンプを企画したのだ。

 その為、このキャンプ場は実質貸し切り状態となっており、他の客は誰一人としていないので、伸び伸びとキャンプを楽しむことが出来るようになっていた。

 

「それにしても、翼ちゃんの叔父さんって太っ腹だね。ここ一帯を貸し切りにしてくれるなんて」

 

 キャンプの設営を男子一同に丸投げして、奏と翼はあっちゃんと共に辺りを散策していた。

 

「まぁな。最近はずっと仕事で疲れてるだろうから、時にはリフレッシュをしなきゃダメだって。つってもホントはさぁ、翼を連れてくるの大変だったんだぜ? 折角の休日だって言うのに翼ったら、じゃあ自分を鍛えるって言いだしてさ」

 

「ちょっと、奏! そのことは言わないでって」

 

「あー、やっぱり?」

 

 納得するように頷くあっちゃんに翼は呆気にとられた。彼女との面識は無いに等しい。奏からも話でしか聞いたことがないのに何故分かると言いたげに頷けるのだろうか。

 

「奏ちゃんが前に翼ちゃんについて話してたら、そんな子なんだろうなぁって気がしたんだよね。堅物で、頑固で、努力家で、可愛げがあって、いじり甲斐がある子なんだって」

 

 最後の二つに関しては物申したいことではあるが、ほぼほぼ合っている為に何も言い返せない。

 

「奏、皆に一体何を話したの?」

 

「あることないことぜーんぶ」

 

「ちょっと!?」

 

「ははっ、冗談だよ。ホントにからかい甲斐があるなぁ、翼は」

 

 またいじられたことに翼はムッとなって頬を膨らませてそっぽを向いた。

 それを見たあっちゃんは翼に聞こえないよう奏の耳元に顔を近づけた。

 

「奏ちゃん、翼ちゃん持って帰っていい?」

 

「いや、ダメだろ!」

 

 唐突に誘拐宣言する友人に奏はツッコむ。

 

「だって、すっごくかわいいんだもん!」

 

 未だにそっぽを向いている翼の可愛さにあっちゃんは自分を抑えられずに抱き着いた。

 虚を突かれたとはいえ、その素早さは翼でも回避不可能だった。

 

「わわっ!?」

 

「この可愛さはもう反則級だよね! 奏ちゃんだけ独占するなんて勿体ない!」

 

 思わず頬擦りしかねないほどの勢いに翼は圧倒された。

 

(嘘だろっ! 翼があっさり捕まった!?)

 

 友人の隠れた潜在能力に驚かされつつ、奏は引っ込み思案だった友人がわずか数年でここまで変貌したことに喜んでいいやら悲しんでいいやらと言った心情だった。

 

「見ただけで分かるよ! この子、将来すっごい美人さんになるけど、まだ中学生っぽさが残ってるからすっごく可愛い! この可愛さは今堪能しておかないと将来絶対後悔する!」

 

 それにはすごく同意するが、抱き着かれている翼は唐突のことに頭が回らずに固まっていることに奏は心配した。

あっちゃんに可愛いを何度も連呼されて、徐々に顔が茹蛸のように真っ赤に染まっていく様はもう少し見ていたい気がしなくもないが、流石に止めに入った方が良い気がしていた。

 

「あ、あっちゃん、もうそれぐらいにしておけ。翼もそういうのにあんまり慣れてないから……」

 

 そう言われると、あっちゃんも不承不承と言いたげだったが、まだ理性が残っていたおかげで、ゆっくりとだが翼から離れていった。

 

「うー。でもまだ時間があるし、またあとでモフモフすれば……」

 

「いや、させねぇよ! 流石に可哀そうだわ! というかあっちゃんいつからそんなキャラになった!?」

 

「えー、誰の所為だと思う?」

 

 満面の笑みのはずなのに、目が全く笑っていないまるで死んだ魚のような目をしてくるあっちゃんに奏は戦慄した。その上、どこから取り出したのか背中からちらりと見えるフライパンが更に彼女から発している圧力を増長させていた。

 人は何かが起これば変わるものと言う言葉を奏はここ数か月で何度も実感した。

 もはや、今のあっちゃんに勝てる者はグレン団の中には誰一人としていないのだろう。伊達に数年、たった一人の女子団員をしていたわけではないんだなと奏はそんなことを思った。

 

「でもねぇ、翼ちゃんが奏ちゃんに懐くのは分かる気がする。昔の私に物凄い似てるもん」

 

「あー、確かにそうだな。会った時は気の弱い感じは昔のあっちゃんと同じだったかもな」

 

「奏ちゃんって、昔からリーダーとかに向いてる性格だったもんね。小学校の頃なんて、クラスの女子を纏め上げて、調子に乗ってる男子と全面戦争したこともあったんだよ」

 

「あったなー、そんなこと」

 

 そんな昔話をしている二人に翼は若干心がもやもやしていた。

 やはり自分が知らない奏をよく知っているからだろうか。

 

(もしかして私、嫉妬……してるのかな)

 

付き合いの長さの違いというのを見せつけられて、そんなことを考えていると唐突に自身の背後から暖かくて柔らかな感触があった。

 

「あんまり拗ねちゃダメだよー、翼ちゃん」

 

 気配を感じさせずに、背後から再び抱き着いてきたあっちゃんに翼は思わず振り切ろうとした。しかし、先程とは違う自分よがりな抱き着き方ではなく、優しく包み込むような感じであり、翼はどうにか踏みとどまった。

 

「本当はねー、翼ちゃんと奏ちゃんがテレビで仲良くしてるのを見てすっごく複雑な気持ちだったんだー。奏ちゃんは私を変えてくれた大切な友達だからさ。それなのに勝手にいなくなるわ、突然アーティストになるわ、いつの間にか知らない可愛い子と仲良くしてるわで腹が立つことも少なくなかったんだよね」

 

 半ばあっちゃんの愚痴になっているものの、奏は何も言い返せず、翼は彼女の言葉に耳を傾けているだけだった。

 

「翼ちゃんって、昔の私みたいだから、奏ちゃんは翼ちゃんにとって凄く大切な人なんだなって分かるよ。心の支えだったし、いつも困ったら自分を引っ張っていってくれる凄い子だったからね」

 

 彼女の言葉に翼は黙ったままだったが、心の中では同意していた。少々引っ込み思案だった翼の背中を押してくれたのはいつも奏であり、彼女の言葉に何度も助けられた。

 

「でもね、翼ちゃん。そんな大切な人がいても何時か離れ離れになるかもしれないってことは忘れちゃいけないんだよ」

 

 あっちゃんは優しく翼の頭を撫でてそう言った。

 その言葉に翼は少しだけ目を見開いて、はっとした顔を浮かべる。

 

「いつも隣にいた人がいなくなった時、自分が何をすべきなんだろうって、私すっごく悩んだんだ。皆がバラバラになりかけた時もすっごく不安だった」

 

 翼はあっちゃんの話を聞いているうちに、あの事件のことを思い出した。

 自分達では限界であり、奏も本調子じゃない為に絶体絶命のピンチに陥った。あの時はカミナのおかげで窮地を脱することが出来たが、奏が絶唱を歌ったことを思い出すたびに、奏が消えてしまうのではないかと何度も不安に思った。

 あっちゃんの話を自分に当てはめると、間違いなく自分も同じようになるだろう。

 

「あの、あっちゃんさんは……」

 

 ぎこちない呼び方をする翼に、あっちゃんは頬を緩ませた。

 

「あっちゃんで良いよー。もしくはお姉ちゃんでも良しっ!」

 

「いやいや、翼に何言わせようとしてるんだよ……」

 

「えっと……じゃあ、あっちゃんで……」

 

 翼がそう言うとあっちゃんは少しだけ不満げな顔をしていた。

 

「それで、あ……あっちゃんはどうしたんですか?」

 

「私はね、自分に正直になろうって思ったんだ。このまま、誰かに引っ張ってもらうだけじゃダメなんだって、自分のしたいことを言葉と行動で示せるようにしようって思うようになったの」

 

 そう考えるようになって、彼女がまず行動したのは、カミナとジョーの喧嘩を止めることだった。昔のように仲のいいグレン団を残したい。いつか奏が帰ってきてもいいように。その思いを叶えるために、腕力のない彼女が取った行動がフライパンによる襲撃である。

 そして、これがあっちゃんの変貌伝説の始まりでもあった。

 

「翼ちゃんと奏ちゃんは今はツヴァイウィングとして活躍してるけど、いつかお互いの進む道が別々になるかもしれない。そうなったときに、翼ちゃんには私みたいになって欲しくないなってさ」

 

「……」

 

 その可能性はありえないとは翼は思えなかった。今は共に歌を歌い、戦場を掛ける仲間であるが、ノイズを完全に殲滅したら自分達は一体何をするのだろうかと考えたことがあった。

 このまま歌を歌い続けるかもしれないし、別の道を渡るかもしれない。もしかしたら……。

 

(そうなったら……。私は……)

 

 あるかもしれない未来に翼は少しずつ不安になった。思っていた以上に自分の心はそれほど強くないようだ。

 

「という訳で、翼ちゃんにはこれを進呈したいと思いまーす!」

 

 暗い顔をする翼を元気づけるかのように明るい声のあっちゃんは翼の手に何かを握らせた。

 

「これは……?」

 

 あっちゃんが渡したのは白いリストバンドだった。よく見てみるとグレン団を示すサングラスを着けた髑髏のマークが描かれていた。

 

「翼ちゃんをグレン団三人目の女性団員に任命します!」

 

「え……えっ!?」

 

 最初は事態にまったく理解できなかったが、少しだけ間を開けてあっちゃんが何を言ったのかを認識した。どうすればいいのか分からず、翼は奏の方に目を向けた。

 

「良いんじゃないか? 別に入って損することはねぇしな。あたしもこの間、副団長に戻されたし」

 

「そうそう。やっぱりグレン団は全員が揃ってないと。それにそろそろグレン団に女性団員が増えてもいいと思ってね」

 

 翼はどう返事すればいいのだろうか迷った。こういうことに誘われることは今まで一度もなかったからだ。

 

「それにね、このマークは絆の証なんだよ」

 

「絆、ですか?」

 

「そう。たとえ離れてても、遠くに行っても、死んでもこの絆は絶対に切れることは無いって。髑髏にサングラスのデザインはカミナ君のセンスだけどね」

 

 それには翼も納得の一言だった。

 カミナは二課に所属してから、自身の服にこの髑髏のマークを付けていた。最初は趣味が悪いと思っていたが、奏は特に気にすることなく同じマークを端末のカバーのデザインにしていた。

 

「形はどうあれ、グレン団があったから今みたいにまた一緒に遊べてる。たとえ一人になっても、これを持った仲間が何処かにいると思えば寂しくならないんじゃないかな?」

 

 この時、翼は一つ納得することがあった。奏がどうして彼らとの縁を切りたくても切れなかった理由だ。カミナもそうだが、グレン団のメンバーは揃って絆を大切にしているのだ。性格も何もかも違うのに、彼等は揃って仲間という存在を誰よりも大切にしていた。

 特に絆を大事にしていたのはカミナだった。彼がいたから、グレン団はバラバラになりかけても、またこうして一緒に集まれている。

 

「人間誰だって一人じゃ生きていけない。困った時に支えてくれる人達がたくさんいれば、きっと翼ちゃんも大変なことになってもなんとかなると思うんだ」

 

「……はい。私もそう思います」

 

 翼にも覚えがあった。支えてくれる友がいたから、ここまでこれたのだと。

 友は一人だけで良いという決まりはない。ならば、彼女の申し入れを断る理由は一切なかった。

 翼はあっちゃんからもらったリストバンドを左腕に付けた。

 それを見た二人は満面の笑みを浮かべる。

 

「「ようこそ、グレン団へ!」」

 

 こうしてグレン団に新たなメンバーが加わった。

 

「あ、そうそう。もし男子が変なことしてきたら私に言ってね。……シバくから」

 

 ついでに満面の笑みでありながら何処か黒いオーラを発するあっちゃんに翼は戦場で感じたものとは別種の恐怖を感じることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 一方、女子達が辺りを散策している頃、男子は揃ってキャンプの準備に取り掛かっていた。

 そのはずだったのだが……。

 

「カミナ、何故僕らは釣りをしているのでしょうか?」

 

「さーな。文句ならおっさんに言ってくれや。色々と準備してくれるって言うから期待したっていうのに、ふざけやがって」

 

 カミナとメガネはキャンプ場の付近にある川で魚釣りをしていた。

 どうやら弦十郎はただの懇親会で終わらせる気はなかったようで、用意しておいたバーベキューセットの食糧が人数分に達していなかったのだ。足りない分がないのか探してみたが、一番大きなクーラーボックスに入っていたのは川釣り用の釣竿と餌であった。そして、クーラーボックスの底には一枚の紙が入っていた。

 

『足りないものは自分達で追加するんだな!! 弦十郎より』

 

 とだけ書かれており、これを見たカミナはまんまと嵌められたと思いながら追加の食糧を探すために釣りをしているのである。

 

「もう三十分も経っていますが釣れませんねぇ」

 

「くそう! おっさんの野郎、帰ったらこの間の借りも纏めて返してやるからな!」

 

 ぐぬぬと歯軋りするカミナにメガネは呆れた。力を入れた程度で魚が釣れるわけがないのだ。

 

「それで、二課に所属することになってどうなんですか?」

 

 カミナが二課に所属していることを知っているのはグレン団の中でもメガネだけであった。実家の近くのバイトを辞めることになったが、周りには親父の知り合いに良いバイトを紹介してもらったとどうにか言い含めている。

 

「あー、どうって言われてもなぁ……。人助けをするバイトって感じだな」

 

 その返答にメガネは口をポカーンと開けていた。カミナらしいと言えばらしい言い方なのだが……。

 

「軽すぎませんか? 人の命がかかってる仕事なんですよ」

 

「まぁ、そうなんだけどよ。それはどっちかって言うと救助隊の仕事だぜ。俺の仕事はノイズをぶっ飛ばすことだ。いざって時は動くけど、おっさん共が俺らがノイズを殲滅できるようにしてくれてるんだ。だから俺はおっさん達を信じてそっちに専念できるってだけさ」

 

「なるほど。まぁ、確かにカミナは救助活動の素人ですからね。出来ることをするのは間違ってませんね」

 

「後はノイズが出なかったらほぼ訓練だな」

 

「訓練はどんなことを?」

 

「おっさんと一対一(タイマン)でひたすら殴り合い。しかも一度も勝ったことがねぇ」

 

「はい?」

 

 何を言っているんだとメガネの顔に掛かれていた。

 

「冗談抜きであのおっさん強いんだよなぁ。俺らの大技をパンチ一発でぶっ壊すし、爆発を発勁で吹き飛ばすし、剣も槍も指先だけで受け止めるから防御も半端ねぇ。しかも俺も本気で防御しても攻撃が強すぎて意味がねぇし。人間じゃねぇわ、化物だぜ」

 

「……冗談ですよね?」

 

 カミナ達の力を目にしたことがあるメガネにとってシンフォギアや螺旋力に勝てる者はいないと思っていたが、まさかいるとは思わなかったという顔であった。

 

「後で奏達からも聞いてみろ、二人揃って頷くからよ。いつか絶対に勝ってやるけどな」

 

「Oh……」

 

 綺麗な発音で驚きつつ、メガネは考えることを放棄した。

その後、食料が足りないのを知った奏達や他のグレン団を集めて釣り大会をすることになった。

 因みに勝者は意外にものっぽであった。

 

 

 

 

 

 

 

 それから翼を新たに加えたことでグレン団と翼の懇親会から翼の歓迎会に変わり、二泊三日のキャンプは全員で大自然の中をひたすら遊び続けた。川で遊んだり、星を見に行ったり、花火で遊んだりと充実した休みを彼等は過ごした。

 全力で遊ぶということをしてこなかった翼にとって彼等との出会いは多くの刺激を得るいい機会であった。

 そしてキャンプが終わってからも、彼等は時折集まっては一緒に遊ぶようになった。

 カミナ達が高校を卒業してそれぞれの道を歩み始めてもなお、長期休暇で集まっては一緒に色んなことをしてきた。

 そんな彼等と共に過ごしたことで、翼はアーティストとしてどんなに忙しくても彼等との絆を大切にするようになっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 そして、カミナが二課に入り、ノイズとの脅威から人々を守り続けて二年が経過した。

 忙しくも充実した日々を過ごしていた彼等の運命は新たな局面へと進むのであった。




如何でしたか?
実はこの話でまず一区切りとなります。
次回から本編へと入ります。
本編で出てくる彼女達が一体どのように参加するのか、楽しんでいただけたら幸いです。














『次回予告』

 ライブ会場の惨劇から二年が過ぎ、高校を卒業したカミナは二課の職員となり本格的にノイズの脅威から人々を守っていた。
 そんなある日、カミナは一人の少女と出会う。

「あっ、あなたはあの時のっ!?」

「お前、どっかで会ったっけか?」

 カミナのことを知る謎の少女との出会いによって、二人の装者と螺旋力を手にした男は新たな脅威と遭遇する。

「はじめまして、と言うべきかな? 異世界で誕生した螺旋族」

「テメェは一体ナニモンだっ!!」

「アンチ=スパイラル、君を滅ぼす者だ」

 そして、新たな脅威は多くの者達を巻き込み、新たな波乱を呼び起こす。

「ようやく見つけたぜ。ずっと探してたんだ。パパとママを殺したテメェをよ!!」

「違う……。私は、そんなことを望んでなんかない!」

「誰だって隠しておきたいことぐらいあるさ。大切な人ならなおさらな」

「もうすぐ……もうすぐ完成するわ。私の願いを叶えるカ・ディンギルが」

「ひと汗かいた後で、話を聞かせてもらおうか!!」



次回、新章『戦姫絶唱シンフォギア編』開幕!!



 そして、波乱の中で男は叫ぶ。

「なめんじゃねぇっ! 俺を誰だと思っていやがるっ!!」
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