戦姫絶唱シンフォギア -俺を誰だと思っていやがる!!!-   作:GanJin

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どうもです。

今回は珍しく早く書けました。

XDのグリッドマンコラボの情報を見たんですけど、うん、本当にグリってたわ……。


第二の神槍

「ふあー、眠い」

 

 二課の本部で昨日のノイズ討伐の件について報告書をまとめていたカミナは大きく欠伸した。

 

「はいはい、ぼやいてないでさっさと報告書書いた書いた。あ、そこ字間違ってるぞ」

 

 カミナの報告書を見つつ、隣で仕事をしているのは藤尭である。

 

「うげ。勘弁してくれよ、藤尭ぁー」

 

「藤尭・さ・ん・だ! これでも君の先輩なんだからもう少しくらい敬ってほしい所なんだが」

 

「えー、なんか藤尭ってここぞって時にヘタレな気がするからよー、敬語使う気になれねぇわ」

 

「はぁっ!?」

 

「ぷっ、くくく……」

 

 藤尭の隣にいる友里あおいが的を射ているカミナの言葉に思わず吹いてしまう。

 他の職員も同じ思いであったため、『カミナ良く言った』と一部の職員には親指を立てる者もいた。

 

「だ、誰がヘタレだ!」

 

「だってこれまで女と付き合ったことねぇんだろ?」

 

「ぐはっ!」

 

 的確なツボを押されて、精神的ダメージを藤尭は受けた。

 そういうカミナも女性と付き合っていないと藤尭は言いたかったが、奏がカミナを異性として見ていることを知っており、なおかつ実際に自分よりも女性職員と接していることもあって何も言い返すことが出来ない。藤尭は恨みがましい目をカミナに向けるだけしか出来なかった。

 

「ま、それはそれとして、カミナ君はもう少し誤字脱字に注意して書いてね」

 

 友里もカミナの報告書を覗き見て、苦笑を浮かべてそう言った。

 

「了解でーす」

 

「おーい、俺と彼女との接し方が全然違うんだが?」

 

「友里さんには常日頃お世話になってるんで」

 

「俺も結構サポートしてたはずなんだけどなぁ!?」

 

「……そうだっけ?」

 

「この野郎っ! もう知らん!」

 

 その一言に藤尭は嫌気がさして、しばらく机に突っ伏してぶつくさと何かを呟き始めた。

 

「カミナ君、あまり藤尭を悪く言うな。それにここにいる職員は全員優れた技能を持っている。君達をサポートするのに彼等ほど相応しい者はいないのだからな」

 

 そんな三人の会話を聞いていた弦十郎がカミナを窘めた。

 

「そりゃそうだけどよ、昨日は実験のアクシデントもあった所為でほぼ疲れかけの状態でノイズと戦ったんだ。まだ全然疲れが抜けねぇのよ」

 

「ま、そういう時もあるさ。そうならない為にも、まずは特訓あるのみだ! また今度修行をつけてやろうじゃないか」

 

「よーし、仕事をさぼる口実が出来たぞー!」

 

「こらこら、そんなことを声に出して喜ばないの」

 

 カミナが二課の仕事を出来るようになるにはまだまだクリアするべき課題は多いが、その代わり、彼の活気は二課に多大なる貢献をしていたことをここにいる誰もが気付いていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 昨晩のノイズ討伐のこともあり、今日は少しだけ早めに上がることが出来た。

 それを利用して、カミナはメガネ達の頼みであるツヴァイウィングの新曲CDを買いに二課の本部からモノレールで少し移動した先にあるCDショップに向かった。

 予約した物をさっさと買うと、今日の夕食の食材を買い足しについでに近くのスーパーに立ち寄ることにした。

 意外だと思われがちだが、カミナは父親を亡くしてから母親と二人で生活していた為、家事は一通りこなせるのだ。

 今は二課が用意した部屋で暮らしており、その家事スキルを駆使して普通に暮らしている。

 因みにそれを見た翼はカミナが自分より生活力があることにショックを受けたのだが、何度か改善しようとチャレンジを試みるも結果は変わらず、現在もほぼ緒川に任せきり状態だ。これをカミナと奏は愛すべき欠点と捉えていた。

 

「さてと今日の買い物はこれで終わりだな」

 

 一通り買い物を済ませ、帰ろうと駅の入り口に辿り着いた。

 

「CDっ! 特典っ! CDっ! 特典っ!」

 

 するとリディアン音楽院の生徒が一人マラソンの掛け声のように急いで駅から出ていくのを目撃する。

 どこかで見たような気がするが、直ぐに思い出せず、家に帰ろうとカミナは改札口を通っていく。

 それからわずか数分後、モノレールに乗る直前、ノイズ発生の連絡をカミナは受け取った。

 

「……おいおい勘弁してくれよ。今日は卵が安かったんだぜ?」

 

 両手に持った荷物を見て、カミナはガックリと項垂れた。

 

 

 

 

 

 

 

 これは今日一番の不幸だと私、立花響は思った。

 ツヴァイウィングの新作CDを買う為に、近くのCDショップまで急いであと少しと言う所で、私はコンビニの中にあった『ありえないモノ』を目にしてしまった。

 店内に黒い炭素の山があったのだ。そして、店の外では炭素が風に舞っている。

 それを目にした時、私はあの日の悲劇を思い出した。

 ノイズが人々を襲い、そこにあった命が唯の炭素へと変貌する様を。

 

「ノイズ……!」

 

 あの恐怖がまた自分の近くで現れた時は動けなくなるかと思った。

 それでも私が逃げることが出来たとすれば、それは奏さんの言葉のおかげだった。

 

『生きるのを諦めるな!』

 

 それが私の心と体を動かした。

 現れるノイズから逃げるように私は走った。

 途中でお母さんと逸れた女の子を見つけると、私は直ぐに彼女と一緒に逃げた。

 私は路地裏に逃げ込んだり、川に飛び込んだりしてノイズから逃げ続けた。

 でも川に飛び込んだのは失敗だったと後になって後悔した。避難シェルターからかなり離れることになったからだ。

 ここまで走ったのは私の人生で初めてだった。呼吸が荒くなり、肺も心臓も体中が悲鳴を上げていた。

 でも、ノイズと言う災厄はそんな私の都合に合わせてくれなかった。

 遠くに見えるノイズの大群によって、皮肉にも私の火事場の底力を発揮させた。

 奏さんの言葉を思い出しながら、最後の最後まで足掻いてやると私は海の近くにある工場に逃げ込んだ。

 その時には日がもう沈みがかって、街の明かりがはっきりと見え始めていた。

 私は一緒に逃げている女の子を背負って梯子を上った。梯子を登り切ると、私は仰向けに倒れ込んでいた。

 

「死んじゃうの?」

 

 女の子が不安と絶望を含んだ声で私に言った。そんな彼女の不安を除くために私は笑みを浮かべて首を横に振った。

 絶対にこの子は助けてみせるとその時私は決意した。

 でも、周りを見た瞬間、私は絶望を目にしてしまった。

 ノイズの大群が背後にいた。

 それを目にした女の子は私の後ろで怯えている。

 ノイズが一歩ずつ迫ってくる。

 それでも、私は諦めようとはしなかった。

 まだ何か自分に出来ることがあるはずだと言い聞かせる。

 

「生きるのを諦めないでっ!!」

 

 だって、私には会いたい人がいるから。その人と会わずに、こんなところで死んでたまるか!

 

「Balwisyall Nescell gungnir tron」

 

 そう強く思った時、私の心に歌が浮かび上がった。

 

 

 

 

 

 

 

「おい、おっさん! 工場でなんか光ってんぞ!」

 

 ほぼ同時刻、建物の屋上を駆けながらノイズを探していたカミナは、工場から強い光が放たれているのを目撃していた。

 

「今こちらでも確認した!」

 

 弦十郎に連絡を取ると端末の向こうでも職員達が慌てて解析している音が聞こえた。

 

「まさかこれ、アウフヴァッヘン波形?」

 

 端末から了子の驚いた声が聞こえた。

 因みにカミナは「アウフヴァッヘン波形ってなんだっけ?」と首を傾げていた。螺旋力の研究ばかりに時間を費やしていた為、シンフォギアについてあまり詳しく覚える機会が少なかったこともあったので仕方のないことだろう。

 しかし、彼の疑問は直ぐに解決した。

 

「ガングニールだとぉっ!!」

 

(ガングニールって確か奏の……)

 

「ちょっと待て、おっさん! 奏はあそこにいねぇだろうがっ!! さっき連絡とったぞ!」

 

 カミナの疑問は尤もだ。シンフォギアは貴重であるのは流石のカミナも知っており、そこにいない人物と同じ反応が工場から検出されたとなれば、驚くほかなかった。

 

「ああ、分かっている。こちらでも防犯カメラから新たな装者を確認した」

 

「はぁっ? いつの間に増やしたんだよ?」

 

「いや、彼女は我々が把握していない。とにかく今は奏君達と共に現場に向かってくれ」

 

「言われるまでもねぇよ!」

 

 色々と疑問があったが、それを一旦横において、すぐにカミナは螺旋力を駆使して、屋上を全速力で駆け抜ける。

 

「カミナ、お前今どこにいるんだ?」

 

 移動中に奏と翼から連絡が入った。

 

「リディアンの近く駅から二、三駅隣の所だ。買い物の帰りにノイズの出現を知って探してた」

 

「見つけられなかったのですか?」

 

「数体見つけたんだが……少し前からいなくなりやがった。聞いた話だとかなりの数だって聞いたんだが、何処にも見当たらねぇんだ」

 

「……もしかしたらノイズは誰かを追っていたのかもしれません」

 

 翼の予想にカミナは疑問符を頭に浮かべる。

 

「誰かって誰だよ?」

 

「まさか、工場にいる子か?」

 

 一方、奏はそれが工場に現れた新たな装者だと予想した。

 

「……恐らくだけど。カミナさんがいた付近に確かにノイズの強い反応があって、そこから徐々に工場の方へと反応が移動していたようです」

 

「成程なぁ。で、二人はどれぐらいで現場につきそうなんだ?」

 

「私は本部から出ることになるけど、五分はかからない」

 

「俺はそんなに離れてねぇな。本気で走れば数分で着くな」

 

「了解。じゃあ、ビリはあたしだな。現場には民間人の女の子もいるから、救助は頼んだぜ二人共」

 

「分かった!」

 

「おっしゃ、任せろ!」

 

 その言葉と同時にカミナは螺旋力をその身に纏わせ、一気に飛び上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 カミナが工場で光を見た直ぐその後、響は自分の身に起こっていることが理解できていなかった。

 

「ええっ!? 何で!? 私、どうなっちゃってるの!?」

 

 先程まで制服を着ていたはずなのに、体中に特撮ヒーローのような少々ごついプロテクターを装着していた。

 それこそ、まさしく翼や奏が纏うシンフォギアと全く同じものであった。

 

「お姉ちゃんかっこいい!」

 

 そんな中、響は女の子を見ると、彼女の目は希望の光があった気がした。不安も恐れもない純粋な目であり、響は自分の置かれた状況を後回しにすることにした。

 とにかく彼女を助ける、その為に動こうと響は女の子の手を取る。

 胸の中から歌が浮かび上がり、自然とそれを口ずさむと体の底から力が湧いてくる気がした。

 まずは一歩踏み出そうと、足に力を入れると響はノイズの頭上を飛び越え、空を駆けていた。

 

「えっ!? なに!?」

 

 響は再度驚いた。人間の持つ身体能力では明らかに不可能な動きに目を丸くする。

 しかし、驚くのも束の間、そのまま重力に従って一気に落下する。

 どうにか着地するが、その後はひたすらノイズから逃げ続けるしか響は出来なかった。

 迫りくる人型やカエル型、巨人型のノイズの攻撃を避けつつ、抱えている女の子が怪我しないかおっかなびっくりに響はとにかく逃げ回る

 上手くやっているものの、それでも戦いの素人であり、シンフォギアを知らない響は本来の使い方を知らない。

 その為に、ノイズの動きに完全についていくことは出来ず、襲い掛かるノイズに響は虫を払うように思わず手を振りかざしてしまう。とっさのことで目を瞑ってしまうが、彼女の纏っているシンフォギアのおかげでノイズは炭素と化して消えていった。

 

(私が、やっつけたの?)

 

 驚くのも束の間、バイクのエンジン音が近づいてくるのが分かった。

 ノイズをかき分けて少女を乗せたバイクが響の横を通り過ぎると、彼女はバイクを捨てて飛び上がった。

 

「Imyuteus amenohabakiri tron」

 

 空中で新体操のように優雅に体を回転させ、響の前に着地したのは翼だった。

 

「呆けない」

 

「えっ?」

 

 響は目の前に翼が現れたことに呆気に取られていた。

 

「あなたはそこでその子を守ってなさい」

 

 翼が響を見ずにそう言うと、ノイズの集団へと走りだすと、シンフォギアを纏い刀を携えて戦場へと足を踏み入れた。

 

「ひっさぁぁぁつ、火の車ぁぁぁ、キィィィィックっ!!」

 

 その直後、翼が立ち向かおうとしていたノイズの集団の後方にいる巨人型に何かが飛来して大穴を開けられ、爆散した。

 

「えっ!? こ、今度は何っ!?」

 

 ノイズの爆散による煙の中から、今度は緑色の光を纏った人型らしき何かが出てきた。

 突如として現れたのは螺旋力を纏ったカミナなのだが、初めて見た人からすれば、彼が人間だと思わないだろう。

 先程から驚きの連続で響は状況を把握することが出来ず、おろおろとしていた。

 

「遅いですよ! 一体どこで油を売っていたんですか!」

 

 激昂する翼に響は驚いた。歌姫と今日偶然食堂で会った時の学校の先輩としての一面しか知らないが、それでも翼があんな風に怒るとは思わなかったからだ。

 

「そう怒んなよ。可愛い顔が台無しだぜ?」

 

「っ! そうやって何時も茶化さないでください!」

 

 そう言うと翼はやや八つ当たり気味にノイズを倒しにかかった。

 

「うおっ!? あぶねぇだろ! 俺ごとやる気かっ!」

 

「すみません、手元が狂いました。次は外しません」

 

「おおう、殺る気満々マン!?」

 

「日頃の行いを思い返せば当然です!」

 

 少々コメディチックな会話があったが、それでも二人は迅速にノイズを倒していき、二分もかからず周囲のノイズを殲滅するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 カミナと翼がノイズを殲滅してから少しして、特異災害対策機動部の職員が到着し、後処理に取り掛かっていた。

 その片隅で、奏は目の前で正座している親友二人と対峙していた。

 

「……で、あたしが到着する前にノイズは片付けたけど、カミナの態度に翼の堪忍袋の緒が切れて喧嘩してたって訳か」

 

「……そうです」

 

「ああ、そんな感じだな!」

 

 シュンとしている翼に対してカミナはガハハと豪快に笑っていた。

 奏は一人で仕事をすることが増え、二課の本部から離れた場所で仕事をすることが増えていた為、戦闘に間に合うことは出来なかった。

 しかし、いざ急いで来てみれば、翼の刀を全力で真剣白刃取りしているカミナがおり、何が起こっているんだと首を傾げた。その後、職員達が来る前に二人を仲裁して、現在、事情を聴いているのである。

 真相を知った奏は呆れたように溜息をついた。

 

「……バカだねぇ、二人共」

 

「返す言葉もないです」

 

「まぁ、遅れたのは悪いと思ってる」

 

 翼の怒りは尤もだと、バツが悪そうな顔をするカミナに奏は怪訝な顔をする。

 

「一応聞いてやるけど、翼より少し遅れた理由は何だよ?」

 

「今日買った食材を無事に置ける所を探してた。食材を無碍にするなって母ちゃんとの約束だからな」

 

「あー、なるほどなぁ」

 

「カミナさんのお母さまですか……」

 

 二人は納得したように頷いた。

 カミナの母親は普段であれば誰もが認めるいい母親なのだが、食べ物に関しては物凄く厳しいのである。

 加えてカミナは母親との約束を絶対に破ることはしない為に、それを知っている二人は一方的に悪いとは言えなかった。

 

「ったく、今度から気を付けろよ」

 

「へいへい分かってますよ」

 

「今回ばかりは大目に見ますけど、別の理由で遅れた場合、今度は蒼ノ一閃を叩き込みますので」

 

「まぁまぁ、翼も少しは手加減してやれって」

 

「いや、奏、そこは止めろよ」

 

「自業自得だ、バカミナ」

 

「うわ、ヒデェ」

 

 事態の収拾は済んだと判断した奏は、少し離れたところにいる新たな装者に目を向ける。

 どうやらシンフォギアが解除できないらしく、そのままで友里がいれた飲み物を飲んでいた。

 

「さて、それじゃあ、そろそろあの子の所に行くか」

 

「へいへい。ま、結局二課に連れて行くんだろ?」

 

「そうなりますね。彼女について色々調べておく必要がありますから」

 

 この時、三人は新たな装者の出現によって運命の歯車が回りだしたことを知る由もなかった。

 




如何でしたか?

今回は原作の二話冒頭部分のみになります。

カミナと関わって翼が響に対する態度に変化が生まれるのかは次回以降明かされます。




前回更新したらお気に入り登録の数が一気に百以上増えて驚いています。

それと高評価をつけていただいて感謝感激です!

今後もカミナ達の活躍をご期待ください!
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