戦姫絶唱シンフォギア -俺を誰だと思っていやがる!!!- 作:GanJin
AXZ最新話、終盤の急展開を見て今後の話に目が離せません。
他にも最終回に入るアニメが少しずつ出てきており、二期が出てくれないかなぁと期待したりしています。
では、お楽しみください。
あたしは無我夢中で走った。何処に向かっているのかも分からず、ただひたすら走り続けた。
あいつが追いかけているかどうかも気にしている余裕すらなかった。ひたすら走って、走って、全力で走る。
限界まで走り続けてようやく足を止めると、そこはかつてカミナ達と決別したあの河原のような場所だった。
「なんでだよ……」
見間違えるはずがない。背丈と格好が変わってもあいつだと気付いた。気付かない筈が無い。
全力で走り、呼吸が乱れ、頭が上手く回らない。
「もう……探さなくなったって、言ってただろうが」
あの人からそう聞いていた。あたしの事を忘れて、自分の道に向かって頑張っているって。それを聞いてあたしは安心した。
もうあいつに会うことはない。ようやくあたしは復讐だけに生きていける。
それから翼とノイズを倒してから月日が経ったある日、救出したある自衛官の言葉があたしを変える切っ掛けを作った。もう顔も覚えていないが、その人の言葉であたしはこう考えるようになった。自分達の歌は誰かを勇気付け、救うことが出来る、と。
復讐のためだけではなく、人々をノイズから護るために歌う。その為にツヴァイウィングを結成することを提案した。
勿論、躊躇いはあった。誰かの中には当然あいつ等もいる。復讐で捨てたあいつ等を救うために歌っても良いのか。だが、それでもあたしは歌うことを決めた。自己満足なのは分かっている。業を背負うことを覚悟の上であたしは歌おうと。
なのにどうして逃げだしたのか。
「なんでだよ……」
自分の覚悟がその程度のものだったのか。
「なんでなんだよ……」
いや、それ以前の問題だった。
あの時、あたしは……。
「なんであいつの顔を見て、ほっとしちまったんだよ!」
逃げたのはあいつと顔を合わせたからじゃない。あいつと会うのが怖くなかったと言えば嘘になるが、それ以上にショックだった。
あいつがあたしを見て、最初に見せたあの笑顔に、あたしは苦しむどころか何処かで安堵していた。あの時みたいにまたあたしを見つけ出してくれたことが嬉しいと思ってしまったことにショックを受けた。
「どうして、なんだよ……」
もしかしたら心の何処かで期待していたのかもしれない。
―――――忘れんな、グレン団の絆は未来永劫消えることはねぇ!
アーティストになって有名になれば、あいつは探してくれるのかもしれない。無意識にそう考えていたのかもしれない。
そうだとすれば自分は最低な人間だ。未練を断ち切れないまま、復讐を言い訳に歌を歌い戦ってきた愚か者だ。
「くそっ!」
あたしは地面を思いっきり殴った。
「くそっ! くそっ! くそっ!」
何度も何度も地面を殴る。痛みなんて知ったことかとひたすら自分自身を責め続ける。指の皮が剥け、血が流れる。殴った場所がその血で赤く染まっていく。
「くそったれ――――――っ!!!!」
自分の腕を折りかねないほど強い恨みを込めて、あたしは地面を殴ろうとした。
「それ以上は止めとけ」
だが、その手前でその声の主はあたしの手を掴んだ。
「あーあー、こんなにボロボロにしやがって。皮がズル剥けじゃねぇか」
その声の主にあたしはゆっくりと視線を向ける。
そして、あいつはあたしの顔を見て、安心したような笑みを浮かべていた。
「やっぱお前じゃねぇか、奏」
どうしてここに居るのかなんて聞くのは野暮だ。こいつはそう言う奴だ。
「カミナ……」
「おう、ご存知のカミナ様だ」
昔と変わらず、あいつは少年のような笑みを浮かべてそう言った。
地面をひたすら殴った所為で血が流れるほどボロボロになった手を見て、カミナは自身の上着を破き、軽い手当てを始める。
「ったく、何やってんだよ。ガキの頃でもここまで怪我しなかっただろうが」
「……」
奏はカミナから視線を外したまま、一言もしゃべらない。ただ黙ってカミナの治療を受ける。
「いきなりいなくなるかと思えば、突然アーティストになりやがって。心配かけさせんじゃねぇよ。皆揃ってお前が元気でやってるか心配してたんだぜ」
「……」
「まさか、二年も探さなかった地域にいるとは思わなかったがな。灯台下暗しってやつだ」
それからカミナは一人で勝手に語り続けた。奏を見つけた経緯やグレン団のメンバーの近況についてなどを奏に聞かせる。
しかし奏は黙ったまま一言も話さなかった。
「そう言えば、こっちに来る前にお前の曲を聞いてきた」
「……そうかよ」
それを聞いた奏は初めて反応した。
「俺は音楽についてはさっぱりだが、お前が本気で歌うことを楽しんでるんだってことはしっかりと感じたぜ」
「なんでそんなことが分かんだよ」
それを聞いたカミナは大きく溜息をついた。何をバカな事を聞いているんだと言わんばかりの溜息に奏は少しだけムッとした。
「お前なぁ、楽しんでなかったらライブであんな顔するわけねぇだろ。あの顔は心の底から楽しんでなきゃ到底出せるもんじゃねぇよ」
「知った風なこと口にすんなよ」
「おいおい、何年お前と一緒にバカやって来たと思ってんだ。それぐらい分かるに決まってんだろ。俺を誰だと思ってやがる、グレン団の団長のカミナ様だぜ。団員の事を分かってやらねぇでどうすんだ」
小さい頃から一緒に遊んできたカミナにとって、奏が心の底から楽しんでいる時に見せる顔はもう何度も見てきた。だからこそそう言い切れる。
「ほれ、応急処置は終わったから途中で消毒液買って戻ろうぜ。あの嬢ちゃんも心配してるだろうしな」
立ち上がったカミナは奏に手を差し伸べた。あの時のように。
それを目にした奏は顔を下に向ける。あの時の事を思い出し、胸が苦しくなる。
「どうして……」
「ん?」
怪訝な顔をするカミナに対し、奏は肩を震わせ、手を強く握った。
「どうして……どうして怒らねぇんだよ! 何でそんなことが出来るんだよ! あたしは全部捨てたんだ! 復讐の為にグレン団も友達も当たり前だった平穏もすべてだ! なのに何でお前はそんな風に笑ってんだよ! 違うだろ! お前らを捨てたあたしを罵れよ! 恨めよ! 気が済むまで殴れよ!」
カミナと会って奏は初めて叫んだ。悲痛な声で叫んだ。
「お願いだから……そんな顔をしないでくれ。本当の事を、言ってくれよ……」
嗚咽を漏らしながら奏はそう言った。恨み言を口にしてくれた方がどれだけ良かったか。これではそうなると思っていた自分が惨めではないか。
「ずっと恨んでたんだろう? あんなことをして、今まで積み上げてきたものを全部ぶち壊したあたしを……」
「おりゃ」
「あだっ!」
唐突にカミナは奏での頭をチョップした。声に反して威力がかなり強かったために、奏は素っ頓狂な声を上げる。
「何を言うかと思えば、たかが一回の喧嘩程度に二年も思い悩んでたのかよ。バッカじゃねぇか?」
呆れ口調で頭を掻くカミナに奏は頭が真っ白になった。
「喧嘩……?」
カミナはそう言った。たかが喧嘩だと。
「俺達が何回喧嘩してきたと思ってんだ。あんなのその一回に過ぎねぇよ。たく、二年も見ない間につまんねぇこと考えるようになりやがって。情けねぇ」
「なんだよ。それじゃあ、あたしがバカみたいじゃねぇ……痛っ!」
今度は奏のおでこにデコピンを食らわせる。
「そうだ。大バカ野郎だよ、お前は。ぶん殴ってその場から立ち去れば全部捨てた気でいるような大バカ野郎だ」
カミナは持ってきていたカバンからある物を取り出した。
「そいつは……」
それが何なのか奏はすぐに分かった。忘れる筈が無い。アレは自分達の手で作った物だからだ。
カミナはそれを一気に広げ、奏に見せつける。グレン団のマークが描かれた一枚の旗を。
「この旗を作った時に誓っただろ。グレン団の結束は遠く離れていても、死んじまっても切れることはねぇ! 俺達の絆は魂と魂で繋がれてんだ。何度もぶつかって何度も手を取り合って作ってきた俺達の絆は簡単に切れる軟なもんじゃねぇんだよ!」
カミナの言葉に奏は再び心を揺さぶられた。あの時、決めた覚悟が揺らいでいくような気がした。だが、そう簡単に崩れ去る程、奏の決意は弱くなかった。
「そんなの……そんなのお前が勝手に思ってるだけだ! あたしはお前らを捨てたんだよ! 今更はいそうですかって戻れる分けねぇだろうがっ!」
「そんなの当たり前に決まってんだろ!!」
「なっ!?」
唐突に叫ぶカミナに奏は圧倒されて言葉を失った。
「お前はまず皆に謝んだよ! メガネにもあっちゃんにもテッドにも鉄平にもジョーにものっぽにもファットにも迷惑かけた奴全員に謝って、謝って、謝って、謝りぬけ!」
「お前、何言って……」
「悪い事をしたと思ってんなら、謝ればあいつ等なら大体の事は笑って水に流してくれんだろ。そうしたら、お前が捨てたものだって少しは取り戻せるさ」
また奏の心は揺さぶられた。言ってることは時々めちゃくちゃだが、何処か核心をついてくる。それがカミナの言葉の凄さでもあった。
「そんなこと……あるはずがないだろ。あたしはあいつ等を捨てたんだ。今更会う資格なんてない……」
「ふんっ!」
「あだっ!?」
今度はカミナは奏での頭に拳骨を叩き込んだ。
「なーにが会う資格がないだ。自分で自分を罰してんじゃねぇよ。人ってのは何処かで間違いを起こすんだ。一回やらかした程度でいちいち思い悩んでんじゃねぇ。間違ったなら誰かがお前をぶん殴る。罰なんざそれで十分なんだよ」
「……」
再び奏は黙った。彼女は悩んだ。本当に謝って許してもらえるのだろうか。自分から捨てたものをもう一度拾っても良いのだろうか。
「でも……あたしは」
しかしカミナ達を捨ててしまった事実は変わらない。復讐の為に捨てたことに変わりはない。あと一歩を踏み出す勇気がなかった。
「奏ちゃんのバカーっ!!!!」
「うわっ!?」
唐突に少女の声が聞こえ、奏は何事かと驚いた。
「あっちゃん……?」
随分久しぶりに聞く声だが間違いない。あっちゃんの声がカミナの持ってるボイスレコーダーから聞こえてきた。
「あいつ等からのメッセージだ」
ニヤリと笑みを浮かべてカミナはそう言った。
「ちゃんとご飯食べてるかー! 一人で寂しくなってないかー! 勝手に消えるな、バカーっ!!!」
昔と比べて随分と明るく力強い声であっちゃんは思ったこと言い続ける。その中には文句もあったが、奏の事を心配していたのが窺えた。
「おーい、奏、元気かー。あっちゃんのメッセージでびっくりしてないか? テッドだぜ。アーティストになってるなんてびっくりしたぜ。ホントマジで。だからここで俺もびっくりすることを暴露するぞー」
するとテッドが大きく深呼吸をする音が流れる。
「俺にーっ! 彼女が出来たーっ!!」
「はぁーっ!? テメェふざけんな!」
「ちょっ、鉄平割り込むな! 今は俺の番だろうがっ!」
「そんなことどうでもいい! 相手は誰だ! 俺の知ってる奴か!?」
「ぜってーお前には教えねぇっ!!」
「まさかテニス部のマネージャーか!? お前、いっつも仲良く帰ってたもんな! マネージャーとラブラブとかいつの時代だよ!?」
「それはこっちのセリフだ! バレンタインにいっつも下駄箱の中覗きやがって。何時の時代だよ!」
「良いだろうが! その日だけただの下駄箱は夢を詰める箱に変わるんだ。夢を抱いて何が悪い!」
「何やってんだあいつ等」
二人の喧嘩する音が流れ始め、それを聞いていたカミナは呆れて頭を掻いていた。
「二人共、いい加減にしなさい!」
「おい、ちょっと待て! 何でそんなもん持ってんだよ!?」
「それは洒落になら……ぎぃぃぃやぁぁぁぁ!」
あっちゃんの声が聞こえた後に様々な音が聞こえた。マシンガンの発砲音、チェーンソーの刃の回転音、ハンマーで叩く音などが聞こえ、同時にテッドと鉄平の叫び声が木霊する。
「えっと……二人はしばらく出てこれないので、僕が代わりに話すことになりました、のっぽです」
二人の叫び声が聞こえなくなるとのっぽが出てきた。
「テッドは彼女が出来たみたいで、鉄平はお父さんのラーメン屋を継ぐために日々精進してます。僕も学校の先生になる為に勉強をしたり、時々カミナ君達の宿題を手伝ってます。アーティスト活動は大変だと思いますが、無理して倒れない程度に頑張ってね。後はしっかり栄養あるご飯を食べるのと適度な睡眠を心掛けてください」
のっぽは少し堅苦しい感じだが、それも彼らしい内容であった。
「奏、元気ー? 僕は元気だよー。最近、近くに美味しい焼肉屋が出来たから今度皆で食べようねー。あ、でも昔みんなで行ったお好み焼き屋でも良いかなぁ。バイキングに行くのもありかも。寿司とか天ぷらとか食べ放題だしー。あっ、でもラーメンもありかなぁ」
「おーいファット君、どんどん自分の欲に変わってるよ。戻って戻って」
「ああ、ごめんごめん。とにかく、僕らは皆元気にやってるよー。じゃあ、次はジョーよろしくー」
「……本当にいきなりだな。何言えば良いんだ? もうほとんどお前らが言っちまったじゃねぇか」
「言いたいことを言えば良いんじゃない?」
「奏に惚れてたとか」
「なっ!? 鉄平、変なこと言うな!」
「あれー? 違ったのかなぁ?」
「テッドうぜぇー!」
「だって、ジョー君、近所の神社で……」
「なんでのっぽがそんなこと知ってんだよ!」
「えっ、グレン団の皆が知ってることだけど?」
あっちゃんがそう言うと、しばらく間が空いた。
「……マジで?」
「「「「「うん、マジで」」」」」
「いやあああああああああああああああっ!!!!!!」
ジョーの悲鳴にも近い叫び声が流れる。これは流石に耳を塞ぎたくなるほどうるさかった。
「ほら、ジョー、最後にみんなでやるから落ち着けよ」
「穴があったら入りたい……」
「後で掘って埋めてあげるから、今はちゃんとやろう」
「のっぽ、お前って偶に酷いこと言うよな」
「それよりテッド、お前、さっきの話は終わってないからな」
「ほらほら、のっぽもテッドも鉄平も打ち合わせした通りやろうよ。後、ジョーはいい加減に立ち直りなさい」
「あっちゃんは本当に変わったよねー」
「ファット、早くしないとファットの分だけおやつ抜くからね」
「イエス、マム!」
「じゃ、準備は良い? せーのっ!」
「「「「「「奏ーっ! 心配かけんな、バカやろーっ!!」」」」」」
「他にも言いたいことはあるけど、それは今度会った時に全部言うから覚悟してね、奏ちゃん」
「お菓子は用意しておくからねぇ」
「あ、そうだ、ツヴァイウィングのサインよろしくー」
「あ、テッドずりぃぞ! 奏ー、俺の分も!」
「だったら人数分用意してもらった方が良いんじゃない?」
「そうだな」
「テッド君もジョー君もあっちゃんもこのタイミングで言う事じゃないと思うけど……」
「のっぽ、チャンスってのは何時やってくるか分からないんだぜ。折角つかんだチャンスは掴むべきだろ?」
「鉄平君まで……。じゃあ、僕の分も」
「あははははー、最後の最後でグダグダだねぇ」
「兎に角、これを聞いたら一度戻ってくるように! 以上、グレン団一同からでした!」
それが最後のメッセージだった。
「何録音してるかと思えば、何やってんだかあいつ等……。で、どうだ、奏?」
グレン団からのメッセージを聞いた奏はずっと黙って聞いていた。耳をふさぐことも逃げることもせずに、そこで彼らの言葉を受け止めていた。
「なんで……。なんでだよ。なんであいつ等まで、あたしを見捨てねぇんだよ……」
下を向いて、奏は涙を流した。
これはかなりズルい。こんなことを言われたら二年前の決意が崩れてしまう。今更会ったところで、彼らが昔のように迎え入れてくれるはずがないと思っていたのに、あんなメッセージを聞いてしまえば会ってみたいと思ってしまう。
「なぁ、あたしなんかがあいつらに本当に会って良いのか?」
「良いに決まってんだろ。俺がやれるって言ってんだ。出来ないはずがねぇ」
それに全く根拠はない。だが、カミナの言葉に理屈をこねる事など無駄に等しい事だ。やれると言えばやってしまうのがカミナと言う男である為に、本当にできるのではないかと希望を抱いてしまう。
「お前がやるって言うなら、俺は全力でお前の背中を押してやる。だから自信を持て!」
カミナは再び手を差し伸べる。
それを見た奏の気持ちは先程と比べて変化していた。胸が苦しくなるような感じはしない。貯めていたものを一気に吐き出したからだろうか。
「本当に敵わないな、お前には」
ゆっくりと奏は手を伸ばす。かつて捨てたものを今度は掴んでみせるように。
そして、カミナと手が触れるまであと少し。
「奏から離れろーっ!」
「えっ?」
「なんだ……へぶっ!?」
唐突に顔面に跳び蹴りを受けたカミナは変な声を漏らして吹っ飛んでいった。吹っ飛ばされたカミナはシャチホコのような姿で止まるとピクリともしなかった。死んではいないと願いたい。
「奏、大丈夫!?」
跳び蹴りを食らわせたのは翼だった。
奏は慌てて目元をぬぐって、泣いているところをなかったことにしようとした。
「翼、なんでここに?」
「いきなり飛び出していくから心配になって……奏、その手はどうしたの!?」
「あ、いや……。これは、その……自分でやったというか、何と言うか」
「すぐ病院に行こう。大丈夫、緒川さんが警察を呼んでくれたから」
心配してくれるのは嬉しいが、そこまでしなくてもと言うのが奏の本音だった。
「いや、待ってくれ……」
「大丈夫、何があっても奏は私が絶対守るから」
「いや、だから……」
「そうだ、救急……痛っ!?」
どんどんヒートアップする翼に奏はデコピンを喰らわせた。
「翼、良いから人の話を聞け」
「う、うん……」
そう言われて翼は少しずつ落ち着きを取り戻していく。
すると奏はカミナの元に近いていく。
「カミナー、生きてるかー?」
「……」
返事がない、まるで屍のようだ、と言うのはこう言う事だろうかと奏はふと思ってしまう。
「あー、ありゃ打ちどころが悪いな。気絶してやがる」
それを見た翼は今の状況がまったく呑み込めなかった。突然、奏がカミナを見て逃げ出したかと思えば、今はそれが嘘のように親しげにしている。自分が知らない間に一体何が起こったのだろうかと翼は疑問に感じた。
「奏、その人、質の悪いファンじゃないの?」
それを聞いた奏は翼が慌てた理由を理解した。
「あー、違う違う。こいつはあたしの……」
「奏の……?」
突然口を閉ざしてしまったことに翼は首を傾げる。
この時、奏は迷った。自分がそれを口にしても良いのかと。しかし、その迷いは一瞬で吹っ切れた。もう一度悩んでしまえば、目の前のカミナがまた殴ってきそうな気がしたからだ。
「こいつは神野神名、あたしの友達だ」
今日一番の笑顔で奏はそう言った。
如何でしたか?
まぁ、こんな感じでおさまりました。
もうしばらく話をしてから原作につなげるつもりです。
現在、GXの頭までざっくりとした構想を練っていますが十月から更新がかなり遅くなります。
少なくとも月に一回は更新するようにしたいです。
では今回はこれにて。