ダンまち ロキ・ファミリアの放浪人   作:テガミバチ

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新参者ですがよろしくお願いします。

一度上げたものの再構成です。
ところどころ変更点があります。



プロローグ

「エイナさぁああああんっ!」

 

「ん……ベル君?」

 

冒険者ベル・クラネルに呼ばれたのは、ギルドの窓口受付嬢エイナ・チュール。

半年前ギルドに手続きにやってきたベルのダンジョン攻略アドバイザー。

緑玉色の瞳、セミロングでブラウンの髪で眼鏡を掛けたハーフエルフの少女だ。

 

(無事だったんだ……)

 

エイナは手にしていた冊子から目線を上げ、頬を少し緩ませながら呼ばれたほうへと振り向いたが、

 

「……え?」

 

一瞬で緩んでいた頬は引きつってしまった。

振り向いたまでは良かったのだが、そこで疑問に思ってしまったのは仕方のない事だろう。

 

自分を呼んだはずのベルが見当たらないのだ。代わりに目に飛び込んできたのは、自分のもとへと高速で近づいてくる赤黒い何かだった。

 

「うわああああああああああ!?」

 

そして『何か』の正体を見破ったとき、自分のもとへと血まみれになり全力疾走しているベルだと分かったとき、ベルの無事を喜ぶよりも衝撃とほんの少しの恐怖が勝ってしまったのだ……

 

***

 

「町中を血まみれのまま走ってくるなんて、ちょっと君の神経を疑っちゃうなぁ」

 

ギルドに血まみれのまま突撃したベルは、到着するや否やエイナにやや怒り気味に風呂に入るように言われ、勢い殺さぬまま浴場に直行したのだ。

 

「それにいつもあれだけ『冒険者は冒険しちゃいけない』って言ってるのになんで君は5階層まで潜ってるの!?」

 

「うっ……すみません」

 

怒ってらっしゃる。怒ってらっしゃるのだ。

普段は温厚で人当りもよく、あまり怒らないようなイメージがあっただけに今のこの状況がとてもマズいものもように感じられているのだ。

 

どうして血まみれで走っていたのかの経緯を話し、その時にベルにとっては早すぎる5階層進出の事を言ってしまったが最後、怒られたのだ。

 

「もう、ふらふら下に潜るのは一人で十分なのに……」

 

「え?」

 

「うんん、何でもない」

 

ベルは自分以外にも同じようなことをしている人がいるのかと気になったが、目下に大事な要件があるのであまり気にはとめなかった。

 

「はぁ……それに君はダンジョンに変な期待をしているみたいだけど、今日のだってそれが原因じゃないの?」

 

「あ、あははは……」

 

鋭い、的を得て居るどころの騒ぎではない。

ど真ん中を容赦なく打ち抜いてきた。

 

そう、この冒険者ベル・クラネルはダンジョンに異性との出会いを求めているのだ。

それこそ英雄譚に出てくるような運命的な出会いを。

そんな不純な動機でダンジョンに潜って死にかけたのだから自業自得としか言えないだろう。

 

だが結果だけ見れば不幸中の幸いというかけがの功名というか、出会いはあったのだ。

それも自分の思い描いていた以上の美少女に。

それが金髪金眼の少女、アイズ・ヴァレンシュタイン

ベルが一目惚れした冒険者の名前だ。

 

「そ、それで……ヴァレンシュタインさんの事なんですけど………」

 

「…………」

 

「?」

 

ベルの様子を見て今は何を言っても二の次になってしまうと察したエイナは、まったくと苦笑いしベルが今最優先事項としている問題に答えようとしたのだが、ベルがアイズの名前を口にしたとき僅かにベルの横に気配を感じたのだ。

冒険者でもないエイナが気配を感じるのはなかなかあり得ないとは思うのだが、それでも何か感じたのだ。

いつもふらっと現れては、頭を抱えさせられる冒険者に似た雰囲気を。

 

「どうかしましたか?」

 

ベルが心配そうに尋ねてくるが、

 

(気のせい……だよね?)

 

自分の勘違いだと、考え過ぎだと思い先ほどのベルからの質問に答えるのだった。

それがさらなる悩みの種になるとも知らずに。

 

***

 

「アイズ・ヴァレンシュタイン氏の情報だっけ?」

 

「はい! お願いします!」

 

「う~ん……ギルドとしては他のファミリアの冒険者の情報を漏らすのはご法度なんだけど……」

 

それからエイナは答えられる範囲の情報をベルに話したがどれも周知の情報ばかりで、『近寄ってくる異性は軒並み玉砕、あるいは粉砕』とか、『ついには千人切りを達成した』とか、『神の間では【アイズたんマジ無双】などと称されている』とか、個人的な好みなど知ることができなっかたのだ。

 

中には『実は思いを寄せている人がいるのでは?』、『よく同じファミリアの冒険者と二人で街を歩いているのを見かけるがその人では?』などという噂話もあり、それを聞いたベルは気絶しそうになっていた。

それと同時にまたもやベルの隣から今度は動揺するような気配を感じたが、気のせいだろうと気には留めなかった。

 

***

 

他のファミリアであるアイズとお近づきに、願わくばその先に…など難しく非現実的だと諭され遠回しの死刑宣告を受けたベルは、一応死にかける前に稼いだ魔石を換金所でヴァリスにし帰路についた。

 

「ベル君」

 

「はい、何ですか?」

 

帰り際にエイナに呼び止められ、

 

「女性はやっぱり強くて頼りがいのある男の人に魅力を感じるから、めげずに頑張っていれば……その、ね?

ヴァレンシュタイン氏も、強くなったベル君に振り向いてくれるかもよ?」

 

なんだかんだエイナは優しいのだ。最後はギルド職員ではなく一人の知人として励ましたのだ。

 

そのエイナの優しさを感じたときベルは笑顔で走り出し、振り返って

 

「エイナさん、ありがとうぉー! 大好きー!!」

 

「ええうっ!?」

 

近くに他の冒険者が居るにもかかわらずとんでもない爆弾を落として帰っていったのだった。

 

そうエイナとベルのすぐ後ろに一番聞かせてはならなかった人物が居ることにも気付かず……

 

*****

 

ベルがエイナからお説教を受けているころダンジョンの入り口付近。

 

「……」

 

そこには先ほど自分たちの不手際で逃がしてしまったミノタウロスに襲われていた少年を助けた少女アイズ・ヴァレンシュタインがいた。

ロキ・ファミリアのエンブレムが入った銀の胸当てと手甲を身に着けた、金髪金眼の少女剣士だ。

 

そんな彼女がやや落ち込み気味の顔で歩いていた。

それもそうだろう、助けた少年は自分の顔を見るなり全力で逃げ出してしまったのだから。

 

(私……怖がられちゃったのかな…)

 

周りに他のロキ・ファミリアも居るが、アイズが凹んでいることに気付いているものは居ない。

これは、アイズが普段からあまり感情の機微を表に出さない為そうなってしまっているだけなのだが。

 

それでもアイズから普段とは違う何かを感じた者も居る。

 

「どうかしたか、アイズ?」

 

ロキ・ファミリアの副団長にして王族出身のエルフ、【九魔姫】《ナインヘル》の二つ名を持つ冒険者リヴェリア・リヨス・アールヴ。

 

深緑の長い髪の落ち着いた雰囲気の女性で、洞察力に優れており、相手の反応の機微から物事を察知することに長けている。

アイズを幼少期から面倒を見てきただけあり、今回の事も何かあったのではと考えているのだ。

 

「うんん、何でもない」

 

「そうか、それならいいのだがな」

 

まぁ何かあったのだろうと思いつつも本人がいいといっているので深く突っ込むことはしない。

そういった気遣いが団員から厚く信頼されている理由の一端だろう。

 

「そうだ、この前フィンから言われた事はしっかり覚えておいてくれ、アイズ」

 

「……うん」

 

「しつこいことは承知してるんだがな、どうも危なっかしくて心配なんだ。もう少し肩の力を抜いてみてもいいと思うぞ」

 

「ありがとう……あの時は、私も少し自分勝手になりすぎてたから」

 

アイズは先の遠征でフィンの指示を無視しモンスターの群れへと突っ込んでいったのだ。そのことについてフィンから注意を受けていた。

 

「そうか、そうやって心に留めておいてもらえるだけでも此方としては助かる」

 

そこで一度言葉を切り、心配顔とは別に少し疲れたような顔になりながらリヴェリアはつづけた。

 

「まぁ奴みたくのらりくらりされ過ぎても困るがな…」

 

「でも彼は……強いよ?」

 

「否定はしない、奴は強いというより(したた)か者なんだ」

 

「強か者?」

 

「容易にはに人の思うようにはならないということだ。悪く言えば食えないやつだ。奴は力の抜き方……まぁ変な時に力を入れてる時もあるが、遠征や戦闘時は程良い力加減ができている。『柔軟』とも表現できる? そういう強さだとファミリアの中でもトップクラスだな」

 

そう答えたリヴェリアは先ほどとは変わり、呆れながらも慈しむようなそんな優しい笑顔を浮かべていた。

 

「私もなれるかな……そうゆう冒険者に」

 

「やめてくれ、ああゆうのはもううちのファミリアには間に合ってる」

 

アイズの言葉を受けてリヴェリアは慌てて止める。

 

「確かに奴のような強さも大切だとは思う。学べることも無いとは言わない。言わないが、一人で十分だ。あんなのが大勢いたら手に負えん。それにこう言っては何だが、アイズには奴のスタイルは似合わないと思うよ」

 

「む……」

 

リヴェリアに遠回しに無理だといわれ少し拗ねるような顔をするアイズだが、自分が同じような事をしているのを想像したのか少し納得したような表情になった。

 

「確かに…ちょっとおかしいかも」

 

「そうだろう、それに冒険者にはそれぞれスタイルがあるんだ。無理に真似ようとする必要はないよ」

 

***

 

今この場にいない仲間の冒険者の話がひと段落ついたとき、アイズはふと疑問に思ったことがあった。

 

「そういえば今回の遠征には来てないの?」

 

今回の遠征でアイズは彼の事を一度も見かけてはいないのだ。

いつもはフィンやリヴェリアたちと一緒に居たり、ティオナやベートとじゃれていたりと賑やかなのだが、今回は比較的静かな遠征となっていた。

アイズに聞かれたリヴェリアはまたもや先ほどと同じような疲れた顔になり、

 

「いつも通り散歩だ。我々が出るときにはもう部屋にはいなかった。またぞろどこかふらついているのだろう」

 

「そうなんだ、……最近行けてない」

 

「無理についていく必要もないと思うが、お前たちは小さいころからよく共に散歩してたからな、……寂しいか?」

 

「……少し」

 

「……ふっ、ならアイズを悲しませた罰としてネタばらしをしようかな」

 

「?」

 

アイズは何のことか疑問に思ったが、リヴェリアが珍しく悪戯をするような笑みを浮かべたのでつい聞き入ってしまった。

 

「さっき『我々が出るときにはもう部屋にはいなかった』と言ったが、すまない、あれは嘘だ」

 

「??」

 

リヴェリアが嘘をつくなんて珍しいと思いつつも続きを待った。

 

「奴は散歩に行ったように見せかけただけだったよ」

 

「???」

 

聞いた瞬間はどういう意味かわからなかったが、少し考えると答えが出たのか先ほどよりも拗ねた…というよりやや怒気を孕んだ口調で、

 

「……部屋にいたの?」

 

「さあ、どうだろうな」

 

アイズに聞かれたリヴェリアは悪戯を成功させた少年(この場合は少女か)の様な笑顔を浮かべて答えをぼかしたが、それはアイズの中で出ている答えが正しいことを裏付けていた。

 

アイズは……

 

「むぅ……」

 

怒ってらっしゃるのだ……。

 

*****

 

リヴェリアが疲れた顔をさせらる少し前。

その原因となっている少年がギルドに向かって歩いていた。本人曰く散歩の帰りだ。

他の団員たちが遠征に行く日の朝方には、もう既に散歩へと出発したように見えるようにしてきた。

 

「部屋に来たのリヴェリアだったからなぁ……ばれてるかもしれん」

 

彼は遠征の出発当日起こしに来たリヴェリアを欺くためにあるスキルを使ったのだが、流石にLv.3とLv.6では見破られていたかもしれないと思っているのだ。そうでなくとも普段からリヴェリアには何かとかなわない。

なので実際ばれている事には気づいても、第三者によってそこそこの窮地に立たされていることは知る由もない。

 

そして罰として散財させらることも。。。

 

***

 

「エイナさぁああああんっ!」

 

「なんだ? 他の冒険者を恐れず随分と強烈なラブコールだな。……ふぅ、元気いいな、何かいいことでもあったのかな?」

 

最近オラリオで流行っている(と本人は思っている)小説に出てくるキャラの言葉を借りて、通りを歩いていた一人の少年が自分の横を猛スピードで走り去って行った少年に向け独りごちた。

 

 

 

 

……やや恥ずかしそうに

 

「やっぱり使うのはやめようかな…」

 

今日一日でエルフの女性二人から呆れられ、ファミリアの仲間に少なからず怒りを向けられた少年は、今日これからの事に一抹の不安と、僅かばかりの羞恥を抱えオラリオの町を歩いてゆく。

 

 

「まぁ~……なる様になるか」

 

 

 




読んでいただきありがとうございます。
文章がおかしかったり、構成が稚拙だったり、言葉遣いが変だったりと何かお気づきになられた場合は、遠慮なくご指摘ください。
心が折れなければ、今後に生かしていきたいと思います。

最後の例の作品については、決して作品が面白くないというわけではなく、オラリオ内で読書自体が流行ってないという設定にしたためあのような書き方にしました。
不快に思はれた方がおりましたら、お詫び申し上げます。

続きも書いていく予定ではありますが、あまり不評だと続かないかもしれません。
更新もあまり早くないので、温かい目で見守っていただけたら幸いです。

いきなりの訂正申し訳ありません。
稚拙な文章を少しでも良い状態で皆様に読んでいただきたく思ったのでこのような措置を取りました。
今後もこのようなことがあるかもしれませんが、お付き合いのほどよろしくお願いします。
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