ダンまち ロキ・ファミリアの放浪人   作:テガミバチ

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2話目にしていきなりですが番外編挟みます。
思い付いてしまったので書きました。
ほぼほぼ自己満足になりそうです。


番外編
遊戯大会 そのⅠ


その日、燈火はロキの執務室に向かってカランコロンと小気味良い下駄の音を鳴らしながら通路を歩いていた。

時刻は2時過ぎ。『黄昏の館』の中にはまったりとした空気が流れている。

燈火も普段はこの時間なら自室のハンモックで昼寝をするか読書をしているのだが、今日はロキあることを相談しに来ていた。

 

燈火は、普段外出目的が散歩だけの時や『黄昏の館』内の移動の時などは基本下駄をはいて移動している。

それも、本来の歯が二本の物ではなく『一本歯下駄』という歯が一本のバランスの悪いもので、本人曰く下駄だと履いたり脱いだりが楽で、かつバランスを鍛えられるかららしい。ちなみに下駄はタケミカヅチに頼んで用意してもらっている。要はタケミカヅチと同じ物ということだ。

その他の着物や仁平、袢纏などもお世話になっている。

以前、街を歩いているときにタケミカヅチと出会い、意気投合、それからもちょくちょくご飯に行ったりと付き合いは長い方。物品の受け渡しなどは一応他のファミリアということもあり、それなりのお金のやり取りをしており、タケミカズチもそのお金でファミリアを養ったりしており持ちつ持たれつの関係にある。

 

ちなみに今日の燈火の服装は、普段の浴衣は羽織っておらず、下は紺の甚平、上は黒の袢纏とゆったりとした格好をしていた。背中には当然のように白で描かれたロキ・ファミリアのエンブレムが入っている。

こうゆう所は、燈火のファミリアに対する思いの表れと言えるかもしれない。

 

「お〜い、ロキ〜、少し話がある〜」

 

「何やいきなり。乙女の部屋入る時はノックくらいせーや」

 

「ん? ああ、悪い悪い。今度から乙女(笑)の部屋入る時は気を付ける」

 

「おい……何や今馬鹿にされた気ィしたで?」

 

「イヤイヤ、気のせいだって」

 

「まったく、ウチかてれっきとした神やで?もっとこう尊敬してもバチあたらんと思うんやけどな」

 

そんな事を言うロキに燈火は冷ややかな目を向け

 

「ロキよ……ホントに自分が尊敬してもらえると思ってる?尊敬されるような行いしてきたって自覚ある?」

 

「あるわ! こないに愛情を注いどるゆうのに、みんながウチの事避けるから伝わらんだけやんか!」

 

「顔見るなりいきなり飛び付いてこられたら避けるに決まってんだろ!」

 

「何でやぁぁぁ! ウチの愛は要らんゆうんか!?」

 

「しつこいんだよ、お前の愛は! ネバネバしてるんだよ! そんな愛なんざいらねぇよ! もっと普通に愛してくれ!?」

 

そこまで言うと燈火は、ふと冷静になった。もしかして自分は今、とんでもない爆弾を投下してのではないかと。もちろんそれをロキが見逃すはずもなく、

 

「なんや燈火……、プロポーズか?」

 

しっかりと恥ずかしい意訳を加えて指摘してきた。

 

「ちゃうねん……勢い余って口をついて出てん……」

 

動揺しすぎて燈火も思わず関西弁になっていた。

 

「何や燈火、そないにウチの事想ってくれたんかぁ〜、改めて言われると照れるなぁ。はっ、まさか年上好きか? すると……リヴェリアもか!?」

 

「やめて、やめて下さい、お願いします。メチャクチャ死にたくなるから……」

 

「勢い余って告白とか、可愛とこあるやんか〜。顔も瞳も真っ赤やで」

 

「イヤァァァァ!」

 

そこから30分近く弄られ続け、燈火は今にも火を噴きそうなくらい赤くなっており、精神的に瀕死の重傷を負っていた。

 

〜〜〜

 

自らの盛大な誤爆により始まった一方的な恥辱責めを生き抜いた燈火は、あたかもそんな会話が無かったかのように、随分と前の話題に話をもどした。

 

「と、とりあえず尊敬はともかく、感謝はしてるぞ、うん」

 

「昔はウチやリヴェリアの後ろ引っ付いて来て可愛かったのになぁ」

 

「止めなさい、……めっちゃ恥ずかしいから。まだ弄り足りないのか」

 

「何でや! どこで話しても恥ずかしくない思い出やないか!」

 

ニヤニヤとしながらロキはそんなことを言ってくる。

幼少の頃の燈火はやや恥ずかしがり屋なところがあり、いつもロキやリヴェリアの後ろについて回っていたのだ。

ちなみにフィンは身長的に近く頼りなさそうで、逆にガレスはごつすぎて怖かったらしく自然と選択肢からは外れていたらしい。

当時の燈火の行動に、モンスターは簡単にあしらえるのに子供一人相手にできないのは上級冒険者として(この場合関係あるかは不明だが)いかがなものかとフィンとガレスがやや凹んでいたことは、二人だけの最優先機密事項らしい。

 

「あのころの純粋なトーカはどこ行ったんやろなぁ〜」

 

「少なくともお前の影響だろが!」

 

「ウチか!? 百歩譲ってウチの影響ありきでも、半分以上は自己責任やろ!」

 

「何だと!? 大体な……」

 

燈火はロキに他の話があったのだが、自分の幼少期の話になると、先程とは違う恥ずかしさも相まってか、口論へと発展してしまった。

今度は、燈火も先程の口撃の仕返しと言わんばかりに弁を振るった。

先程といい中々本題に入ることはなく、時間は既に4時をまわっており、部屋の窓からは夕日が差し込んでいた。

 

〜〜〜

 

「はぁはぁ、違う……こんな話を……しに来たんじゃない」

 

「ぜぇぜぇ、だったら……なんの話を……しに来たんや」

 

一回目とは違い互角、壮絶な舌戦を繰り広げた二人は、椅子に向かい合って座り、共に肩で息をしていた。

先に息を整えた燈火は本来の目的をロキに伝え始めた。

 

「この間読んだ本でな面白そうな遊びを見つけたんだよ」

 

「面白そうな遊び?」

 

「そう、『民衆娯楽大全』ってゆうまぁいろんな遊びが載ってる図鑑みたいなやつに載ってたんだけど」

 

「う〜ん……こう言っちゃアレやけど、あんまり需要なさそうな感じやな」

 

「言わないで、ボクもそんな気がしましたよ?だからせめて俺だけでもっと思って買っちゃいました」

 

「それに読んでみるとそんなにおかしなもんでも無かったぞ?それぞれの娯楽についての起源とか、そんなんがえらく詳細に書かれてたけど。」

 

「ふーん、そんでそれ読んどったらオモロそうなもん見つけたんか?」

 

「おう、見つけた瞬間絶対にやりたいと思った」

 

「そこまでオモロそうなんやったら是非ともやってみたいな」

 

「そうだろそうだろ!だからロキに相談しに来たんだよ!食いついてくれて何よりだ」

 

「何て名前の遊びなん?」

 

「面白いこと間違いなしの遊び、その名も……

 

 

 

 

 

 

 

王様ゲーム!!」

 

〜〜〜〜〜

 

後日ロキはレフィーヤ・ウィリディスの部屋に来ていた。

 

「レフィーヤ〜? 居るか〜?」

 

「ロキ? 何ですか?」

 

「いや〜ちょっと話したいことがあってな〜? 今、自分時間空いとる?」

 

「はい、大丈夫ですけど」

 

「そうか、ほな行こか」

 

「行くって何処にですか?」

 

「そんなん決まってるやん、ウチの部屋や」

 

そうレフィーヤの質問に答えたロキは、悪戯な笑顔を浮かべていたのだが、レフィーヤはそんなものには気付かずにその後をついていった。

……ついて行ってしまった。

 

〜〜〜

 

部屋に着くと既に二人の先客がソファーに座っていた。一人は燈火。そしてもう一人は

 

「何で私呼ばれたの?」

 

アマゾネスの双子の姉、ティオネ・ヒュリテ

燈火呼ばれて先にロキの執務室に来ていたのだ。

 

燈火とロキは先日の話し合いで今回の作戦に必要な人材としてレフィーヤとティオネを仲間内に引き入れようとしていたのだ。

ただ遊ぶだけのはずなのに、作戦に必要な人材を選んでいるあたり胡散臭さ満点である。

 

「何かこう言っちゃなんだけど……二人が関わってる話を聞くとなると、嫌な予感しかしないんだけど」

 

「私もあまりいい予想は出来ないですね……」

 

ロキと燈火という組み合わせはファミリア内ではあまりいい印象を抱かれていないのだ。

これと言って何らかの前例がある訳では無いのだが、そこはかとなく不安を煽られるというか、言い知れぬ恐怖を感じるというか、簡単に言うと『混ぜるな危険』である。いいイメージはできず、呼び出された二人もそんな『何か』を感じていた。

 

「別に変なことをしようってわけじゃないから安心してくれて構わないぜっ!」

 

「そうや、二人にはちょこっとだけ協力してもらいたいことがあるんや!」

 

ロキと燈火は悪者よろしくの常套句をすごくいい笑顔で言うのだ。不安になるなという方が無理かもしれない……

レフィーヤとティオネの不安をよそにロキと燈火は説明を始めた。

 

〜〜〜

 

「今度みんなを集めて『王様ゲーム』をやろうと思ってな」

 

「「王様ゲーム?」」

 

あまり本を読まないティオネや逆に多くの本を読むレフィーヤにとっても聞き慣れない言葉だった。

 

「そう、『王様ゲーム』」

 

「どんなルールなんですか?」

 

「まぁ簡単に言うと『王様がなんでも言うことを聞かせられる』だ」

 

「何でもってのはちょっと大袈裟すぎない?」

 

「まぁ最後まで聞いてみって」

 

「詳しく説明するとな、

①人数分のクジを用意する

②用意されたクジの中に一つだけ『王様』のクジがあり、それを引いた者が『王様』となり他の者に命令できる

③『王様』になった者は番号を指定し、その番号のものに命令できる

④命令された者は王様の命令は絶対遵守

……こんな感じやな」

 

「つまりくじ運がものを言う遊びという事ですね」

 

そうレフィーヤがまとめるとロキと燈火はニヤリと笑い説明を続けた。

 

「そう、まぁ場合によって命令に縛りをつけたりするんやけど、基本的には運任せの遊びや……本来はな」

 

「本来はって……まさか」

 

ティオネは何かに気付いたような反応を見せた。

 

「フッフッフッ、ティオネが考えてる事は恐らく間違って無いぞ?」

 

燈火もティオネの様子を見て思い浮かべたであろう考えを肯定した。

 

「? どうゆう事ですか?」

 

レフィーヤがまだ疑問を感じているとティオネが

 

「はぁ〜、呆れた。レフィーヤ、帰るわよ」

 

「どうしてですか?」

 

レフィーヤはティオネが何故呆れているのか分からなかった。ティオネは額に手を当て溜め息混じりに説明した。

 

「この二人はクジに何か細工をしようとしてるのよ」

 

「えぇ!? そんなのズルじゃないですか! ダメです! ゲームは皆がルールを守ってやるから楽しいんです! そんなことには協力できません!」

 

レフィーヤが叱るが、当の二人はあたかもこの展開が見えていたかのようにニコニコと笑っている。

そして燈火がティオネ達に対し、まるで悪魔の囁きの様に懐柔の言葉を投げかける。

 

〜〜〜

 

燈火は、今度はわざとらしく元気なさそうに、しかし、チラチラとティオネの方を確認しながら話を続けた。

 

「まぁ無理にとは言わないけど、残念だよ……それなりの報酬も用意したんだけどなぁ〜、はぁ〜」

 

「……何よ」

 

見返りを提示されティオネは反応してしまった。燈火はその反応を見て口の端を吊り上げた。

燈火とティオネの様子を見ていたレフィーヤは、既にこの状況が燈火の手の上にあるのでは、と言う不安が頭をよぎっていた。

 

「さっきも言った通りこのゲームで重要なのは『④命令された者は王様の命令に絶対遵守』だ。つまり王様になれば普段は命令出来ないような事も命令できる」

 

「だから何よ、別に普段から命令したい事なんて……」

 

「ホントにか? なら『命令』を『お願い』に置き換えてみようか。ほら……居るだろ?やって欲しい事があるヤツとか」

 

「……ッ!?」

 

そこまで言われてティオネは理解した。理解させらてしまった。恐らくこうなる事を分かっていて、あえて遠回しに説明したのだろうと思いながらも。

『命令』などと言う威圧的な響から『お願い』と言葉を置き換えただけでこのゲームの真の目的を、そして燈火が提示している報酬が何なのかを。

 

「……団長」

 

ティオネがそう呟くと燈火は満足そうに笑い、話を続けた。

 

「そう、このゲームでは『王様』さえ引いてしまえば、たとえ普段お願いしてもやってはくれない事も強制的に行わせることが出来る。行わせることが出来る大義名分を得るわけだ。どうだ?悪い話じゃないと思うのだが?」

 

そう言うと今度はレフィーヤに向き直り、

 

「レフィーヤもアイズにあんな事やこんな事をお願いできるかもしれないぞ?」

 

「あ、あ、あんな事やこ、こんな事やそんな事もっ!?」

 

「いや…そんな事とは言ってないけど」

 

レフィーヤは顔を真っ赤に染めあたふたしていた。

燈火はレフィーヤが何を想像していたのかスゴく気になったが、この話を終わらせるため二人に返答を求めた。

 

「どうする? 乗るか降りるか、二人に任せるよ」

 

二人の反応から答えは出ていると誰が見ても分かるのに、あえて自分の口から言わせようとするあたりなかなかな性格である。

 

こういう所は『巧い』と考えざるおえない。真意を、思惑を、砕き、引き伸ばし、相手の思考に刷り込み、染み渡らせながら徐々に伝えていく。決してこうしたいからと直接的な事は言わずに。そして相手の頭の中で何を伝えられたのかが組み上がった時、その答えが正解かどうかを問わずに、乗るか反るかだけを聞く。ここで答え合わせをすれば、直接伝えたことと同義になってしまう。重要なのは、相手自身で答えに辿り着く事。そうすると、直接言われた時よりも懐疑的な思考が浮かばなくなる。思惑そのものよりも、その思惑が成功するかの方へと思考が集中する。つまり無意識のうちに協力させることが出来る。

そうは言っても、相手の頭の中で正しく思惑が伝わらなければ意味が無い。そこをしっかりと伝えることができるからこそ、燈火は『巧い』のだ。リヴェリアの言うところの『強さ』の一つだ。

 

「……分かったわよ。やればいいんでしょ、やれば」

 

「わ、私もやります」

 

ティオネはやや渋々という感じだが、若干頬が緩んでいるのはここだけの話。

燈火は二人の協力を取り付け、当日また詳しい話をするといいこの場は解散させた。

 

〜〜〜

 

ティオネ達が執務室を出て行ったあとロキと燈火はまだ話をしていた。

 

「イヤ〜、トーカはホンマいい性格してるわ〜」

 

「そうか?一度はちゃんと説明したと思うんだけど?」

 

燈火はロキが言わんとしている事が分かっているのだが、あえてとぼけた。

 

「性悪やな〜」

 

「性悪て……、そこまで言うか」

 

「『王様ゲーム』は、ただ『王様』を引けば良いだけやない。『王様』を引いて、なおかつ命令したいヤツの番号を当てなあかん。あえて④に意識を向けさせてその事を思いっきりぼかしたのを性悪と言わないでなんて言うんや」

 

 

ロキが言う通り燈火は、注目させるポイントを絞り、他のルールから意識をそらして説明していた。

『王様ゲーム』は、『王様』を引いて、なおかつ自分が従わせたい相手の番号を当てなければいけないのだ。

普通に聞いていれば疑問に感じるであろう燈火の説明も、二人にっとてはあまりにも大きすぎる報酬を提示され、見落としてしまったのだ。

燈火の作戦勝ち。

 

「それに、結局何も伝えてへんやないか」

 

「それは、ほら予定通りに行き過ぎたから」

 

そう、一連の説明の中で燈火は、一度も『何に協力してほしいか』を口にしていないのだ。

ティオネたちに問うたのは、あくまで協力してくれるかの是非だけ。

具体的にも、抽象的にも一言も協力内容には触れていない。

ティオネの推測についても燈火は正解とは言ってないし、ひどい言い方をすれば、あちらさんが勝手に納得して協力すると言ってきただけの事でしかない。

 

「まぁ、とにかくこれで駒はそろった」

 

「なんか悪者感が板についてきたなぁ」

 

「目的のためには仕方のない事なのだよ」

 

「トーカ、ほんまに悪もんの元締めとか似合いそうやな。組織を裏から支配する的な感じの雰囲気とか漂ってきそうや。……なんやトーカ、痛い子やったんか?」

 

「勝手に想像して痛い子扱いはひどくね?」

 

間違ってはいないだろうが、なかなかに理不尽な評価である。

 

「とにかく! 下準備はできたんだ、あとは俺たちの番だ」

 

「ウチらもか?」

 

「ああ、やることはまだある」

 

そこで一度言葉を切るとソファーから立ち上がり、自分たちの思惑満載の遊戯開始を宣言する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ――――ゲームを始めよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱり痛い子やん」

 

「一度言ってみたかったんだよ……」

 

 

 

 

 




お久しぶりです。
いきなり番外編を挟みましたが、本編についてはただいま再勉強中なのでもう少し後になるかもです。

今回の話は、少々長くなってしまったので、前後半で切りました。続きはなるべく早く上げれるよう頑張ります。

作中ロキの関西弁、難しいですね...
本家の方が読んでいたらお叱りを受けるかもしれませんが、申し訳ありません。
その際は、ご指摘してくださるとありがたいです。

その他、文章がおかしい、言ってることがわからないなどの酷評、ここは面白かったなどの好評、お待ちしております。
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