ダンまち ロキ・ファミリアの放浪人   作:テガミバチ

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奇跡の連日投稿できました。
今回で番外編は終わりです。
それではどうぞ。


遊戯大会 そのⅣ

「まず最初に誰がやったかだけど、まあこれは言わなくてもわかるよね」

 

皆が燈火に目を向けた。

 

「おいおい燈火~、反則はいかんで~?」

 

(てめぇ罰ゲーム巻き込んだからって売りやがったな!)

 

(はっ、先にウチを裏切ったんや自業自得や!)

 

燈火とロキが目線で罵り合っているとき、フィンは付け加えた。

 

「いや、ロキ。君も犯人だよね?」

 

「えっ!?なんでや!」

 

「さっき燈火も()()()って言ってたじゃないか」

 

『あ・・・』

 

燈火とロキの声が揃う。普段ならしないような単純なミスにより二人の共犯がバレてしまった。二人はそろって肩を落とした。

 

「続けてもいいかい?」

 

『どうぞ・・・』

 

二人は抵抗をあきらめたらしい。

それからフィンの推理は続いた。クジに細工はなくクジの形状を覚えてゲームに望み、誰が何番かを見抜いていた事や、ロキが引いたクジで地面を数回叩いていたのがブラフだったこと、トリックのヒントがルール『其の四』に隠されていたことなど、すべてが明らかになった。推理を聞いた燈火はうつ伏せに倒れ、ロキはソファーの座面に伏せていた。

 

「そうか、やはり仕組んでいたのか」

 

リベリアがメイド服を着たまま仁王立ちをしている。

 

「クジ一本一本の形を覚えたのか、この馬鹿どもは」

 

「ああ、特に特徴のある形をしていないただの棒だからね。相当苦労したと思うよ」

 

「はあ、そんなことに労力を費やすくらいならもっと他にやることがあっただろう」

 

リヴェリアの言葉に再び闘志が燃え上がった燈火は、必死に反論する。

 

「そんなこととはなんだ!これだって立派なやらなければならないことだぞ!」

 

この遊戯大会にかける思いを熱く語り始めた。

 

「いいか!このゲームは普段ならば絶対にしないような人物に色々なことをさせるのが目的なのだ。だったらやはり確実性を期すため努力をするのは当たり前じゃないか!俺はこれをくだらない事だとは思はない!やるべきことだったのだ!いくら反則と罵られようとも自分の行いを悔いたりはしない!リヴェリアの杖がなんぼのもんじゃい!来るなら来てみろ!」

 

「そんなことはどうでもいい」

 

「グホァッ・・・・・・!」

 

バッサリと切り捨てられた。

 

「まずは罰を与えねばなるまい」

 

『・・・ッ!』

 

リヴェリアの言葉にビクッと体を震わせる。

 

「そうだな、罰ゲームなら今じゃなくてもよいのだろう?」

 

「そんなんことはないぞ!今この時に執行するやつだ!」

 

「何か言ったか?」

 

「いえ、何でもございません。どうぞお好きなようになさってください」

 

反論虚しく、ひと睨みで抑えられてしまった。

 

「ロキ、お前は一週間禁酒だ、いいな?」

 

提示された罰は、罰などというものではなく、ロキにとってはただの死刑判決だった。

 

「む、無理や!一週間なんて、ホンマに死んでしまうわ!」

 

「口答えは一切認めん」

 

「ママァァァァァァぁ・・・ッ!」

 

ロキの抵抗を意に介すことなく切り捨てた。

 

「次に燈火だが・・・ふむ」

 

燈火の罰は決めかねているらしい。特に禁止して縛るものも無く、あまり罰にはならないからだ。

 

「よし、燈火」

 

「・・・何でしょうか」

 

やや怯えながら聞き返した。

 

「お前は今後一週間アイズのゆうことに忠実に従え」

 

「・・・・・・・・・?」

 

リヴェリアの発言に燈火はポカーンとしていた。

 

「最近お前は一人で行動することが多いからな、一週間はアイズのお供でもしてろ」

 

「そんなんでいいの?」

 

「そんなのではない、アイズを見てみろ」

 

「・・・?」

 

燈火が振り向いてみるとそこには、若干不機嫌なアイズが居た。

 

「最近、一緒に散歩行ってない」

 

「ああー、なるほど。わかったよ」

 

今までは妙な噂が立っていたこともあり一人で行動することが多かったのだが、アイズはそのことが不満だったらしい。

 

「はあ、分かった。じゃあ今日から一週間俺はお前の執事就任だな」

 

「うん」

 

嬉しそうに笑いアイズ。そんな様子をはたから見ていたティオネが抗議を訴える。

 

「えー、アイズばっかりズルいー。あたしのも聞いてよ」

 

燈火に背中から飛びついた。そんな様子に燈火も折れ、

 

「わ、わがっだ、・・・わがっだがら放じでぐれ。・・・ぐ、ぐびがじまっでる」

 

「やったー!」

 

無邪気に喜ぶティオナと死にかけの燈火を眺めながらリヴェリアは微笑みを浮かべていた。しかしすぐに表情を切り替え、燈火にさらなる試練を言い渡す。

 

「燈火」

 

「ん?なんだ?」

 

「流石にそれだけでは味気ないだあろう」

 

「いやいやいや、そんなことありませんよ?このお二人のお嬢様方相手に一週間も執事だなんて、終わったら俺倒れるかもよ?」

 

「安心しろ、そんなことはない。私から言っておいてやろう。本気で連れまわすのは五日程度のしておけとな」

 

「それほぼ全部じゃん!それに残りの二日も自由じゃねぇじゃん!」

 

「燈火、イヤ?」

 

「うぐっ・・・嫌じゃないです」

 

アイズに不安そうに見つめられそう答えるしかなかった。

 

「まあ聞け。お前は今神聖文字《ヒエログリフ》の勉強をしているな」

 

「・・・・・・・・・」

 

燈火の背中に冷や汗が伝う。

リヴェリアの言う通り、燈火は今、興味本位で神聖文字《ヒエログリフ》の勉強をしているのだ。講師はもちろんリヴェリア。やるからには真面目にとリヴェリアに直談判したのだ。

その事についてリヴェリアが触れるということはおそらくはロクなことにならないだろう。

 

「一週間後お前の実力を測るためテストを行う。その時60点以上取れなかった場合・・・」

 

「場合・・・?」

 

「今度から宿題の量を倍にする」

 

「フッ・・・・・・・・・・・・」

 

燈火が白目を剥いて意識を失った。衝撃だった。ただでさえ難しく、なかなか習得できないのに一週間後にテスト。さらにはボーダーが決められ、クリアしなければ宿題が倍の量に。おそらく燈火にとってはロキに対する禁酒宣言と同等の破壊力があったのだろう。

 

「大丈夫?」

 

アイズが心配そうな目で見つめているが反応はない。

 

「ふむ、三倍にするか」

 

「無理に決まってんだろ!」

 

「あ、起きた」

 

リヴェリアの無茶な要求に強制再起動させられた燈火はまだ息が荒かった。

 

「はぁ・・・クソッ、いじめだ」

 

「さてどうする?まだ続けるか?」

 

リヴェリアのそれには細工無しで続けるかと挑発の意味が込められていた。

 

「当たり前だろ・・・ふっふっふっ、いいだろう、小細工無しでもお前らを服従させてやる!おい!起きろロキ!」

 

「ううぅ・・・酒がぁ・・・」

 

「ええい、決まったことは嘆いても始まらん。ここから本当の勝負じゃあ!」

 

 

*****+++++

 

 

燈火たちの不正が暴かれた後も、途中帰ってきたレフィーヤと再起動したティオネを交え『王様ゲーム』は日が暮れるまで続いた。ティオネはフィンの姿を見て再び気絶しそうになっていた。

最後には皆が一様におかしな格好をしており、帰ってきたガレスが無言で談話室を立ち去るほどだった。しかし誰も不満そうな顔をしているものは居なかった。凹んでいる人は何人かいたが。

 

遊戯大会が終わり、それぞれが自室に戻っていた。自室に向かう途中リヴェリアがフィンに向け先ほどのことについて聞いた。

 

「フィン」

 

「なんだい?リヴェリア」

 

「なぜ燈火たちは『其の五』の様な自分たちの首を絞めるルールを設けたんだ?」

 

その疑問は、フィンが燈火たちの不正の種明かしをした時から感じていたものだった。

 

「ああ、それは・・・他のみんなには言わないでくれるかい?」

 

「?、ああ約束しよう」

 

フィンの前置きに首をかしげながらも頷いた。

 

「あのルールは、別に自分たちを苦しめるために設けたわけじゃないんだ。最初は僕も何かあるんじゃないかと思ったし、このルールが適用されることで、その後何か燈火たちにとっていい事が起こるんじゃないか、とまで考えたよ。何らかの起爆装置、切っ掛け過ぎないとね」

 

「それは・・・随分だな。しかしそれは考え過ぎではないか?」

 

「ふふ、最初に言ったじゃないか。あの二人が、特にあの燈火が、こんないい機会を、王権というものを駆使してみなを自由に弄れる絶好のチャンスをみすみす逃すとは思えなっかた」

 

「まあそうだな。実際好き放題されたしな」

 

「だから、彼は自分たちに時間制限を設けたんだよ」

 

「時間制限?なんのだ?」

 

「僕が、あるいは君が、燈火たちの不正行為を見抜くまでの時間さ」

 

フィンの説明にリヴェリアはさらに首をひねる

 

「すまない、話が見えてこないんだが」

 

「ああ、今回の事は君でも手に余るかもしれないな。僕も考え過ぎなまでに考えたから、嫌な話、疑いぬいたから解った様なものだよ」

 

「そんなに複雑な意味があのルールに込められていたのか?」

 

「まあ、解ってしまえば簡単なことだよ。複雑というより、ただ伝わりにくいだけだけどね」

 

燈火もなかなか本心を語らないところがあるからね、とそう言いフィンは今回の謎について説明した。

 

「あのルール『其の五 不正行為は証明され次第、強制罰ゲーム』には燈火なりの罪滅ぼしの意味があったんだ。そこまで仰々しい表現をする必要はないのかもしれないけどね」

 

「罪滅ぼし?」

 

「うん、今回の遊戯大会では文字通り好き放題やっていたけれど、最初から最後までそうする気は燈火にはなかったんだよ。ゲームをコントロールするのは、あくまでも序盤から、僕らが異変に気付くであろう中盤にかけてまで。実際、途中には僕らが不正を証明してクジを変えて行っただろう?確か、燈火の本来の目的は僕らだろうけど、ルール説明でも言っていたじゃないか。『其の六 最後にはみんなで楽しく終われるようにしましょう』ってね。そして、ここに燈火の気遣いがあった。まぁこれは気遣いというより、保険かな。このルールはロキの言った通り燈火のオリジナルだろう。そしてこのルールは、唯一ゲーム自体には作用しない、あまり効果を持たないものなんだ。しかしこのルールを設けることで、このゲームは独壇場にはならないってことを暗に伝えたかったんだ。まぁだから前半は好きにさせてと言っているようにも捉えらるけどね」

 

フィンが苦笑いを浮かべる。さらに、それはさておき、と続ける。

 

「実際には伝える気はなかったのかもしれないけど、意識的にか無意識的にか燈火はルール自体に目が行くような話し方をしていたからもしやと思ってね。まぁこれは最終的に辿り着いた答えなんだけれど」

 

「そうだったか?」

 

「ああ、最初のルール説明の時に、聞き流す程度でいいよなんて言われたら僕らが素直に聞き流すわけがないだろう?」

 

「まぁ確かにそうだな。実際にその時は反応したしな」

 

「だからそれが燈火の思惑なんじゃないかと思った。噛みつかせるためのものだとね。どう考えてもあの時点ではルール五と六は怪しすぎたからね。まぁ実際は『其の四』に仕掛けがあったんわけなんだけれど。その点に関しては燈火にしてやられたよ。おかげで最初の方はクジの不正を見破るより、ルールの意味を考えていたからね。それに命令もあったからどうにもうまく考えがまとまらなかった。だから途中でルールについては一応そのままの意味なんだろうということで考えるのをやめたんだ。そこから燈火たちの不正を暴くのに頭を使った。その不正も普通は考えもしないような物だったし、仮に思いついても実行しようとは思はなかったけどね。まぁこれは燈火たちが普通だなんて思い込みをしていた僕らが悪いのかな?」

 

フィンがあいまいな笑みを浮かべた。

 

「確かに常識で測り過ぎていたかもしれんな」

 

「でも僕たちは気づいた。燈火たちの不正に気づけた。燈火の思惑通りに。そしてそこが制限時間になった」

 

フィンは苦笑いを浮かべ、既にひどい格好をしていたしねとこぼした。

 

「燈火的には取れ高は十分だった。だから不正がばれてもあまり抵抗しなかったんだ。勿論僕らが燈火たちの不正を見抜けなかったらゲームはずっと燈火の手の上だった」

 

「ちょっと待ってくれ。その考え方だと我々が見抜かなければ『其の六』は履行されないまま終わっていたじゃないか。少なくとも皆が満足しては終われなかったんじゃないか?それになぜ燈火は自分の不正が暴かれると分かっていたんだ?」

 

「『其の六』については、そうだね、実際不正に気づけたのは偶然だからね。しかし、それも燈火の思惑だったら?気づけばそれでよし。気づかなくてもそれはそれでよし。もし気づかなければ、自分でその点についてもコントロールしよう。そんなところじゃないかな。しかし、燈火の中では暴かれる絶対の自信があったんだよ。確かに不確定なものだけれど、しかし、それでも燈火の中では確定していたんだ。僕らがこの不正を暴くことが。時間稼ぎは確実にできる完全な細工、けれど絶対にバレないわけではない不完全な細工をね。燈火なりの信頼だね」

 

「あまり嬉しくない信頼のされ方だな。暴かれることが前提の細工か・・・ふむ、どの道奴の手の上だったという事か。・・・してやられたな」

 

リヴェリアは苦笑いを浮かべた。それからもフィンの推理はつづいた。

 

「だから燈火は『其の五』を設けたんだよ。自分たちは十分にいい思いをしたから、あとは純粋に楽しむためにとね。それに、燈火たちが好きにクジを引けた段階でもそこまで不快な思いをするものはなかった。恥ずかしい思いは散々させられたけどね」

 

「まぁそうだな。あまり過激なものはなかったな」

 

「その点はルールでも縛ってたから、あまり大胆なことはするつもりはなかったんだろう。それに燈火は、本気で仲間が嫌がることはしないからね。だから自分たちで用意したアドバンバンテージを、暴かれるという形で排する。それが燈火の考えた罪滅ぼし。そして、その時点から『其の六』が機能し始めるというわけさ。完全な運によるゲームへの移行をもって」

 

「なるほど。それで時間制限と罪滅ぼしか。こんな答えにたどり着くと、他の全ても演技や仕込みの様な気がしてしまうな」

 

まったく生意気になったな、とリヴェリアは燈火の、あのトリックスターの名を冠する神のエンブレムが入った着物を羽織った姿を思い浮かべながら溜め息交じりに漏らした。

 

「それだけ成長したってことさ。あのころとは違ってね。まさかこんな形で思い知らされるとは思ってなかったけれど。正直、見事だよ。流石はウォーカーだ。細工にしても、ルールの意味に関しても。こんなに頭を使ったのはダンジョン以外では初めてな気がするよ。のらりくらりしてるけど、ちゃんと辿り着くところには着くんだからね。遊戯大会と銘打つだけはある。いろんな意味で楽しめたよ・・・・・・ホントにいろんな意味でね」

 

フィンは、燈火の思惑を推察することができたからだろうか、『王様ゲーム』終了時と比べて幾らかすっきりした表情を浮かべていた。しかし、思い出したのだろう。最後には目が虚ろになりかけていた。

 

「まぁ今言ったことは全部僕の堪でしかないし、本人に確認してもはぐらかされるのが落ちだろうね。それにこの推察は気づいても公表するようなものじゃない」

 

「だから他言するなと言ったのか」

 

フィンは頷き、それにと会話を〆た。

 

「燈火が、個人的な思惑はあれど、今日という日をより良く、皆が楽しめるようにしようとしたことには変わりわないからね」

 

リヴェリアもその事には異論はないのか「ふふ、そうかもしれないな」と微笑むだけで、それ以上の言葉を返すことはなかった。

 

 

こうして、思惑には満ちていた『遊戯大会』は幕を下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(あのフィンさん?何、全部喋ってくれちゃってるん!?めちゃ恥ずかしいんですけど!黙っていればいいものをぉぉぉ・・・・・・!あぁもう、ホント死にたい。いっそう殺してくれ・・・)

 

 

 

 

「本気で嫌ではなかったということは、やはりあの衣装は満更でもなかったのか?」

 

「頼むからそこには触れないでくれないか・・・」

 

「あ、ああ。すまない」

 

 

やはり二人のようだ。

それから数日、街でフィンによく似た女の子が見かけられたとか、見かけられなかったとか・・・・・・

 

 




四話にわたりお送りしてきました番外編ですが、正直途中から何書いてるか分からなくなりました。
四話目の最後の方なんかしっちゃかめっちゃかな気しかしません。
四話を通しての目的が、リヴェリアにメイドを着させてあのセリフを言わせることだけだったような気がします。

それはまあともかく。自己満足の番外編が終わりましたので、次からは本編の方に戻れると思います。
いつ頃更新できるかはわかりませんが、これからもお楽しみいただければ幸いです。
それではまた。
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