『それではDブロック三戦目! 更識、岸和田ペアと穂波、田辺ペアの模擬戦を開始します!』
その言葉と供に、四つの機体が空へと舞い上がった。
相手の機体は両方とも量産機である『打鉄』、対してこちらはどちらも専用機。
負ける要素は皆無だ。
しかし、付け入る隙があるとすればそれは間違いなくこの「俺」の存在である。
更識の教えで俺が学んだことといえば、簡単な移動・銃の撃ち方の二つだけだ。
しかし、俺は観戦している間に気付いたことがある。
俺の機体は強い。
この、専用機『黒雛』は規格外だ。
目の前に二機の打鉄が迫ってくる。
当然だ、更識みたいな化け物と一対一で戦う馬鹿はいない。
さっさと俺を倒して多対一で戦うのが定石だと言える。
だから、これが俺が活躍することのできる唯一無二のチャンスだ。
黒雛の銃口を開く。
そして、俺はめいいっぱいの力で叫んだ。
「鬼火!!」
――その瞬間、俺の機体の前方の世界が消失した。
黒く燃え続ける炎が粉塵を呼び起こし、死屍累々な光景が目の前で広がっている。
『勝者、更識・岸和田ペア!』
勝ちだ。
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「いやいや、おかしいでしょ何あの強さ」
観客席に戻った瞬間、御陵や猫又、果ては秋葉にまでないわ〜、みたいな顔をされた。
「言ったでしょ、『相楽は』って。あの機体は化け物よ、絶対防御がなかったら既にここら一帯今頃火の海ね」
更識のその言葉に三人は心なしか俺からズルズルと距離を取り始めた。
「おいおい、俺から逃げてどうするんだよ……」
俺は呆れ顔で呟く。それと同時にスピーカーが次の試合表を読み上げ始めた。
「あっ私たちの出番もそろそろだね」
「俺もだ、そろそろ行かないと黛さんに怒られる……」
そういって三人は席を立った。
俺と更識だけがぽつんと取り残される。
「どうする、敵情視察でもしに行くか?」
「……そうね、多分負ける可能性があるとしたら秋葉君のところだし」
織斑先生に聞いたところによれば、秋葉は俺と同じISの製造業者によって作られたものらしい。
問い合わせたところ、確かな情報は得られなかった。それも変な話だが、最後にぽつりと漏らした言葉が気になっていた。
『あれは君の黒雛と対を成す――』
俺と更識はDブロックのアリーナを後にした。
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俺たちが着く頃に、その試合は既に終焉を見せていた。
いや、丁度決着の着く場面だという方が正しいだろう。
「――嘘」
ISに関しては年輩者である更識のその呟きがその異常性を如実に表していたといえる。
俺とは全く正反対の白い機体。
対する打鉄がそれに完全に無力化されている光景が目の前に広がっていた。