アリアをフォワードにしたあと、試合再開。
聖堂山は本気になる。
「聖堂山を舐めるな!」
飛び出す黒裂くん。
巧みなパス回しで前線に上がっていく。
白竜くんのような絶対的な個や化身パワーが尽きたドラゴンリンクイレブンなど、相手によって1人で多数を相手にできるアリアも彼らを全て止めるのは不可能。
こういう全体が高水準でパスを活用できるチームはさすがに多勢に無勢!
「チッ。マジで連携が神すぎるぜ。私1人じゃ限界がある」
「最低でも私やミクレベルでチームを構成しないとディフェンスは無理ね。でも、それでいいわ」
「あぁ。作戦通りだ。殴り合いは、殴れる分には構わん!」
聖堂山を追いかけるアリアと並走して頷く。
今回に限って失点の価値は低い。
彼らの攻撃は、彼らの自由にさせればいい!
「バリスタショット!」
「むっ……!セーブ不可!」
アリアの代わりにキーパーになったチェンナイがシュートを見送る。
これも仕方ない。
ヴァルキリア 3 - 1 聖堂山
「ここから逆転させてもらおう」
「お好きにどうぞ。また取り返すだけよ」
「……!君達はまさか……我々と点取り合戦をするつもりか!?正気か!」
「さぁ。それよりディフェンスの心配をしたらどうかしら」
さすがに気づいたわね。
黒裂くんがすれ違いさまに私達の思惑を見抜いた。
まあ、彼の気持ちもわかるけれどこっちは選びたくて選んでる訳じゃないから正気を疑われてもどうしようもないわね。
どうしようもないなら、振り切るまで。
全力で押し通せば大抵の事は何とかなるわ。
そうと決まればこの後の展開はお察し。
「ザ・セイレーンX!!」
「シュートブレイク!!ぐああ!?」
「くっ……!」
アリアのシュートが決まって黒裂くんが表情を歪ませる。
ヴァルキリア 4 - 1 聖堂山
続いて、聖堂山のやり返し。
「恋崎!」
「おう。ファイアトルネード……!」
「なっ……!?あれは……!」
「なるほどな。奴は……そういうことか」
恋崎くんが炎のシュートを放ち、それが決まる。
ミクは驚き、アリアは納得したように相手ベンチの聖帝に目をやった。
私もその視線で察した。
彼は……そう。
驚いたわね。
ヴァルキリア 4 - 2 聖堂山
ここからは一進一退。
「クイックトリガー!!」
ヴァルキリア 5 - 2 聖堂山
「ファイアトルネード!」
堤美くんも撃つ。
ヴァルキリア 5 - 3 聖堂山
「ザ・セイレーンX!」
ヴァルキリア 6 - 3 聖堂山
「ファイアトルネード……!」
ヴァルキリア 6 - 4 聖堂山
今度は桶川くん!
「奴ら、まさかあのシュートをフォワード全員が撃てるのか……!」
「フォワードだけではない。聖堂山イレブンは全員使える。聖堂山が聖帝より教わる最初の技だ!」
「なっ……!?」
アリアが指摘して、黒裂くんの返答を受け驚く。
なるほど……!
全員があのファイアトルネードを撃てるのなら全員がゴールを狙えるという前情報も納得できる。
ファイアトルネードは凄まじい威力を持つシュート。
全員使用出来るなら厄介極まりない!
やはりこのチームはスキルが高く、尚且つ平均値が高い。
アリアが最も苦手とするチーム……!
「だが、ディフェンスは個人技とシフト以外ザルだ。奴らより多く点を取ればいい!」
「しまった……!」
聖堂山はまたしてもアリアの突破を許す。
彼等は作戦の変更などできない。
それほど柔軟性はない。
なのに何とか対策しようとするから元々あった強みも消えつつあり、私達はボールをゴール前まで運びやすくなる。
サイドラインを使って上手く攻めることができている。
こうしてディフェンスライン前でパスを通せれば、あとは彼女ならゴールまで持っていける!
「ザ・セイレーンX!」
「シュートブレイク!ぐああ……!?」
またしても入った。
これで。
ヴァルキリア 7 - 4 聖堂山
「まだだ!こちらも取り返すまで!爆熱ストォォーーム!!」
「化身……!無理!」
チェンナイが放棄する。
これも仕方ない。
ゴールは当然決まる。
ヴァルキリア 7 - 5 聖堂山
「焦ったわね!」
「……!」
私が指摘すると黒裂くんは汗を流しながら悔しそうに振り返る。
チェンナイのキープ力を考えればゴールは簡単に決められる。
私達も多少は妨害するしディフェンスもするから必殺技は必要になるけれど、化身は絶対に必要ない。
ここで化身を使うことは無駄な消費をするということ。
それは黒裂くんもわかっている。
「もっと攻めるぞ!」
「アルティメット・ランチャー!」
今度はミク!
ヴァルキリア 8 - 5 聖堂山
「ファイアトルネード……!」
ミッドフィールダーが撃った!
ヴァルキリア 8 - 6 聖堂山
「バリスタショット!」
ヴァルキリア 8 - 7 聖堂山
「ファイアトルネード!」
ヴァルキリア 8 - 8 聖堂山
「……っ!フェアリーショット!」
「絶!ゴッドハンド……!」
「なっ……!?」
アリアのシュートが止められた!
それにサイドラインから攻める作戦も完璧じゃない。
ミスってラインを超えたら相手ボール。
そのせいで続いて3点も取られた!
しかもこの乱打戦、アリアも疲れが見え始めてる。
「おい!私とミクばっかり撃ってるじゃねえか!ミクはともかく私の体力は持たねえぞ。お前らもチャンスあったら撃て!」
「ご、ごめん。サエ、狙いに行くよ」
「お、おう!」
アリアに叱責され、アスカとサエが頷き合う。
チェンファも覚悟を決めた顔をした。
私も参加しなければならないけれど、切り札のジ・エレメンタルを撃つまでは体力を温存しておかなくてはならないから消極的になってしまうわね。
「キングスランス!」
ヴァルキリア 9 - 8 聖堂山
『覇王・ザ・ブレイク!』
ヴァルキリア 10 - 8 聖堂山
「バリスタショット!」
ヴァルキリア 10 - 9 聖堂山
「バリスタショット!」
ヴァルキリア 10 - 10 聖堂山
「ファイアトルネード!」
ヴァルキリア 10 - 11 聖堂山
「バリスタショット!」
ヴァルキリア 10 - 12 聖堂山
「ザ・セイレーンX!」
ヴァルキリア 11 - 12 聖堂山
「ザ・セイレーンX……!」
ヴァルキリア 12 - 12 聖堂山
「ザ・セイレーン……っ!!X!!」
「絶ゴッドハンド!ぐああ!?」
ヴァルキリア 13 - 12 聖堂山
アリアが決めた。
彼女は息をつく。
「……っ!……っ!クソ!」
イラつきを露わにするアリア。
アスカ達が若干萎縮する。
アリアの気合いで私達は逆転した。
ここで、ホイッスルが鳴る。
前半が終わった。